吾輩は備品である   作:ぺちぺち

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 神様の力ってやべー…つらいしぬ^q^
 そんなお話です。


第2話:備品はつらいよ

--(1)

 

 知らない病室で目が覚めた、これがテンプレ天井ですか。

 頭に残る最後の記憶は視界一面を俺の吐いた血液が染め上げた光景である、というか一緒に朝食等の吐瀉物もまろみ出ていた気がする。

 キモいなー。

 ゲロった場所はそれこそ地獄絵図と化しているに違いない。

 

 「やっちまいましたなぁ」と思っていると数人の大赦仮面を同伴した義両親と園子が入室して来た。

 どうやら相当騒ぎになったらしい、まぁ血ぃ吐いたんだからそりゃ騒ぎになるわな。

 大赦側もまさか神樹様に触れた結果盛大にリバースするとは予測していなかったと聞かされた。

 まぁそうだよな、まさか神樹様に触って吐くなんて……吐くなんて……なんて……。

 

 ……。

 …………。

 

 

 神樹様が俺の血液やら吐瀉物やらで俺色(物理)に染め上げられとるぅ……^q^

 

 

 

 「死罪不可避やんけ!」と戦々恐々としたが厳重注意だけでお咎めの類は無いらしい。

 曰く、俺の吐瀉物で神樹様の力がマイクロ単位だが上がったのが厳重注意で済んだ理由だとか……。

 

 

 (^o^)?

 

 

 野郎のゲロで力を上げる神様……?

 なにそれ斬新(超オブラートな表現)。

 

 ………つまり神樹様の力の源はゲロを含めた肥やしだった?

 

 「畑やんけ!」と戦慄したがどうも違うっぽい。

 力の源は主に信仰心だとか、じゃあ何で野郎のゲロでパワーアップしてるんですか!

 俺氏、訳もわからず神樹様信仰をゲロ信仰と改名!……流石に祟られそうだから止めておこう。

 日本の神様は基本祟り神だしね。

 おっかねぇわー。

 

 

 ……そもそも吐いた時点で既に祟られてる可能性が高い?(真顔)

 

 

 

 

 

 

--(2)

 

 神樹様の力は基本的に四国に住む人々の信仰心で高められているのだがその他にも祭りや巫女さんの祈祷等の神事、あとは神社その物が神樹様の力を高める効果があるらしい。

 故に四国中の学校で行われている『起立・礼・拝』や、大赦で毎日行われている巫女さん達の神事、そして日程ごとに各神社で行われている神樹様関連のイベントや祭りにはそれぞれが重要な意義を持っているそうな。

 

 で、俺はそんな四国民の中でも個人で、しかも何もせずに神樹様の力を増幅出来ちゃう変な資質を持った稀少な人間らしい。

 意味がわからないって?

 俺も。

 まぁ歩く神社みたいな扱いと思えば良いんじゃない?(適当)

 なお、増幅倍率はクソ雑魚で上位の巫女さん数人で行う神事並だとか…び、微妙…。

 ぶっちゃけ毎日行われている神事の延長線でしか無いね、しかも神樹様に直接影響する神事は基本女性が行うのが通例だから参加するとか不可だし。

 なんという無駄スキル、まるでMUGEN大会の食いしばりみたいだぁ…(直喩)

 

 「食いしばりはクソスキル」と手の平ドリルアーム5秒前な事を考ている間に俺の役割について教えて頂いた。

 ゆとりに優しくまとめると勇者達に送られる神樹様の力を増幅する強化係らしい、RPG風に言うならバフ要員。

 『神樹様→勇者』の流れで送られている力の流れに割り込んで『神樹様→俺→勇者』の形にする事で勇者に与えられる力を増幅したり力の配分を調節するのが主な仕事らしい。

 巫女さんの様に一々工程を踏んだ上で増幅する必要も無く、且つ自分自身を力の中継点とする事で瞬時に勇者への力配分を変更出来るという点から戦闘時のサポートにうってつけという事で勇者のサポ枠に指名されたんだと。

 俺への負担は上がるが専用のアプリと併用すれば増幅倍率を上げる事が出来るようになるのも指名された一因なんだとか。

 ……アプリと併用って何だ。

 

 因みにお役目中の扱いは勇者システムの一部という事で備品である。

 俺にも勇者適正がマイクロ単位でもあれば樹海化に適応出来るよう調整した上で相応の役職も用意する予定だったようだが、前提として男は「適正もねぇ! 資質もねぇ! そもそも候補に入ってねぇ!」という無い無い尽し故に備品扱いになったらしい。

 まさかの無機物と同列という驚愕の事実。

 仕方が無いとはいえ泣けるぜ。

 

 

 ……ところで樹海化って何です?

 

 

 

 

 

 

--(3)

 

 この際なので聞いてみたが俺が乃木家へ養子となったのはお役目や備品云々が関係していたらしい。

 まぁ妥当かなと、そうでもなきゃ俺を養子にするメリットなんて無いし。

 俺個人としても無償の善意で施されるだけというのは肩身が狭いのでむしろ何かしら利用された上で施される方が気分的には楽でいい。

 ただ俺を備品としてお役目に組み込むに当たり大赦内では一悶着…二悶着…もっとかな?まぁ色々とゴタついたらしい。

 

 というのもまずお役目の中に俺と言う存在を捻じ込むという事が想定されていなかったという事。

 そしてお役目に参加する人間は前提として大赦と縁の深く、地位の高い家名から出すべきと規定されていた事。

 そもそもお役目に『備品』という役割自体が存在していなかったという事もあり、本来であれば養子行きはおろか俺がお役目に参入する事自体まずありえない事だったそうな。

 

 しかし大赦が勇者システムの適正等を調べる為に四国全土で毎年行っている身体検査の結果、俺の特異性…というか異常性?まぁ変な部分が浮き彫りになったらしく更にその資料を勇者システムの研究・開発等を請け負う技術部の人間が偶然目にする機会があったらしく、「変な資質を持った人間も居るもんだなー」という世間話レベルの話題性から「この資質を活かせば勇者システムの出力を上げられるんじゃね?」という実用化に向けた話題へシフト。

 始めは冗談半分だったらしいが人類の危機という事で使える物は何でも使おう精神を発揮し、幾度かの実験と検証を敢行した結果実用化可能と判断された事で最終的に企画書がお偉い方へと提出される事態にまで発展したらしい。

 

 ここからが本題になるのだがまず備品のシステム自体は勇者と神樹様の力の流れに割り込み、その上で勇者の力を増強・調整するだけという勇者システムと比べるとかなり単純構造である為勇者システムのプログラムを多少書き換えるだけで直ぐに完成したようだ。

 更に俺をお役目に加えるか否かに関しては人類の未来云々が掛かっている為大赦側、特に勇者を出す家系の方々は娘の安全性が多少は増すという事で実用化させる気全開。

 最後の障害となった『お役目は大赦と縁の深い家名から出すべき』という部分は鷲尾家が血縁の娘を養子に迎えて勇者としたのと同じ様に、血縁関係にあり尚且つ娘が勇者という事で計画を一番推進していた乃木家が俺を養子に迎える事でカバーするという形で可決したらしい。

 この部分だけは俺が天涯孤独且つ乃木家が昔から支援し続けていた事もありスムーズに事が運んだとか。

 当然少数ながら反対意見も出たらしいがそこは多数派である賛成側が金と権力で押さえつけて無理矢理合意に持って行ったらしい。

 知らない所で莫大な金銭運用と凄まじい権力制圧が行われててやーんなっちゃう。

 

 因みに乃木家が俺を備品云々以前から支援し続けてくれていたのは主に面子の問題らしい。

 勿論憐みや同情といった部分もあるらしいが、それ以上に遠縁とはいえ血縁関係に当たる人間が困窮しているのは大赦のトップを担う家系として体面上あまり宜しく無いとか。

 

 ……お金持ちはお金持ちで大変なんやなって。

 まぁそのお陰で今の俺があるのも否定出来ないんだけど。

 

 

 

 

 

 

--(4)

 

 増幅→吐血→復活→増幅→吐血→復活→増幅→吐血→復活→増幅→吐血→復活→増幅→吐血→復活→増幅→吐血→復活→増幅→吐血→復活→増幅→吐血→復活→増幅→吐血→復活→増幅→吐血→復活→増幅→吐血→復活→増幅→吐血→復活→増幅→吐血→復活→増幅→吐血→復活……

 

 し、死ぬゥ……^q^

 

 備品認定を受けて数ヶ月後、勇者の訓練開始に合わせて俺の訓練も始まったのだがもう血を吐いてばっかりだ。

 むしろ血を吐く以外してない。

 もうトイレでやれよって感じである。

 

 吐血の原因は体内で神樹様の力を増幅させるという行動自体が肉体に凄まじい負荷を掛けているかららしい、神樹様ぶっかけ事件もソレが原因なんだとか。

 そりゃそうだわ。

 一般市民Aの身で神様の力を増やそうとしたらそりゃ何かしらの悪影響が出るわ。

 むしろ何故生きてるってレベルだわ。

 …つらい。

 

 ともかく吐血訓練の目的は増幅回数を重ねる事で増幅行為そのものに肉体を順応させ、慣らす事で肉体の負荷を極限まで減らす事なのだが…これがマジでつらい。

 訓練を始めたばかりの全く順応していない状態な為仕方ないのかもしれないが、訓練を行えば必ずといって良い程血を吐くというのは中々キツイ。

 そもそも吐血行為自体が苦しい上自分から行動して吐いている為体感的には自傷行為に近いまである。

 とても辛く、とても苦しい。

 実際度々泣きそうになる…というか既に何度か泣いた。

 

 それでも放棄せずに続けるのは単純にこの行動が乃木家の役に立つからだ。

 詰まる所恩返しである、お金に困っておらず権力無双で何不自由の無い乃木家に対して、世話になりっぱなしの俺が唯一出来る事がこれだ。

 極論でまとめちゃうと乃木家に対するコンプレックスの発散でしかないね、取り繕ってはいるが結局の所自分の為だ。

 自分で言ってて情けなくなるけどこれが事実なんだから仕方が無い、人類の命運なんざ二の次だ…だから今も投げ出さず頑張れているのだが。

 

 

 因みに俺の訓練で使用された神樹様の力は増幅された力が血液と一緒に吐き出されただけであって勇者の力の様に消費されたワケでは無いらしく神樹様が力だけを回収しているらしい。

 回収された力も多少なりと増幅されている為神樹様にとっても利があるとか。

 エコロジーでいいですね(白目)

 

 

 

 

 

 

--(5)

 

 訓練と称した吐血祭りを開催している間に気が付けば小6になった。

 増幅に関しても肉体が順応し増幅における負荷も軽減されたのは苦労と努力の甲斐あってだろう、俺超頑張った。

 他には勇者へのエネルギー配分の調整とかも訓練したがその辺は俺の意思に沿ってスマホとアプリが処理してくれる為対して苦労しなかった。

 なんというオーバースペックスマホ、流石神世紀だ。

 未来の力は伊達じゃない。

 まぁ世界の九割九分は滅んでやがりますが…。

 

 「それでも神樹様の御威光で四国は今日も平和ですよ」と昼休みを利用し神樹館内のPC部屋で提出課題であるレポートを作成する。

 というのも出席日数が足りていない為その補填としてレポート課題を出されたっていうね。

 勿論サボっていたわけではなく備品の吐血訓練が原因、訓練する→吐く→繰り返す→倒れる→欠席という悪循環が連続した結果だ。

 塵も積もればなんとやらって事ですね、勿論お役目関係が原因という事もあり大赦経由で神樹館側もある程度融通を利かせてくれてはいるのだがそれはそれ。

 他の生徒への体面というモノもあるらしく適当なペナルティを科される事になり、西暦の歴史について2000文字以上でまとめるようレポート課題を仰せつかった次第だ。2000文字とか大学課題かと。

 正直な話かなり怠かった…だがそれも今日で終わりだ。

 数日分の昼休みを消費するハメになったが漸く完成である、後は印刷して提出するだけ。

 「さっさと終わらせるべ」とコピー用紙をセットし、プリンターを起動させた後はPCを操作して印刷用プロセスを立ち上げ…。

 

 いざ印刷を開始しようとした瞬間、"ドン!"という巨大な衝撃が世界を包みこんだ。

 

 「地震ですかね?」と警戒した所なんと操作していたPCが停止してしまっているではないか。

 モニターが切れたわけでもなく、ブルースクリーンになったわけでもないという事はフリーズだろうか?何にしてもPCがウンともスンとも言わなくなった事には変わりない。

 そして使用していた文書作成ソフトは先日から作業していた部分こそ保存してはいるものの本日の作業分は全く保存しておらず、加えて文書作成ソフトも自動保存システムなんて保険機能は搭載していない。

 つまり先程まで俺がちまちまと入力していたレポートが水泡に帰したわけで……。

 …。

 ……。

 

 ほ、ほわああああああああああああああああああああああああ!!!!(怒りのムーンサルト)

 

 

 

 

 

 

--(6)

 

 停止したのはPCだけじゃなかったようだ。

 というか世界そのものが停止してらっしゃる、ソースは今現在俺の眼前に広がっている謎現象。

 俗に言う時止め状態です。

 バグった世界にビビリながら神樹館を徘徊したが人も物も有象無象を問わず全部停止してるんで多分間違いないだろう。

 具体例を挙げるならキャラポーズの資料集に出て来るデッサンの様な姿勢で止まっている生徒や教師達。

 重力に逆らい静止するボール。

 秒針を刻まない時計。

 その他空中で落下体勢を取る猫等色々見たが諸々全てが停まっていた。

 

 何故停止しているのかは不明。

 元通りに時間が進むかも不明。

 唯一理解出来るのは自分だけは通常通り活動出来ているという点だけだ。

 ……つまり俺が時止め入門者として覚醒した可能性が高い…?

 だからどうした。

 制御出来ないんじゃただの事故発動じゃねーか。

 

 どうしたものかと頭を抱え、思考し、悩み、そしてこの状況を打開する方法を思いつく。

 今こそ唱えるは先人が産み出した時間を動かす為のマジックワード。

 

 

 「そして時は動き出す(ドヤァ)」

 

 

 全然動き出さなかったよ。

 まあ台詞も元ネタと違うし。

 そもそも台詞事態はキメ台詞であって発動の為の暗号や詠唱といった類のものじゃないっていうね。

 適当な事考えるんじゃなかったわ。

 

 「どうしたもんかね」と再び熟考ムーブをしているとなんと級友の鷲尾、三ノ輪、そして園子の勇者組が走って来た。

 驚く事にコイツ等も時止めの影響を受けないらしい、というか今までどこに居たの君達。

 神樹館中徘徊したけど何処にも居なかったんですけど。

 ………。

 

 

 「思うに自動車という機械は便利なものだが、誰も彼もが乗るから道路が混雑してしまう」

 

 「止まった時の中はひとり…このDIOだけだ」

 

 

 なんか安心したので軽く悪ふざけしたら園子にズガーンってされた。

 そんで今起きている時間停止も樹海化の前兆だと鷲尾から鬼気迫る表情で説明された。

 どうやら俺が時止め入門者として覚醒したわけではなかったらしい。

 安心半分拍子抜け半分である。

 まぁ俺と勇者組だけが活動してる時点でお役目案件なのは明らかだが。

 

 

 

 納得していたら世界が光に飲まれてうわぁぁあああああああああああ^q^

 

 

 

 

 

 

--(7)

 

 目を開けば世界は光どころか樹木に飲まれていた。

 これが聞かされていた"樹海化"で間違い無いだろう、見た目は完全に異空間である。

 そして勇者組もアプリを起動させたかと思うと光に呑まれ、各々が専用の戦闘服と武器を携えていた。カッコイイ。

 備品はそういうの無いんだよなぁ…と俺もアプリを起動するがやはり身体が怠くなるだけで外見上の変化は無かった。

 泣けるぜ。

 ただ俺がアプリを起動した事により勇者組も幾分パワーアップしたらしく三ノ輪と園子が荒ぶっていた、三ノ輪なんて「負ける気がしねぇ!」って騒いでるし…あ、鷲尾に怒られた。

 供給されるエネルギーの増幅が精神に影響しているのだろうかとか予想してみたがよく分からんしどうでも良いので記憶の彼方へ投射。

 今すべきなのはお役目の遂行だ。

 

 いい加減留まり過ぎなので適当に発破をかけて瀬戸大橋に向かわせる。

 言うだけなら誰だって強気になれるんだぜ。

 因みに俺は遠く離れた安置からライブ中継で応援係である。

 まぁ必要とあらば増幅倍率をもっと上げるから安心して欲しい、俺は吐血祭りを開催する事になるだろうが勇者の命が最優先だ。

 

 それにしても時間が止まった世界で戦闘かぁ……つまりバーテックスが完全停止して袋叩きに出来る可能性も微レ存?

 神樹様だって敵さんを態々動かしたりはしないだろう、完全にハメ技状態である。

 

 勝ったな、風呂入って来る。

 

 

 

 

 

 

--(8)

 

 俺というバフ要員を態々用意しておいてハメ技確定なんてある訳ないじゃん。

 むしろバーテックスの高すぎる戦闘力に勇者側がボコされてテンパった俺が増幅倍率を底上げした結果負担も底上げされて血反吐をぶち撒けてしまった。

 戦闘に関しては俺の増幅と勇者の気合いによるゴリ押しで辛勝といった感じだ…想定の五割増しくらい消耗してしまったが園子達は無事だったし過度な増幅に関しても自分の意思でやった事なので良しとする。

 

 だけどこのままじゃ駄目だよな。

 勇者側は連携不足だし、俺は少しでも冷静に戦況把握出来るよう努めるべきだった。

 ……課題ですなぁとか考えていると樹海化が解除され、俺も勇者組と同じ様に安置から何処かのお社まで転送されていた。

 

 うーん……皆ボロボロだけど無事でよかった!

 

 お社で合流した勇者組を「よくやった!」と血反吐をまろみ出しながら褒めてやると園子がガチ泣きして三ノ輪と鷲尾の顔が真っ青になった。

 

 (^o^)?

 

 

 

 

 

 

--(7)

 

 消耗が酷過ぎるらしく俺だけ病院に搬送される事になった。

 戦闘員が保健室での検査だけで非戦闘員が入院ってどうなのよ逆じゃね、まぁ俺の場合最低でも輸血が必要だから仕方が無いのだけれど。

 安芸先生からは必要の無い場面で倍率を上げ過ぎだと説教された…確かに終盤は常時高倍率でしたからなぁ。

 今後は気を付けようとは思うのだが実際に戦闘をしている勇者と外野からサポートしている俺とでは如何せんラグが生じてしまいタイミングが合い辛いのだ。

 例えば三ノ輪の攻撃時に園子の能力を高めても意味は無く、同様に鷲尾の攻撃時に三ノ輪の能力を高めても意味が無いといった具合だ。

 しかも勇者の戦闘速度は常人の対応速度を遥かに凌駕しており、また行動を予測して対処しようにもパンピーな俺に戦況予測とか出来るわけが無い。

 ……やっぱ全員を常時高倍率で増幅させるのが一番安定するな!

 

 

 「死にますよ」

 

 

 えぇー…。

 じゃあせめてダイレクトに連絡が取れるようシステムを改良して下さいとゲザる。

 通信みたいなので相互連絡が取れる様になればある程度は対応出来る様になる筈だ。多分。

 樹海化中でもLINE通話出来るようにすれば解決するんじゃない?

 

 「なんて名案なんだ」とドヤ顔を晒すと溜息を吐かれた。

 提案が完璧過ぎたのだろうか?

 頭を抱えられた。

 

 (^o^)?

 

 

 

 

 

 

--(9)

 

 バーテックス戦から数日が経過した昼休みに鷲尾から放課後に祝勝会をしないかと誘われたのでイオンのパチモンであるイネスへGO。

 実際の所は祝勝会というより親睦会だったが勇者組がそれなりに仲良くなったのは良い事だと思いました(小学生の感想)

 鷲尾と三ノ輪に関しては俺も知人から友人へとランクアップを果たしたしね、やったぜ。

 園子も友人が増えて良かったな。

 

 取り敢えず先日の戦闘を顧みて俺がこれ以上血反吐をぶち撒けないよう頑張ろう!と意気込む彼女達は控え目に言ってぐう可愛でした。

 何故か結城を思い出したね。

 あ、ブレスレットは毎日手入れしてます。

 ……何で今思い出した?

 

 因みにイネスで食ったジェラートは大変美味だった。

 俺の食った苺味は至高天だろう、人気No.1は伊達じゃない。

 園子のメロン味も鷲尾の宇治金時も素晴らしかったので今度は自分で注文してみよう。

 三ノ輪の醤油は微妙だったがまぁ美味いか不味いかで言えば美味かったのでとにかく良し。

 

 ただしつけもの、テメーはダメだ。

 

 ノリで注文して超後悔した。

 前提として何故生クリームにたくあんときゅうりが刺さっているのかと。

 更にその上に醤油風味ではなくガチの醤油がぶっかけられているという悲劇、というか惨劇。

 そもそも漬け物ジェラートってなんやねん…。

 結論:悪乗りは良くない(戒め)

 

 

 

 

 




 宜しければ感想や評価、誤字報告等を頂ければ幸いです。


 ●主人公
 パンピーの分際で神樹様の力を増幅出来るやべーやつ。
 但し少しの増幅であっても肉体に掛かる負荷は膨大であり、増幅倍率を上げる事も出来るが当然上げた量に比例して負担も増加する。
 改善案としては何度も増幅を繰り返す事で可能な限り肉体を順応させる事だが、あくまで順応させているだけなので負担が掛かる事に変わりは無い。






 ●備品
 主人公の役割であり乃木家が主人公を引き取った理由。
 お役目中は人権が剥奪され完全に勇者システムの一部(備品)として扱われるが、逆説的に言えばシステムの一部として扱われるからこそ樹海化状態でも活動が可能になっている。
 専用衣装?ないです。
 私服で頑張れ。






 ●鷲尾須美
 主人公の級友にしてお役目仲間。
 生真面目と堅物が融合したかような性格をしており実際頑固。
 主人公の事は異性という事もあり園子や三ノ輪以上に苦手意識を持っていたが、お役目中における増幅の有用性を体験した事や主人公の血塗れモードを目撃してた事により園子、三ノ輪への態度と同様に主人公に対する態度も軟化した。
 硬い物程壊れやすい=チョロイを体現しているとも言える。






 ●三ノ輪銀
 鷲尾と同様主人公の級友にしてお役目仲間。
 陽気かつ快活、そして好奇心旺盛な性格であり良くも悪くも鷲尾とは真逆の性格。
 主人公とは休み時間になれば偶に遊ぶ程度の関係だったがお役目後は他の勇者組と同様よく連むようになった。
 両者共に軽い性格である為結構波長が合うらしい。






 ●安芸先生
 主人公達の担任でありお役目のサポートも務めるおっぱい先生。
 小6に大学レベルのレポート課題を要求する魔王。






 ●結城
 登場していないにも関わらず株を上げる女神。






 ●時間停止
 樹海化の前触れだがどうでもいいものとして主人公の記憶から投射されていた。






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