己の世界を守る楓   作:ふぁむな

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今回は短めで内容が薄いかもしれません。



845年~ ② 
新兵勧誘式


◆◆◆

 

 数日後、トロスト区にある古城を改装した施設である旧調査兵団本部へとエレンとカエデを含めた調査兵団は来ていた。

 この旧調査兵団本部は壁から遠く、川からも遠いという理由で滅多に使用されることはなかったのだが、エレンの巨人化を調べるために地下があるこの場所に滞在することになったのだ。

 そこで数日の間エレンの調査をし、少しエレンの巨人化についてわかったことがあった。

 わかったことだが、エレンの巨人化には目的を持つことでなれるようだ。今まであったことで例に出すと、『巨人を駆逐する』、『榴弾を防ぐ』、『大岩を運ぶ』、そして旧本部に来てから『スプーンを持つ』という目的によって巨人化した。そしてどれも目的を終えた後は蒸発して消滅したのだ。

 

 調査兵団一行が旧本部について数日の間、ハンジはトロスト区奪還の際に生け捕りにした巨人を調査していたのだが、何者かによって巨人が殺されるという事件が起きた。その事件は憲兵団が捜査したのだが犯人は見つかることはなく、調査は打ち切りになった。

 

 

 

 

 そして今、旧調査兵団本部の一室にエルヴィンとリヴァイがいた。

 時計の針は12を回っており、調査兵団一行は既に眠りについている。

 

 長テーブルの右角にエルヴィンが座り、その前にリヴァイが座っているという状態だ。

 エルヴィンは手を顔の前で組みながらリヴァイに話し始める。

 

 

「次の遠征だが・・・おそらくエレンを狙った巨人が現れると考えてる。そのためにエレンを護衛するように部隊を作って陣形を組む」

 

「それなら何故カエデをここに呼ばない?今までの小隊での行動をすれば守りきれると思うが?」

 

 

 リヴァイの言葉にエルヴィンは2回首を横に振った。

 

 

「今回の作戦は最終的にその巨人を巨大樹の森まで引きつけて生け捕りにする。それで、カエデを呼ばない理由だが・・・生け捕りにした場合、もしエレンを狙う巨人の中身がカエデの友人だった場合、悪い状況になりそうだからだ」

 

「・・・なに?」

 

「トロスト区の壁が壊されたあと、ウォールローゼが鎧の巨人に破壊されなかったのはウォールローゼを破壊することより重要な何かが起こったのだと考えている」

 

「・・・その重要なことは?」

 

「その重要なことがエレンの巨人化だ。巨人から出てきたところを見たものは駐屯兵団を初め何人もいるが、その中にカエデの友人もいる。もしものことを考えるとカエデは生け捕りにした場所にいないほうがいいと思う。そして、今のカエデは今回の遠征で多くの功績を残さなければならないということもある」

 

「そうか・・・。ならカエデはどこへ配置する予定なんだ?」

 

「他の隊員を説得するためにも自由に動かせる・・・まあ遊撃だな。だが、おそらくカエデは友人の近くの班の近くを中心に動くとみている」

 

「そうか・・・」

 

「明日、調査兵団の新兵勧誘式がある。その結果でうまく編成してカエデの行動範囲を調整しようと思う。だからリヴァイにはいつもより多く動いてもらうと思うからよろしく頼む」

 

「あぁ・・。わかった。・・・・話しが変わるが、イェルクの居場所をエルヴィンは知っているのか?」

 

 

 エルヴィンはリヴァイから顔を背ける。

 

 

「・・・すまない」

 

「そうか」

 

 

 リヴァイからそらしていた目を再びリヴァイへと向けた。

 

 

「イェルクとは関係ないが・・・リヴァイには話しとこう」

 

「?」

 

「カエデがトロスト区奪還の時に5年前のような奇行種が現れたと言っていたから調べてみたんだが・・・。5年前から調整が行われていない立体機動装置が落ちていた・・・」

 

「どうゆうことだ?」

 

「俺は5年前、クラウスを隊長とした小隊で行方不明になっているC班の誰かだと考えている」

 

「このことをカエデには?」

 

「言っていない・・・。このことは伝えない方がいいと思ってな。それに絶対という自身もないしな」

 

「あぁ、それがいいと思う」

 

 

 

 それだけ話し、2人は椅子から立ち上がり寝床へと去っていった。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 調査兵団新兵勧誘式当日の夜―――

 

 

 カエデは夜道を走っていた。

 その理由は先ほど新兵勧誘式があり、調査兵団に入る人たちはその場に残りそれ以外の人はその場を去っていった。カエデは去っていった人の中にアニがいたため、彼女を追うために走っていたのだ。

 

 

――あっ! いた!!

 

 

 夜道を歩くアニを見つけたカエデはアニに飛びついた。

 

 

「アーニー!!」

 

「っ!?」

 

 

 アニは驚きながら後ろから自分に抱きついているカエデを見た。

 

 

「カエデ・・・!どうしたの?」

 

「アニはなんだかんだで調査兵団に入ると思ってたからさ!このまま離れちゃうのはヤダから追いかけてみた!ねーねー! アニも調査兵団に入らない?」

 

「ごめん・・・カエデに言われても入らない」

 

「そ・・・そっかぁ・・・」

 

 

 シュンとしてしまったカエデにアニは少し慌てる。

 

 

「カ・・カエデ?会えなくなっちゃうわけじゃないんだよ?」

 

「そっか・・・それもそうだね!!あははっ私としたことがー!」

 

 

右手を頭の上に乗せて舌をペロっと出すカエデ。

 

 

「ふふっ・・・。カエデは相変わらずだね」

 

 

 少し笑ったアニにカエデの顔はぱあっと明るくなる。

 

 

「アニ!! やったね!前みたいにまた笑った!!」

 

「私笑ったかな?」

 

「笑った笑った!!よーしっ!このままアニを常に笑っている人に変えよう!」

 

「まってカエデ・・・。それはそれで困る・・・」

 

「ぷぷっ・・・それもそーだね!!」

 

「ふふっ・・・。そうだよ」

 

「それにしてもアニがいないのは寂しいなー。憲兵団じゃそんなに会いに行けないしねー」

 

「うん・・・。私にはやることがあるから・・・」

 

「そっかぁー。それじゃあしょうがないね・・・。じゃあアニに会いに行けるようになるためにも次の遠征で頑張らなきゃ!」

 

 

 カエデは右手を胸の前でグッと握りしめ、夜空を見上げた。

 

 

「ミカサとアルミンから話は聞いたよ。カエデ大変だったね」

 

「うん すごく大変だったよー!ぅ・・ぅん・・・す・・すごくね・・」

 

 

 審議所のことを思い出したのか俯いて悲しそうな顔をしているアニはそっとカエデを抱きしめた。

 

 

「思い出させてごめんね・・・私はずっとカエデの味方だからね」

 

「ありがと・・・。ありがとうアニ・・・アニはやっぱりいい人だね」

 

 

 そう言われたアニは俯いた。俯いたその顔は周りが暗いためによく見えない。

 

 

「そんなことない・・・。私はそんな人じゃない」

 

「ううん! 私にとってアニはいい人!これは揺るぎない事実なのだ!」

 

「ふふっ・・。そっか。じゃあカエデは私にとっていい人だね。私を笑顔にしてくれる」

 

「そお?私っていい人!?あははっ 照れるなぁー!」

 

 

 顔を少し赤らめながら照れるカエデ。その表情は先ほどまで悲しい顔をしていたとは思わせない、いい笑顔だった。

 そんなカエデを見てアニの表情も柔らかいものになった。

 

 

「カエデが元気になったことだし私はもう行くね」

 

「うん!アニに会えてよかった!!また今度会おうね!!じゃあバイバイ!!」

 

 カエデはアニの姿が見えなくなるまで手を大きく降り続け、見えなくなったあと自分の部屋までスキップで勧誘式が行われた広場まで帰った。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 カエデが広場に帰った時には既に誰もおらず、ただ明かりだけが灯してあった。

 

 

―― んー。みんなどこにいったのかな?

 

 

「――――――。」

 

 

 調査兵団に入った人たちはどこへ行ったのかを探すために周りを見渡していると、左側の建物の方から小さくだが話し声がカエデの耳に入ってきた。

 

 カエデはそっと建物の影から話し声が聞こえた方を見てみると9人の男女が集まっていた。その9人の中に知っている人物を多く見つけたカエデはゆっくりと近づいていった。

 

 

「あぁ・・・入っちまったよ。クソッ」

 

「私はジャンが入ってくれて嬉しいじゃん?」

 

「っ!? カエデ?」

 

「おうともさー!」

 

 

 右手で頭を抑えながら俯いているジャンにそう言いながら背中を軽く叩くカエデ。

 

 

「カエデ久しぶり」

 

「カエデさん久しぶりだね」

 

「カエデ久しぶりだな」

 

「カエデ久しぶりだね」

 

「カエデ久しぶり」

 

「あははっ!みんな久しぶりだね?あれ・・・そんなに久しぶりだっけ?」

 

 

 上からミカサ、アルミン、ライナー、ベルトルト、コニーにそう言いながら首をかしげるカエデ。

 

 

「うん、久しぶりだよカエデ。審議所では一応見たけど話していないし、調査兵団はすぐに旧本部に行ってしまったから」

 

「あぁ!!なるほど久しぶりだね!!」

 

 

 ミカサに言われてポンと手を叩いたカエデは残りの3人に目を向ける。

 目を向けた先には、顔にそばかすがあり黒髪を後ろで結んでいる女性――ユミル。黒髪をポニーテールにしている女性――サシャ・ブラウス。可愛らしい顔に金髪を肩まで伸ばした小柄の女性――クリスタ・レンズがいた。

 ユミルは半泣きのクリスタをなだめており、サシャも半泣きで立っていた。

 それを見たカエデはそっとサシャに近づいた。

 

 

「大丈夫・・?」

 

「大丈夫・・・じゃないです。怖いです・・・」

 

 

右手を左手で抑えながら震えているサシャをカエデはそっと抱きしめた。

 

 

「・・・え?」

 

「そうだよね・・・。怖いよね。よく耐えたね・・・」

 

「うぅぅ・・・。エッグ・・・」

 

「よしよし・・・」

 

 

 胸で泣くサシャの頭を優しく撫でながら、空いている手で落ち着かせるように背中をポンポンとリズム良く叩く。

 

 

 

 

 

 数分後、泣き止んだサシャはゆっくりとカエデから離れた。

 

 

「落ち着いた?」

 

「はい!!取り敢えずはもう大丈夫です!!」

 

「よかったぁ」

 

 

 ニカッと笑ったサシャを見て、カエデはほっと胸をなで下ろした。

 いつもは自分が泣いている側なので、こうゆう役割がきちんとできるのか少し不安だったのだろう。

 それからカエデは目の前の女性が、エレン達から届く手紙に出てきたサシャだということに確信を持ち、手紙の内容を思い出そうとする。

 

 

――サシャ、サシャ、サシャ・・・・。あぁ!!そうだ!!サシャはすごく食べ物が好きなんだよね!!

 

 

「サシャ!!今度お肉を使った料理を作ってあげるよ!!」

 

「えぇぇ!! 本当ですか!?ぜひ!!ぜひ食べさせてください!!」

 

「ひゃふっ!?」

 

 

 食べ物関係の話しに移った途端、サシャはカエデに飛びついてキラキラとした瞳でカエデを見た。想像以上の食いつく様にカエデはビクッとしながら驚いた。

 

 

「う・・・うん!」

 

「・・・カエデは料理が作れるのか?」

 

 

 突然ライナーが腕を組みながら、そう聞いてくる。

 カエデは胸に飛び込んできているサシャを受け止めたままライナーの方を向いて頷いた。

 

 

「作れるよー!料理歴はすごく長いからなんでも作れる!!」

 

「じゃあ、俺にも今度なにか作ってくれよ」

 

「調査兵団に入ったことだし、私のいる小隊に入れたらいつでも食べれるよ?うーん。じゃあ今度ライナーにはお弁当を作ってあげるよ」

 

「お弁当だと・・・(これが噂に聞く愛妻弁当!?)」

 

「だ・・・だめかな?」

 

「い・・・いや!!むしろ喜ばし――ぐぇっ」

 

 

 

 首をかしげるカエデにライナーはすぐに返答しようとするが、後ろから来たミカサに襟を掴まれて引っ張られたことで中断することになった。

 

 

「カエデ、私にも」

 

「ミカサも?いいよー?」

 

「うん。ありがとう」

 

 

 ほくほく顔で先ほどまで立っていた位置まで戻っていくミカサ。

 

 取り敢えず落ち着いたので、カエデは周りを見回した。すると先ほどまでの暗い雰囲気はすでになくなっており、半泣きだったクリスタも今では「どんなお弁当なんだろう?」とユミルと話していた。

 

 そんな雰囲気を見てカエデはふにゃりと笑った。

 

 

「みんな調査兵団で頑張るんだよね。これからよろしくね」

 

 

 カエデはそう言って右の拳を前に出した。

 

 

「「「おう」」」「「「うん」」」

 

 

 ジャン、ライナー、コニー、ミカサ、アルミン、ベルトルト、サシャも同様に拳を前に出してカエデの拳と合わせた。

 

 

「クリスタとユミルもやらない?」

 

「なんで私の名前を?」

 

「そうだよな、なんで知ってるんだ?」

 

「それは、エレンとミカサの手紙に書いてあったからなんだよ。それで・・・一緒にやろ?」

 

「うん!!」

 

「わかった」

 

 

 クリスタとユミルも同様に拳を合わせた。

 

 

「よーし!!頑張りましょー!!」

 

「「「おー!!」」」

 

 

 そう言って10人は拳を上にあげて掛け声をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 遠征5日前――

 

 カエデは今、旧調査兵団本部の一室で話し合いをしていた。

 

 その部屋にはエルヴィンが座っており、長テーブルに大きい地図を開いて座っていた。

 

 

「え・・・えと。エルヴィン団長?今回の作戦は大部隊で行動するんですか?」

 

「あぁ。長距離索敵陣形をやろうと思う。それで、カエデには自由に動いてもらう」

 

「長距離索敵陣形?」

 

「俺が考えた作戦だ。この作戦ならば生存率を飛躍的に上げることができる」

 

「それで、エレンをウォールマリアのシガンシナ区後方の門まで運ぶだけなら今までの小隊ではダメなのですか?」

 

「それなんだがな、今回はトロスト区からは出られずカラネス区からの出発になるのは知っているな?」

 

「うん」

 

「今回はエレンの審議とカエデのこともあるから多く成果を残さなければならない。だから荷馬車を増やして補給物資を多く配置する。結果的に大部隊になるしかないんだ」

 

「そう・・・ですか」

 

 

 ここでカエデは何も言い返すことは出来なかった。エレンを守るため、より成果を残すためを考えるとエルヴィンの案が一番良かったからだ。

 

 

「この長距離作戦陣形でのカエデの友達が行動する場所は教える」

 

「ありがとうございます」

 

 

 エルヴィンが考案した長距離索敵陣形は丸みおびた矢印のような形をした陣形で、矢印のトップから中央までは3層の部隊、矢印の左右は4層の部隊で行動する陣形だ。

 トップから中央にかけて順に索敵支援班、先頭を指揮とした荷馬車護衛班の部隊、後ろを待機とした荷馬車を運ぶ中央の部隊だ。矢印の左右は索敵支援班と指揮のある部隊の間に予備の馬との並走と伝達を任されている部隊がある。そこに新兵のほとんどが配属されることになる。

 

 

「アルミン・アルレルト、ジャン・キルシュタイン、ライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバーはそれぞれ班は違うが右翼側の伝達の部隊だ。ミカサ・アッカーマンはエレン・イェーガーと共に中央の部隊の待機だ」

 

「みんな右翼側ですね!それと・・・サシャとクリスタとユミルはどこにいますか?」

 

「サシャとクリスタとユミルだな?」

 

「うん!この前知り合ったんです!!みんな104期訓練兵です」

 

 

 エルヴィンは部隊とその部隊の人の名前が書かれている大きな地図を見て、言われた名前を探していく。

 

 

「・・・サシャとユミルは左翼の伝達、クリスタは右翼の伝達だな」

 

「わかりました。ありがとうございます!!」

 

「カエデ、お前は成果を残すために多くの巨人を倒すようにしてくれ。エレンはリヴァイに任せておけ」

 

「あ、はい。リヴァイなら大丈夫ですね!」

 

 

 カエデはそう言うと立ち上がりエルヴィンに一回お辞儀をした後、部屋のドアへと歩いて行った。

 

 

「右翼・・・右翼・・・うん」

 

 

 独り言を言いながらドアから部屋を出て行くカエデを見て、エルヴィンは口の端を少し上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は 作戦当日です。

進撃の巨人のアニメを13話から先を見ようと思うので次回はすこし遅れるかもしれません。
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