展開がおかしくならないか確かめてから挿入したのできっと大丈夫。
体育祭前の日々
USJ事件の翌日は臨時休校となった。
思わぬ休日だが、喜べるものではなかった。
その翌日、授業は通常通り行われた。相澤先生も包帯ぐるぐるという格好であったが、重症からの即日復帰というトンデモを果たした。流石雄英、何でもありだ。
生徒の皆が心配する中、先生は復帰早々こんな言葉を皆に告げた
「俺の安否はどうでも良い、何よりまだ戦いは終わってねぇ...雄英体育祭が迫ってる!」
「クソ学校っぽいの来たああああ!!」
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年に1度、一生に3度の大チャンスである体育祭、それに対してテンションを上げる生徒たち。
だがその流れに反して自分と緑谷はテンションを上げきれずにいた。
「ノリノリだね、皆。」
「本当にな、危機感が無いのを嘆けば良いのか、楽観視を見習えば良いのかよくわからん。」
「何⁉︎君たちは熱くならないのか⁉︎ヒーローを目指すなら避けては通れない一大イベントだぞ!これで熱くならないのは嘘だろう!」
そんな会話をぶった切って、麗日は言った
「デクくん、飯田くん、団扇くん...頑張ろうね、体育祭。」
その顔を羅刹のように強張らせながら。
「顔がアレだよ麗日さん!!?」
「どうした?全然うららかじゃないよ麗日。」
「皆!!私!!頑張る!」
「おおー、けどどうした、キャラがふわふわしてんぞ!!」
そんなおかしな麗日につられて、1-Aの皆は一様にガッツポーズを決めた。
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食堂へ向かう道すがら、緑谷がこんな話を切り出した。
「麗日さんは、なんでヒーローになりたいって思ったの?」
「それは、うん、お金のため、かな?」
「お金...⁉︎」
「お金が欲しいからヒーローに⁉︎」
「究極的に言えば。
なんかごめんね不純で...!!飯田くんとか立派な動機なのに私恥ずかしい。」
「何故⁉︎生活の為に目標を掲げることの何が立派じゃないんだ?」
「うん...でも意外だね...」
「...ウチ建設業者やってるんだけど...全然仕事なくってスカンピンなの。こういうのあんまり人に言わんほうが良いんだけど...」
「建設...」
「麗日さんの個性なら許可取ればコストかかんないね。」
「でしょ⁉︎それ昔父に言ったんだよ!でも...父ちゃんは私に夢を叶えてくれた方が何倍も嬉しいって言ってくれたんだ。
だから、私は絶対ヒーローになってお金稼いで、父ちゃん母ちゃんに楽させたげるんだ。」
麗日のその言葉は、ある種の覚悟を秘めた言葉だった。
飯田が感動してブラボーブラボー叫ぶなか、廊下をダッシュしてきたオールマイトがやってきた。
「おお!!緑谷少年がいた!!ごはん...一緒に食べよ?」
「乙女や!!!!」
「...ぜひ。」
「緑谷くん、行ってしまったな。」
「ううー、私のことばっか話してなんか恥ずかしい!次、団扇くん!何気に謎の多い団扇くんがなんでヒーローになりたいのか私気になる!」
「そういえば僕も団扇くんの話は聞いた事がなかったな、よろしければ聞かせて貰いたいものだ。」
「正直シラフで話す事情じゃねぇから触りだけな、それで良いか?」
「うん、聞きたい!」
「...俺、実は個性の出た4歳くらいからネグレクトを喰らってたんだよ。そんで学校にも行かないで家でテレビばっかり見ている時期があってさ、いつか自分を助けにきてくれるヒーローが現れるって心のどっかで信じてて、でも実際に現れることはなくてな。だから、俺がなろうって決めたんだ。知らないとか事情があるとか、いろんな理由で"救けて"を叫べない人を救けられるようなヒーローにな。
以上、あんまし面白い話でもないだろ?」
二人は悪い事を聞いてしまったと、顔を俯かせた。
そんな心配は無用だと示すように明るい声で言葉を紡いだ。
「そんな気にしなくてもいい。何年前の話だと思ってるんだ、もう折り合いは付いているよ。」
その言葉に、自分の言葉に疑問を持った飯田が声を上げた。
「団扇くん!君の事情には正直驚いた!そんな環境の中、善性を保ち続けた君には正直敬意すら覚える!だからこそ疑問があるのだ。君の境遇を聞いて思った、そんな状況に置かれれば社会を憎むのが普通だと自分は思う。どうして君はヒーローを目指そうと思えたんだ?」
「それは。」
「それは?」
「俺にもわからん。多分何となくだろ。」
「なんとなくで人生の道行きを決めたのか君は⁉︎」
「...ちょっと思ってたけど、団扇くんって意外と適当なトコあるよね。」
「真面目なヴィランがいるくらいだし、適当なヒーローがいても良いんじゃないかと俺は思う。」
「自覚済み⁉︎」
「そんな事よりお金の話をしよう、苦学生の麗日は当然奨学金受けてるよな、アレの返済不安にならね?」
「話題の振り方も適当⁉︎いや確かに利子が無いって言っても借金は借金だから気になってるけど、けれど!この話の流れでする会話じゃ無いよ!」
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本当はなんとなくで決めた訳では無い。記憶の定かではないほど昔、テレビで見たとあるヒーローのインタビューでこんな言葉があった。
「そうですね、どんなに手を伸ばそうとしてもヒーローとて人間ですから、出来ることには限界があります。でも、知らないとか事情があるとかで救けてを叫べない人達がいます。自分は、たとえ手が届かないとしてもそんな人達に手を差し伸べ続けたいです。それが、ヒーローのするべきお節介だと自分は信じてますから!」
そのお節介としか言いようのないヒーローの名前は一体なんだっただろうか、今でもなんとなく顔は覚えている。けれどその恩人の名前は、あの4年間の中で磨耗して消えてしまった。そこだけは、今でも後悔している。
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放課後、1-Aの教室の前にはとんでもない数の人が集まってきた。
敵の襲撃を耐え抜いた連中だと、一目見に来た連中だろう。
そんな連中に対して爆豪はいつもの通りに言った
「敵情視察か?意味ねぇからどけモブども。」
「知らない人をとりあえずモブって言うのやめなよ!!」
そんな言葉に反応してか、人混みの中から長身の少年が前に出てきた。
「どんなもんかと見に来たがずいぶん偉そうだなぁ、ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」
「ああ⁉︎」
「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴、けっこういるんだ知ってた?」
「?」
「体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ...敵情視察?少なくても
大胆不敵なその言葉に思う、コイツに俺が37人目だってバレたら多分面倒になるなーと。
その後銀色の髪の少年は人混みに揉まれながら言った
「隣のB組のモンだけどよぉ!!敵と戦ったっつうから話聞こうと思ってたんだがよう!!エラく調子づいちゃってんなオイ!!本番で恥ずかしい事んなっぞ!!」
そんな2人の不敵な言葉を無視して、爆豪は人混みを掻き分け帰ろうとしていた。
そんな爆豪に切島は思わず一言
「待てコラどうしてくれんだ、オメーのせいでヘイト集まりまくっちまってんじゃねぇか!!」
「関係ねぇよ...」
「はぁー⁉︎」
「上に上がりゃ関係ねぇ。」
爆豪はその言葉と共に人混みの中に消えていった。
「爆豪はこういう所でもブレないな...緑谷、あいつ昔からああなのか?」
「ちょっと違う...と思う...かっちゃんは昔から大胆不敵って感じだったけど、今のかっちゃんは上に上がるために自分を追い込んでる感じかな。」
「そうなのか...さて緑谷、俺たちも行くか?上に上がるための特訓って奴に。」
「そうだね、今日はよろしく、団扇くん。」
そんな言葉に疑問を持ったのか、麗日が尋ねてきた。
「あれ?デクくん、団扇くん、帰らへんの?」
「う、麗日さん...ちょっとね。」
「ああ、秘密の特訓って奴だ。」
「秘密の特訓!良いね!...私も一緒に行って良い?」
「ダメです。」
「何故に⁉︎」
「いや、体育館の使用申請俺と緑谷の分しか出してないんだよ。そういう話になるなら皆に話通してから申請書出すべきだったな。すまん、俺の手落ちだ。」
「なら仕方ないね!デクくん、団扇くん、頑張ってね!」
「さて、オールマイトに話は通してくれたか?」
「うん、一応。」
「オールマイトが来なかったら特別特訓は無しで普通に動画見ながら組手な、お前の個性の暴発怖すぎるから監修なしじゃ危ないしな。」
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体育館γについた自分たちを待っていたのは、金髪でガリガリ、だが目には確かな力のある男だった。
「待っていたよ緑谷少年、団扇少年!オールマイトは事情があって来られなかったが、そのマネージャーである私、八木が君たちの特訓の監修を引き受けよう!」
「お、オール...」
「八木だよ!緑谷少年!」
その反応でなんとなく察した自分は写輪眼を発動した。
いつも全身に張り巡らされているエネルギーが丹田のあたりに収まっているがあの虹色の身体エネルギー、間違いなく彼がオールマイトだ。
「...俺の目は相手の身体エネルギーを色で見ます。だから、変装しようが変身しようが俺の目は見抜けます。」
「...何が言いたいんだね、団扇少年。」
「何やってんすかオールマイト、変装するなら口調くらい変えましょうよ。」
その言葉に反応したのは、オールマイトではなく緑谷の方だった。
「一瞬でバレたー!」
「み、緑谷少年!少しは誤魔化そうとしていた私の努力は⁉︎」
「いや、もうバレてますって。」
「いやー、まさか一瞬でバレてしまうとは...それなら仕方ない。団扇少年、私がこんな姿をしている事情を話そう。」
「あ、今はいいです。」
「What⁉︎」
「相澤先生曰く、時間は有限ですから。今するべきはオールマイトの事情を根掘り葉掘り聞き出す事じゃなく、オールマイトの個性を参考にして緑谷の個性コントロールを可能にすることです。」
「団扇くん、驚かないの⁉︎あのオールマイトがこんな姿になっているんだよ⁉︎」
「いや、目力は変わってないし、オールマイトも結構な年だろ?何かしらの事情はあるだろうさ。というか俺はお前が知ってる事の方が驚きなんだが。」
「あ、あはは...」
「さて、オールマイトもいる事だし、特訓を始めるぞ!」
「うん、よろしくね、団扇くん、オールマイト。」
「緑谷少年から特訓するという事は聞いたのだが、どうして私が呼ばれたのだ?団扇少年。」
「それは、オールマイトと緑谷の個性が同じタイプのものだと俺には見えたからです。丹田のあたりに収まってる馬鹿みたいな量の身体エネルギー、それを腕とか指とかに集中させて暴発させてるのが緑谷の個性、全身に張り巡らされているのがオールマイトの個性です。
だから、オールマイトの全身に力を巡らせるイメージを緑谷に見せる事が出来れば、緑谷の個性コントロールの助けになるんじゃないかと。
ちなみにエネルギーを外から見てコントロールの訓練をしたいって言ったのが緑谷で、オールマイトを参考にしようと言い出したのが俺です。先生としてこの訓練法どうですか?」
「なるほど、納得できた。だが、君の見た力のイメージをどうやって緑谷少年に伝える?」
「俺の催眠のちょっとした応用です。映像をイメージとして送りつける事で相手に見せる事が可能なんですよ、俺。」
「成る程、理解したぞ団扇少年!つまり私は極力ゆっくり個性を発動すれば良いのだな!」
「そういうことです。よろしくお願いしますね、オールマイト。」
「よし、行くぞ団扇少年、緑谷少年!よく見ていたまえ!」
そうして、ガリガリの男はゆっくりと身体エネルギーのコントロールを始めた。
丹田のあたりにあるエネルギーの源から力を徐々に流出させ、身体中に力を漲らせていく。その過程をきっかり5秒、その結果目の前のガリガリの男は筋骨隆々の大男、いつものオールマイトへと変貌を遂げた。
そうして、膨らんだ力を一瞬で丹田へと収束させ、先ほどのガリガリの男へと戻っていった。
「どうだ、団扇少年しっかり見えたか?」
「ええ、それじゃあ緑谷、俺の目を見ろ。」
「うん、団扇くん、お願い。」
緑谷と目を合わせ、先程見た虹色の力の流れを映像としてみせた。
「行けそうか?緑谷。」
「やってみる。」
「まずは力を巡らせる所までだ。動きは力に慣れてからでいい。」
緑谷は、見せられたイメージ通りに丹田にある力の源から全身に力を張り巡らされていった。
そう、オールマイトのみせたイメージ通り100%の力を
「でき、た!」
「ああ!エネルギーは全身に巡ってる!成功だ!」
そんな緑谷は、巡らせた力をゼロに戻し、倒れた。
「痛たたたた⁉︎なんで、動いてないのに⁉︎」
「どうした緑谷⁉︎何があった⁉︎」
「足が...痛いッ!」
「もしや...!」
「オールマイト、何か心当たりが?」
オールマイトは、緑谷の身体を触り触診をしながらこう尋ねた。
「緑谷少年、君は私のイメージ通り100%の力を巡らせたのだね?」
「はい、そうですオールマイト。」
「おそらく、100%の力で強化された足の"地を踏みしめる力"に足の筋肉が耐えられなかったのだ。その結果が足の筋繊維断裂という結果だろう。少年の足の痛みはそれが原因だな。」
「...立ってるだけで足ぶっ壊れるって、スペランカーより酷いぞお前。」
「酷い⁉︎」
「さて、オールマイト保健室利用書をお願いします。緑谷を保健室まで運ぶんで。」
「あ。」
「あってなんですか...もしかして忘れたんですか。」
「うん、ごめんね、少年達。」
「ダメダメだなこの新米教師!」
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特訓2日目
「さて、今日もありがとうございますオールマイト。意外と暇なんですね。」
「団扇少年の毒が強いッ!」
「今日は、この前の反省を活かして、上半身だけにエネルギーを集中させてみます。オールマイト、何か意見は?」
「うむむ、それなら足の筋繊維が壊れる心配は無いな!緑谷少年、イメージは覚えているね!まずはやってみよう!」
「はい!オールマイト、団扇くん、お願いします!」
上半身に力を巡らせた緑谷。だが、些細なコントロールミスで力が太もも辺りまで伸びてしまう。
結果、また緑谷は倒れた。
「緑谷!」
「緑谷少年!」
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次の日の朝のホームルーム相澤先生は言った。
「団扇、緑谷、お前ら当分体育館の使用許可なしな。」
「相澤先生⁉︎どうしてですか?」
「いや、常識的に考えろ。2日連続で保健室行きなんてまともじゃないだろ。だから、おまえらだけで体育館を使わせるのは危険だという判断だ。」
「相澤先生!僕達はオールマイトの監修をちゃんと受けてます!」
「申請書類にオールマイトの名前は無い。たとえ本当にオールマイトの監修を受けていたとしても申請時点で責任者になっていない以上、緑谷の怪我はお前たち2人の責任だ。体育祭前の大事な時期だ、心配になる教師側の気持ちも分かれ。」
「すまん、緑谷。あのポンコツ新米教師をきっちり抱き込んでから申請書出すべきだった。俺の手落ちだ。」
「ううん、いいよ団扇くん。それに、何か後1ピースあればコントロールができそうな気がするんだ。そこまで行けたのは団扇くんのおかげだよ。付き合ってくれてありがとう。...でもポンコツ新米教師は言い過ぎだと思うよ団扇くん...」
「俺の中のオールマイト像はそれで固まった。緑谷の言葉といえどこのイメージは崩せないぞ。」
「あはは...」
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そんな忙しくも楽しい日々はすぐ過ぎるものであり、もう体育祭の前日にまで来てしまった。
その日、自分は久し振りに元財前組本拠地である屋敷へと向かっていった。
事あるごとに連絡してくれて、自分を心配してくれているお二人だが、今日はちょっと事情が異なる。
なんでも、ステファニーさんの再就職先が決まったのだそうだ。それはお祝いしなくては!というのが扉さんの話だ。
そんな訳で自分は、スーパーで買ったお寿司を持って、のんびりと歩いていた。
インターホンを押す、監視カメラに手を振る、扉が勝手に開く、この辺りの流れはもう慣れたもので、普通に屋敷の中へと入っていった。
そこで待っていたのは、パーティ帽子を被ったステファニーさんと扉さん、だった。
この流れはクラッカー来るなと耳を塞いだら、案の定であった。
この二人、何かと祝い事と寿司が好きなのだ。
「ステファニーさんの再就職祝いじゃないんですか?」
「それもあるけど、巡くん、明日体育祭じゃない?ならお祝いしないと嘘じゃない!」
「そうだぞ巡、お前の1回目の晴れ舞台、いつ小指が帰ってきても良いように、ちゃんと録画設定済みだ!」
「そういや小指のオッサンっていつ出て来られるんですか?えっと...今なに所でしたっけ。」
「拘置所だな、裁判で刑罰が決まるまで入る所だ。まさかあの敏腕弁護士の綾里さんを負かして起訴まで持っていくとかあの御剣とかいう新人検事、相当な切れ者だぞ。多分出した証拠に改竄の跡がある事を見抜いている。」
「改竄の跡って、ああ、俺の840万ですか。要の爺さんと俺と親父が奇跡のコンビネーションで隠したんですよね。流石にプロ相手じゃ見抜かれる程度のものでしたか。」
「ま、それでも綾里先生なら保釈まで持っていけるわよ。だから心配しないで巡くん、お父さんにはきっとすぐ会えるわ。」
「前科者の親父って保釈可能なんですか?法律関係はまだ習っていないので良く知らないんですが。」
「正直私も良く知らないわ。弁護士の腕次第じゃないかしら。」
「私達は所詮法律関係では素人だからな、今は綾里先生を信じることしかできないさ。そんな話よりステファニーの祝い事だ!確か、松戸のエステサロンに決まったんだよな!」
「今度はカタギのエステサロンよ!入ったらサービス券貰うから扉ちゃんも巡くんも来てね、待ってるわよ!」
「扉さんはともかく男の俺がエステサロンって、行きませんよ、ただでさえ奨学金と貯金でやりくりしてる貧乏人なんですから。」
「貧乏人で思い出した、巡くん、寿司代だ。」
「お釣りは...」
「釣りはいらんさ、小遣いとして取っておけ。体育祭の前祝いだ。」
「それなら有り難く貰っておきます。でも、ニートの扉さんはどっからそんなお金出してるんですか?」
「二、ニートちゃうわ!ちょっと就活に難航しているだけだ!」
「ああ、お金なら殆ど組長のお金よ。扉ちゃんが今管理しているのよ。」
「ああ、親の脛齧ってるんですか。」
「うぐ、事実なだけに言い返せないッ!」
「ならさっさと就職先見つけて自立すればいいじゃない。」
「それができたら苦労はしないッ!」
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そんなぐだぐだな前祝いを終えて、自分は家路についた。
今度の敵は体育祭、年1度、人生3度の大チャンス、自分の個性でどこまでいけるかわからないが、今回も全力でぶつかるのみだ。
拘置所の中にいる親父の事を思いながら、徒歩15分の帰り道を歩いていった。
新人ポンコツ教師オールマイト
実際オールマイトはいろいろ抜けているので間違ってはいないはず。一応言っておきますが、オールマイトが嫌いだからこんな渾名をつけたわけではありません。むしろオールマイトは好きなキャラな方です。
...好きなキャラって、弄りたくなるやん。