【完結】倍率300倍を超えられなかった少年の話   作:気力♪

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この話で書きたかった点は2つ、一つはなんだかんだで押し付けられる役割とは皆からの信頼度に比例するという事、もう一つは後半の馬鹿っぷりです。
巡くんは健全な男子高校生なのですよ。


林間合宿編
魔獣の森と入浴


時は流れ、林間合宿当日

 

集合場所にて物間がいきなりA組を煽ってきた。

 

「え?A組補習いるの?つまり赤点取った人がいるってこと⁉︎ええ⁉︎おかしくない⁉︎おかしくない⁉︎A組はB組よりずっと優秀なハズなのにぃ⁉︎あれれれれぇ⁉︎」

 

拳藤の無言の手刀、物間は黙らされた。

なお、B組全体がA組を敵視している訳ではないようで、B組女子連中は好意的な声をかけてくれた。

 

そんな女子に反応するのはやはりこの男、A組の性欲魔人峰田実である。

 

「よりどりみどりかよ...」

「おまえダメだぞそろそろ。」

「なぁ峰田。」

「なんだよ団扇、オイラは今忙しいんだ。後にしてくれ。」

「あんまり度が過ぎるとお前のリトルミネタ、勃たなくするぞ?」

「...怖えよ⁉︎」

 

実際に個性で勃たなくする事はできるかは試した事はないが、脅しにはなるだろう。

まぁ、この程度の脅しで屈するような奴だとは思えないのが峰田の凄い所なのだが。

 

「A組のバスはこっちだ。席順に並びたまえ!」

「行こうぜ峰田、視姦はそこまでだ。」

「チッ、良い子ちゃんぶりやがって。オイラ知ってるぞ?お前も結構なエロ野郎だって事を!」

「そりゃエロくない男なんかいないだろ。」

「それもそうか。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

バスの中で語られた峰田と官能小説家の感動?話を聞いて、今度機会があったらサイン本読ませてもらおうと決意を固めたころバスはパーキングでない開けた空間に止まった。

 

「よーーうイレイザー!!」

「ご無沙汰しています。」

 

相澤先生が頭を下げた。相手はコスチュームを身に纏った2人の女性。

 

「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」

 

決めポーズを決めた2人のヒーローがそこにいた。

 

「今回お世話になるプロヒーロー『プッシーキャッツ』の皆さんだ。」

 

こういう話題のときに頼れるのはヒーロー博士緑谷出久。緑谷は誰に言われるでもなく解説を始めていた。

 

「連名事務所を構える4名一チームのヒーロー集団!山岳救助を得意とするベテランチームだよ!キャリアは今年でもう12年にもなる...」

 

と、金髪の方の女性が緑谷の語りを止めた。

 

「心は18!!」

「へぶ。」

 

女性に年齢の絡む話はするなという事だろう。この辺は前世と同じ価値観なのな。

 

そんな事を考えていると黒髪の女性が何やら不穏な事を言い始めた。

 

「あんたらの宿泊施設はあの山のふもとね。」

「遠っ!!」

 

ザワつき始める皆。何か来ると判断した自分は写輪眼を発動させた。

 

すると、見えたこの辺り一帯の土砂に干渉する金髪の女性の身体エネルギーが見えた。嫌な予感しかしねぇ!

 

「皆!バス戻れェ!」

「流石ヴィラン潰し、反応が早いわね。」

 

叫ぶとともにバスのドアへと飛び込む。自分はギリギリ間に合った。

 

そして振り返ると、濁流のような土砂によって皆が崖下に投げ出されているのが見えた。ついでに自分を掴む相澤先生も。

 

「もう合宿は始まってる。行ってこい団扇。」

 

その言葉とともに土砂の中へと投げ込まれた。

 

「奇襲回避ボーナスとかないんですかぁ!」

 

黒髪の女性が土砂に飲まれてる皆に叫んだ。

 

「キティ達!12時半までにたどり着けなかったらお昼抜きね!」

 

土砂で優しく崖下に運ばれた辺りで再び黒髪の女性の声が聞こえる。

 

「私有地につき個性の使用は自由だよ!今から3時間、自分の足で施設においでませ!この、"魔獣の森"を抜けて!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

着地とともに状況確認。自分が一番最後のようだ。

 

「全員無事か!」

 

「おー」「なんとか」と声が聞こえる。全員無事なようだ。

 

ならとりあえずこのサバイバルを生き抜くために必要なアイテムは

 

「八百万、コンパス作れるか?」

「いえ、もっと良いものを...できました、GPS受信デバイスです。」

「ありがたいな、迷う心配はなさそうだ。」

 

前を向くと峰田が土塊の獣と相対していた。

 

「「マジュウだー!⁉︎」」

 

上鳴と瀬呂が叫ぶ。

 

口田が咄嗟に個性を使って止めようとした。

 

「静まりなさい獣よ、下がるのです。」

「アレは個性で作られた土塊だ!口田の個性は通じない!」

 

口田の個性が効かないと分かった時点で動き出したのは4人。緑谷、爆豪、飯田、焦凍だ。4人はそれぞれの個性を用いて魔獣を一蹴した。

前衛はあいつらに任せて大丈夫だろう。

 

「障子は目を作って索敵、耳郎もイヤホンで頼む。魔獣が他にもいるはずだ。砂藤、糖分はあるか?」

「ああ、角砂糖は常備してる。少しなら戦えるぜ。」

「とりあえず俺のポケットに入ってたチョコレートだ。持っとけ。」

「ありがとよ団扇。」

 

「団扇、魔獣が5体だ。」

 

「1人では当たるな、近くの連中と連携して囲んでボコれ!」

 

なんか指揮官みたいなポジ押し付けられた気がしないでもない。

ただ視野は広い方なので問題はない。

 

まぁ仕切るのはA組委員長のこの男だろう。

 

「行くぞA組!」

 

飯田の声に「応!」と皆が答えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

魔獣が前足を振り上げ迫ってくる。外に一歩躱して後ろ足を殴り壊す。砂鉄グローブをポケットに入れておいて本当に良かった。

 

「砂藤!」

「任せろ!」

 

体勢を崩した魔獣の顔面を砂藤のシュガードープで強化された筋力で破壊する。あのパワーはやはり強い。今まで目立っていないのが不思議なくらいだ。

写輪眼で魔獣を確認するとエネルギーの流れが途切れているのが分かった。

 

「皆、顔面壊せば魔獣は動かなくなる!火力連中は顔面狙え!」

 

索敵要員の耳郎の警告が響く

 

「2時方向から2体来てる!」

「八百万頼む!時間稼ぎは...葉隠、頼めるか?」

「オッケー、囮だね!任せて!」

「団扇、正面上から魔獣が来る!」

「焦凍足止め!爆豪トドメ!」

「わかった。」「命令してんじゃねぇクソ目がぁ!」

 

焦凍の氷結と爆豪の爆破のコンボ、葉隠を狙う魔獣への八百万の砲撃によりとりあえずの安全を確保できた。

 

「進むぞ!待ち伏せには注意しろ!障子、耳郎、索敵継続して頼む、お前らが頼りだ。」

「任せて、団扇。」

「任された。」

 

「上鳴、砂藤、青山、お前ら弾数は大丈夫か?」

「俺はまだ平気だぜ、流石にウェイって足手まといにはなりたくねぇしな。」

「俺も平気だ。角砂糖はまだ残ってる。」

「メルシィ、まだまだ全然大丈夫さ。」

「お前ら3人は出来るだけ個性を温存しろ、助けてやれる余裕はなさそうだ。まぁそんな事言ってられる状況かは疑問だけどさ。」

 

3人は頷いた。自分の個性のデメリットをよく知っているが故だろう。

 

そんな時、障子の声が響いた。

 

「団扇、待ち伏せだ!囲まれている!」

 

ざっと周囲を見る、魔獣は7体

近くにいる連中だけで対処できないグループは峰田と瀬呂の所くらいだろう。それ以外は自力で対処できる奴がいる。が、破壊できる奴は限られている。頭を回して指示を出さねば!

 

「各自応戦!青山!峰田と瀬呂を援護!砂藤と耳郎は尾白の所向かえ!上鳴、障子の援護行くぞ!」

 

青山のネビルレーザーにより体勢を崩した魔獣は峰田のもぎもぎと瀬呂のテープにより拘束された。これで一体

尾白が格闘で対処していた魔獣を砂藤が抑え、耳郎のイヤホンジャックで顔面を破壊する、これで二体

障子に襲いかかってきた魔獣は振り上げた右前足を障子が6本腕で押さえ込み、左前脚を自分が蹴りで破壊する。これで体勢が崩れた。

 

「上鳴!」

「おうよ!130万ボルト!」

 

体勢が崩れた魔獣の上に上鳴が乗り、障子が手を離すと同時に電撃を放ち魔獣を破壊する。これで3体。

 

麗日のゼログラビティで浮かされ蛙吹の舌で叩きつけられた魔獣、八百万の砲撃で破壊された魔獣が見えた。これで5体。

 

緑谷と飯田、焦凍と爆豪がそれぞれ一体を瞬殺していた。これで7体、包囲突破だ。

 

「障子、耳郎、また索敵頼む!先は長いぞ、体力を使いすぎるな!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

八百万のデバイスで確認したところ、時間は12時半を過ぎてしまった。

与えられた課題をこなせないとかなんちゃってとはいえ指揮官の名折れだ。

 

「すまん皆、時間オーバーだ。今だいたい中間地点過ぎた所だ、どうやったって間に合わん。昼飯は抜きになっちまったな。...ある程度開けた所に出たら一旦休憩入れよう。」

「しゃーねぇよこの魔獣の数だ。むしろ団扇はよくやってくれたさ。」

「そうだよ団扇くん、良い指示だったって。」

「その通りだ、団扇くん!本来なら委員長の僕が指示を出すべき所を押し付けてすまないと思っている!だが見事な指揮っぷりだった!お陰で皆怪我はしていないのだから!」

「...ありがとよ。」

 

爆豪から「死ねクソ目」くらいは飛んで来そうなものだったが、なんと黙っていた。自分の指揮にある程度は納得してくれていたのだろう。

 

歩いていくと開けた場所に出た。幸いにも魔獣は見えない。

 

「ここで20分休憩にする。ただ奇襲が無いとは言い切れないから警戒は抜ききるなよ。」

 

3時間緊張の中歩き続けたのだ、皆の疲労もかなりのものになっているだろう。疲労という見えない敵が一番怖いとはよく言われた言葉だ。

 

「団扇、ちょっと良いか?」

「焦凍か、どした?」

「なんで此処で休憩にしたんだ?無理すりゃもうちょい行けただろ。」

「ああ、単純だよ。ここみたく休憩に適した地形が次もあるかは分からん。だからこの際に隊列とか前線のローテーションとか色々決めておきたかったんだよ。流されたままのなあなあでここまで来ちまったからな。それに、もうタイムオーバーで急ぐ必要は無くなったし。」

「成る程な、納得した。...色々考えてるんだなお前って。」

「気付いたら指揮官になってたからな、投げ出すわけにはいかん。つー訳で八百万、緑谷、飯田、作戦会議開くぞー。」

「ム!承知した!」

「うん、わかったよ団扇くん。」

「ええ...そうですね、ホワイトボードなどは入り用ですか?」

「流石だな八百万、それじゃあ頼むわ。」

「頼まれましたわ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「常闇、突撃!口田はサポート!」

「応!」

「行きなさい、森の徒たちよ!」

 

「右翼!左翼!打ち合わせ通りに!常闇を中心に最小限の戦闘で突破する!」

 

作戦は単純、森の闇で強化されている黒影(ダークシャドウ)で正面をぶち破りつつ両翼に配置した捕縛系個性を持つ峰田、瀬呂で左右から襲いかかる連中を無力化し、真っ直ぐ施設へと向かうという脳筋戦法である。

尚、爆豪、焦凍、緑谷、飯田の対応力の高い連中はあえてフリーにする事で即席連携ゆえの脆弱さをカバーしてもらっている。

弾数に制限のある連中は今のところ隊列の中央部で温存、常闇が黒影(ダークシャドウ)を下げるタイミングや両翼が崩れそうになったタイミングで戦力を投入するつもりだ。まぁ右翼にはクラス随一の格闘能力を持つ尾白と運動性能ピカイチな芦戸が、左翼には職場体験で近接格闘術を学んだ麗日と全体的に優秀な蛙吹のコンビがいるので崩れる事はあまり心配しなくていいだろう。

 

「うー、私仕事なくてちょっと罪悪感だよー。」

「すまん葉隠、この森でお前の特性を活かす策は思いつけなかった。」

「葉隠さん、個性を活かすタイミングはこれから先必ずありますわ。今罪悪感を覚えるのなら未来のその時に活躍して下さいな。」

 

「正面の魔獣を突破した!」

「右、拘束完了だ!」

「左も足止め終わったぜ!」

 

「よし、進むぞ!何度も言うが待ち伏せ不意打ちには注意しろよ!」

 

魔獣の森を進む21人、隊列はおそらく本職の目から見れば拙いものであるだろうが身体も動きの予備動作も大きい魔獣相手になら十分な効力を発揮できた。

 

以降は何度かの休憩を挟みつつであったが、スムーズにこの森を抜ける事ができた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「凄いにゃん君たち。四時台につくなんて。予想よりだいぶ早かったにゃん。」

 

皆疲れながらもなんとか辿り着いた宿泊施設。自分は青山に肩を貸しながらなんとか歩いていく。

 

「12時半までにつけって話じゃなかったんですか?思いっきり失敗しましたけど。」

「ああ、あれは私達なら3時間で着けるってだけの話よ、気にしないで。」

「...畜生、そんな事なら最初っから安全策取っときゃ良かった!最初に隊列組み上げられたならどれだけ楽だったか!」

 

あんまりな事実に膝をつく、始めの頃は時間制限を守るためにギリギリまで皆を酷使したのにそんな必要はなかったとか...前半の無理がなかったら青山とかもっと温存できたぞ畜生。

 

「ねこねこねこ!にしても良かったよ君!皆の個性を活かしたいい指示出しだった!」

「まぁ要所で暴れてくれる緑谷たちありきの指示でしたけどね。」

「うんうん、謙虚な姿勢も良いね、ツバつけちゃお!」

「恥ずかしいのでNoで。」

「つれないねー!」

 

「マンダレイ、あの人あんなでしたっけ。」

「彼女焦ってるの、適齢期的なアレで。」

 

「適齢期と言えばー...」

「と言えばて!!」

 

緑谷が金髪の女性に口を塞がれる、うん、この時代でも女性の年の話は誤魔化そう。

 

「ずっと気になっていたんですが、その子はどなたかのお子さんですか?」

 

緑谷は少し離れた所にいる帽子の少年を指して言った。目立っていなかったが魔獣の森に投げ込まれる前にも見たような気がする。

 

黒髪の、マンダレイと言われていたヒーローが緑谷の問いに答えた。

 

「ああ、違う。この子は私の従甥だよ。洸汰!ホラ挨拶しな。一週間一緒に過ごすんだから...」

 

緑谷は洸汰少年の元へと歩き、手を差し伸べて自己紹介をした。

 

「あ えと僕雄英高校ヒーロー科の緑谷、よろしくね。」

 

返答は少年による股間へのパンチであったが。あれは痛い。

 

倒れた緑谷に駆け寄る飯田。

 

「おのれ従甥!!何故緑谷くんの陰嚢を!!」

 

スタスタと去りながら洸汰少年は言った。

 

「ヒーローになりたいなんて連中とつるむ気はねぇよ。」

「つるむ!⁉︎いくつだ君!!」

 

「マセガキ」

「お前に似てねぇか?」

「あ?似てねぇよ。つーかてめェ喋ってんじゃねぇぞ舐めプ野郎。」

「悪い。」

 

緩み始めた空気を相澤先生がぶった切って話を始めた。本当に相澤先生はブレないなぁ。

 

「茶番はいい、バスから荷物下ろせ。部屋に荷物運んだら5時まで休憩の後食堂にて夕食。その後入浴で就寝だ。本格的なスタートは明日からだ、さぁ早くしろ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「いただきます!!」

 

食堂、目の前には白米、唐揚げ、サラダに肉団子に魚、ローストビーフに餃子とよりどりみどり。だが白米を食えと言わんばかりのメニューだった。

 

「美味いな、白米がこんなに美味く感じられるとか久しぶりだわ。」

「そうやね、空腹は最高のスパイス!」

「うむ、美味しいぞ本当に!雄英の食堂にも引けを取らないな!」

「うん、ランチラッシュの食堂に引けを取らないなんて、流石山岳救助のプロって事なのかな。」

「確かに、誰かを助けた後食わす最初の飯が美味いと心まで救える感じがするしな。」

「うん、災害救助を専門にしてるヒーローのインタビューでよくそう言うのは聞くね。ランチラッシュとかクッキークッカーとか食事の力で人を救おうってヒーローも結構多いしね。」

「へー。」

 

流石のヒーロー博士っぷりは相変わらずだなー。

そんな事を思っていると、

 

「まー色々世話焼くのは今日だけだし、食べれるだけ食べな。」

 

と聞き捨てのならない台詞がマンダレイから飛び出してきやがった。

 

「...うん、食い溜めしておこう。ご飯おかわりお願いします!」

「はーい」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

所変わって風呂場、食後の入浴の時間である。

 

「まァまぁ...飯とかはねぶっちゃけどうでもいいんスよ。求められてんのってそこじゃないんスよ。その辺わかってるんスよオイラぁ...

求められてるのはこの壁の向こうなんスよ...」

「峰田、お前に一応言っておくが、覗きはバレたらアウトだぞ。正面突破はやめとけ。」

「ウルセェイケメンは黙ってろ。オイラのパライソはこの壁の向こうにあるんだよ!」

「浅はかだぞ峰田実!」

「な、何を言ってやがる!」

「今はまだ、B組の連中が来ていない!そんな中で正面突破はチャンスを無駄に使うのと同じことッ!」

「くっ、痛い所を突いて来やがるッ!だが今なんだ、今なんだよ団扇!パライソは今壁の向こうにあるんだ!たとえそこにB組連中がまだ到着していなくてもあるんだよ!八百万のおっぱいが!芦戸の腰つきが!麗日のうららかボディが!蛙吹の意外な大きさが!なら立ち向かうのが男って奴だろうが!」

「くそ、納得できちまう!俺だってできるならこの壁を越えてしまいたい!だが駄目だ、駄目なんだよ峰田!」

「何故だ団扇!お前はイケメンだがかなりのエロパワーを誇る俺たち側の人間の筈!どうして俺の旅路を止めようとするんだ!」

「俺は!湯上り姿もエロいとおもっているんだぁ!」

 

沈黙が周りを支配した。峰田よ、裸体をこよなく愛するお前とは違い、俺は着衣エロも尊いと思っているのだ。

 

「フッ、平行線だな団扇。」

「ああ、平行線だ。そして峰田よ、お前には俺がお前を止めなければならない理由もわかった筈だ。」

「湯上りの無防備な姿を目に焼き付けるために男子を警戒させてはならないって事か...」

「その通りだ。俺は俺の信じるエロのためにお前のエロと戦うッ!」

「お前を見くびっていたかも知れないぜ団扇巡。だがオイラは負けられない!信じたい、エロがあるんだぁ!」

 

峰田は俺の目を見て強く、強く言い放った。

 

「言葉は不要か...なら使わせてもらう!」

 

写輪眼発動、とある命令を峰田の脳に刷り込んだ。

 

「な、なんだこの喪失感は!オイラの大切な何かがえぐり取られてしまったような...ッ!」

「なぁ峰田、お前のパライソを思い浮かべてみろ。それでわかる筈だ。」

 

峰田は少し目を閉じてイメージを膨らませた。だがその瞬間に気付いたのだろう。峰田は膝をついた。

 

「た、勃たねぇ...ッ!」

 

その言葉に戦慄したのは浴室にいる全ての男子たちだった。

 

「団扇!お前は悪魔か!」

 

上鳴からヤジが飛んできた、だが仕方あるまい。

 

「悪魔でいい、俺の望む世界のためならば!」

「ただ湯上り美人を見たいだけだろお前は!そんな事の為に峰田を、峰田のリトルミネタをぉ!」

「外野は黙ってろ!さぁ峰田!その起動しなくなった男の象徴で何をする!何ができる!」

「...ハン、残念だったな団扇!お前の目論見は失敗に終わる!」

「な、何だと⁉︎」

「エロってのはよぉ股間(ココ)じゃなくて、(ココ)で感じるもんだろうがぁ!」

 

そう言って、峰田は一瞬のうちに女子風呂との壁を高速で登って行ってしまった。戦慄しているうちに手の届かない所まで行くとは...

 

「認めるしかないな。峰田は、あいつは本物だ。象徴を失って尚立ち続けられるなんて生半可な覚悟じゃあねぇぜ。」

「団扇くんが真面目な顔ですっごい馬鹿な事言ってる...」

 

緑谷に物凄い辛辣な事言われた気がするが気にしない。

 

「壁とは越えるためにある!!Plus Ultra !

この時のために、この時のためにオイラは!」

 

「ヒーロー以前に人としてのあれこれから学び直せ。」

 

峰田の希望へのクライミングは二枚壁の内側から現れた洸太少年に叩き落とされた事により失敗に終わった。

 

「くそガキィイイィイ!⁉︎」

 

あの高さから落ちたらただでは済むまい。当然キャッチだ。

 

「ありがと洸汰くーん!」

 

その声に振り返った少年は楽園を覗き見てしまい、ショックで後ろに体重を乗せてしまった。結果壁の上から落ちてしまった。

 

まぁ少年程度の体重なら片手で支えられるだろう。右手で峰田を、左手で洸汰少年を掴み落下の衝撃を逃がした。

 

「大丈夫か2人とも。」

「オイラは平気だぜ...畜生、あと一歩だったってのによぉ...」

「洸汰くん?」

 

洸汰少年は鼻血を少し出した状態で意識を失っていた。

 

「大変だ!意識を失ってる!」

「ちゃんと衝撃は逃したから大事はない筈だ。でもとりあえずここじゃあアレだし、緑谷、洸汰少年を頼む。」

「うん、団扇くんは?」

「コイツを捕まえとく。」

 

そう言って右手で掴んだ峰田を見せる。

 

「な、何故オイラが諦めていないと分かった!」

「一度落ちた程度でお前が諦める筈がない。そう思ったからだ。」

「...完敗だぜ湯上りエロ派の団扇巡、今日の所は諦めてやるよ」

 

ちなみに俺と峰田の会話は女子に筒抜けだったため、湯上り姿はチラッとしか見せて貰えなかった。もっとじっくり見たかったッ!

 




峰田と巡は巡がイケメンでさえなければ出会った初日に親友になれたレベルの相性が良いです。なぜなら峰田のエロへの良き理解者となってしまうからです。馬鹿と馬鹿の相乗効果で物凄い馬鹿が生まれるッ!
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