【完結】倍率300倍を超えられなかった少年の話   作:気力♪

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このタイトルなのにまだ受験に絡まない遅筆
プロット段階だと前後編で終わるはずだったんだぜこの作品。
指の滑りに身を任せてみるとテンポは良くなるけどこういった問題が生まれるとは、始めて知りました。


団扇巡8歳の真実

中学3年の夏、予定通り自分は840万を完済した。

 

これで晴れてヤクザの呪縛から解き放たれた、というわけではない。

まだ、高校の入学金が必要なのだ。雄英高校は取る人数を制限しているためその辺の奨学金関連の制度もしっかりしている。だから雄英に入る分にはもう働かなくても問題はない。だが雄英高校ヒーロー科の倍率は300倍、いつ聞いても狂気の数字である。

雄英一本に絞るなんてことは無茶も無謀もを通り越した何かだ。そんな事が出来るのは二次小説のオリジナル主人公くらいだろう。自分には無理だ、保険がないとか不安すぎるわ。

 

そんな事を考えながら仕事終わりの清掃をしていると、オッサンが俺に話しかけてきた。

 

「おい巡、話がある、良いか?」

「何?小指のオッサン。借金はもう返し終わったから深夜も働けーとかは聞かないよ?」

「受験前の中学生に言うかそんな事を。まぁ、お前の借金絡みではあるんだがな。」

「...実は利子が付いていたとかのオチ?それならもうお先は真っ暗なんだけど。」

「違うわアホ、借金の最後の返済はお前自身でオヤジに渡してくれないか、って言う相談だ。オヤジはずっとお前に会いたがっていたんだよ。でも、機会がなくてな、今になっちまった。お前視点でももう組との関係は切れる訳だし、この際挨拶しといたらどうだ?」

「そうだね、落ち目とあってもヤクザの頭、そんな人に会う機会なんてまずないだろうし、会ってみたいかも。俺を買ってくれたお礼まだ言ってないし。」

「普通買われた事のお礼とか言うもんじゃないが、お前だしなぁ。シフトの無い日は休んでりゃいいのに金にもならんボランティア活動に勤しむ奴とか居ないだろ今日日。まぁ、いい。それじゃ会うって事で良いんだな?」

「良いよー。あと、ボランティア活動は金にはならないけど内申には影響する訳だから得にならない訳では無いよ。俺みたいな内申に傷がつきやすい出自の奴にとっては得にね。」

「わかった、オヤジに連絡入れておくわ。でも思うんだが、言うてもお前勉強だけなら学年一位だろ?そんな内申とか気にしないでいいんじゃないか?」

「甘いぞ小指のオッサン、学年一位程度で安心できる相手じゃないのさ俺の第1志望は。」

「そういや聞いてなかったな、お前どこの高校受けるつもりなんだ?」

「倍率狂気の300倍、選ばれたトップエリートのみが入る事を許されるあの高校だよ。」

「おま、マジか⁉︎ヤクザに足を半分突っ込んでいるような奴の入る高校じゃねえぞ、大丈夫なのか?」

「その為に筋トレも勉強も頑張ってきた訳よ。まぁ一本に絞るのは不安すぎるから今こうして他の高校の入学金稼ぐ為に働いている訳なんだけど。」

「成る程なぁ、道理で驕らず努力を辞めない訳だ。納得したわ。んじゃ、今週の日曜の午前中な、忘れるなよ?」

「オッサンこそ寝坊するとかやめてくれよ?...あ、そうだ、ヤクザの本拠地ってドレスコードとかあるの?俺スーツ持ってないから学ランなんだけどさ。」

「ねぇから安心しろ。死穢八斎會とかの超大手ならともかくウチみたいな弱小にそんなご立派なもんがあったらむしろ驚きだわ。」

「りょーかい。無駄な出費が増えなくてよかったわ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そんな訳でやって来ました財前組の本拠地、そこは巨大な日本家屋であった。

門の前でオッサンと少年は話す。

 

「財前組って、落ち目な割にはでっかい屋敷もっているんだね。」

「今落ち目である事と歴史が古い事はイコールで結べないからな。」

「にしても家からここまで徒歩だとは思わなかったよ、普通迎えの車とかあるんじゃないの?」

「徒歩15分の所に文句言うな、近いんだから歩け、若いの。」

「徒歩15分って歩くか微妙なラインじゃない?」

「徒歩15分とか普通歩くだろ。近いんだし」

「え、遠くね。」

「いや、近いだろ。」

「...これがジェネレーションギャップか...」

「単にお前がものぐさなだけだろ。さぁ入るぞ。」

「待った!インターホンは俺が押します。」

「なんでだ?」

「いや、こんなでかい屋敷のインターホンなんて押す機会もうなさそうですし、記念にと。」

「お前料理の手順といい妙な所で拘るよな...まぁいいさ、早く押しな。」

「それじゃ」

 

少年はインターホンのボタンを押した

ピンポーンという軽快な音は特にならなかった。

 

「あれ?音が無いんですけど、このインターホン壊れてません?」

「外に音が鳴らないタイプの奴なんだよ。ここのインターホン。」

「そういえば今時インターホンにカメラが付いてない、こういう所もレトロですねー。」

「単に金が無いから取り替えてないだけだけどな。」

 

そんな馬鹿話をしていると、屋敷の門が開いた。

 

「どうも、お招きに預かった団扇巡です。ってアレ?誰もいない。」

「さては扉のやつだな、いちいちここまで来るの面倒くさがって個性使いやがったな。」

「個性ですか?長距離のサイコキネシスとか超強個性じゃないですか、なんでこんな落ち目のヤクザに?」

「いや、アイツの個性はマーキングしたドアを自由に開け閉めする個性だ。でも鍵には影響力ないから空き巣にも使えない、俺と同じ没個性だよ。」

「あらら、そんな個性だったのか。何かに使えそうで何にも使えない没個性の定番みたいな人だね、オッサンと同じで。」

「うるせえ。さぁ扉は開いたんだから準備はできているって事だ。入るぞ、巡。」

「了解、小指のオッサン。」

 

門の中に入り、玄関のドアを開けると顔に刀傷のある風格のある老人が立っていた。

 

「よう、遅かったな小指」

「お、オヤジ⁉︎なんでオヤジが出迎えなんかしてんだよ、仮にも組のトップだろ⁉︎」

「なぁに、ちょっとしたサプライズって奴だ。」

「あーびっくりした、オヤジは相変わらず人が悪いぜ。」

「ははは、そう褒めるな。それで、そこのガキが例の?」

「どうも、お招きに預かりました、団扇巡と申します。」

「おう、ガキの癖に礼儀がしっかりしてるじゃねぇか。良いガキに育てたな、小指。」

「...オヤジには嘘をつけねえから言うが、売られた時からこいつはこんな感じだ。俺は特に何も教えちゃいねぇよ。」

「売られた時って事は確か8歳だろ?よっぽど厳しく躾けられた...って訳でもないか、売られるなんて事が起きるんだ、まともな家庭環境で育った訳もない。」

「いえ、俺みたいなのが生まれる事を除いては、普通の家庭環境だったと思いますよ?」

「...まぁ、今はいいか。中に入りな、小指、巡。」

「それでは、お邪魔します。」

「...ただいま、オヤジ。」

「お帰り、小指。それといらっしゃい巡。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

居間に通された自分たちは、座布団にゆるく座って話を始めた。

 

「えっと、オヤジさん。こういうのは最初にしておきます。お金を返しに来ました。」

「お前のオヤジって訳じゃない。財前要だ、好きに呼べ。」

「じゃあ要の爺さん、借金の残りの10万です。お返しします。」

「おうとも、確かに受け取った。これでお前は自分自身を買い戻したってことになる。もうウチの組の仕事をする必要はなくなった。つまり、自由の身だ。」

「まぁ、あと高校の入学金を稼がなきゃならないんでもうちょっと働かないといけないんですけどね。」

「そんなもん小指に出させりゃいいだろうに、謙虚なガキだな、お前。」

「小指のオッサンは確かに良い人です。でも、だからこそ頼りきりになったら手痛いしっぺ返しを喰らうのは目に見えてますよ。もうすぐ潰れるとはいえ、ヤクザの人ですから。」

「...話に聞いていた以上に変なガキだな、お前。お前くらいの年齢ならもっと大人を頼っても良いだろうに。」

「本来頼れるべき親に売られた子にそれを言いますか。まぁ、大人がみんな小指のオッサンみたく良い人なら自分も頼りやすいんですけどねぇ。」

「...一つ聞きてえ事がある。お前さん、どうして売られたんだ?」

「オヤジ!そんな事はガキに聞くもんじゃないだろ!」

「良いですよオッサン。今となっては折り合いのついた事ですから。

 

最初の頃は普通の家庭だったと思います。親が出生登録出し忘れるという大ポカやらかしましたけど。でも、俺が個性を目覚めさせた4歳くらいの時から様子が変わってきまして。俺の個性、両親の個性を継いだものじゃなくて、父方の個性を隔世遺伝したものらしくて、そんな俺をみて父親は俺にビビっちゃって、逃げ出したんです、俺から。

でも、母親は働いたことなんてなくて、パートでの仕事も始めてはみたもののすぐ辞めさせられてしまって、貯金がつきちゃったんですね。

んで、目の前には自分をこんな環境に追いやった子供がいて、ちょうど良く出生登録もしていなくて、お金も無くて。そんなお膳立てがあったんですから売るものといえば子供でしょう。

そんな訳で自分団扇巡はヤクザに売られてしまったのでした。」

「...何か隠してるな、お前。」

「...何か不自然でした?」

「4歳の時に父親が逃げたんだよな。なのに母親とお前だけの4年間の情報が少なすぎる。お前を売った母親への憎しみがなさすぎる。

つまりお前とお前の母親には、お前を売って然るべきだと互いが納得できるような何かがあったはずだ。」

「...話さないとダメですか?」

「いいや、正直どっちでもいい。だが、自分一人で抱え込むよか誰かに話してみた方が楽になれるぜ?お前さんみたいなタイプの奴は。」

「...そうですね、小指のオッサンを育てた要の爺さんになら、話してみるのも良いかもしれませんね。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

父に逃げられてから最初、母は自分だけでも俺を養おうと頑張ってくれた。そんな母を手伝いたくて俺は家事の手伝いを始めた。

始めの頃は良かった。母は俺の手伝いを快く思ってくれて、二人で家事を分担して行っていた。

でも、母はパート先でセクハラを受けるようになり、過剰なストレスを溜めるようになってしまった。

そんな母を助けたいと思って、俺は家事手伝いを頑張った。

頑張りすぎてしまったのだ。

 

自活できない自分と、自活を始めた子供。

ボロボロになって帰ってきた自分を迎えるのは、家事を完璧にこなした子供。

夜帰ってきて、待っていた子供の出した食事を食べて思うのは、味噌汁の味が自分のものと違うこと。

 

限界だった母を最後に追い詰めたのは自分(前世の記憶を持った化け物)だった。

 

「私はこんなこと教えてない!あなたには教えてない!料理も、洗濯も、掃除も!どうしてこんなに完璧にできるの!たった4歳の子供なのに!でもどうして私のやり方とは違うの?一体どこで、誰に、どうやって教わったの⁉︎

...教わっていないって?ネットで調べたって?ネットの使い方なんてまだ教えてなんかいないのに!

あなたは異常よ、異常なのよ、巡!」

 

その日から、母は仕事を辞めた。酒に溺れ、自分の事を無視するようになった。

限界まで追い込まれた、母の必死の抵抗だったのだろう。

 

その日から、俺は母に個性を使い始めた。

 

日に3食しっかり食べるように誘導した。

生活費を無駄に使い込まないように徹底させた。

酒を飲みすぎないように教育した。

一日の家事をちゃんとやる事を習慣付けた。

前向きな気持ちで生きれるように洗脳した。

...自分についての記憶を思い出せないようにした。

そして、母が自分がいなくても生きられるようになった頃、ダークウェブを通じて知り合ったヤクザに、良個性で無戸籍のガキがいるので売りたいと、自分で自分を売った。

それを行ったのは自分だと、母に思い込ませた。

それを行ったことに罪悪感を感じないように、母を洗脳した。

 

そうして、母の全てを洗脳して、自分(化け物)から母を解放した。

 

そのことを後悔はしていない。それが自分のできる精一杯の親孝行だと今でも信じているからだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「...つまりお前さんは、自分で自分を売ったってことなのか...」

「そうなりますね。でも、ヤクザに売られるなんて事は初めてだったので、そこから先どうなるかは完全に運任せでした。オッサンみたいな優しい人と巡り合えたのは、本当に運が良かったと思います。」

「...お前が売られてからすぐに正気を取り戻したのは、自分で自分を売ったからだったのか。」

「そういう事ですね。正直もっと酷い使われ方をするもんだと予想していたので、周囲が優しすぎて逆に戸惑ってました。」

「酷い使われ方か、いくらでも思いつくなお前さんみたいな強個性には。敵対者への尋問や、権力者の洗脳、なんでもありだ。」

「ヤクザから解放された今だから聞きますけど、なんでそういう風に俺を使わなかったんですか?」

 

老人はこう答えた。優しく、されど重い言葉で。

 

「お前さんを組織の道具にしなかったのは、始めは小指のおかげだな。売られた身とはいえ子供は子供、ヤクザのシノギに関わらせるのは危険すぎるとこいつは言ったのさ。魂胆は見え見えだったけどな。

 

んで、そうして腐ってた事務所を使ったサロンを開いて様子を見ているときに起きたのがあの籠城未遂事件だ。

正直、お前は見ているだけで良かったのに、ロクに縁も所縁もねぇサロンの連中を助けるためにお前は立ち上がった、俺たちの組員を助けてくれたのさ。その時から、お前は俺たちの恩人になったんだ。

正直、今の組の状態ではあの事件をお前さんが解決してくれなかったら俺たちは泣き寝入りしていたところだ。...俺たちが組をたたむ事を決意したのはこの事件があってからだな。

そんなヤクザの最後だ、恩人を巻き込むのも何だからな、お前みたいなガキは解放してやろうと思ったのさ。」

「...その割に840万はしっかり回収するんですね。」

「当たり前だ。組をたたむって事はカタギになるって事だ。金はいくらあっても足りねぇんだよ。それに、借金はお前さんがしっかり働いたら返せる額にお前さんの給金を上げたんだ。感謝しても良いくらいだぜ?」

「...妙に実入りが良いのは違法労働だからじゃなかったんですね。」

「そりゃそうだ。違法労働が稼げる時代なんてとっくの昔の話だぜ?落ち目のヤクザの言う言葉だ、説得力あるだろ。」

「その、ありがとうございます。自分で勝ち取った自由だと自惚れていたんですけど、組の皆さんの優しさが巡ってきての自由だったんですね。」

「その通りさ、俺が小指を拾って真っ当に育てたからお前さんには良い待遇が来た。お前さんに良い待遇が来たから籠城未遂のときお前さんは立ち上がってくれた。お前さんが立ち上がってくれたから俺たちはお前さんを助けようと思った。お前の名前の通り、善意って奴は巡るのさ。団扇巡、良い名前じゃねぇか。」

「正直、自分の名前は好きでも嫌いでもなかったんですけど、要の爺さんのお陰で、ちょっと好きになれそうです。」

「そんなお前に言っておかなければならんと思ったことがある。心して聞け。」

 

少年は姿勢を正し、老人を正面からしっかり捉えた。

 

「お前さんが母親を洗脳したのは紛れも無い事実だ。そこは多分いつかお前に降りかかってくる試練になるだろうさ。

だが、お前のその行動は、手段はともかく、確かな善意からの行動だった。そうだな?」

「他人の心を弄ぶ事に善意も悪意もあるものですか。悪行ですよこれは、俺が一生背負うべきね。」

「その言葉が言えるなら間違いない、お前さんは確かな善意から母の心を救おうとしたんだ。洗脳という手段は短絡的すぎだが、それでもその行動が善意からのものであるならば、必ず良い報われ方をされる。」

「報われる事を望んでの行為じゃないですよ。」

「それでも、お前は善意に報われる。70年生きてる俺の目を信じてみな。お前には、絶対に良いことがある。だから、お前はお前の未来を信じて良いんだ。過去に縛られて下向きながら歩くよか、未来を信じて上向いて歩く方がいい事は多いぜ?」

「...ありがとうございます。でも、そう簡単に考え方も生き方も変えられそうにないですよ。俺は。」

「それじゃあ賭けをしようぜ、団扇巡。」

「賭け?一体何のですか。」

「お前が、過去を振り切って幸せを掴めるかどうかの賭けだ。賭けに負けたなら、お前にはウチの組に戻ってきて俺たちの正式な家族になる。どうだ?」

「どうもこうも俺にメリットがないじゃないですか。受けませんよそんな賭け。」

「ちなみに俺は、お前さんが幸せになれない方に賭ける。」

 

老人は、ニヤリと笑みを浮かべてそう言った。

意図に気付いた少年は、驚いたあとはぁ、とため息をついた。

 

「それって要するに、俺が幸せを掴めなくってもこの組が俺の帰る場所になるぞって事ですよね。なんでそんな回りくどい言い方をするんですか。」

「だって、そっちの方が面白いだろ?」

「諦めろ、オヤジはだいたいこんなだ。」

「小指のオッサン...はぁ、わかった、受けるよその賭け。俺は俺が幸せを掴める方に賭ける。」

「お、やっと敬語が抜けたな。小指、賭けは俺の勝ちだな、教えろよ巡がどんなネタで初めて抜いたのか。」

「おい、なんか聞き捨てならないセリフが出てきたような気がするんですがオッサン⁉︎なんで他人の恥部で賭けをしてんだよ悪魔か!」

「ヤクザだよ。オヤジ、こいつの初めてのオカズは"女ヒーロー無残、縛られた女ヒーロー"だぜ。」

「オッサンはオッサンでなんで知ってるんだよ⁉︎」

「知らないのか?無線LANって管理者なら履歴見れるんだよ。これからヒーローやるってんならこう言うところも気をつけておきな。」

「畜生、知らなかった!」

「なんだ、お前さんヒーロー志望か!それなのにヒーロー物で抜くとか意外と業が深いんじゃねぇかお前さん。」

「要の爺さん!一応言っておくがタイトルで決めたんじゃなくてサムネの女優見て決めたんだからな!勘違いすんな!」

「ハハハ、どっちでも一緒さ!んで、どうだ?エロかったか?」

「エロかったよ畜生!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「んで、馬鹿みたいな理由で俺がヒーロー志望だとバレた訳だけど、それについて現ヤクザの組長はなんとお思いですか?」

「良いんじゃねぇか?別に、ウチの直系の息子がヤクザになるとかならともかく小指みたいな傍系が保護しているだけのただのガキだ。どんな未来に行っても良いだろ、別に。」

「良いのかよ...てっきりヤクザとヒーローは犬猿の仲だとばっかり思ってた。」

「良いや、犬猿の仲だぜ?ただウチは知っての通りもうすぐ組をたたむ。カタギになるんだからヒーローの知り合いができたっておかしくないさ。そんな訳で、応援してるぜ、雄英受験!」

「ありがと、要の爺さん。」

 




主人公は自らの母を洗脳するという大罪を犯しました。
その罪が許されて良いものなのかは自分には分かりません。
でも、当時巡君は4歳から8歳、学校にもいってないので頼れる大人もいない。ないない尽くしの状態でそれでも尚母を救おうと努力したのです。その努力を見て執行猶予くらいに思って下さいな。

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