ローグとリモコンブロスとエンジンブロス欲しかったのにそこだけ買い占めるとか悪魔の所業かよ。
ただの愚痴ですすいません。スーパーって創動を発売日に売り出さないので発売日に探しても買えないんですよねー。んで、ちょっとしたら誰かしら特撮オタに買い占められている現状。創動集めは難易度高いです。
小学校の時は、自分がドアを開けて教室に入ると教室内は静まり返った。いつものことだったが正直とっても辛かった。
中学1年のときも、状況はあまり変わらなかった。暴力団関係者のレッテルさんはいつも凄まじい仕事量である。尊敬ものだ。
だが、中学2年になってから少しずつ状況は変わっていった。
自分を暴力団関係者とレッテルを貼ったクソ新聞部の刺客、坂井誠が同じクラスになって、自分に絡み始めたからだ。
真実を見抜く坂井の個性をものともしないとかこいつ実はそんなに怖い奴じゃないのでは、という風潮が流れ出したのだ。
以来、自分の扱いは以前のアンタッチャブルからデンジャーくらいに和らいだ気がした。大して変わらない?いやいや、前は質問したら悲鳴が返ってくるのがデフォだったがこれ以降はきちんと答えが返ってくるようになったのだ。
そんな日々を乗り越えての中学3年生、学生の勝負の年だ。
この頃になると今まであんまり勉強していなかった坂井のような奴らが形振り構わなくなった。暴力団関係者のデンジャーな団扇巡に勉強を教えてもらおうとしたのだ。何せ団扇は3年連続学年一位の勉強がとんでもなくできる奴だ。縋りたくもなるだろう。
それがきっかけとなり、学校で話す連中が増えてきた。
でも、友達と呼べるほど深い仲になれたのは坂井だけだった。
だから、この催しが開かれた事には驚きしかなかった。
「団扇くん、傑物学園高校B推薦突破おめでとう!
プラス、雄英ヒーロー科受験頑張れ!の会にようこそ!」
放課後の多目的教室に集まったのはクラスメイトだったりちょっとした事で知り合った後輩だったりボランティアで知り合った先輩だったりした。
「坂井、これは一体?いまいち状況が飲めないんだが。」
「何って壮行会ですよ!団扇君頑張れの会です!」
「いや、何で?」
「だって団扇君この学校で唯一の雄英ヒーロー科受験者じゃないですか。それならばもう皆で応援しないと損ってものです!」
「...いや、損はしないだろ。」
「しますよ!だってこの機会がないと団扇君と友達になれない子がいっぱいいましたから!」
「俺は暴力団関係者なんてレッテルを貼られてる。そんな奴と友達になりたい奴なんて...」
「いっぱい居るからこんな会を開く事ができたのですよ!
だって団扇君、暴力団関係者だって噂が立ってもずっと良い人だったじゃないですか!
休日にボランティア活動やってたり、教室で皆に勉強教えてくれたり、枕ちゃんの無くしたストラップのために学校中探し回ってたり。
団扇君の良い人エピソードは枚挙にいとまがないですよ!そんな人には、友達が沢山いないと変です!なので雄英受験応援会を機に、皆で団扇君と友達になりに来ました!」
そうだ!との声が教室に響いた。言ったのは佐竹、藤本、如月のクラスの男子で勉強を教えていた連中だった。
「団扇!俺たちはお前に謝らないといけないッ!お前が暴力団関係者だってレッテルにビビって、お前自身を見ていなかった!すまなかった!
でも、お前が良い奴だって事も俺たちはよく知ってる!お前が勉強を教えてくれたお陰で俺たちは志望校にA判定を貰えたんだ!自分の得にもならない事を進んでやれる、お前は俺たちのヒーローだった!ありがとう、団扇!」
後輩の少女、枕が言った。
「そうです、団扇先輩は私たちの、私のヒーローです!入学初日に遠くに行った友達からのストラップをなくして途方に暮れていた私を助けてくれたのは先輩です!ずっとお礼を言いたかったんですけど、噂に惑わされてしまい、申し訳ありませんでした。でも、先輩が雄英ヒーロー科を受けるって聞いて、ありがとうと頑張れを伝えたくて今、ここに来ました!遅くなりましたが先輩、本当にありがとうございました!」
ボランティアで知り合った先輩、丸藤が言った
「そう、私も君に頑張れとありがとうを言いに来たんだ。最初君を見たときは暴力団関係者が内申点を稼ぎに来たと見下していた。だが、君はボランティアの最中いつも全力で人助けをしていた。ゴミ拾いの最中迷っている外国人に道案内していたり、老人ホームで階段から落ちそうになった人を軽々持ち上げたり。本当に枚挙にいとまがないな、君の良い人エピソードは。そんな君に私は奉仕の精神とは何かを学んだ。それのおかげで私は今の高校、雄英高校に入れたのだと思う。君と違い、普通科だがね。
君が来るのを待っているよ、君のヒーローアカデミアで。」
他にもいろんな人が自分を応援してくれた。
いろんな人の頑張れが、心に響いた気がした。
「どうですか団扇君!皆全部私が声かけて集めたんですよ!凄くないですか、団扇君の人望と、私の扇動力は!」
「...確かに、お前は凄いアジテーターだよ。新聞記者よりもそっちで稼いだ方が食えるぜ、きっと。」
「そんな事は無い...ですよね?嘘だと言ってくださいよ!本心からの言葉だと個性のせいでわかってしまいますけれど!」
「嘘を見抜く個性って、便利そうだと常々思っていたが結構不便だったんだな。」
「そうですよー。全然万能な個性なんかじゃあまりません。私の耳は、団扇君みたく玉虫色の回答をする人にはにはうんともすんとも答えてくれませんから。
あ、そうだ思い出した!結局一年の頃団扇君の言っていた悪い事ってなんだったんですか?ずっと気になっていたんですよ。思えば、それを暴くために人脈を広げ始めたんでした。途中から人脈を広げることそのものが目的となってて忘れてたんですけどね。」
「...そうだな、新聞部の引き継ぎももう終わってるだろうし、言っても良いか。実は俺、学費稼ぐために保護者の手伝いをやってたんだよ。中学生のバイトは許可されてないだろ?だから悪い事って言葉に引っかかったんだと思うぜ?」
「あらら、そんな事でしたか。思っていた事より全然普通で逆にびっくりしました。でも、良かったです。団扇君が何か悪いことに加担させられているんじゃないかって不安でしたから。
...さて、お集まりの皆さん!本日は無礼講!先輩後輩関係なく、お菓子とジュースで騒ぎましょう!」
「おー!」と皆が答えた。
それからは本当にドンチャン騒ぎだった。集まった全員と連絡先を交換したり、何故かあったカラオケセットでのカラオケ大会が始まったり、それが原因で先生がやってきて、何故か先生がカラオケ大会で優勝することとなったり本当にカオスだった。
でも、友達と騒ぐってこういうことだったなと、あまり思い出したくない前世を思い出した。
まぁ、そういう楽しい時間というものは早く終わるものであった。
「それじゃ、多目的教室借りてる時間はもう終わりなので、皆さん片付け始めましょー。団扇君頑張れの会はこれにてお開きです!
...二次会とか行きます?団扇君。」
「いいや、やめておく。こんなに大勢の人に応援されたんだ、最後の詰めを頑張りたい。それに、この中にもまだ進路決まり切って無い奴もいるだろ?あんまり遊びすぎるのも良くないって。」
「そうですね、まぁ私はもう推薦で決まっているので大丈夫なんですけどね!」
3人の男子の中で唯一合格を貰えてない如月が言った。
「畜生、俺だって団扇に勉強教わったんだ!県立絶対受かってやる、今に見てろよ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
片付け最中に思いついた俺は言った。
「そういや。一つ皆に言っておきたかった恨み言がある。良いか?」
「何ですか?今のみんななら何聞いても団扇君を嫌いになる事は無いですよ?」
「いや、友達になりたいってのは十分伝わって来たんだが、何でこんなギリギリのタイミングだったんだ?俺が雄英志望だって事はこの学校では割と早く伝わったんだから、壮行会ももっと早くにできただろ?」
「あはははは、実は傑物高校の推薦もらって滑り止め取ってからじゃないと、全部滑ってお先に真っ暗とかなるの怖いじゃないですか。壮行会なんてしたんですから、どっかしら受かってハッピーエンドで終わって欲しいじゃないですか。だからです。」
「つまり俺が雄英落ちる事を心配していたって訳か。」
「団扇君なら十分合格できると思いますけどね、成績は学年トップで身体能力テストも異形型並みの成績、それにあんな強力な個性を持っているんだから、これで受からなければ嘘ってもんですよ。
でも、受験の世界は何が起きるかわからないのが常なので、一応の保険をかけておきたかったんですよ。」
「成る程な、納得したわ。ありがとう。」
「いえいえ、こちらこそ壮行会が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。」
「謝らなくて良いよ。正直今で良かった。多分このテンションを持続できれば俺は無敵だと思う。それだけ皆の頑張れは俺の心に響いたよ。...要の爺さんの言う通り、善意は巡るって奴だな。」
「その通りです、良い事言いますねそのお爺さん。皆が団扇君に頑張れって言ったのは、団扇君が皆に親切にしていたからです!団扇君の渡した親切ってボールが倍になって、いやそれ以上になって帰ってきたという当たり前の事なんです!
だから、団扇君は、誇りを持って下さい!諦めないで最初に親切のボールを投げた事を!」
「誇りとは大層な言葉だな。でもわかった。今日レッテルを振り切って俺と友達になりにきてくれた皆は、俺の誇りだ。胸を張ってそう言える。だから、俺は高校に入っても、そこから先の人生でも、親切のボールを投げる事を辞めない。約束する。」
「はい、約束は確かに聞きました!嘘ついたら針千本のんで下さいね。」
「それは怖いな、約束を破らないように気をつけるよ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おう巡、お帰り。どうした、なんかお前良い顔になってるぞ?」
「ただいま、小指のオッサン。学校で友達ができたんだ。10人も」
「10人も一気にできるとはな、やるじゃねぇか。でもまさかこんなギリギリに友達になるとはな、一体何があったんだ?」
「俺が今までしてきた小さな親切が、大きな波になって帰ってきたんだ。多分そういう事。要の爺さんの言う、善意は巡るって奴だよ。
それで、俺が雄英受験頑張れるように壮行会を開いてくれたんだ。
正直、今のコンディションなら負ける気がしない。」
「言うじゃねえか、巡。そんな巡にオッサンからもプレゼントだ。受け取りな。」
包装もされていないそのプレゼントは、明らかに物騒なものだった。
「これは、砂鉄入りグローブに長ドス⁉︎なんでこんな物騒なものを。」
「調べてみたところ雄英の受験には得物の持ち込みが自由だったんだよ。だったらヤクザ者としちゃ良い得物を持たせたいって言う親心ってやつさ。」
「...グローブはともかく、長ドスは使えないよ。銃刀法違反で捕まって受験どころじゃなくなるわ。」
「あ、忘れてた、銃刀法とかあったなぁ。」
「忘れてたんかい...そんな訳で長ドスは返します。グローブは有難く貰っておくね。ありがと、オッサン。」
「おう、明日頑張れよ!って言うのはもう聞き飽きたか?」
「良いや、何度聞いても元気になる。昔は無責任な言葉だとか思ってたけど、頑張れっていい言葉だね。」
「そうだな、俺もそう思う。」
「それじゃ、俺はもう部屋にこもって最後の復習するわ。晩飯はなんか適当に買ってきて。」
「おう、カツ丼買ってきてやるよ。勝つってな。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日は、いろんな人から頑張れの声をかけられた日で、俺に沢山の友達ができた記念日だった。
小指のオッサンの頑張れ。
要の爺さんの頑張れ。
沢山の友達からの頑張れ。
いろんな頑張れが心の中に響いて混ざり一つの大きな力になった気がした。
敵は狂気の倍率300倍、雄英高校ヒーロー科。
今までは正直受かるか落ちるか半々だと思っていたが友達のお陰で覚悟は決まった。
俺は必ず合格してみせる。そしてなってみせる。いろんな理由で助けての声をあげられない人相手でも、その心の叫ぶ助けての声を聞いて駆けつけてみせる、そんなお節介だと笑われそうなヒーローに、俺が求めた理想のヒーローに、俺はなる。
そう、心に誓った。
善意は巡る。この小説で書きたかったことです。
やったぞ、巡君に友達ができた!暴力団関係者だというとんでもないレッテルを振り切って友達になってくれる人がいるってのはこれから先の巡君の人生の宝となるでしょう。
尚、プロット段階ではこの話は雄英入試の後でした。でもこれから先の展開を考えるとこのタイミングに入れるのが良いかなーと思ったのです。その結果が団扇君無敵モードです。
第1話段階では雄英受けるかどうかすら悩んでたこの作品ですが指の滑りに身を任せて書いた結果がこれです。
よって入試結果はもう決めました。次回、雄英受験、お楽しみに!