この物語の果てにあるのは幸福か、絶望か。
プロローグ
2018年3月29日午後6時2分、祖父が死んだ。
享年、67歳。
あまりにも早すぎる死だった。
そして、翌日。
僕は祖父の遺品整理をすることを命令された。
「なんで俺がこんなこと・・・・・・。」
そんな不満を言いながらも仕事をこなし、残る箱はあと一つとなった。
「何が入っているんだろうか。」
箱を開けると、そこには用途のわからない直方体の物体がひとつ、転がっているだけで後には何も残っちゃいなかった。
「何なんだこれは・・・・・・。」
何に使うのかがわからない、という点が少し不気味だったが逆にそれが無意識のうちに興味を向けたのだろう。
僕は、その物体を持って帰ることにした。
思えばこの時から僕の運命の歯車は動き出したのだろう。
2日後、新学期になり学校に行くことにした。
「おはよう、凍主。」
不意に名前を呼ばれたと思い、振り向くとそこには友人がいた。
「よう、囀。」
そう挨拶をお互いに交わすと並走しながらいつもの日課と言わんばかりに談笑を始めた。
(ちなみに、さっきの挨拶で交わした「凍主」や「囀」と言うのはニックネームだ。)
「そう言えば何日か前にお前の爺さんの葬式があったらしいな。」
「……誰から聞いた。」
「俺の爺さん。ほら2人、親友だっただろ?だからさ、ほら葬式にも来てたんだろう。」
「なるほど。ところで、話は変わるんだが。」
と言って僕はポケットの中から物体を取り出し、彼に見せた。
「知ってるか。これ。」
「いや、全然知らんな。だいだい何に使うんだよ、そんなの。第一に、だ。それ、どっから拾って来たんだ。」
「祖父の部屋だ。」
「つまり、形見の品か。」
「そんなところだ。」
それだけ言うと、僕たちは話す話題を新学年のクラス分け等に話題を変えて、いつの間にか学校についてしまった。
「じゃあな、凍主。クラス、一緒だといいな。」
「ああ。」
そう言って僕らはそれぞれの旧クラスに入っていった。
この時の僕らにはまだ分からなかった。
この物体の用途がどのようなものなのかを。
そして気づかなかった。
僕たち2人をまるで、監視するかのように見ていた四つの眼を。
僕たちが立ち向かわなければならなくなった大きな障壁を。
だがこの時僕は、いや囀も感じていたのだろう。
言葉で表すにはあまりにも複雑で、想像をしようとすればあまりにも簡単な「違和感」を!
ともあれ今の僕たちはまだまだ無力の学生2人で、御伽噺の主人公みたいに強力な魔法が使えたり、最近のライトノベルみたいにファンタジーチックな異世界に転生できるわけでもなかった。
だからこの物語を目にする人には知ってほしいのだ。僕の、いや僕達の成長を。