午後のヒーロー基礎学の時間
教壇に立った相澤先生が言った。
「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイト、そしてもう1人の3人体制で見ることになった」
しょうゆ顔の少年、瀬呂が言った
「はーい、何するんですか⁉︎」
相澤先生はRESCUEと書かれたカードを手にしながら言った。
「災害水難なんでもござれ
「レスキュー、今回も大変そうだな。」
「ねー!」
「バカおめー、これこそヒーローの本分だぜ⁉︎鳴るぜ!!腕が!!」
「水難なら私の独壇場、ケロケロ。」
相澤先生は沸き立つクラスの面々を睨みつけながら言った。
「おい、まだ途中。
今回のコスチューム着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練所は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上、準備開始。」
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飯田がクラス委員として張り切るもバスの形が思っていたのと違うという小さなハプニングはあったものの、特に問題はなく乗車する1-Aの生徒たち
雑談のし過ぎで怒られることはあったが、無事目的地に到着した
「すっげー! USJかよ!!?」
興奮する生徒たちに向けて、宇宙服のヒーロー、13号先生は言った。
「水難事故、土砂災害、火事...etc、あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も...
相澤先生は13号先生に近づいて会話を始めた
その時、自分の脳裏を走るうろ覚えな原作知識、あココ襲撃されるやんと。
「ちょっと相澤先生に話あるから行ってくる。」
「お、おう。」
「相澤先生!」
「団扇か、何だ?」
「あの、ちょっと思ったんですけど、本来のカリキュラムだとここにオールマイトも来るんですよね。」
「ああ、そうだ。」
「学校から離れたこのロケーションといい、ヴィランからの襲撃にもってこいな場所じゃありませんか?」
相澤先生は、自分を諭すように言葉を紡いだ。
「落ち着け団扇、お前がヴィランにあった事で警戒心が高まっているのは仕方ない。だが、お前の情報で敵に転送系の個性がいることははっきりしている。その対策は当然しているさ。学校全体へのヒーローの配備や定時連絡とかな。もし敵に連絡を妨害するような個性がいたとしても10分おきの定時連絡がなかった場合すぐ応援のヒーローが駆けつける事になっている。だからお前は安心して、1生徒としてこの訓練に励め。」
子供扱いに少しイラッときたが、それはそれ。きちんと対策をしているとの言葉に少し安心し、ため息を吐いた
「そうですね、ちょっと神経質になってたみたいです。ありがとうございます、相澤先生。」
「おう、さっさと列に戻れ。」
13号先生が自分が来た事に興味を持ったのかこんな話を始めた。
「先程の生徒がヴィランと遭遇したという?」
「ああ、あいつが団扇巡。本物のヴィランから生き延びた、有望な生徒だ。」
その言葉が聞こえて、ちょっと嬉しかった。
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13号先生が、自分たち生徒へと授業前の話を始めた。
「えー、始める前に皆さんにお小言を一つ二つ...三つ...四つ...」
増える、クラスの皆の思いが一致した。
「皆さんご存知かと思いますが、僕の個性はブラックホール、どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます。」
「その個性でどんな災害からも人をすくい上げるんですよね。」
「ええ...しかし簡単に人を殺せる力です、皆の中にもそういう個性がいるでしょう。超人社会は個性の使用を資格制にし厳しく規制する事で、一見成り立っているように見えます。しかし一歩間違えれば容易に人を殺せる"いきすぎた個性"を個々が持っていることを忘れないで下さい。
相澤先生の体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。
この授業では...心機一転!人命の為に個性をどう活用するかを学んでいきましょう。
君たちの力は人を傷つける為にあるのではない、救ける為にあるのだと心得て帰って下さいな。
以上!ご静聴ありがとうございました!」
心に来た。自分のように個性で人の人生を狂わせた過去を持つ者にとっては特にそうだろう。人を傷つける為にではなく、人を狂わせる為にでもなく、人を救ける為にこの個性を使う。
ヒーローになるとはそういうことだと教えられた気がした。
「ステキー!」
「ブラボー!!ブラーボー!!」
相澤先生は何かに気づいたようで。後ろを振り返った。
その後、自分たち生徒に咄嗟の指示を出した
「一かたまりになって動くな!13号、生徒を守れ!」
「動くな、あれは
写輪眼で咄嗟にヴィランたちを見た。この距離で可能かは試した事は無いが、目線が合えば即座に無力化できる。
そう思ってヴィランを見たが、手の男、死柄木が自分に気づいたようで、黒い霧の男とともに自分から目を逸らした。
そうして見つけてしまった
黒い体、剥き出しの脳みそ
そして、多くの人間が混ぜ合わせられているかのようなチグハグな身体エネルギー。それが洗脳により一つの流れに無理矢理整えられていた。
人を人と思わないような非人道的な行為で生まれた怪物、怪人脳無がそこにいた。
「相澤先生!あの、黒い脳みそヴィランは人間じゃない!人間を混ぜ合わせられて作られた化け物です!あれが、ヴィランがオールマイトを殺せると考えた原因です!」
相澤先生は、首のゴーグルを目にかけながら言った。
「情報感謝だ団扇、だがあまり顔を出すな。13号、上鳴、一応通信試せ。センサー対策もあるヴィラン相手だ、恐らく無駄だろうがな。」
轟は俺の言葉に疑問を持ったようで自分に尋ねてきた。
「おい、オールマイトを殺すってどういう事だ。あいつらのことを知っているのか?」
「この前、セキュリティが突破された時にあの手の男と入り口やってる霧の男に遭遇した。その時得た情報だ。」
その言葉に爆豪はいつものように暴言をこぼす。
「ならそん時殺しとけクソが。」
「その時はワープの個性だとは思わなかったんだよ。1人を無力化してもう1人っと思ったら逃げられた。一瞬あれば逃げられるあの霧の男の個性は厄介だぞ。」
轟は声に出して皆が状況を理解できるように整理した。
「...カリキュラムは読まれてた、通信は使えねぇ 、センサーは効いてねぇ、それに団扇曰く多くの人間を使って作られた化け物、馬鹿みたいな話だがこれは本当にオールマイトを殺し得る算段があるってことだ。油断できねぇな。」
そんな話をしているうちに相澤先生はヴィランの群れに飛び込む準備を完了させていた。
そんな様に緑谷は思わず叫ぶ。
「先生は一人で戦うんですか⁉︎あの数じゃいくら個性を消すっていっても!!イレイザーヘッドの戦闘スタイルは個性を消してからの捕縛だ、正面戦闘は...」
相澤先生は、プロヒーローの強さを誇るように
「一芸だけじゃヒーローは務まらん。13号、任せたぞ。」
そう言って階段を一気に飛び降りた。
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ゴーグルで目線を隠し、誰の個性を消しているのかを隠すことで周囲のほぼ全員の個性を無力化した相澤は圧倒的な格闘能力でヴィランを蹴散らしていった。
しかし多勢に無勢、瞬きの一瞬の隙に黒い霧の男に転移され、生徒側に抜けられてしまった。
黒い霧を纏いつつ霧の男は言った。
自分の方には目線を向けさえしないで。
「多くの方は初めまして、我々は敵連合。ご存知とは思いますが我々がこの度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして。」
そんな様に苛立った。催眠の個性を見せたのは失敗だった。だが今言うべきは愚痴じゃないッ!
「皆!こいつの霧はワープゲート!触れたら終わりだと思え!」
そんな言葉が皆に届く前に、爆豪、切島の両名は飛び出していた。
爆発と硬化した手刀による同時攻撃だ。
「その前に俺たちにやられることは考えてなかったか⁉︎」
だが霧の男はワープゲートの霧で自分を覆うことでその奇襲を回避した。
「危ない危ない...いくら生徒とはいえ優秀な金の卵、先日の事といい油断できませんね。」
個性の射線を爆豪たちに妨害される形となった13号
「ダメだどきなさい2人とも!」
悪意あるヴィランはその隙を逃さない。霧を包み込むように発生させ、生徒たちを飲み込んだ。
「散らして、嬲り、殺す。」
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飛ばされたのは土砂ゾーン、今回も轟と一緒だった。
「散らして殺す...か、言っちゃ悪いがあんたらどう見ても『個性を持て余した輩』以上には見受けられねぇよ。」
「囲まれた時はどうなるかと思ったが、相方がお前で良かったよ。戦闘訓練の時といい、本当に縁があるな。」
転移した瞬間、轟は自分を巻き込まない、かつ周囲のヴィランを一瞬で凍らせるという離れ業をやってのけた。
「...轟、俺は相澤先生を助けに行く、相澤先生ならチンピラ程度ものの数じゃねえだろうがあの黒い脳みそはヤバイ。...下手したら相澤先生が殺されるかもしれない。」
少し考えたあと、轟は言った
「...団扇、こいつらから情報を引き出してから行くぞ、通信妨害の奴が近くにいたら倒しておくべきだ。」
「その必要は無い。相澤先生に聞いたんだが、10分おきの定時連絡が繋がらなかったときは応援が来る手筈になっているらしい。
俺たち、というかお前に振られたヴィランがこの程度の奴らなら他の連中にも大したヴィランは行っていない筈だ、10分生き残る程度は余裕だろ。だから今、命の危険があるのは相澤先生だけだ。」
「だが、お前の言う黒い脳みそヴィランがヤバいとして、何か策はあるのか?無策で行って足手まといになるのは逆に相澤先生の首を絞めることになるぞ。」
「策は2つある。あの脳みそヴィランは誰かから洗脳を受けている。身体エネルギーの流れでそれは分かるんだ。だから、その洗脳を俺の目で上書きすればあのヴィランは無力化できる。」
「できるのか?お前に。」
「できる。知り合いに手伝ってもらって試したことがあるが、催眠系の個性って基本後出し有利なんだよ。だから、俺の写輪眼よりよっぽど強力な個性で洗脳されていない限り一瞬でいける。」
「もう一つは?」
「あの脳みそに指示を出してる奴を潰す。洗脳されているアイツには思考能力は無い。指示を貰わなきゃまともに動けない筈だ。だから手の男の方を黙らせれば間接的に脳みそを無力化できる。詰まる所、俺がどっちかと眼を合わせればこの事件を終わりにできるって事だ。」
「目が合えば終わりか...お前の個性目立たないが相当ヤバいな。」
「それほどでもあるな。」
「あるのか。」
凍結している周囲のヴィランを放置し、自分と轟は中央広間へと向かって行った。その途中、玄関が超パワーにて吹っ飛ばされた。
"平和の象徴"オールマイトの参戦である。
「10分より早く来たな、誰かの通信が届いたか?」
「考察は後でいい、あの黒いのはオールマイトを殺し得る戦力だってヴィランが考えるほどだ。オールマイトでも一人じゃ危険かも知れない。急ぐぞ轟。」
そうして中央広間に到着した自分達が見たのは、黒い脳みそヴィランにバックドロップを仕掛けたオールマイトと
それを利用してオールマイトを拘束した霧の男のワープゲートであった。
その様を見た緑谷は無策の突貫を仕掛けようとしていた。
俺たちの位置からなら爆豪と切島が仕掛けようとしているのが見える。
なら、それに乗ずるべきだ。
「轟、行くぞ!」
写輪眼を発動する。
周囲の状況を確認、爆豪が霧の男に、切島が死柄木に飛び出して来ている。
切島の動きに合わせる。オールマイトを救わんとする氷結の範囲に入らないルートでダッシュ、切島の手刀を躱そうとする死柄木の動きを写輪眼で予測、回避ルートにぶち当てるように後頭部に飛び蹴りを放つ。
不意打ちは大成功、手の男は脳みそヴィランの方へと転がって行った。
だが、服装からこっちの正体を見極めたのか死柄木は咄嗟に目を閉じた。ついでに受け身まで取っていた。
蹴りによる昏倒は失敗、目を合わせての催眠も失敗、このチャンスでは決められなかったか。このことが凶とならないと良いのだが。
「ナイスフォロー、団扇!」
「スカしてんじゃねぇぞ、モヤモブが!」
「平和の象徴はてめえら如きに殺れねぇよ。」
「かっちゃん...!皆...!!」
緑谷が感動している中、自分は見られていないことをいい事に、霧の男を拘束している爆豪の側へと移動した。
手の男は、俺の個性を警戒してまともに周囲を見る事が出来ない。
だから、蹴り飛ばされる直前に見た光景から今起きている光景を予測するしかない。
だとすると、まずアイツがやろうとする事は出入り口である霧の男を拘束している爆豪の排除だ。
あの位置なら、脳みそヴィランと目線が合うッ!
「脳無、爆発小僧をやっつけろ、出入り口の奪還だ。」
その言葉を受けた脳みそヴィランこと脳無は、氷結した体の崩壊を無視して立ち上がる。
すると、脳無の体は急速に再生を始めた。
皆が脳無の個性におどろいている間に自分は爆豪の側へと移動を完了した。
脳無は、体を爆豪の方に向け、超スピードで走り出した。
だが俺の目は写輪眼、生命エネルギーの流れから未来予知じみた行動予測を可能とする個性!どんな超スピードでも見るだけなら可能ッ!
そうして、脳無と自分は目を合わせた。
自分の赤い眼の3つの点が車輪のように回り出す。
命令は単純、『動くな』
そうして脳無は超スピードのまま体の動きを止めた。
だが自分は忘れていた、慣性の法則という奴を。
動きを止めた脳無はその超スピードのまま弾丸と化し自分と爆豪を襲った。
その弾丸から自分達を救ってくれたのは、オールマイトであった。
「ム?何事だ?奴の動きが止まった...団扇少年、まさか⁉︎」
助けられた事がちょっと恥ずかしくて、でも作戦が成功した事にホッとして一つため息を吐いた。
「すいませんオールマイト、慣性の事頭から抜けてました。
でもこれで、アイツらの切り札は無力化しました!」
死柄木はその言葉に自分への怒りを募らせたようで
「何、脳無だぞ!対オールマイト用の怪人が、たかがガキなんかに負けるとか...クソチート野郎が。」
そんな死柄木が、怒りで自分の顔を見てしまう可能性に賭けて、ちょっと煽ってみた。
「あんなの使うお前らにいう事じゃないが、人の心を操るって、結構簡単なんだぜ?まして意思のない人形なんざ、俺の個性からしたらただの案山子だよ。」
だが、死柄木はその煽りで逆に冷静になったようだった。
逆効果だったようだ。
「畜生、この眼のガキに会ってから運が無い。仕方ない黒霧、撤退だ。」
爆豪の拘束から抜け出した黒霧は死柄木の側に移動し、ワープゲートを作った。
怒りを込めてオールマイトは言った。
「逃すと思うか!ヴィラン!」
死柄木は笑いながら言った
「いいや逃すさ、切り札は隠しておくものだろう?コイツは正直保険だったが、足止めくらいにはなる。来い、脳無!」
そうして現れたのは、先ほどの奴より少し細身の灰色の脳無であった。
「何⁉︎」
「もう一体だとか反則だろ!」
「チッ。」
「コイツはさっきの脳無より力は弱いが、その分素早い。対オールマイト用脳無のプロトタイプさ。じゃあなオールマイト、その弱った体でせいぜい生徒を守るんだな。」
そうして、全員が新たな脳無に気をとられている間に死柄木は黒霧のワープゲートへと潜っていった。
だが、奴は肝心な命令を脳無にするのを忘れていたようだ。
自分の目と脳無の目が合った。その瞬間、脳無はだらんと両手を下げ、動きを止めた。
消える直前の死柄木はその光景を見て言った
「コイツも瞬殺かよ...目のガキ、次は必ず殺す。」
そうして今回の襲撃を企てた敵連合の幹部二人は帰っていった。
...自分が無力化した1体目の黒い脳無を回収して。
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何度かの銃声の後、入り口から、飯田の声が聞こえてきた。
「1-Aクラス委員長、飯田天哉!!ただいま戻りました!!」
オールマイトはその声に安堵したのかため息をついた。
「フゥ、どうやら飯田少年が他の先生方を連れて来てくれたようだね。これで一件落着だ。」
「みたいですね。銃声ってことはスナイプ先生かな?さて、俺たち生徒はどうします?ここで待機ですか、それとも入り口まで移動ですか?」
「あ、ああ。君たちは入り口の方まで移動してくれ。私は周囲に他のヴィランがいないかどうか軽く警戒してから戻るとしよう。幸い団扇少年のお陰で大きなダメージはないしね!
...君たちには実力がある。だからといって周囲のヴィランを倒そうなどと考えてはいけないぞ!寄り道せずに真っ直ぐ帰るんだ!いいね?」
「はい、わかりました。」
帰り道、爆豪が自分に話しかけて来た
「おいクソ眼。」
「俺の事か?爆豪。」
「テメェなんでそんな個性を隠してやがった。」
「...特に隠してないぞ?戦闘訓練の日の反省会で皆に教えたくらいだし。あぁ、そういや爆豪反省会にいなかったっけ。」
「チッ、今回活躍出来たからって調子に乗るんじゃねぇぞ、クソ眼野郎。」
「いや、今回は運が良かっただけだろ。ちょっと頭のある奴なら俺の個性わかった時点で目をそらすぞ。あの脳無って奴らが洗脳を受けた改造人間なのが、今回の勝因だな。次はないだろ。」
「チッ、優等生ぶってんじゃねぇぞクソ眼が。」
「...なぁ轟、今の優等生ぽかったか?」
「俺が知るか。」
そんな会話をしていると、不意に緑谷が痛がった。
「痛っ。」
「どうした緑谷...ってお前右手の指!ちょっと目を見ろ、催眠かけるから。」
「ありがとう団扇くん...痛みは引いたよ。」
緑谷は、暗い顔をしてこう言った
「団扇くん、今日は本当にありがとう。」
「...今日はどうしてそんな勿体ぶるんだ?」
「オールマイトの危機に、僕達は...僕は何も出来なかった。団扇くんがいなかったら本当にオールマイトが殺されちゃったかも知れない。だから本当にありがとう。」
この会話を聞いて思う所があったのか、切島が会話に混ざって来た。
「それを言うなら俺もだぜ緑谷!俺の攻撃は躱されちまうし、爆豪や轟ほどの活躍はしてないし、いいとこなしだったぜ。でも、俺たちは皆無事だったんだ。なら、今はそれを喜ぼうぜ!」
「切島くん...」
「そうだな、切島の言う通りだ。プラス思考は最強だってどっかの刑事さんも言ってた事だしな。今日は大事件だったが俺たちは誰も死なずに済んだ。それで良いだろ、緑谷。」
「団扇くんも...本当にありがとう。」
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後からこの事件の話を聞いたところ、以下の事がわかった。
相澤先生は両腕粉砕骨折に顔面骨折、眼窩底骨が粉々になるなどの重症を負った。
13号先生は背中から上腕にかけての酷い裂傷を負った、が命に別状は無いそうだ。
オールマイトは脳無に握られた脇腹の傷以外に特に傷は無し。
生徒で傷を負ったのは自分の個性の反動で右手中指をやった緑谷のみ。
オールマイトと緑谷は保健室へ、13号先生と相澤先生は病院へと搬送された。
正直、この規模の大事件では異常なまでの負傷者の少なさである。その結果を導いたのは先生たちの献身である事は言うまでもないだろう。
相澤先生の安否が心配だが、今は信じよう。
まずは教室に行って警察からの事情聴取を待つ、それからだ。
...元ヴィランということで内通者と疑われなければ良いのだが、それは当たる警察官の人柄が良いかどうかの運だろう。気にしないでいこう。
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とある隠れ家的バーにて
「先生、畜生あの脳無って奴欠片の役にも立たなかった。オールマイトどころか生徒のガキに2体とも瞬殺されやがったッ!」
「...弔、その少年はどんな個性で脳無を無力化したんだ?」
「目を合わせた相手を洗脳する個性だ。俺もやられた、あの赤く回る目にッ!」
「赤く回る目...まさかね、あの一族はもう血が途絶えたはずだ。弔、その子の名前はわかるかい?」
「名前は...忘れた。まぁ顔は覚えてる。雄英体育祭でそいつを教えるよ、先生。」
「ありがとう、弔。」
「ふーむ、先生との共作の脳無は必然的に洗脳を受ける。人の元々持っている耐性が無い分洗脳にかかりやすいのかのう。盲点じゃったわ。」
「幸いにも黒い方の脳無の回収には成功しました。」
「ふむ、弔にも黒霧にも特に負傷は無い。脳無も一体は回収できた。今回はそれで良しとしよう。なぁに、生きていれば次がある。いくらでもやり直せば良い。何故って?僕がいるからさ。」
どうして脳無を2体同時に出さなかったって?この時の死柄木なら舐めプするよなぁという安直な考えです。
尚、洗脳系個性は後出し有利というのはオリジナル設定です。洗脳に一度かかったなら本来持ってる洗脳耐性みたいなものがなくなるよなぁという考えからです。
まぁ、オリ設定なのでオリジナル設定ありのタグつけときますねー。