身体中から力が溢れてくる。これがチャクラを全開にした状態か。
「さあ、まずは小手調べだ。死なないでくれよ?」
そう言ってオール・フォー・ワンは自分に向けて人差し指を向けてきた。腕への身体エネルギーの集中と共に。
「遠距離技!」
そう叫んで指先の直線上から父さんもろとも回避する。
「団扇少年!」
「俺に構わず奴を!自分とコイツの命は自分が守ります!」
「全く、君という子は!」
オールマイトはオール・フォー・ワンへと殴りかかる。
「DETROIT SMASH!」
「駄目です、見えてる所からの攻撃は『衝撃反転』で返される!」
「その通り、つまり君の攻撃の殆どは無力化できるのさ。オールマイト。」
「それは、どうかな!」
オールマイトは反射された衝撃を使って壁に着地し、オール・フォー・ワンへと再び向かう。
「タイムラグなしのオート反射って訳じゃあないんだろ?その個性は!」
「身体エネルギーは右腕に集まってます!」
「見えてる!腕をバネみたくする個性だ!」
「なら結果も見えてるね。」
オールマイトはバネの腕の空気を押し出す力により入口の方の壁を破り吹き飛ばされた。
だが1秒程度でオールマイトは戻ってきた、なんてタフネスだ。
「団扇少年!さっき見た!ジーニストたちがすぐに援軍に来てくれる!」
「待ってる一瞬で殺されますよ!」
父さんを入口の方へと投げ飛ばして戦闘態勢を取る。
「なので先にコイツをぶちのめす!」
自慢になるが、この時の自分のスピードは今の手加減しているオールマイトとそう変わらなかっただろうと思う。
だが、その程度のスピードではオール・フォー・ワンの裏はかけない。バネの腕の個性で迎撃しようとして来た。
だが、写輪眼には腕がバネになる瞬間から見えている、それで迎撃するという事は衝撃反転のタイムラグはまだあるということ!
バネの腕がこちらに向けられる一瞬で、しゃがみこみ、オール・フォー・ワンの足元の地面に向けて全力で足払いを放つ。
「ほう、速いね。」
だが、オール・フォー・ワンは足に身体エネルギーを集中させ空中に立つ事で足払いを回避してきた。なんでもありだなぁオイ!
まあ回避されるのは読んでいた。足払いの回転の勢いを乗せたまま立ち上がり中段蹴りへと移行、バネの腕の側面に当てる形で腕をそらす。
衝撃反転もない、油断で全力を出していない。つまり今が俺が役に立てる唯一の好機!
両手で十字の印を結ぶ。チャクラを外にながし奴の背中にチャクラの像を結んで作り上げる!
「影分身の術!」
背中を取った!
「む?分身を作る個性?」
だが、オール・フォー・ワンは後ろを振り返ることなく空を蹴り移動する事で背後からの急襲を軽々と回避してしまった。
「感知タイプの個性まであるのか⁉︎」
「だが!隙が生まれたぞ、オール・フォー・ワン!」
オール・フォー・ワンの回避の隙に電光石火の勢いでオールマイトが飛んでくる。風圧で自分と分身は吹き飛ばされたがそれは丁度いい、分身のほうの着地地点は父さんの元だった。
写輪眼を合わせて分身と意思疎通、分身は父さんを連れて退避しろと。
オールマイトの電光石火の奇襲を防いだのは「膂力増強」と呟いたオール・フォー・ワンの左腕だった。空中でオールマイトを受け止めるオール・フォー・ワン。増強系個性まで使えるとか本当になんでもありだな畜生!
「さて、そろそろ小手調べは終わりにしよう。隙を突かれてやられてしまったら本末転倒だからね。」
そう言ってオール・フォー・ワンは右手をバネにしてオールマイトに向けてきた、ドス黒い色の身体エネルギーが右手に集まっている、不味い!
「オールマイト、デカイのが来ます!」
チャクラを足に集中して全力ダッシュでオールマイトの背中から、奴の個性の直線上から離れる。
「『空気を押し出す』+『筋骨発条化』+『瞬発力×4』+『膂力増強×3』」
オールマイトがまるでスーパーボールのように高速で弾き飛ばされた。
「さて、オールマイトが戻ってくるまで約10秒ほどだろう。その隙に君を始末させて貰おう。」
「それは出来ない相談だ。」
その言葉と共にオール・フォー・ワンの衣服が急速に縮み、オール・フォー・ワンを拘束した。
「オールマイトだけがヒーローな訳ではないぞ、
「ふむ、ベストジーニストか、思ったより来るのが早い。だけど残念だったね、君程度では僕を止めることは出来ない。」
「全方位攻撃が来ます!回避を!」
そう言ってバックステップ。チャクラで強化されたこの跳躍はかなりの距離を稼げた。だが、魔王はそんな事は無意味だと、無情な攻撃を仕掛けて来た。
「『衝撃波』」
その言葉と共に、この建物ごと自分たちは吹き飛ばされた。
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「二重の意味で驚いた。格納庫にいた連中も纏めて殺すつもりだったのだけれど、それを咄嗟に衣服を操ることで皆を逃したベストジーニストの判断力、そして何より今立っている君だよ、メグル。君に与えた個性は『精神をエネルギーにする』個性。だがその強化は微弱なものでしかなかった筈だ、それをこの短期間で僕の『衝撃波』を防げるほどの強靭な個性に変えるなんて、よっぽど個性の相性が良かったんだね。もっとも。」
オール・フォー・ワンは地に膝をついている俺を目を向けて言った。
「ダメージは小さくなかったようだけど。」
周囲を確認、死屍累々という言葉がぴったりだ。突然の衝撃波にただ倒れ伏したヒーローたち、散乱する脳無たち。敵も味方も関係なく皆が倒れ伏している。
「さて、そろそろオールマイトが来ると思ったんだが思ったより弱っているのかな?さて、どうするかな...そうだ、オールマイトが来るまで君で遊ぼう。」
そう言ってオール・フォー・ワンはベストジーニストへと人差し指を向けた。
「さぁ、僕を止めないと人が死ぬぞ?いいのかなヒーローの卵。」
「いい、訳、ねぇだろうが!」
立ち上がって走り出す。策は無い。だが自分の最速でその指先をそらすために走り出す。
「残念、間に合わなかったね。」
だが、一歩遅かった。ベストジーニストの腹へと向けて指先から衝撃波が放たれてしまった。
「クソッ!」
それでも走り出した勢いのまま左足で蹴りを放つ。増強系で強化された右腕で受け止められた。
だが、触れたという事は衝撃反転は今はまだないという事だ、チャンスはまだある。左足にチャクラを集中させ足を奴の右腕に吸着させる。その状態で左足を戻すことでオール・フォー・ワンの体勢を崩す。
「吸着する個性?先ほどの分身といい持っていない筈の個性が良く出てくるね、何かトリックがありそうだ。」
「ねぇよんなもん、ただの技術だ!」
左足を地面につけて右ストレートを放つ。目標はあのマスクの呼吸器部分だ。体勢が左に大きく崩れているオール・フォー・ワンには回避の術はない。そう思ったのは浅はかだった。
「若いね、団扇くん。『エアウォーク』」
空中を蹴り崩れた体勢を利用し側転する事でオール・フォー・ワンは拳を回避した。見かけによらずアクロバティックなことしやがるッ!
「『脚力増加』×2、食らうといい。」
「残念だが私が来た!」
側転の勢いで俺の側頭部へと蹴りを放って来たオール・フォー・ワンの足を超スピードで戻って来たオールマイトが掴む。
その瞬間、顔面へと身体エネルギーが集中するのが写輪眼で見えた。
「ボディに!」
その声を聞いたオールマイトは、狙いを顔面からボディに変更してオール・フォー・ワンを殴り抜いた。
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数秒ダウンしていたオール・フォー・ワン。だがダメージは大きくても奴はまだ死んでいない。警戒して自分とオールマイトは数歩下がった場所で小休止を挟んでいた。
「団扇少年、傷は大丈夫か?」
「ベストジーニストが服を操って俺を遠ざけてくれたおかげで耐えられない訳じゃなかったです。でも、守れませんでした。」
「気に病む事はない。団扇少年、君は十二分に頑張ってくれている。君の最後の声がなかったら衝撃反転でせっかくのチャンスを防がれてしまったかもしれないのだから。」
「ありがとうございます、オールマイト...ッ⁉︎奴が動き出しました!」
「何⁉︎」
オール・フォー・ワンはボディへのダメージが大きかったのかよろよろとだが、たしかに自分の足で立ち上がって来た。
「ククク、やられたよオールマイト、メグル、だが僕はまだ生きている。なので次の手を打たせて貰おう。来い、脳無。」
オール・フォー・ワンの周囲から泥のようなものが吹き出して来た。そして泥の内側から黒い巨体の脳無、オールマイト殺しが再び現れた。今度は瞳を閉じた状態で。
「転送個性!んでまたコイツか⁉︎でも今の俺ならそんな奴催眠で...⁉︎」
「それをさせない単純な方法は目を閉じる事だ。そして僕には『念話』という個性がある。僕の感知した君たちの位置を脳無に指令として送る事で脳無は目を閉じたまま戦う事が出来るのさ。」
「ラジコンモードって事か...ッ!」
「さぁ、僕はオールマイトに殴られた腹が痛いので少し休んでいるよ。ついでに弔たちを救出するが止められるかい?君達に。」
「オール・フォー・ワン!」
「オールマイト、まずは黒いのを何とかしないと戦いにすらなりません!オール・フォー・ワンのダメージが抜けて戦線に戻ってきたら俺たちは絶対に殺されます!」
「ク、仕方ない!」
「さぁ、脳無。オールマイトを倒せ!」
そう言ったオール・フォー・ワンはゆっくり歩いて離れていき、泥のような転送系個性を使って
「オールマイト、そいつの個性はショック吸収と超再生です。覚えてますよね!」
「無論だ!そして対策も考えてある!」
オールマイトは脳無へと掴みかかり、力比べの体勢を取った。
「そう、掴んでくるよなぁ私と同格のパワーなら!だが!」
オールマイトはその場から回転を始めた、黒い脳無ごとブンブンと。
「私と同格のパワーなら、私が100%以上の力を出せば破れるという事だ!」
叫びながら脳無を回転させていくオールマイト、そして脳無の握力でも自分への力を抑えきれなくなった。そして遥か遠くへと脳無は投げ飛ばされた。
「変則Giant Swing、Plus Ultra!」
「そして次の召喚はさせない!」
オールマイトが脳無をぶん回している間にこっそりとオール・フォー・ワンの元へと移動した自分はその背後から奇襲をかける。まぁ感知されているだろうが転送に意識を割く事を止められたら十分だ。
衝撃反転を使わせるためにあえてチャクラを込めずに顔面の身体エネルギーを集中させている所を殴る
「『衝撃反転』...ほう」
反転した勢いをそのままに身体を捻り、左手にチャクラを集中してオール・フォー・ワンの腹へと拳を叩き込む。
バネと化した右手で受け止められたが、これで捕まえた!
チャクラの性質で左手を吸着させる。そして反発するバネの力を軸足を中心に回転の力に変えて右足で蹴りを叩き込むッ!
「フフ、『転送』」
そうして転送されてきたのは、影分身の自分だった。
「まさか⁉︎」
「惜しかったよ、あともう少しで僕の転送範囲から逃げ切れたというのに。そして君の分身を呼べたという事は...分かるね?」
蹴りの勢いは止められず自分で自分の影分身を倒してしまった。当然そのダメージフィードバックは自分に来る。それは致命的な隙だった。
なのにオール・フォー・ワンは自分に攻撃を加えるのではなく、最悪な方法で自分の動きを止めに来た。
父さんを召喚し人質に取るという悪辣極まりない手で。
「さぁ、メグルくん。君の選択の時だよ。実の父親を見捨てて僕と戦うか、この命を守るために僕の手駒となるか。さぁ選ぶんだ。」
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「巡、キャッチボールしよう!」
「いいよー、でも近くの公園ってボール遊び禁止じゃなかったっけ。」
「そうだったのか...それなら車を出して河川敷まで行こう!」
「いいね、ドライブ!」
「夕飯までには帰ってきてくださいね、あなた。」
「当然さ!さぁ巡、行こう!」
「うん!」
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目の前の親父は12年前に家族を、俺と母さんを捨てて逃げた卑劣な男だ。恨みを晴らせるとは思っていなかったからしまっていたが、憎しみはずっと心にあった。
見捨ててしまえと理性は言う。今ここで見捨てるというのは自分に害の行かない最適な父さんの殺し方だからだ。
だが、心の何処かがそれを止めてくる。
だからこの肝心な時に答えを決めれずに悩んでしまっているのだ。
「さぁメグルくん。君は選ぶべきだ、父親を見捨てる事を。だってそうだろう?君はずっと、父親を恨んでいたんだから。」
心を見透かしたようなオール・フォー・ワンの声に心が傾く。でも心の何処かはそれを必死に止めているのだ。
「そうだよ俺はそいつが憎い!殺してやりたいとだって思ったことはある!でも、だけど、だけど!俺は、俺は!」
理性からの言葉が纏まらない。だから心からの声が口に出てきて自分でも驚いた。
12年間恨み続けたその答えは、心の底からポロっと転がり落ちてきた。
「俺は、父さんに死んで欲しいとまでは思っていないんだ!」
母さんに催眠をかけ続けた4年間、俺が助けてくれと心で叫んだ相手はどこかの誰かを助けているヒーローなのか、それとも、ずっと家庭を守り続けてくれた
でも、殺したいほど憎んでいても、死んで欲しいとまでは思えない。それがきっと答えなのだろう。
「...写輪眼とは心の傷で成長するんだったよね、メグル。」
「その前にお前を止める!オール・フォー・ワン!」
「私の事を忘れてやいないかね!私が、そんな理不尽な二択は破壊する!」
「残念だけど君たちの手は届かないよ、脳無。」
オール・フォー・ワンの周りから同じ姿の脳無が6体現れた、これからの処刑を邪魔させないような壁になるような配置で。
「さぁ、君の成長を見せてくれ。メグル。」
そう言ってオール・フォー・ワンは父さんを上へ放り投げた
「『筋骨発条化』+『瞬発力×4』+『膂力増強×3』 さあ、終わりだ。」
そう言って落ちてきた父さんの頭へとオール・フォー・ワンの拳が迫る。落ちてきた父さんは、最後に「めぐる」と呟いたように見えた。
その瞬間に奇跡のような横槍は入った。『20mは伸びちゃうわ』と言っていた彼女の舌が父さんを掴み魔王の魔の手から救った。
「何?」
「ケロケロ、私の舌は遠くの人を救けちゃうの。」
妙なトロッコに乗った蛙吹が、蛙吹を支えている切島が、トロッコを作ったであろう八百万が、トロッコを動かそうとしている緑谷と飯田と爆轟が、後方で大氷結の準備をしているであろう轟がそこにいた。
「団扇ちゃん後は頑張ってね。」
「頑張って!団扇くん!」
「ここまでしてやったんだ、ちゃんと何匹か殺しとけ、クソ目ェ!」
蛙吹の舌が父さんを助けるとともに轟の大氷結でオール・フォー・ワンの視界を塞いだあと、「超爆速ターボ!」「フルカウル!」「レシプロバースト!」との叫び声とともにトロッコは去っていった。
「...こんなところにも来るのか、緑谷出久ぅ!」
死柄木の叫び声が響いてきた。
全くもって同感である。だが、笑いと元気がこみ上げてきた。
チャクラを全身に巡らせて、インパクトの瞬間に拳に集中させる。その拳で脳無の一体をオール・フォー・ワンにぶつける形で倒せた。
残りの五体は、オールマイトが一息のうちに倒していた。
「凄いですね、緑谷たち!俺、今本当に、心の底から!あいつらの友達で良かったって思ってます!」
「先生としては叱らなきゃいけない蛮行だけどね!でも、これで!」
「ええ、これで!」
「「後は
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「流れが悪いね。」
そう言ってオール・フォー・ワンは倒れている黒霧に手から出した棘を刺した。
「個性強制発動。さあ弔、仲間を連れて逃げるんだ。」
「何言ってんだ先生、その体じゃあ!」
黒いワープゲートの前で、死柄木はオール・フォー・ワンに食い下がっていた。
そうだ、逃げなくていい。そう簡単に逃がすものか!
「マスキュラー!マグ姉!」
「ん?」
「団扇くん?」
「俺が、お前らのボスだ!従え!」
トリガーワードにより深層意識に仕込んでいた催眠の命令を起動させる。
「トリガーワードによる再洗脳⁉︎」
「そうさ、お前たちから貰った技だ!」
オールマイトなら今のダメージのあるオール・フォー・ワンとタイマン張れることに疑いようはない。
だから今の俺がするべきことは、オール・フォー・ワンに範囲攻撃を打たせないように死柄木たちをここに釘付けにしておくことだッ!
「さぁご主人、オーダーはなんだ!」
「ご主人様、命令を頂戴?」
「コイツらを潰す!ただし、殺さないように!」
「「
「クソ、マスキュラーだけじゃなくマグネまで...逃げるしか...でも、先生⁉︎」
「弔、君は戦いを続けろ。」
そう言って、今度はマグ姉に棘を刺したオール・フォー・ワンはその個性を使い、ゲート近くのトガへと洗脳されてない連中を引き寄せ、無理矢理ゲートへと叩き込んだ。
「逃したか...よし、オールマイト!」
「団扇少年?」
「俺は逃げます!人命救助しながら!だからその大先生は全力でボコっちゃって下さね!」
「...ああ、任せてくれ!」
オールマイトの体内の虹色のエネルギーは時間とともに少なくなっている。オール・フォー・ワンを倒すにはそのエネルギーを一撃に込めるしかないだろう。そんな超パワーを出すには邪魔なのは俺のような部外者だ。
後は任せます、オールマイト。
そう内心で思って、この場から逃げる。マスキュラーの肩に乗って後ろを警戒しながら。
うん、チャクラの使いすぎでスタミナがぐでっと来たのだ。死柄木達が逃げて緊張が解けたからだろうか。
でもこうしてマスキュラーの肩に乗ってると思う。
「なぁマスキュラー、お前刑期終わったら人力タクシータクキュラーさんになれよ。似合うぜきっと。」
「バーカ、死刑確定だよ俺は。ま、来世って奴があるならそんな事をやってみても良いかもな。」
「あら、来世の話?良いわねーそういうのは希望があって。私は来世ではヘアスタイリストになりたいわねー。」
「似合いそうですよ、マグ姉さん。」
「ありがと、団扇くん。」
そう言って崩れた建物の中からマスキュラーとマグ姉の個性をうまく使って人々を助けながら戦場から離れていく。避難誘導しているヒーローに助けた人を引き渡し、メイデンの中にマグ姉とマスキュラーを叩き込んだ。
「あばよご主人、人を殺すことよりも幸せな事を体験させてくれてありがとよ。んじゃ、来世で会おうや。」
「ええ、私もちょっとの間だけだけどこの幸せに浸かれて良かったわ。私は、こんな綺麗なものを奪って生きていたのね...大人しく牢屋に入って死刑を待つことにするわ。来世があるなら、また会いましょう。」
「マスキュラー、マグ姉さん。ありがとうございました。」
そう言って頭を下げた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そのままヒーローたちの誘導のもと、警察の保護下に入ったことで俺の神野事件は終わった。
後から聞いた話では、オールマイトはその後オール・フォー・ワンと激闘を繰り広げ、残る力を全て注ぎ込んだ右腕によりオール・フォー・ワンを下したのだそうだ。
ただしその代償としてオールマイトはガリガリフォームを衆目の元に晒してしまったのだとか。
だが、その平和の象徴としての最後の言葉、「次は君だ」という言葉が、まだ見ぬ
世界が変わった一日の最後、俺は神野区総合病院へと入院する事になった父さんと特別に会わせて貰った。
父さんは死の間際でなぜ俺の名を呼んだのか、今まで何をしていたのか、まだ家族としての絆は残っているのか、聞きたい事は沢山あるが父さんの瞳は俺を映すことはなかった。
「また来るよ、父さん。」
そう言って病室を後にした。お互いに生きていればいつか話せる日は来ると、そう信じて。
神野編、終わり!
次からは夏休み編となります。寮に入るまで割と時間があるのでその間の出来事ですねー。要するにオリジナルです。