やってみたかっただけです。
リカバリーガールは、自分が体育祭に出られるように朝早くに病室に来て自分を治療してくれた。
「入学からこの短期間に3度もヴィランと会敵するなんて、運がないねぇあんた。」
「生きてるんですから運はありますよ。今回は流石に死んだと思いましたからなおさらに。」
「...ヒーロー8人の負傷に生徒一人の重症、こんな大事なんだ、正直体育祭なんて中止しても良いと私は思うんだがねぇ。」
「お金かかってますし仕方ないのでは?幸いにも死者は出なかった訳ですし。」
「...ハイ、治療終わったよ両腕の具合はどうだい?」
「痛みは完全に引きました。治ったと思います。」
「しかし、随分と良い顔してるねぇ。病室で何か良いことでもあったのかい?」
「...ハイ、ちょっと昔のことに決着がついた感じです。まぁ本番はこれからなんですけどね。」
「それはそれは、頑張んな。ハリボー食べるかい?」
「いただきます。実は割と好きなんです、ハリボー。」
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トーナメントのくじ引きのとき、騎馬戦で同じチームだった尾白と庄田が出場辞退するというハプニングは起きたものの、それ以外の事件、恐れていた敵の襲撃などは無く、平和な体育祭が続いていた。
そうして、自分の出番
体育祭本戦、ガチバトル。その一回戦第5試合、芦戸と俺の試合だ。
レクリエーション時間をほとんど休息に費やした自分は万全ではないが体力に余裕はある。
「団扇!私、負けないからね!」
「芦戸、俺も負けるつもりは無い!」
プレゼントマイクの実況が聞こえる
「一回戦第5試合!ピンクでキュートなアシッドガール、芦戸三奈!
ルールのおさらいだ!相手を場外に落とすか行動不能にする、あるいは『まいった』とか言わせても勝ちだ!
ただし、何度も言うがヒーローは敵を捕まえるために拳を振るうのだ!命に関わるようなことは無しで頼むぜ!
レディィィィィィイ、START!!」
スタートと同時に写輪眼を発動する。
「団扇対策!目を見ないで、足の動きで位置を把握する!ってこっち来たぁ⁉︎」
「個性が通るとは思ってない!なら殴って終わらせるのみ!」
「うう〜、やり辛い!けどこれなら当たるでしょ!酸の広範囲噴射!」
当然避ける、酸が出るタイミングは写輪眼で見切れるため、そのタイミングでスライディング、山なりで飛んでくる酸を下から潜って回避する。
「そう躱してくる⁉︎って⁉︎」
「足を見てるってことは俺の位置が下に来ると目線が合うよな。という訳で終わりだ芦戸。」
芦戸は、自分の赤い瞳の車輪が回る様を見た。
意識を朦朧とさせた芦戸は、自分で場外へと歩いて行った。
主審であるミッドナイトの声がした。
「芦戸さん、場外!!団扇くん、二回戦進出!!」
プレゼントマイクの実況が聞こえた。
「ウォー!個性被りだな、イレイザー!まさかの洗脳系二人目だぜ!リスナー諸君にお知らせするが、団扇巡の個性は催眠の魔眼だ!
芦戸の酸攻撃を華麗にかわし華麗に催眠を決めた団扇!二回戦進出だぁ!!」
催眠の解けた芦戸は周囲を見回して状況を把握した。
「うう、負けたー!あんな一瞬目が合うだけで終わりとかズルい!個性使わないって言ったじゃん!」
「ズルいはないだろズルいは、あと正直に言うなら通るとは思っていなかったぞ俺は。芦戸の警戒心が緩いんだよ。」
「悔しい!くそー、次は負けないからねー!」
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「なぁ団扇くん、色々すっ飛ばして君に聞きたい。うずまき巡になる気はないか?」
夜の病室、同室には自分とうずまきさん以外には誰もいない。
そんな中で語る唐突な言葉に、思わず声を荒げてしまった。
「はぁ⁉︎うずまき巡⁉︎うずまきさんと丸かぶりじゃないですか!」
「あ、確かにそうだね。忘れてたよ。」
あっけらかんとした態度で、うずまきさんはそんなセリフをのたまった。
「...いや自分の名前を忘れないで下さいよ...まぁ悪意は無いと伝わりましたけど、言ってる意味がわかりません、すっ飛ばしたいろいろをちゃんと話してくださいよ。」
うずまきさんは優しげな表情で、まるで息子を見るかのような顔で言葉を紡いできた。
「そう難しく考えないでほしい。僕は単純に、君と善子を家族に戻してあげたいと思ったんだ。」
「俺と、母さんを?...無理ですよ、俺と母はもう完全に終わってます。」
「いいや、終わってなんかいない!何故なら、君も、善子も、まだ生きているからだ!生きている限り人は何度でも話し合える、何度でもやり直せる!僕はそう信じている!」
その言葉は、表面から出たもので無く、うずまきさんの根の深いところから出た言葉だと感じられた。
だから、嫌われる事を覚悟して、少し深い話をしてみようと思った。
「うずまきさんは、やり直せなかったことがあるんですか?」
「ああ、あるよ。」
うずまきさんは昔を懐かしむように語り始めた。うずまきさんの消えない傷を。
「僕の父は僕がヒーローになる事をずっと反対していたんだ、中小だが堅実に経営していた会社の後継にするとずっと言われていてね、そんな決められたレールに乗る人生は嫌だと家を飛び出して全寮制のヒーロー科に入ったんだ。それ以来父とは会話していない。いいや、出来なくなったんだ。」
「出来なくなった...何か不幸でもあったんですか?」
「その通りさ。ヒーロー科の卒業をして独立した僕に届いたのは父の訃報だった。交通事故でポックリ逝ってしまったらしい。最初はちょっとだけザマァ見ろと思った。これで自由になれるんだって思った。でも、違ったんだ。」
「違った?」
「ああ、違った。ヒーロー科の入学金、僕の学費、仕送り、いろんな所で父は僕を助けてくれていたんだ、応援してくれていたんだ僕を。それに気付かないで自分の力だけでヒーローになれたと錯覚していたのさ。結局僕は、父にありがとうを言えずに終わってしまった。二度と仲直りする機会をなくしてしまったんだ。」
「だから、俺にはそんな思いをして欲しく無いと?」
「...その通りさ、君も、善子もまだ生きている。だからやり直す事ができる。やり直せなくなってから後悔しては駄目なんだ。」
うずまきさんは病室の天井を見つめた、自分もなんとなくそうした。
なんとなく顔を見て話をするのが恥ずかしくなったのだろう。自分もそうだ。
「だから、俺に自分の養子になれなんて言ったんですか。無理矢理にでも母と俺にやり直させる機会を作るために。」
「接触する機会さえあれば君と善子は家族に戻れる。僕はそう思った。本当は養子縁組なんかしなくても良い、ただ君と善子が深く接する機会を作るには養子縁組が一番な気がしただけさ。」
「うずまきさん...その話の答えは明日の朝で良いですか?正直眠くなってきました。」
「唐突に⁉︎その唐突な感じといい適当な所といい間違いなく善子の息子だな君は⁉︎」
「そんな訳で、おやすみなさい。」
「なんか釈然としない...でもおやすみ団扇くん、明日も体育祭だ、しっかり英気を養いたまえ。」
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プレゼントマイクの実況が聞こえる。
「二回戦第3試合!目が合えばその瞬間で終わりだ!一回戦瞬殺!激強魔眼の男、団扇巡!
さぁ激戦の始まりだ!
レディィィィィィイ、START!!」
「団扇、お前の目は確かに脅威だ。だが、これなら貴様の催眠は受けん!」
「目を閉じた⁉︎だが、そんなんで俺を倒せるのはよっぽどの達人のみ、隙だらけだ!」
写輪眼を発動し、ガードを作って殴りに走る。この隙、逃すのは愚策ッ!
「フ、そうだな。だが俺には
体内エネルギーの動きから召喚動作が見えた、高速で
常闇は相変わらず目を開けない隙だらけだ。だが
何か隙が見つかるかと会話を投げかけてみた。
「常闇、お前個性に全て負んぶに抱っこか?」
「信じて任せているのだ、唯一無二の相棒にな。あと、そんな見え透いた挑発には乗らんぞ団扇。貴様の人柄は十二分に分かっている、似合わぬ挑発などやめておけ。」
逆に諭されてしまった。怒りに任せて目を開けさせる作戦はなし、なら後は単純明快。
「
それに、耐え忍ぶだけでも勝機はある。
「くっ、
「マッタクナ!」
その会話で頭をよぎったのは同じような化け物である脳無を洗脳できたという事実だった。
「...待て、会話できるってことは
「その通りだが何を...まさか!目を閉じろ
「もう遅い!」
相対している時からずっと
「さぁ
「アイヨ!」
「
常闇は場外に出される前に咄嗟に
が、過程は違うが結果は狙い通り!もう常闇を殴れる距離だ。
目を閉じている常闇を正面に捉える。左足で踏み込み、腰を入れ、体の捻りを加えて拳を真っ直ぐに突き出すッ!
必要なのはダメージではなく吹っ飛ばす推進力、なので拳を引かず殴り抜けた。
常闇は吹っ飛ばされ、一回転した後場外へと足がついた。
主審のミッドナイトの声がした。
「常闇くん、場外!団扇くん、3回戦進出!」
プレゼントマイクの実況が聞こえた。
「うおおおお!超激戦!常闇の
「あいつの個性は催眠眼と身体エネルギーを見る目の複合型だ。おそらくそれでエネルギーの塊である
「成る程な!それで変幻自在の
試合の終えた自分は常闇の元へと向かった、
「大丈夫か?常闇。」
「ああ、なんとかな。だが
「正直俺も通るとは思わなかった、お互い次は無い感じの試合だな。」
「...俺と
「俺だって負けるつもりは無いさ。」
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ちょっと早い朝5時の病室、野郎2人は相変わらずベッドに倒れたままで会話を始めた。
「さて、朝になった!答えを聞かせてもらおうじゃあないか!」
「まさかこんな早くに起こされるとは思いませんでしたよ...考えた結果ですが、今回の養子縁組のお話はお断りさせていただきます。」
「何故にそんな丁寧語で⁉︎」
「あのー、大変魅力的な提案ではあったのですが実の所そんな話を受けられない理由があったりする訳なので、ちょっと申し訳なくて。」
「...理由を聞いても良いかい?」
「...実は自分、今未成年ヴィラン保護入学制度なんてものを適用されている前科者でして、今の保護責任者は雄英の校長の根津先生だったりします。そんな理由から冷静に考えるとそもそもこの話を受ける権利自体がなかったりします。」
「予想の斜め上な理由⁉︎...そうか、今年の雄英の入学者が一人多いのはそのカモフラージュのためか!」
「そうなんです。まぁあと2つほど理由はあったりするんですけどね。」
「あと2つ?なんだい?」
「まず1つ、団扇巡って名前が気に入っているからです。あおぐ団扇をみんなで巡らせるって感じで。」
「あーわかるかも、俺もうずまきメグルって名前割と好きだし。善意がうずまいて巡るみたいで。」
もう1つの理由は自分でも咀嚼しきれていないので、ちょっと躊躇った。
「もう1つは...俺は俺を育ててくれた人以外を親父と呼ぶつもりは無いという事です。正直、まだ父親って奴を信じられないんで。」
「...君達を捨てていった父親への恨みかい。」
「ええ、そんな所です。だから今の親父を親父って呼べるようになるまでも結構かかったんですよ。言い方はアレですけれど、ぽっと出のうずまきさんを親父とは呼べないです。」
その言葉に納得できなかったうずまきさんは声を荒げた
「なら、善子の事を諦めるのか、君は!善子と君は血の繋がった親子なんだぞ!」
「...正直今でも悩んでます。うずまきさんがなんて言おうと、結局俺と母の問題ですから。母が俺のいない所で幸せに過ごしているならそれで良いと、俺は思っていました。」
うずまきさんは、自分の言葉に荒げた声を一旦鎮め、純粋な疑問をぶつけてきた。
「...いました?過去形なのかい?」
「はい、過去形です。昨日幸せだった母を見て、俺の感じたモヤモヤの事をずっと考えてたんです、一晩中。いっぺん死に掛けたこともあって結構フラットに考えられました。そうして見つけた答えがあります。」
「その答えを聞いても?」
「簡単な事だったんです俺の、8歳の俺の出した答えも半分くらいは正解でしたと思える事でした。
俺は、『俺が』母さんを幸せにしてあげたかったんです。
で、8歳の俺はその『俺が』って部分を見なかった事にして、楽な自己犠牲で逃げたんです。それが、団扇巡8歳の本当の真実です。
俺は半分間違えたんだと思います。母の幸せだけじゃなく、自分の幸せまで一緒に考えて、その上でどんな事をしても一緒に生きていく覚悟を決めるべきだったんです。」
うずまきさんは自分を労わり、自分の事を慮って言葉を紡いでくれた。
「...君は背負い過ぎだ、そんな苦難の道をたった8歳の少年が選べる訳がない、それに君が選んだ道、君自身が親元から離れるという選択だって十二分に苦難の道だ。それを選んだ時の君の勇気までも否定してはいけない。
こんな言葉を知っているかい?人生万事塞翁が馬ってね。」
「知ってます。最終的に何が得になるのかわからないって意味ですよね。自分の人生を一言で言うならこの諺なので割と気に入ってる言葉です。」
「君が半分正解な道を選んでくれたお陰で僕は善子と出会う事が出来た。善子がいたから、僕ら家族は体育祭に行こうという話になった。僕らが体育祭に行ったから、君と善子は再び出会えた。それに動揺した君は携帯を落として僕がそれを届けに行くことになった。そんな自分を見かけたからエンデヴァーは僕たちを助けに来てくれた。
昨日1日だけでも充分塞翁が馬だろう?君があの日あの選択をしたから僕らは今生きているんだ。それを忘れてはいけない。
大事なのは過去の選択じゃない、その選択が今どうなっているかなんだ。」
その言葉に、この人がいるなら母は大丈夫だと安心できた。だから自分のこの考えを口にすることに迷いはなかった。
「はい。だから決めました。俺は、母の洗脳を解きます。そしてもう一度、親子として向き合いたいと思います。その結果がどうなろうとも。」
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プレゼントマイクの実況が聞こえる。
「準決勝第2試合!高い運動性能!一瞬で決まる催眠眼!2つ揃えたこの男!団扇巡!
「...試合前でも目を合わせちゃくれないか。」
「当たり前だろクソ目、テメェの目なんざ誰が見るかクソが。」
「ま、警戒するのは当然か...俺本当に試合前に催眠とかするつもりはないんだけどなぁ...」
「うるせぇ死ねカス。」
爆豪は前傾姿勢を取った、おそらく先手を取り片付ける算段だろう。対策として写輪眼を発動しておき、腰を落としてすぐ動けるようにしておく。
「さぁ、激動の準決勝!
レディィィィィィイ、START!!」
「死ねクソ目野郎!」
そう言って爆速ターボで飛びかかってきた爆豪は、目線から見るに自分の足で位置を判断していた。だが相手は才能マンの爆豪だ。対処は芦戸の時と同じでは痛い目に合うのは自分だろう。
まぁ射程距離は向こうの方が爆発により長い、近づかないと何もできないだろう。よって取るべき策は接近だ。
手に集まる体内エネルギーから爆発範囲を予測、ギリギリで回避してカウンターを狙う。だが、爆豪は攻撃ではなく爆発で後ろに回ることを選択した。
「テメェの武器はその目の催眠と反射神経だッ!後ろに回れば関係ねぇよなどっちもよぉ!」
その言葉と共に後ろから本命の爆発が飛んできた。範囲がわからない以上、前に転がり大きく回避する。その際後ろの爆豪と目が合わないかと期待したが、しっかり目を逸らされていた。抜け目のない奴め。
転がることで距離が離れた、が一瞬で詰められた。またしても爆速ターボだ。向こうの狙いは2択、もう一度後ろを取るかそれをフェイントとして正面から爆発させにくるかだ。
爆豪はスロースターター、時間を与えると掌の汗腺が広がり爆発が強力になっていく。だから長期戦は愚策、ダメージ覚悟のカウンターで行くしかない。
そう思い狙った無理目のカウンターは、爆豪の2つ目の策により迎撃された。
「
「目眩しッ!」
「効果てきめんだろテメェみたいな目を酷使する奴にはよぉ!」
強い光から目が開けられない。
咄嗟にガードを構えたが、爆豪は自分の足を掴んできた。勘で殴り返すもガードされた。自分の拳の勢い、残った手の爆発による勢い、それにより生まれた回転の勢い、その全てを使った投げで自分は体勢を崩された。最悪なことにうつ伏せで。
後から考えるとその瞬間に勝負は決まったのだろう。うつ伏せ状態から咄嗟に顔を上げるも爆豪は予想以上の上空にいたため眼の見える範囲に捉える事は出来なかった。
上空からのニードロップを察知出来なかった自分は爆豪に背を取られ、両手と足で両腕と頭を押さえつけられた。
「動けば爆破する、言うべき事は分かっているよな?」
「畜生、完敗だ...『まいった』」
主審のミッドナイトの声が聞こえる。
「団扇くん降参!爆豪くんの勝利!!」
プレゼントマイクの実況が聞こえる。
「決着ゥ!!よって決勝は、轟対爆豪に決定だあ!!!」
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レクリエーションの間の休息時間、念のため人気の少ない所に移動してくれたうずまきさん一家の元へ自分は赴いた。
「本当にいいんだね、団扇くん。」
「ええ、どんな結果になっても受け止める覚悟はできています。」
「あ、この前のお兄ちゃん!」
「団扇くん?どうしたのあなた、一緒の病室で仲良くなったの?」
覚悟を決めて自分は言った。
「うずまき善子さん、貴方にお話があります。」
「ええ、何かしら?」
「自分の目を見てくれませんか?」
「その...目は...⁉︎」
「貴方を俺のかけた戒めから解き放ちます。それがきっと、また始めるためのするべき事だから。」
「...巡。」
自分の言葉への返答は一発のビンタと暖かい抱擁であった。
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爆豪対轟の決勝戦は爆豪の勝利によって終了した。
それにより体育祭の全種目は終了した。
そうして向かう表彰式への道を歩いてる途中、珍しい事に轟に声をかけられた。
「なぁ団扇、お前って家族仲良い方なのか?」
「いいや全然、って訳じゃもうないな。うん、ちょっとしてないきっかけがあって家族仲は良くなったよ。」
「ちょっとしてないのか...そのきっかけってヤツ、教えてもらって良いか?」
「まぁいいけど、あんま面白くはないぞ。」
「知りたいんだ、家族の仲直りの仕方ってヤツを。」
「...俺はいろいろあって母と8年くらい離れていたんだ。しかも俺を忘れろって催眠をつけた上でな、最悪だろ?
でも母は俺の事をどこかで覚えていてくれていたんだ。俺の催眠はそう簡単には解けない筈なのにだ。
親ってのは子供が思う以上に子供のことを愛してくれているみたいだぜ。きっかけといえばそのことに気づけた事だな。
ちなみに俺はこんなことは二度とするなって一発叩かれた。」
「知ってる、見てたからな。」
「やっぱ見てたんかい。」
そんな会話だったが、轟の顔も自分の顔も、どこか柔らかいものだった。
省いたエピソードは大体原作通りです。違う事といえば飯田の兄の負傷の連絡を兄の意向で伝えるのを遅らせたくらいです。
デクの解説付きで全試合実況も考えたんですが、コレただの原作通りだし省けるんじゃね?と魔が差したのが体育祭本線ダイジェストモードの理由です。
にしても連日投稿2連続失敗です。
読者を掴むための3要素、面白い文章、速い投稿速度、別アカでの裏工作のうち自分で満たせる投稿速度はなるべく保っていたかったんですがうまくいきませんねー。
あ、体育祭編終わったので職場見学編、期末試験編のプロットが終わるまで投稿はお休みします。ご了承下さいな。