己の世界を守る楓   作:ふぁむな

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カエデの過去編これで最後です。


カエデの過去②

 

 

 843年の終わり頃――

 4年前やむを得ない状況で壁の外へでたカエデは、襲ってきた1体の巨人を倒した。

 

 

 

 それから食べ物と暖かい環境を目指して南へ進み、良い拠点が見つかるまで川の水と栄養のまるでない雑草を食べて進み続けた。

 

 

 そして壁から数十km離れた、家畜が多くいる巨大樹の森を見つけ、その木の三本の太い枝の上を住みやすいように加工して様々なものを置いた。

 

 

 加工し終えたカエデはここを見つけるまでの道の途中にあった、巨人によって吐かれたすでに骨になっていた死体から取り外して持ってきた立体起動装置を使えるかどうか確かめる。立体起動装置本体はすでに巨人の消化液によって使い物にならなかったので、刀身とアンカーつきのワイヤーを拝借した。

 

 その巨大樹を拠点とし、毎日朝早くに起きて木から降りては巨人を殺し、その日食べる食料と食べれる野菜が生えているところを探して種を持ち帰る。そんな生活を半年続けた   結果、自分が暮らしている巨大樹の周りには十分生活していける環境ができていた。

 

 

 そんな環境ができてから約2年が過ぎたある日

 

 

 

 

「なんだこの場所は!?きちんと整備された畑に、その周りを巨人が通らないように木の先端を尖らせた柵・・・」

 

「隊長!こっちにはいろんな家畜がいますよ!」

 

 

 自分が暮らしている木の枝からそう遠くないところから聞こえる騒がしい声によってカエデは目を覚ました。

 2年もの間、人の声など一切聞いたことがなかったので不思議に思う。

 

 カエデは小さな体を起こして自分が野菜を育てている畑の方をみると、50人ほどの馬に乗っている人間の姿がうっすらと見えた。

 

 

――・・・? あれは人間だよね。・・・まさか賊?

 

 両親以外に賊にしか人間にあったことないカエデにとってそう思ってしまうのは無理もないことだった。

 警戒するように、カエデはじっと枝の上からその大勢の人を観察する。

 

 

――見たところ銃はもってないみたいだね・・・。それならば何十人相手でも私は殲滅できる!まずはリーダーを・・・。

 

 

 そう考え、いつものように前にある木と、自分のいま居る木とを交互に蹴り飛ばしながら降りることで勢いを殺しながら地面に着地する。その際木の下にいた巨人の一体のうなじを切り落とすのを忘れずに行う。

 

 

 

 

 その巨人が倒れて音を出す前に、40人もの人間の間を凄まじいスピードで風のようにすりぬける。そして巨人が倒れて音を出すのと同時にリーダーであろう先頭にいる男の首筋に刀身を添えた。

そしてカエデは、数年しゃべる相手がいなかったためにうまく出ない言葉を短くだが、リーダーだと思った人に話しかける。

 

 

「あなたたち・・・だれ・・?」

 

「っ!?!?」

 

 

 この近くに人間が住んでいるとは検討していたものの、こんな人間に出せるとは考えられないスピードをもつ人間――ましてやそれが小さい少女だなんて考えもしなかったクラウスは完全に硬直してしまう。さらに数年表情を変えていなかったカエデの表情筋は固まり、無表情だった。その無表情で言われた言葉は隊員たちに冷や汗をかかせた。

 

 

「ねぇ・・。だれ・・?」

 

「隊長ッ!!!」

 

「君たち・・・動かないで。動いたら・・・」

 

 

 首筋に当てた剣の剣先を少し上げることで、今からでも自分がクラウスを殺せることをアピールする。

 

 

「「っ・・!!」」

 

 

 動きを止めた隊員たちを見た後、クラウスは聞かれたことを答え始める。

 

 

「俺の名前はクラウス―。調査兵団のこの小隊の隊長をしている」

 

「調査兵団・・?」

 

「調査兵団を知らないのか・・・」

 

「いいから教えて・・?」

 

 調査兵団を知らないことに驚くクラウスに、刀身をさらに近づけることで続きを求める。

 クラウスが驚いたのは、壁の中で暮らす人なら憲兵団、駐屯兵団、調査兵団を知らない人などいないと思っていたからだ。

 

 

「調査兵団とは人類が暮らす壁の外がどうゆう世界・・・環境になっているか。他には巨人についての調査を行う兵団のことだよ」

「そう・・・。じゃあ、あなたたちは私にとって危険じゃない・・?私を・・・殺したりしない・・?」

 

「危険じゃないし、殺すなんて絶対しないよ」

 

 

 刀身を当てられながらもクラウスは、大人が子供にしてやるように優しくカエデの頭を撫でながらそう告げた。

 クラウスがそんな行動をすることができたのは、おそらくカエデにとって人間は怖い生き物という認識があると思って安心させようとしたのだろう。

 

 

「あたたかい・・・。この感じ・・・なつかしい・・・」

 

 

 数年ぶりその暖かい刀身を地面に落としたカエデは、素早くクラウスが乗っている馬の、彼の後ろにまたがる。

 

 

 

「もっと・・・」

 

 

 

 そして股がったカエデは、再び撫ででもらうためにクラウスに上目遣いお願いする。

 

 

「お・・おぅ!」

 

 

 カエデは先程まで殺気を撒き散らしていたのを一変して、まるで猫のように目を細めながら嬉しそうしながら撫でてもらう。

 その光景を見た隊員達は無意識に警戒心を解いていた。

 

 

 

 

「「「(なにこのかわいい生き物・・・)」」」

 

 

 

 隊員の心が一致した瞬間だった。

 

 

 カエデの心温まる一時は、ドシーンという大きな音を立てながら巨人がくることによって中断される。

 

 

 

「巨人だ!!総員、戦闘態勢に移れ!!馬で近づいたあと立体起動に移って巨人をやれ!!・・・っ!?!」

 

「邪魔を・・するな!!」

 

 

 カエデは、撫でられることを中断した原因である巨人の方を先程の殺気をまき散らしながら睨みつけ、馬から飛び降りるとともに刀身を蹴り上げて拾い、そして巨人に向けて走り出した。

 その際、カエデの言葉が自分たちに言われたのかと思って隊員達がビクッっと背筋を伸ばしたが、巨人に向けて言ったことがわかると、クラウスの指示の通りに馬を走らせた。

 

 

「お・・おい!!危ないぞ!!」

 

「大丈夫・・・。心配してくれてありがとう・・・」

 

 心配そうな顔をしているクラウスにそう言って、巨人に向かっている隊員達の乗っている馬を次々と抜かし、一番最初に巨人の近くまでたどり着く。

 

 

「うそだろ・・!?この馬は品種改良されてかなりの速さなんだぞ・・!?」

 

 

 カエデはそんな隊員達の驚きを聞き流しながら、肩に背負っていたアンカー付きのワイヤを手に持ち、アンカーを思い切り投げつけつけて巨人の脇腹に刺す。

 さらにそこから加速をつけて、張ったワイヤーにより体が中に舞い上がる。

 巨人は奇行種だったようで、右手でワイヤーを掴むとカエデを引き寄せようとする。

 

 

「あれはっ!! 奇行種か!!援護するぞみん――

っ!?」

 

 

 普通の巨人でも危険なのに奇行種となっては危険率は大幅に上がる。そのことに隊員達は援護に向かおうとするが、カエデのとった行動に驚いた。

 

 3年も毎日巨人と戦闘をしていたカエデにとってはこの様な事態も何回もあり、すぐにワイヤーを手放して引き寄せられるのを防ぐ。手放す瞬間を計算し尽くし、宙に上がったカエデの体はちょうど巨人の頭上にあった。

 

 

「これで終わりっ!!」

 

 

 そう言いながらカエデは体を2回回転させたあと、勢いのついた刀身でうなじを削ぎ落とした。

 小さい少女があっという間に奇行種が倒す光景に隊員達は唖然とした。

 

 

「これは・・・夢か?」

 

「こんなことが・・・」

 

「すごいな・・・

っ!?!?」

 

 ついさっき奇行種を倒したカエデがこちらに向かって走ってきたことに隊員達は驚き、戦闘態勢をとってしまう。多くの隊員たちでやっとのことで倒す奇行種をたった1人で立体起動装置も使わずに倒したこの少女に、多少の恐怖が生まれてしまうのはしょうがないだろう。

 

 カエデはそんな隊員達を眼中に入れておらず、隊の先頭にいる戦闘態勢を全くとっていなかったクラウスの馬の後ろに飛び乗って、褒めて褒めて!と聞こえるようなキラキラとした目でクラウスを上目遣いで見上げる。

 

 

「君・・・すごく強いんだな!!」

 

 

 それに応え、クラウスはカエデを先ほどのように優しく撫でる。撫でられたことにカエデはまた嬉しそうに目を細めた。

 

 

「「「うっ・・・」」」

 

「う?」

 

「「「うらやましい・・・」」」

 

「むしろ恨めしいなッ!」

 

「「「うん!」」」

 

「・・・」

 

 

 隊員達はすでに操作装置を刀身をつけたままさやに収め、思わずカエデとクラウスのこの何とも言えない空気に思わず思ったことを言ってしまう。さらにお調子者のイェルクが言葉を付け足したことに隊員達が同意する。そんな光景をみて先ほどの警戒心はどこへいったんだと思いながらクラウスはジト目でイェルク達とみた。

 

 

 

 

「ところで・・・。君の名前は?」

 

「私は・・・カエデ」

 

「そっか、カエデはどうやってここで暮らしてるんだ?」

 

「あそこ・・・あそこの枝の上で寝て、野菜を育てて生活してる・・・」

 

 

 カエデは自分が生活している一本の大きな木の枝を指差す。

 

「いつから・・・いつからこのような生活をしてるんだ?」

「3回季節が変わったから・・・3年くらい前・・・かな?」

「3年もこのような生活をしていたのか!?なんでこのような生活を・・?一体何があったんだ?」

 

 

 カエデは少し下を向いて考えたあと、再び顔をあげてクラウスを見た。

 

 

「・・・3年前―――」

 

 

 それからカエデは生まれてから3年前までのこと、3年前の出来事、それから今日までのことをぽつりぽつりと小隊の皆に話した。今日出会ったばかりなのに何故かすっと話すことができた。

 

 

「―――そして・・今日皆に会いました」

 

「カエデは寂しくなかったのか・・?」

 

「さびしい・・?さびし・・・・。・寂しかったよぉ・・・。

 うぅっ・・・」

 カエデは先程なぜすっと話すことができたのか分かった。それはずっと1人で寂しくて、また人の温もりを感じ、ずっと一緒にいたい――そう思っていたからだった。

 

「よく・・・よく頑張ったな・・・。こんなおっさんの胸の中だったら思いっきり泣いていいぞ・・」

 

「うわぁぁぁ・・・。うわぁぁぁああん!」

 

 

 カエデはクラウスに抱きつき、そしてお腹のあたりに顔をつけて大声で泣く。

 そしてクラウスの腕の中で泣き続けたカエデはそのままクラウスの腕の中で眠りについた。

 

 

「カエデちゃん大変な人生を歩んできたんだな・・・」

「そのようだ・・・。カエデに判断は任せるが一緒に連れて帰ろうと思う」

 

 

 一瞬、沈黙が隊員達の間に走るが、イェルクが賛成の意思を示す。

 

 

「俺は賛成だぜ!!カエデちゃん強いから一緒に来ても大丈夫だろうし!!寂しいって言うカエデちゃんのこと助けたいしな!!なにより・・・なにより可愛いのは正義だ!!」

 

「「「・・・・・は?」」」

 

「ん?」

 

「「「ん? じゃないよ!!」」」

 

「ぇー! いいじゃん!! 可愛いじゃん! 一緒にいるだけで和むじゃん!」

 

「「「確かにそうだけど!!」」」

 

「じゃあ けってー!!隊長!!隊員たちの許可は取りましたでございまする!!」

 

「おまえな・・・」

 

「隊長俺も賛成ですー!!可愛いしな!!」

 

「私もいいですよー!着せ替え人形に・・・ふふふふ・・」

 

「私も――」

 

「俺も――」

 

「おまえら、カエデが可愛くなかったらどうしてたんだよ・・・」

 

「「「うーん」」」

 

「考えるなよ!?・・・・はぁ」

 

 

 クラウスは自分達の欲を隠そうとしない隊員達にため息をついた。

 

 

「分かった。カエデが起きたら確認とってみる・・・今日は早いがここで休もう。明日はシガンシナ区に戻る!」

 

「「「了解!!」」」

 

 

 

「隊長・・・どこで寝るんです?」

 

 

 隊員からどこで寝るかの疑問の声が聞こえた。今までは巨人の行動が遅くなる夜まで行動し、そして巨大樹の森などの高いところを探していたのだ。しかし、今はまだ昼前で休むにしては早すぎなのだ。

 

「カエデの指差していた巨大樹の森の木の上に行ってみようと思う。イェルクは俺と一緒に見に行くぞー。他の隊員達は待機!!」

 

 クラウスは隊員の疑問にそう答えると、自分は様子を見に行くために馬を方向転換させる。

 

 

「「「了解!!」」」

 

「では行くぞイェルク」

 

「あいよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 クラウスはこちらをキラキラとした目でカエデと交互に見てくる女性にカエデを取り敢えず預け、イェルクを連れてカエデの指差していた大木にアンカーを刺し込み、ガスを噴射させて上へと登っていく。

 

 

「これは・・・すごいな・・・」

 

「カエデちゃん起用だね・・・」

 

 2人が見た光景は、まず直径3mほどの枝を水平なるように横に削ってあり、その上に横6m、縦10mほどになるように綺麗に板が敷き詰めらていた。さらに驚くべきことに、その板の上に薄く土が引いてあり、芝が植わっていた。おそらくここは寝ることを専用とした太い枝なのだろう。

 

 2人は斜め上の枝にもなにかあるようなので行ってみる。するとそこには先程のように板が敷き詰められていて、手前には10本ほどのアンカー付きのワイヤー、50本ほどの刀身、そしていくつもの研ぎ石が置いてあった。手作りの木箱を鉢にして薬草がいくつも植わっていた。手前は武器を置くところ、奥は医療系の枝だと分かった。

 さらに斜め上の枝に登ってみると今度は敷き詰められた板の上に竿があり、そこから肉が干されていた。さらに驚くべきことに木に火が燃え移らないように、いくつもの様々な形の石が1つの大きめの火を炊くところを作り出していた。おそらくこの枝は調理専用の枝だとわかった。

 

 

「戻ろうか・・」

 

「だね・・・」

 

 

 驚き疲れた2人は隊員たちのいる場所まで立体起動で戻っていく。

 それから隊員たちを連れて1本目の木の枝へと再び向かった。

 

 

「「「おおお!!」」」

 

 

「俺は驚き疲れた・・・。カエデには悪いが、今日の料理担当は畑と家畜のいる場所までいって食材を採ってきて料理してくれ。残りの隊員は馬を少し遠くのところで離して置くぞ」

 

「「「了解!!」」」

 

「ところで隊長・・・料理はどこですれば・・?」

 

「枝をあがって3本目の枝に料理できるスペースが――「「「ぇええええ!?」」」――はぁ・・」

 

 

 それからは料理を食べ、1本目の枝に小隊の男ども31人を、3本目の枝に女性8人を寝かした。カエデはクラウスの元に返されてから、寝ながら服をつかんで引き離そうにも引き離せなかったので2本目の枝で2人で眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ちゅん ちゅん

     わいわい がやがや

 

 

 朝―――昨日と同じで騒がしい声と音によって目が覚めたカエデはあたりを見回した。

 

 

「カエデちゃん起きたか!! 朝ごはんで来てるぞ!食べるか??」

 

「ぇ・・・ぁ・・・うん」

 

 起きたばかりで頭が働いていないカエデは、イェルクの質問にうまく状況を理解しきれていないようだ。

 

「あっ!! 勝手に野菜とか使っちゃってごめん!!」

 

「それは、いいんだけど・・・」

 

「ほらよ!イェルクさまさま 激ウマ目玉焼きだ!!」

 

「焼くだけじゃ―「ゴホン!!」・・・

 いただきます・・・」

 

「おう!いただきやがれ!」

 

「ぁ・・・普通の目玉焼きより美味しいかも・・・」

 

「え・・・!まじ?・・・じゃなくて、まぁ当然だな!!」

 

「・・・・うん。ありがと・・・イェルクさん?」

 

「どういたしまして!!まぁ俺の名前はイェルクだ!どうだ!お礼にイェルクお兄ちゃんと呼んでみてくれてもいいぞ!!」

 

「・・・?イェルクお兄ちゃん」

 

 

 呼ばれた瞬間、イェルクは鼻から液体が流れ落ちるのを感じ、鼻を抑えながら上を向く。

 

 

「グハッ。想像以上に強烈だぜ・・・!」

 

「「「イェルクめ!!地獄へ堕ちろ!!」」」

 

「グハッ!!!」

 

 

 お兄ちゃんと呼ばれたことに歓喜して、何故か鼻を抑えたイェルクはこちらに向かってきた隊員によって木の枝から蹴り落とされた。

 

 

 

 数分後・・・

 

「ただいまだぜ・・カエデちゃん!」

 

「・・・・ ゾンビ?」

 

「ギャグ補正だと言ってくれ!!」

 

「「「ぷっ・・!!」」」

 

「お前ら笑うなよ!!」

 

「ふふっ・・・」

 

「「「!!!(カエデちゃんが笑った顔可愛い!!)」」」

 

「・・・?」

 

 カエデはこの賑やかな光景に少し笑ったが、すぐにまた無表情に戻ってしまった。

 

「カエデちゃん 笑顔笑顔・・!」

 

「・・・・むぅー」

 

 笑う気配がないのでイェルクはカエデの頬をつまんで少し上げる。

 

「「「もっかい堕ちろ!!!」」」

 

「ぎゃぁああ!!」

 

 

「はぁ・・・。お前ら賑やかなのはいいがそろそろ行くぞ」

 

「「「了解!!」」」

 

「ぇ・・・。そ・・・そっか・・・またね皆・・・」

 

「カエデ・・・。その・・・俺たちと一緒に来るか?」

 

 

 準備を終え、カエデ達のいる一本目の枝に来たクラウスは、騒いでいた隊員たちに戻る指示を出した。

 それを聞いたカエデは泣きそうな顔をしながらクラウスを見上げ、別れのあいさつを言う。しかし、クラウスの提案を聞くとがばっと勢いよく顔をあげた。

 

 

「うん!!!」

 

「グハッ!!!満面の笑み・・・やりおる・・・」

 

「「「はぁ・・・なんかお前のせいで感動のシーンが台無しだ・・・」」」

 

「てへっ!」

 

「「「てへっ!じゃねぇ!!」」」

 

「ふふふっ・・。小隊の方々・・・これからよろしくお願いします!」

 

「おう!」

 

「こちらこそよろしくねー!」

 

「俺のこともお兄さんと――グハッ」

 

「馬鹿な男どもはほっといてよろしくねカエデちゃん」

 

 

「うぅ・・・。エッグ・・・」

 

 

 いきなり泣き出したカエデに隊員たちは、あたふたする。

 

 

「か・・カエデちゃん!?

 どうしたの!??わかったわ!男どもが悪いのね!!」

 

「ううん・・・。ちがうの・・! うれしくて・・うれしくて涙がとまらないの・・・」

 

「これからはカエデも俺らの家族だ・・・。血はつながっていないが俺らは互いに家族だと思ってやっている」

 

 

 クラウスはそう言うと、泣くカエデをぽんぽんと2回叩き、ぎゅっと抱きしめた。

 

 

――暖かい・・・。これが人の温もり・・・

 

 

「うぅぁぁああん!!」

 

「あぁー!! 隊長泣かせた!!」

 

「なっ!! いやっ これは!!」

 

「グスッ・・・クラウスさん・・・。ありがとう・・!これからよろしくお願いします・・・!」

 

「お・・おぅ!!まあ安心しろ!カエデのご両親は亡くなったが・・・俺は死なないさ

 ずっと一緒だ!!まぁ・・・イェルクなんかは、ぽっくり逝っちゃうかもだけどな!」

 

 

 ずっと一緒―――それは今、カエデが一番言って欲しかった言葉だった。その言葉を深く胸にとどめて大きく頷いた。

 

 

「げっ・・・。甘いですよ隊長!! おれは皆だいっきらいな黒い生物・・・通称G並の生命力なんですから!!」

 

「「「たしかに・・・」」」

 

「いやっ! そこは否定してよみんな!!」

 

 

「それじゃ総員・・・降りてすぐ出発するぞ!」

 

「「「了解!!」」」

 

「はい!!」

 

 カエデ達は色々なことを喋りながらシガンシナ区へと馬を歩かせた。その際カエデは、クラウスの後ろに乗り、ずっと後ろから抱きついていたとか。

 

 

「Zzzzz」

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございました。
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