「提督。お茶を入れてきました。休憩にしましょう。ほうじ茶です!」そう言うと彼女はニッコリ笑った。
「おっ、ありがとう。最近はずっと玄米茶を飲んでたからほうじ茶が新鮮に感じるよ」そう言ってお茶を飲んだ。
今日はDDH-184「かが」秘書艦をやってくれてる。昨日は榛名に鎮守府の案内と皆に紹介をされていた。まぁ、まだ全員に紹介は出来てないが。とりあえずここのことを知ってほしいから秘書艦をやってみないかと誘ったのだ。「かが」はすこし嬉しそうにOKしてくれたが、榛名には少し睨まれたのでここの仕事を知ってもらいたいと話したら了解してくれた。
歓迎会なんかもやってあげたいが常に警戒態勢を敷いている横須賀鎮守府ではやってあげられないのが現状だ。
ようやく現代艦娘(第三世代艦娘)の子達が着任してきて態勢を立て直してきている。あまり浮かれたことはしたくない。だからいって休息や娯楽をさせない訳じゃあないがな。艦娘は艤装を展開しなければなんの変哲もない人間の女の子だ。艤装を展開したとしても女の子には変わりはないけど。
それに、常に彼女たちの服や皮膚が装甲をまとっている訳では無い。艤装を展開するこで装甲も現れる。つまり艤装を展開しないで敵の砲弾なんかくらった木っ端微塵だ。そもそも艤装なしで航行はできないし武装もない。そう、戦闘するには艤装は絶対なんだ。鎮守府で基本艦娘は艤装は外してる。だから警戒態勢を解くわけにはいかないのだ。
あれ?でも工廠に預けてある艤装をどうやって離れた場所から展開するんだ?
「なぁかが、工廠にある艤装をどうやって離れた場所で展開できんだ?」俺がそう聞くと
「簡単に言うとテレポーテーションみたい感じですが、詳しくは私たちもよく分かんないのです」かがは申し訳なさそうに答えた。
「いやいいんだ。まだまだ艦娘については分からないことが多いからな」むしろ分からないままでいいのかもしれない。解明されて変な軍事技術に生かさせたりしたら大変なことになりそうだからな。
「ところで提督は以前私たち艦娘が現れる前、護衛艦の艦長をやっていて世界で初めて深海棲艦と戦闘を行ったときいたのですが本当になんですか?あとまだ私このWW3の歴史をまだ知らなくて…。」
「それもそうだな。まだその体で生まれてきて数日しか経ってないしな。まず、俺が世界で初めて深海棲艦と交戦したのは本当だ。たが、俺が交戦したのは艦載機だ。それに深海棲艦の攻撃は世界中ほぼ同時刻で行われていた。俺はその中の一人でしかない。WW3の歴史についてはもう少ししたら習う事になるが…」
「少しでも早く過去に何があったかを知りたいので教えて頂けませんか?私は初期に沈んでしまったのでほとんど記憶がないのです。それに、提督の過去も知りたいですし…」
最後の方が小声になったのはなぜだ?まぁ、いいか。
あの時「かが」は米海軍と演習を行っていた。突如深海棲艦の艦隊に遭遇し合同艦隊は数十分で全滅。その場にいた艦艇は救助挺を除き全て沈没して行ったそうだ。生き残った兵士の写真からのちに襲ってきたのが戦艦ル級率いる水上打撃艦隊であったことが判明している。
だか、あまり彼女が沈んた時の話はしたくないな。その場に居合わせなわけじゃないし何よりも艦娘にとって自分が沈んだときの話は精神的に良くない。
「分かった。執務もあらかた終わってるし、少し俺の話でもするか。独り言みたいな感じに言うと思うが気にしないでくれ」
2017年9月1日。晴天。あの日俺は「こんごう」の艦長であぶくま型護衛艦二隻(あぶくま、とね)と対空戦闘訓練を終え帰投してる時だった。
突然CICが複数の妙な機影を捉え、距離、速度、飛行方向などからこちらに向かって来ていてあと数分で接触すると報告してきた。機影は四面あるイージス・ディスプレイに微かに表示されていると。ステルス機の飛行予定はこの海域上空にはなく、誤表示かと思い他の2隻に連絡をとると、「とね」が対空捜索用レーダーに捉えていてこちらに連絡をとるところだったと言ってきた。しかし、「あぶくま」は何も捉えてなかった。それもそうだ。イージス艦の対空レーダーでさえも消えたり映ったりしているのだから。古いレーダーでは映らないのが当然だ。また、ディスプレイに表示されているIFFは敵機と表示されているがもしこれが中国やロシアの新型ステルス機だとしたら既にミサイルを撃たれている距離だ。それにどんな国でも宣戦布告くらいはする。ではテロ集団か。いや、テロ集団がイージス艦のレーダーを掻い潜るほどの高性能ステルス機など持てる訳がない。維持費や整備費、航空機用の燃料など考えたらテロ集団が保持できるものではないのだ。それにステルス機は軍事技術の結晶。どの国も基本輸出はしたくないし、ましてやテロ集団に売り渡すものではない。そもそも滑走路を持てる規模だとしたら既にアメリカや周辺諸国が対応しているだろう。だとしたらそれ以外に…?
いやこれ以上考えるのはやめよう。部下の混乱を招く。今はもし攻撃された時に対処できるようにしなければ。「各艦に直ちに対空戦闘用意」の合図を出そうとした、その時。
トゴォォォン!!爆音が響いた。
この「こんごう」からじゃない。右舷を航行していた「とね」からだった。船体の中央部と艦橋が爆散し、火災が発生。その上空を見たこともない、iPhone7プラス程度の小さな物体が編隊をくんで飛びさっていく。艦橋にいた全員が唖然としいた。まるで時が止まったかのように皆体が固まってた。俺もそうだった。
少しして「とね」の船体が軋む音で皆は気を取りもどした。
「とぉぉぉりかぁじ!全艦戦闘配置につけ!!CIWSを起動しろ。とねと無線が取れるか確認急げ!それとあぶくまに連絡、貴艦は乗員の救助に向かえ。対空戦闘はこんごうが行なう。横須賀基地にもこのこと連絡しろ!未確認飛行物体から攻撃を受けている。とねが大破炎上中だと。俺はCICに行ってくる。副艦長ここを頼む」
「はっ!」副艦長は敬礼をし、俺はCICに向かった。
ブゥゥゥァウ!
よし。CIWSは正常に機能してる。いくらあの小ささでも飛べるなら熱はだすはず。だが、この近距離では対空ミサイルが正常に機能しない。あまりにも近すぎる。RAMなら話は別たが日本のイージス艦には積まれてない。それにあんな小さい飛行物体に向かって撃ったミサイルなどない。イージス艦のレーダーにもほとんど映らない機体。撃ったところで当たるかどうか…。まずはCICに急がねば。
「艦長だ。入れてくれ」俺がそう言うと扉が開き数人の隊員達が敬礼をした。「敬礼は今はしなくていい。戦闘に集中してくれ」そう言い俺はイージス・ディスプレイの前に立った。
ドォォォォン!
「左舷に至近弾!」
「各部損害報告!死傷者は!?」
「大丈夫です。特に船体へのダメージありません。今の爆発での死傷者もいません」
現代の軍艦はほとんど装甲をもっていない。それ故に至近弾でさえも危険なものになる。今このこんごうが被弾すれば救助中の「あぶくま」を守る艦がいなくなる。それだけは絶対に避けなければならない。
数分間の戦闘のすえ
「未確認飛行物体十五機撃墜しました!!」喜ぶようにCIWSの担当隊員が言った。
「まだ浮かれるのは早い!残弾をみろ!!あと数秒撃てば前部CIWSは弾切れだ!残りの未確認機はどうなってる!?艦橋の見張員に上空に機影が見えるか伝えてくれ」
現状レーダーは当てにできない。艦橋にいる見張員が頼りだ。
「見張員からCICへ。飛行物体は本艦及び、あぶくま、とね上空には見当たりません。離脱したかと思われます」
「CIC艦長から見張員へ。了解した。引き続き上空監視を続けてくれ」
良かった…。CIWSはあとすこしで弾切れ、ミサイルは近距離過ぎてつかえないし、レーダーにほとんど映らないのだからアレ相手じゃ使いものにならない。
今のうちに救助を急がねば。
「あぶくまに連絡 。本艦も救助に向かう…。救助終わり次第帰投する」
突然のこととはいえ三隻中一隻大破炎上。「とね」の艦長、艦橋にいた隊員は身元が分からほどの重症及び数名が行方不明。
船体中央部にいた隊員も合わせると18名が死亡6名が行方不明。また43名が重軽傷を負った。
悪夢のようだったさ。実戦がまさか未確認飛行物体で僚艦が大破炎上。そして沈没だ。犠牲者多数。
だがこの時はまだ俺は基地や他の護衛艦、各国海軍がどうなってるか気づきもしなかった。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございます!
大変申し訳ないことに間違えて1話目を削除してしまいました。すぐに書き直します!
戦闘シーンの言葉使いは実際のものではありません。またこんごう型のレーダーなどは公式な性能公開はほとんどないので実際にはiPhone7プラス程度飛行物体でもしっかりと捉えることができる可能性があります。
<豆知識>
こんごう型の兵装について
スタンダード・ミサイルSM-2,SM-3,アスロック用Mk.41VLS×2(29+61セル),4連装対艦ミサイル発射筒2基
127mm54口径単装速射砲一基,高性能20mm多銃身機関砲(CIWS)2基,3連装短魚雷発射菅2基
イージス・ディスプレイとはCICにあり、レーダーで捉えた目標を表示するディスプレイ。こんごう型のタイシップとなるアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦フライトIIAが2面。こんごう型は4面である。
艦長向けに2面司令部向けに2面と割り振られている。
RAM(ローリング・エアフレーム・ミサイル)の略。近接防空ミサイル。