...ピックアップ2をたった100連で乗り切れるのかッ!
ダメそうですねー。
校庭に集まっている生徒に動きがあった。バラバラの纏まりが規則正しい列へと整えられている。
状況が知りたくなったので、無線を使って皆と連絡を取る。
「メグルだ、状況はどうなってる?」
「先生方が復帰されてから、状況は落ち着いたようです。今は各クラスの人数確認をしているようですね。」
「てことは小さくなるのの有効時間はざっと2時間か...ほとんど即死攻撃じゃねぇか。なんだあの化け物女。」
救いなのは、向こうの戦闘スタイルがその広範囲個性をサブウェポンとしてしか見ていないことだろう。まぁ小さくなっての攻撃が脅威すぎるというのはあるだろうが。
「誰と話してるの?」
「仲間とだ。人数確認が始まったみたいだから、お前は行け。」
「...やだ。」
「じゃあ、持っていくしかないな。」
銀髪少女を横抱きにして体育倉庫裏から無理矢理列へと持っていく。
「放して。」
「いや、人数確認の時にちゃんといないとヒーローも先生も困るんだよ。」
「...わかった、じゃあ自分でいく。」
「それなら良いさ。ま、念のため犬として付いてってやるよ。」
変化の術を使い再び白犬の姿となる。現状敵の狙いがまだわからない以上、神郷や子供達から離れる訳にはいかない。
「あ、
5年生の列から声がする。
俯いていた女子グループがすぐにこちらを見た。その目には、確かな安堵の色があった。
「色崎、なに勝手な行動とってんのよ!先生に皆怒られたんだからね!」
「そうよ!しかも犬なんか連れて...なにその犬?」
「変な目の犬だ...」
どうやらいじめの根は、俺の想像していたよりかは深くなかったようだ。この子達は自分たちの行動が色崎少女を追い詰め、それが故に命を落としかけた事を理解しているようだ。
俺の目を見ている少女たちに、「少し自分の心に素直になれ」と暗示をかけた後、できる限り犬っぽく神郷の元へと向かっていく。
その後すぐに、少女たちが泣きながら「心配したんだからね!」という声が聞こえた。人の心を操る卑劣な催眠も、たまには人の役に立つようだ。
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「メグルさん、尻尾の動きが奇妙です。注意してください。」
「マジか、気をつける。」
その後フランさんが里中さんに聞いたところによると、警察とヒーローが校内を見回った結果、家庭科室のガスの元栓が開けっぱなしだったことと、一階のスプリンクラーが故障していた事が分かったらしい。敵の狙いは火災による混乱か?
ちなみに、放送室の演説が神郷数多のものだと証言する生徒は居なかったとか。身近なクラスメイトを演技で騙しきりやがったあたりやっぱこいつ凄いわ。
尚、湯波先生の証言があるまでは、“チャイルドプレイ”という
とはいえ、
「しっかし、お昼ご飯どうしますかねー。」
「気楽だな。」
「だって護衛にアセロラさんとメグルさんいますから。昨日までとは安心度が段違いですよ。いつ護衛のムカデさんに襲われるか気が気じゃありませんでしたから。」
「だからお前センチピーダーさんに謝れよ。」
「メグルさんはどうします?お昼。」
「レストランとかには寄り辛いな。敵の個性が暗殺型だと分かった以上、食うものにも気をつけなきゃならん。奴には毒殺のチャンスなんていくらでもあるからな。」
「じゃあノンカップ麺ですかねー、今日母さん夜まで仕事なんですよ。」
「お前の仕事は?」
「今日はオフです。でも時間出来ちゃいましたし、事務所行って自主トレするつもりです。」
「ハードワークで過労死とかはするなよ?」
「そこは大丈夫です。役者って鍛えてないと出来ないんですよ?」
「だといいがな。」
「ところでノンカップ麺ってなんだ?」
「ああ、カップ麺のカップ無しです。便利ですよー。」
「へぇ、エコだな。」
そんな会話をしながら集団下校の一団から離れる。殺気の類は感じられない。一先ず安心していいだろう。
...殺気なんてものを感じられるようになってしまったあたり、自分は戦いの中に長く身を置いたのだと改めて思う。それは、こういう日常のなかで異物感として表に出てくる。
「メグルさんは、大丈夫ですよ。」
「なんだ突然に。」
「だって、メグルさんあの銀髪の子を助けたじゃないですか。」
「見てたのか。」
「はい。」
「別に、たまたまだ。」
「たまたまでも人を助けられるんだから大丈夫なんですよ。人を助ける人は、人に助けられる人でもありますから。」
「...良い言葉だな。」
「はい、夢があっていいでしょう?」
だが、そんなものが夢物語だと言うことは神郷も分かっている筈だ。どんなに良い人だろうと人を助けていようと、悪意は容赦なく襲いかかってくるのだから。
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その後の日々は、あっけないほど何もなかった。身体を1センチ程度に縮められるとかいう暗殺特化の敵がいるにもかかわらずだ。
子役事務所への送迎、ドラマのロケへの同行、万が一のための万能血清の用意など、一部の不良警官達と協力して可能性をきちんと潰していったが、それは不要だったかもしれない。
実際、神郷を24時間体制で守り続けたアセロラは、ちょっと休むと影の中に入ったっきり応答がない。肝心な時に寝過ごすとかそんな馬鹿なことないよな?割と抜けているアセロラだからやりそうで困る。
さて、思考を戻そう。不可解なあの女の事だ。
あの女の行動には不審な点がいくつもあった。だがそれが線として繋がらない。
「同行する俺たちの体力を削る事が目的?だったらゴールである撮影日なんて示さないか...」
「声出てますよ、メグルさん。」
「すまん、だが今日までの敵の動きが解せなくてな。」
「案外、小さい人の独断専行だったりするんじゃないですか?」
「だと良いんだがな。」
そして現在は、あの電脳少女の犯行予告の当日だ。
スタジオの控え室にメイクを終えた神郷と、犬の姿の俺が共にいる。
「あ、このお煎餅美味しい。」
「お前相変わらず緊張感ねぇなぁ、本体のくせに。」
「人間死ぬときは死にますからねー、警戒するだけエネルギーの無駄ですよ。」
「...確かにそうか。」
警察、ヒーロー、俺たち
未確認情報であろうと手柄を立てる為に信じて動く若いヒーロー。
違法捜査を黙認してでも陰我に追い縋ろうとする正義の警察官。
そして、俺達。
戦力は過剰なまでに集まっている。これをどう切り崩すつもりだ?
「数多ちゃん、本番始まるわよ!」
「はーい!」
時刻は午後4時、今回は新しく始まる特撮モノの撮影だ。無個性を題材にしたものらしいが、まぁどんな話になるかは見てのお楽しみといったところだろう。個性演出だとかはCGでやるから危険物はスタジオに持ち込まれてはいないらしい。
だとすると、なんだ?
照明の落下は事前に調べて貰った結果震度7でも落ちる事はないと太鼓判を押されている。
自然災害の類でも、地震は最新の耐震設備のあるこのスタジオは大丈夫だし、土砂崩れ、津波はそもそも届く範囲にない。
そんな甘えは、スタジオ全体を襲う停電が吹き飛ばしてくれた。
「なんだ⁉︎」と驚く役者さんやスタッフさんたち。即座に警戒状態に移行する。
犬の姿から即座に人に戻り、神郷を背に庇う。
「気を付けろ!
「こんな暗闇の中じゃあ気を付けようがねぇだろうが!」
「勘とかでなんとかしろ!」
「無茶な!」
「無茶でもやれ!でないと死人が出る!」
周囲を見渡しても身体エネルギーの光は見えない。奴の小さくなる個性は体を強い身体エネルギーで覆う関係上、写輪眼なら暗闇の中でも見つけ出すことができる。
まぁそれは、体の一部が視界内に入ればの話だが。
「メグルさん、ライト点けます?」
「やめとけ、的にしかならない。」
...殺気を感じる。
右、いない。
左、いない。
下、いない。
と来るとッ!
「後ろか!」
「残念、上さ!」
「なんて親切にッ!」
神郷を抱えて横に大きく飛ぶ。敵の広範囲個性が来たからだ。
だが、無理めの回避のその隙を突くのは当然のこと、女は大きくなり着地をした後あの小さくなる場所と大きくなる場所を変える移動法で距離を詰めてきた。
「さぁ、開幕だ!」
移動法での速度を乗せた弾丸のような女が神郷の頭部目掛けて飛んでくる。このまま当たれば神郷の頭蓋は砕けて散るだろう。
そのままならば。
「トラフーリ!」
神郷の短距離転移が発動される。いざって時の逃げの一手は打てるだけの判断力はあるのだコイツは。ただ守られるだけのお姫様ではない。
短距離転移に巻き込まれた形で体勢を立て直した俺は、即座に神郷を背に印を結ぶ。奴とのレンジは中距離、うちはの十八番の射程距離だ!
「火遁、豪火球の術!」
豪火は、確実に女の身体を包み込んだ。
温度調整なしの殺す気で放った豪火球だ、小さくなるという個性の奴では対処できないだろう。
「とか、思ってたんだがなぁ。」
「ふん、私を焼き殺したいならもっと火力が必要だったな。」
奴の全身から、身体エネルギーが放出されていた。調整なしのぶっぱだろうが、その効果はおそらく
仮説でしかないが、豪火球での熱が加えられた空気を小さくする事で、伝熱物のない真空の層を作り出したのだろう。恐ろしい応用力だ。
「しかし、私にこんな事が出来るとは思わなかったよ。名付けるなら、耐火断層といったところかな?」
「まさか、ぶっつけ本番か?」
「ああ、これまで私と戦闘になる炎使いとは会ったことなかったからな。」
「...冗談も大概にしろよ。どんな戦闘センスしてやがるッ!」
「幾多の殺し合いを経て生き残っている。それが私の力の証明だ。...とはいえ、本来はここまで饒舌というわけではないんだぞ?」
「じゃあなんでそんな軽口叩いてんだよ。」
「何、これが最後の戦いとなれば、私も敵のことを知ってみたいと思ったまでの事。...さぁ、時間だ。私たちを殺す地獄が始まるぞ。」
瞬間、鳴り響く火災報知器の音。放火か⁉︎
だが、火災報知器が鳴っているということはスプリンクラーが問題なく作動しているという事の証拠、それが俺たちの首を取る策だとでもいうのか?
「私が小学校で神郷数多を襲ったのは、お前に私の個性を印象付けるためだ。敵は中から攻撃してくるものだと。なぜならお前のエネルギーを見る能力ならば、外からの攻撃を察知されてしまうかもしれないからだ。」
「外からの放火だと⁉︎」
「本人曰く、厳密に言えば放火ではないらしい。見たものの温度を引き上げる結果として、火が出ているのだと。」
「その計画だとお前、ここにいたら死ぬだろ。」
「だから最後の戦いなのさ、これが。」
「それならお前、別に来なくて良かったんじゃないか?」
「それだとお前は外からの攻撃に気付くさ。お前は勘がいいからな。」
「...面倒な信頼ありがとよ!皆さん、避難を!」
「ああ!先導は我々警察がします!スタッフの皆さんは指示に従って下さい!」
「畜生、
「無理に出てくるな!足手まといは一人でもう手一杯なんだよ!」
「...クソッ!」
そう言ってヒーローと警察は避難誘導を始めた。
外にいるフランさんたちとの無線は通じない。
携帯電話は何故か圏外。
外にいる炎の原因の敵を潰す手を打たせない為にかなりの策が練られている。
「さて、再開といこうか。」
「勝っても負けても結果は変わらないのにか?」
「どうせなら気持ち良く死にたいだろう?」
「ノリで生きてんなぁ畜生。」
「そう褒めるな。」
その声と共に、目の前の戦闘に意識を集中させる。
レンジは中距離のまま、今俺と神郷がいるのは特撮用のグリーンスクリーンの上。障害物となるカメラは直線上にはなし。
戦場の状況は、こちらに有利でも不利でもない。
豪火球が止められた以上、奴にただの火遁は通じない。ならば、火焔鋭槍を抜き打ちで放つのが最適解だ。奴の移動法には大きくなってから小さくなるまでの一瞬の隙がある。身体エネルギーの流れから大きくなるタイミングと位置を予測して鋭槍を置けば当てられるだろう。
作戦は決まった。後は俺が見切れる事を信じ抜くのみだ。
と、戦闘に集中した時に、正面ドアから爆発音が響き渡った。
「バックドラフト⁉︎外は一体どうなってやがる!」
「負傷者を後ろに!他の出入り口は⁉︎」
「非常口はあっちです!早く!」
「気が逸れたな?」
その瞬間まで、接近してくる女に気付けなかった。コイツ、これを見越していたのかッ!
レンジは近距離まで詰められた。奴の移動法一回で詰められる距離だ。火焔鋭槍は間に合わないッ!
「終わりだ。」
「横槍失礼!きんたろう、突撃!」
背後にいた神郷は、見たことのないおかっぱ頭で赤い腹掛けを纏ったペルソナを発現させ、女に突撃させた。小さくなっていた女は弾かれて、ダメージを軽減する為に大きくなり受け身を取った。
その隙を、見過ごす程俺はお人好しではない。
「ブチ抜け、火焔鋭槍!」
「まだ終わりじゃない!耐火断層!」
炎の槍は、真空に阻まれて女の身体を貫くには至らなかった。
「ペルソナチェンジ!きたかぜ!ガル!」
神郷数多の引き起こした、疑似真空を吹き飛ばし炎に力を与えるその神風が、勝敗を決したのだ。
「うぐッ⁉︎」
左足に刺さったその炎の槍により、傷口を焼かれ地獄の苦しみを受けた女に移動術で接近し、顔面を掴み無理矢理目を合わせる。
写輪眼、発動である。
崩れ落ちる女を抱き抱えながら今回の勝利の立役者に一言言う。
「神郷、お前案外ヒーロー向いてるかもな。」
「嫌ですよ、命なんて張りたくありません。じゃあ、私たちも避難しましょうか。」
「...避難する先があればだけどな。」
バックドラフトで吹き飛んだ正面のドアから燃え広がってきた炎を見て、自分はまた選択を迫られているのだと思った。
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スタジオの中央に集まる総勢32名の人々。先に避難しようとした連中によると、非常口の先からも炎が燃え広がっており、またしてもバックドラフトが発生したとの事だ。
であれば天井からの脱出をと思い上に上がってみたものの、炎はこのスタジオ全体を覆っているという事がわかっただけだった。
俺が負傷者の治療をしたのち、酸素を作り出す個性のヒーローを中心に皆で集まっている。少しでも長く、命を繋ぐ為に。
「メグルさん、八方塞がりですねー。」
「...嘘つけ、お前なら逃げられるだろうが。白猫のトラポートで。」
「ええ、そうです。...でも、嫌じゃないですか。一人だけ生き残るのって。」
「...そうだな。一人で生き残っても、辛い事ばっかだったよ。」
神郷は、自分の命を繋ぐ事をこの状況で最優先にしていない。奇妙な奴だ。死を経験した奴というのは、どこかズレるものなのだろうか。
「さて、神郷。一生の頼みがある。」
「...何ですか?」
「俺がこれから言う事が嘘だってわかっても。それを指摘しないでくれ。」
「...一生の頼みなら、仕方ないですね。」
「ありがとう。」
立ち上がり、皆に大声で伝える。
「聞いてくれ!俺たちは、このままだと死ぬ!」
俯く人々、もはや皆諦めているのだろう生きる事を。
でも、それじゃあ駄目だ。足掻かなければ、足掻き続けなければ未来を拓く事は出来ないのだから。
「だから、俺の策に乗ってくれ!生き残る為の術は、全部なくなったわけじゃない!」
「こんな状況でどうしろってんだよ!」
「今、俺の仲間がこのスタジオ火災の事を知らせに消防署まで走ってる!そう遠くないうちに助けは来る!だから俺たちがするべき事は、耐える事だ!これから落ちてくる天井や、燃え広がってくる炎から!」
「その為の個性が、俺にはある!須佐能乎ぉお!」
溶けて降ってくる鉄骨を、須佐能乎の身体で受け止める。
「この個性で俺が皆の盾になる!俺は、生きるのを諦めない!だから、皆も生きる事を諦めないでくれ!」
後輩に言われた最期の言葉は、俺の心に根付いているのだろう。皆への言葉として、自然と俺の心から出てきた。
だからだろうか、その言葉を皆は信じてくれた。
長く苦しい、ただ待つだけの戦いが始まった。
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あれから30分は経っただろうか。まだ救助は来ない。当たり前だ、あれは皆を安心させるための嘘っぱちなのだから。
皆に隠れて血反吐を吐く。全身の細胞へのダメージは、もはや限界に達しているのかもしれない。それでも柱間細胞が混ざっているおかげでまだ須佐能乎を維持することはできている。
白猫の力で須佐能乎の内側に入っていた神郷は、小声で俺と話をし始めた。
「メグルさん、あとどれくらい持ちます?」
「...わからない。でもチャクラが続くまでは保たせる。」
嘘だ、あと5分で限界はくる。それを気合いで超えたとしても10分程度だろう。
「嘘が丸わかりですよ。コレ使ってるの、相当辛いんでしょう?」
「お前にはお見通しか。そうだよ、全身の細胞が崩れていく感覚だ。痛いってのとは多分ちょっと違う。終わっていく感覚ってのが正しいかもしれない。」
「それなのに、なんで命を張ると決めたんですか?私たちは、あなたの復讐に関係ないのに。」
「正直、わからない。でも...」
「理由を考えるよりも早く、心が動いてた。」
その言葉にため息を一つ吐いた神郷は、目の前にペルソナカードを現界させた。
「メグルさんって、本当に馬鹿ですね。」
「知ってるから言わんでいい。」
「いいえ、言います。メグルさんは、心が復讐に囚われている癖にその心で誰かの事を助けようと走ってる大馬鹿野郎です。心で決めた目的が定まってません。だからこんな所で死ぬことになるんですよ。」
「返す言葉もないな。」
「でも、そんなあなただから、託しても良いって思ってんです。私の命と力を。」
「...力?」
「ええ、見ててなんとなくそうなんじゃないかと思って、このメグルさんの心の内側に来て、わかったんです。私のペルソナとメグルさんの今使ってる須佐能乎は根本的には同じものなんだと。それと私の白猫の特性を合わせると、こんな事が出来るんですよ。」
「さようなら」と一言呟いてから、神郷はペルソナカードを俺に押し付けて来た。
「私の白猫。百万回生きた猫に出てきた猫の伴侶の本来の特性は、生まれ変わった者に対しての干渉能力。その魂を正しき方へと導く祈りの力。」
心が、熱くなる。何かが、心の中に生まれようとしているのがわかる。
「あなたが転生者だからこそ私の白猫はあなたにとっての伴侶となり得るんです。あなたの、新しいペルソナの核に。」
カードが、胸の内側から現れる。それは、割れる事なく、須佐能乎の中に解けて消えていった。
「あなたに、私の全部を捧げます。だから!」
「あなたの、生きる事を諦めないという嘘を、本当にして下さい。」
須佐能乎が変わっていく。黒一色に染まっていた色が、所々赤色に染まっていった。神郷からの光を受け入れたことが俺の心に新たな色を与えてくれたのだろう。
そして、首に巻かれたマフラーは、血の色から鮮やかな紅色に染め直された。あの日巻かれた、篝さんのマフラーのように。
今ここに、俺の須佐能乎は至った。
永遠の万華鏡写輪眼の理由を、他者の光を受け取ったからだとこじ付けるスタイルです。まぁ瞳術の方は永遠にはなりませんけどねー。
ちなみにペルソナ能力を出したのは、他人に譲渡できる光ってなんかあったかなーと考えた所でペルソナ2罪を思い出したからだったり。