盾の少女の手記   作:mn_ver2

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今更感が半端ないのですが一応忠告を。
この作品はシリアス中心ですが、その度合いが違います。プチシリアスが目的でしたら、この小説を読まないことを強く推奨します。

ではでは。
(小)悪魔BBちゃん、頑張っちゃいます♡


オワリセカイ 2

 ゆっくりと槍を抜かれる。

 同時に心臓すら身体から抜かれてしまう感覚を味わい、気持ちの悪さに激しく血を吐く。

 

 ……し、ぬ。

 

 そう思った。だがそんなことは何度もあった。だから、これは『いつものこと』だ。ただ、死ぬほど痛いだけ。

 倒れ、血の海に沈む。指先一つ動かすことすらできず、ただ私は男を血濡れの視界の中、見上げた。

 

「……あとはあの露出狂を始末するだけだな」

 

 どうやら今の一撃で私を殺したと信じ込んでいるらしい。だが、私はまだ生きているぞと叫ぶことなどできず、私には目もくれずにメルトリリスへと歩いていく男を、動じない視界から消えてしまうのをただ待つしかできなかった。

 ……負けた。負けたのだ。

 それを潔く受け入れろ。

 最後には必ず勝利をおさめてきた私だったが、今回ばかりは女神様は嗤って去ってしまった。

 いいの。もともと私は女神様なんて信じていないし、いつも私と、サーヴァントたちの力でそれらを全て打ちのめしてきた。

 そして今回は完全に誰の助けもない。だから死ぬ。実に単純明快な事実だ。

 ついに男が私の視界から消える。グルンと回ってはいけない角度まで回っていた目玉を元に戻す。

 ぼんやりと真上を見上げ、青い深海の空を仰いだ。

 

「……は、ゥ、ァ」

 

 やはり腕は動かない。どうせ上がったところで、その先は本当の空ではない。深い深い、冷たい海の底なのだ。

 なぜか悲しくはなかった。

 ただ、残念に思ったことはある。それはメルトリリスとの約束だ。彼女にはとても申し訳ないことをした。願わくば、こんな未熟で愚かな私ではなく、もっと力のあるマスターが彼女についてくれますように。

 そして私はーー……死ーー……。

 

 ……音が、聞こえた。何か……硬いものを引きずる音だ。

 ガリガリ。ガリガリ。とその音は次第に大きくなり、私に近づいていることがわかる。

 やがてそれは私の耳元へとたどり着いた。目玉を動かし、その正体を確認する。

 鉄球、だった。いたるところに棘が伸び、血が滴っている。……いや、この血は私の血か。

 鉄球に繋がる鎖が見え、ついにそれを持つ人物が私の視界に映った。

 女の人だ。驚くほど白い肌だが、どこか薄汚れているような気もする。

 その人は私を無言で見下ろす。そして感覚でサーヴァントだとわかる。最悪のタイミングだ。相手は何も言わず、私を見下ろしていた。

 じゃり、と鎖を握り、再び鉄球を引きずり始めた。

 振り上げ、私の頭を叩き潰すつもりか。

 だから私は目を瞑り、待つ。しかし、いくら待とうとその時は来なかった。

 さらにあろうことか、鉄球の引きずる音は私から遠ざかっていく。

 

「ぁ、ぇ……?」

 

 女の身体は燃えるように熱かった。目が血走り、すでに私から興味は失せたらしく、隣を早歩きで通り過ぎていく。その跡には炎の道が生まれ、バチバチと爆ぜ、消える。

 

「ーーアキレウスウウウゥゥゥゥゥ!!!!!」

 

 女が耳をつんざくほどの声で誰かの名を叫ぶ。

 きっと、あの男の名前なのだろう。だがそんなこと、私にはもうどうでもいいことだ。

 これで死ぬ。やっと死ぬ。

 今度こそ……と思った。

 しかし、その後にさらに新たな足音が近づいてきた。

 

「やだーーセンパイったらブ、ザ、マ♡ こんなところで死ぬなんてえ、あまりにも呆気なさすぎてつまらないですよ? そんな終わり方……」

 

 カルデアの通信を乗っ取った……BBだ。

 私の血を踏まないように「気持ち悪いですねぇ」と言いながら華麗なステップで私の隣へとやって来た。

 腰を落とし、『にっこり』と微笑む。

 

「ーー私が許しません」

 

 紅い目でそう告げ、ステッキを私の額に当てた。

 

 ◆

 

 明らかに知らない場所へと送られた。

 ドサッ、と乱雑に床に打ち付けられ、私はその痛みで喉に詰まっていた血の塊を吐き出す。

 

「まだ吐くんですかセンパイ? も〜〜、汚いセンパイをここに連れてくるのも嫌々だったのにこれ以上汚されるのならさすがの私だって怒りますよ? ぷんぷん」

 

 BBが可愛らしく頬を膨らませて私に注意する。

 だが私には応える余裕はなく、瞬きの間に燃え尽きそうな命をなんとか長らえさせようと必死なのだ。

 BBはようやくそのことに気づくと、だからどうしたと言わんばかりにゆっくりとした動作で手元に注射器を出現させる。

 

「センパイに死なれると困るので応急処置をとりますね? そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。電子ドラックを色々と弄った魔剤なので、このチートキャラBBちゃんが効果を保証します。副作用は私にもわかりませんが♡」

 

 ……どうせこのままならば死ぬ命だ。助けてもらえるだけ喜ぶべきなのだろう。

 すでに私はされるがままの肉人形だ。何か酷いことをされることなんてこれまで何度もあったし、だから大丈夫。

 血色に滲む視界が注射の中身を血色に染める。

 気持ち悪いほど良い笑顔を見せながら注射器を私の首元にぐさりと乱暴に刺す。そして中身を注射する。

 

 それは何と表現すべきかわからなかった。ただ確実に言えるのは、ヒトに属するものがこれを受けてはならないということだけ。

 体内に残る僅かな血が文字通り沸騰する。身体が燃えるように熱く、大量に発汗し、すぐに蒸発する。

 

「ア゛、ア゛、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛…………!!!!」

 

 ……わかった。

 マグマ風呂だ。マグマ風呂に浸かっているのだ。

 肉を溶かされ、骨をしゃぶられ、組織をイチからゼロへと変換される。いったん私は『ゼロ』に全変換され、『イチ』へ再変換される。

 強引に接合され、あれじゃないこれじゃないとあらゆる組み合わせを試される時間が永遠に感じられ、夢幻の苦しみに囚われる。

 痛みというより、それを感じることすら許されなかった。だからこそ恐ろしく、怖かった。

 

「グベ……ハグ、アぎッ……」

 

「獣みたいに汚い声で鳴きますねえ?」

 

 BBが嗤う。

 

「………………ギィ、ぁ」

 

 ふと気づけば身体は元通り。

 胸の空白も完全に再生していて、破れた服の部分から私の肌が見えている。

 

「よく耐えきれましたね……ってあらやだ、胸が見えそうじゃないですか。下手すれば18禁に直行ですよそれ。そんな魅惑的な胸で今からSE.RA.PHを走り回るなんて、とんだ変態さんですね」

 

 BBの言う通りだ。

 上手いこと谷間が強調されるような穴が少々うざったい。なんなら脇腹のあたりを貫いてほしかったと、ここにはいないアキレウスに愚痴をこぼす。

 ともあれBBは私の命を助けてくれたのだ。感謝の一言くらいはしておかなければ、と思い口にしようとしたが、喉にひっかかるナニカが邪魔をする。

 口元を抑えたがそれは自律しているかのように私の喉を上がりはじめた。

 

「こ、れ……なに…………ガヒュ……ッッ!!」

 

 喉が肥大化して破けそうになり、ギリギリのところでなんとか……いや、ナニカは口から吐き出した。

 ビシャビシャ! と落ちたそれは真っ黒い液体で、なにやら気持ち悪い動きをしている。

 BBが小さく悲鳴をあげると、イヤイヤとステッキを振り回し、その不明な物体を消し飛ばした。

 

「なんですかあれはー⁉︎ さすがのBBちゃんもぷんぷん丸です。たぶん副作用なのでしょうけど! あれはないでしょう! あんな生き物みたいなウネウネが生まれるなんて論題です!」

 

 私は無言でその場に倒れ、喉に残ったイガイガに不快感を覚え、何度も咳き込む。

 咳をしすぎて少し血を吐いたところでようやく収まり、私はふらりと立ち上がった。

 

「ありが、とうBB。メルトリリス、は……?」

 

「え、あのロリっ子二歩ほど手前のドSのことですか? あの子ならまださっきのところを彷徨っているんじゃないですか?」

 

 なんてことだ。

 メルトリリスはあのまま放置されているというのか。アキレウスは鉄球の女に追われていたと思われるから、なんとか彼女は無事なはず。なのに私がいなければ激しく混乱しているはずだ。たとえ次第だとしてもあるはずの私がいないのだ。

 一刻も早く会わなければならない。

 

「お願い……私を、あの子のと、ころに送ってくれる?」

 

「ええいいですとも」

 

 BBがスッ、と手を振ればホログラムのキーボードが現れる。それをマシンガンの如く素早いタイピングでデータを入力、検索すると彼女の目の前にモニターが現れ、メルトリリスの姿が映し出された。

 誰かと戦っているようだ。

 どちらもボロボロだが、力は拮抗しているようだ。メルトリリスに対する敵は……黒ひげだった。

 疲労度の溜まりで比較すると、黒ひげのほうが溜まっている。動きにキレがないし、そのせいでメルトリリスの鋭い脚技の直撃を何度も受けている。

 

『やっとこさBBAを倒せたと思ったのに、息をついた途端これでござるか。とんだご褒……とんだ仕打ちですなデュフフフフフ!!』

 

 黒ひげが一方的にやられている。

 それなのになぜか彼はご満悦そうに鼻の下を伸ばしまくっている。……なるほど、あの変態男の真の目的が理解できた。

 あの黒ひげはカルデアにいる黒ひげとは違うが、本性は同じということか。

 メルトリリスの膝蹴りのクリティカルヒットを受け、建物の壁に飛ばされる。

 もはや黒ひげに抵抗する力はなかった。カツカツと歩いてくるメルトリリスを見上げ、なおもデロンと鼻の下を伸ばしている。

 

『これで終わりよ。……宝具、片鱗解放。『弁財天五弦琵琶(サラスヴァティー・メルトアウト)』!!』

 

 黒ひげを海の渦巻きのように高く舞い上げる。無防備となった黒ひげを何度も膝の棘で滅多刺しにし、最後に踵で彼の胸をブチ抜いた。

 

『こんな露出度の高い美少女に殺されるのなら本望でござるーー……!!!!』

 

 欲望だらだらの一言を残し、黒ひげは光の粒となって消滅する。

 それを吸収したメルトリリスは、深く息を吐くと横に倒れた。

 

『……さすがに、今は物理特化だから……強引に吸収しようとしたら効率がガタ落ちするようね……ねえ、どこにいるのですか、マスター?』

 

 ゆっくり立ち上がるとメルトリリスは再び歩き出す。目的地もなく、少しレベルの上がったスライムが、生存困難な聖杯戦争を生き抜こうともがく。

 そんな彼女を見て、私も死んでいられないと両手の拳を強く握った。

 

「それではいきますよ?」

 

 BBがステッキを振る。

 すると私の身体はよくわからない紫色に光に包まれ、足元から徐々に向こうへと転送されていく。

 

「どうぞ私にセンパイの生き様を見せてくださね? もし死にそうになってもご安心を。私が何度でも助けてあげますから。何度も何度も何度も何度も……。殺してくれと言っても助けます。センパイを生かすかどうかは私の手に。……ああ、なんだかゾクゾクしちゃいます♡」

 

 そんなもの、何度でも受けてみせましょう。何度でも耐えてみせましょう。死にそうになれば生きることを放棄し、生きていれば死ぬまいと足掻く。そんな矛盾を抱いた私を徹底的に虐めたいのなら、いくらでも虐めるといい。

 BBが『にっこり』といい笑顔を振りまきながら手を振る。私は最後に彼女を一瞥する。

 そして、私はメルトリリスの下へと送られた。

 

 ◆

 

 RPGのレベル上げは自身の命にはなんの害もない行為だ。時間さえ捧げればMAXにするなんてことは簡単だ。ネットで経験値効率の良い場所を探し、入り浸り、昼夜問わず狩り続ければいい。そんな簡単なことだ。

 だがSE.RA.PHはそうはいかない。実際に動かしているのは私自身なのだ。レベル上げをするのはメルトリリスなのだが、行動するために必要な魔力を提供するのは私だ。いくら敵を倒して強くなっていくとしても、魔力はほんの少ししか吸収できない。

 一万円投資して返ってくるのがたった百円。そんな感じだ。

 

「マスター、大丈夫かしら?」

 

 敵を吸収し終えたメルトリリスが膝をついて過呼吸をする私に走り寄る。

 だが手が致命的なほど不器用なため、私に手を差し伸べることができない。

 

「ごめんなさい……あなたを立たせる手伝いすらできないなんて……」

 

「大丈夫。うん……これぐらいで倒れるわけにはいかないから、ね」

 

 私は地面に手をつき、力の入らない腕を立てて懸命に立ち上がろうとしたが、バランスを崩して倒れてしまう。何回か繰り返して、四回目でようやく立ち上がることができた。

 ……魔力が足りない。全力で戦うとしても、あと二戦分ほどが関の山だろう。身体の輪郭はとうに電子化され、どこからが『私』なのかが曖昧になっている。

 

「メルトリリス……今だいたいレベ、ルどれくらい……?」

 

「136ほどね。たぶん上位には属するんじゃないかしら」

 

「それ、はよかった。というか……口調変わった……ね?」

 

 感覚の鈍くなった足を半ば引きずりながら歩く私に合わせてゆっくりと歩いてくれている。そんな見えにくい優しさがなんだか嬉しくて、ついつい微笑む。

 

「吸収するたびに強くなり記憶は戻っていくから当然よ。それよりマスター、あまり喋らないほうが良くて?」

 

「うん……そうするね」

 

 ぜぇ、ぜぇと熱い息を吐き、私は歩き続ける。目指すは天球シミュレーター室。セラフィックスの心臓部であり、そこをなんとかすればいいだろうというメルトリリスの案に乗って、残り少ない時間をそれに全力で注いでいる。

 このペースだとあと二時間しばらくで私は完全に電子化されるだろう。そうなってしまえば帰ることはおろか、永遠にこの世界の住人になってしまう。だからその前に決着をつけなければ。

 

 天球シミュレーターへの分岐点へと差し掛かる。

 はるか前方に見えるドーム状の建物がおそらくそうなのだろう。メルトリリスの反応がなによりも語っている。

 やや小走りに私の前に出ると、メルトリリスは口を開いた。

 

「ここから先は私が前に立ちます。何が起こるかわかりません。どうかお気をつけてください」

 

「……ありがとう」

 

 メルトリリスの高い背丈がさす影に私はすっかりと覆われてしまう。

 あの長い踵が無ければきっと私と同じくらい……いや、私より身長が低いだろうと大まかな見当をつけてどうでもいいことに優越感を得る。

 しばらく歩いたところで、建物の全体像が大まかに把握できるまでに近づいた。

 メルトリリスとの距離は4メートルほど。

 この建物、大きいねとメルトリリスに話しかけようとした瞬間、都合の悪いタイミングで『BB〜〜チャンネルーー!!』と私たちの前に突然モニターが映し出された。

 そこに映るBBは満足しているような、不満なような、どちらかわからない表情をしていた。そしていつも通り満面の笑みで『にっこり』としてみせた。

 

『えー、マイクテストマイクテスト……うん、完璧! SE.RA.PHで頑張って醜くもがく血みどろの皆さーん、人類の愛されチートキャラ、BBちゃんです♡ たった今、アキレウスさんとペンテシレイアさんの同士討ちにより、128騎全てが死にましたので、本来の聖杯戦争が完遂できなくてBBちゃん、悲しいです。しくしく』

 

 128騎が、全滅?

 それはおかしい。だってメルトリリスがそのうちの1騎ではないのか。私はメルトリリスを窺うと、彼女も動揺を隠せずにいた。

 だが実際これで聖杯戦争は終わった。これでSE.RA.PHの問題は無事解決されるはずなのではないか。障害の一切ない状態ならば、スタッフな捜索も格段としやすくなる。

 これは喜ぶべきなのだろう。

 やっと終わったと安堵し、気を抜きかけた『私たち』に、BBは言い放った。

 

『ーーなので、もう一度聖杯戦争を開催することにしました』

 

 ーーぇ。

 と間抜けな声を漏らすと同時に、私は背後に気配を感じた。

 ばっ! と後ろを振り向くと、そこにはひとり、誰かがいた。距離はだいぶ離れているが、とあるものだけははっきりと見えた。

 

 ーーなんて凶悪な()だ……!

 

 少女は目隠しをされていて、金属製の爪を立ててこちらへゆっくりと移動してきている。

 メルトリリスにそのことを伝えようとしたが、とうの彼女はBBの言葉のせいでまだ動けないようだ。

 

 ……そして、私とメルトリリスの間に、正体不明の歪んだ空間が生まれた。

 ゆっくりと収縮していくそれは、爆発する前の、力を溜めている状態に見えた。今のメルトリリスはきっとこれに気づいていないだろう。……助けなければ。

 残り少ない魔力を右腕に集中。

 ぎこちない脚を強引に動かし、悲鳴をあげようが歯を食いしばり、なんとか彼女へとたどり着いた私はその手首を掴み、力任せに投げ飛ばした。私のすぐ横では今にも爆発しそうな空間の歪み。

 

「ーーーーえ?」

 

 メルトリリスがまだ状況をつかめていない顔で呟く。

 グググ……! と一気に収縮し、歪みが解放された。

 途端、極小のブラックホールのようなものが発生し、伸ばしきった私の右腕の指から飲み込み、ゆっくりと手首、肘、二の腕、肩に伸び、ようやく満足したらしいブラックホールは最後に再び収縮して消えた。

 急いで腕を抜こうとしたが、どうやらそれより先にブラックホールが消えたようだった。

 

 ……だが一体どうしたことか、消えた跡には、何もなかった(・・・・・・)

 

 空間がないのだ。空間と定義できるものがごっそりと飲まれ、虚無へと化していた。

 ぼんやりと見つめ、あるはずの部分に何もないこと(・・・・・)に気づいた時にはもう遅く、私の首元の辺りまでが……無くなっていた。

 

「……ぁ……ぁ……ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 理解する。

 血が噴き出る。

 私の身体はバランスを完全に失い、ふらりと足元をおぼつかせ、仰向けに倒れる。

 動かそうと右腕に指示を出しても、そもそもないそれに届くことはなかった。

 

 力なく上を見上げる。

 深海の空に、100を軽く超える真っ赤なコードが現れ。

 それらが人の形となるのは、すぐのことだった。




魔力はほぼゼロ。
マスター、右腕欠損。
そして再び始まる128騎による聖杯戦争。
もはやマスターに勝ち目はなし。

でも大丈夫。死にそうになったらBBちゃんが助けてくれるからっ!
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