一月中には完結できると思うので、もう少しお付き合い下さいな。
木遁忍術の極致であり、仙術の極致である。
その仏は、千の手のひらを街に向け、海を背負って存在していた。
その全長は、約120メートル。実にウルトラマン3人分である。
そんな化け物が現れたのを上空で見た俺は、正直一旦逃げようかと思い始めてきた。
「なぁ、アレどーするよ。」
「いくらなんでもありゃスケールが違えぞ。どうする?」
「妾にパワーを集中させても、あの大きさじゃあフィニッシュホールドまで持っていけぬぞ。いや、あの千の手を出し抜く技など思いついてはおらぬのだが。」
「とりあえず、俺にエネルギーをくれ。引力で落下速度を加速させてこの木偶の坊を打ち込む。この高さからの質量攻撃なら、何かしらのアクションは拾えるだろ。」
「それで倒せるとは思えませんが、たしかに邪魔ですしね、この木人。利用するだけするとしましょう。」
というわけで、慣れてきた五人エネルギー集約の超引力。引力始点を真数千手の真上に設定し、チャクラブーストを組み合わせて超高速で木人の残骸を叩きつける。
「颯爽登場!アセロラドライバー・ジャンクドッグスペシャル!」
「貴様!技名を改悪しおったな!」
「どうだっていいだろ。というか人の名前を勝手に使ってんじゃねぇよ。」
「いや、そんな事より効果だろ。どうなんだ?」
「...下見ればわかるだろ。認めたくねぇけどさ。」
木人の超高速落下による質量弾は、着弾した仏の頭を僅かに傷つけるだけに終わった。そして、その傷は塞がっていっている。
「団扇巡、貴様はなんというか、手段を選ばんな。」
「選んで勝てるなら選ぶわ。というか選ばせろや。強すぎてどうしようもねぇんだよこっち側は。」
「そんなものか?」
「お前、自分の今のスケール考えてみろ。ウルトラマンのラスボスでももちっと自重するぞ。いや、あっちには予算の都合とかあるんだろうけどさ。」
「...そうなのか。」
そんな微妙に緊張感のない会話が、勝ち目のない死闘の始まりだった。
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「アセロラ、ブースト!」
「了解じゃ!」
アセロラの超身体能力を5人分の力で発現、分身の術でデコイを展開した上で突撃する。
だが、奴は自然エネルギーで感知している。当然のように分身の術は無視されて本体にのみ掌底の雨が集中する。左右へのフェイント、疾走コースの選定、スピードを落とさないでできるあらゆる手を打ってようやく真数千手の膝下に手が届く。
吸血衝動を無視して超身体能力で腹を打つ。陰我の姿が見えない以上、真数千手の中にいるのだろう。その位置は恐らく丹田。というかそれ以外殴れる位置にない。もはややけっぱちの全賭けだ。
現在の須佐能乎のスケールは無理めに展開して30メートルほど、真数千手の1/4程度しかないが、それでもアセロラの吸血鬼パワーを十全に発揮すればダメージは与えられる筈だ。
そう信じての特攻だった。
「即興必殺!須佐能乎・鬼人桜花衝!」
その上、現状出せる最大火力。アセロラの超パワーでの一撃でさえ、大したダメージは与えられない。それどころか、拳を放った分だけ隙になる。
「大将!」
「ジャンクドッグ、頼む!」
自身の背中に引力場を発生させて掌底の雨から逃れる。それから約300の掌底を躱しつつ射程距離外に後退する。
これでまた、振り出しだ。
「クソ、冗談じゃなく万策尽きてるぞ!巡!」
「なら、万と一つ目の策を練る!諦めることだけは絶対にしない!」
「しからば、次は何をするつもりじゃ!」
「残りエネルギー全部を込めた、力押しだ!」
「負けフラグビンビンなんじゃが!」
「グミ撃ちよりマシな筈ッ!皆、力を俺に!」
俺の須佐能乎の特性、それは繋ぐこと。
チャクラの本来の特性、それは繋ぐこと。
チャクラを操る技術の延長線上として、俺は須佐能乎の力で皆の力を繋いでいる。
だから、皆の力を繋ぐ事の延長でも、チャクラを扱う事ができる。そうであると感覚は言っている。
当然、チャクラコントロールの難度は桁外れに難しくなるが、そんなものはもはや誤差だ。どうせ、
「束ねて、繋いで、ぶっ放す!須佐能乎・火遁!」
「...また、あの火の玉か。だが、火ではこの力場を突破できまい。」
「豪火滅却!」
対陰我用に習得した新術。豪火球の応用でただひたすらに火力と範囲を広げた災厄クラスの豪火である。
須佐能乎のブーストと皆のエネルギーの掛け算で、その火色は白を飛び越え紫色と化した。
人間の可視範囲での最高クラスの炎である。
その超高温は、自然エネルギーの力場を抜き、真数千手の全身を覆い、豪火により滅却した。
少なくとも、俺の目にはそう見えた。
「...この程度なのか?団扇巡。」
「いや、まともな生物ならこれで死ぬと思うんだが。」
実際、余波で背後の海は蒸発している。威力には申し分ない筈だった。にもかかわらず健在だという事はそれ相応の理由があるはずだ。
単に、頑丈だからという理由だけで防がれたのならどうしようもないのだから、そう活路があるのだと思い込んでいるのは自覚している。
「皆、バラけてくれ。俺単体で動き回るから皆は回復に努めてくれよ。」
「たわけ、5人分の力でさえこの戦力差じゃぞ。主様一人でなんとする。」
「俺にはエネルギーの回復手段がある。チャクラカートリッジってんだ。科学の力ってすげーのさ。」
「...その言葉、信じるぞ。」
「おう。着地は各自で頼むぞ。」
空中で皆をパージし、須佐能乎の展開スケールを縮小する。人間大の形態、衣装・須佐能乎だ。
「さて、スケール差はざっと70倍か?...考えるだけ無駄だな。うん。」
皆が無事に着地できたことを確認してから、再び真数千手と向き直る。チャクラカートリッジを握りこみながら。
「一人になったか。...何故立ち向かう?力の差は歴然だというのに。」
「まぁ、いろいろだ。」
「そうか、話す気はないのか。」
「いや、話す気はあるぜ?だからまずその真数千手を収めてくれよ。ほら、同じ目線で話そうぜ?」
「そうしたら、私は貴様に殺されるだろうが。」
「残念ながら、今のお前を殺す手段はねぇよ。」
「嘘をつくな。何かしら手はあるのだろう?彼女の力も貴様にはあるのだから。」
「...ま、わかるか。」
とっておきたいとっておきというやつである。冗談でなく本当に。
成功確率があるかどうかすら疑問な危険な賭けなのだから。
「こっからは、俺だけの大博打だ。さぁ行くぞ!」
チャクラカートリッジは、呼び水だ。須佐能乎の繋ぐ力でチャクラを柱間細胞に繋いで、その侵食スピードを爆発的に促進する。
この先に、俺の意思が残るかどうかは本当に運だ。細胞に残留している御堂柱間の意思とて、この力を抑え込む事はできないだろう。
物言わぬ木となるか、混ざり高まりあの目を手に入れられるか。そしてその目の力は真数千手に対抗できるものなのか。全てが運だ。
それでも、一縷の望みは残っている。
「それが切り札となるのなら、当然止めるさ。」
「やってみろ!」
宙にいる俺を襲うのは、自然エネルギーのプレッシャー。手を動かさずとも握りつぶされ殺されそうだ。
自分の体が作り変わっている感覚を無視して、柱間細胞が生み出す圧倒的な身体エネルギーと16年間鍛えた体の生み出す精神エネルギーでチャクラを練り上げ、飛翔する。
飛翔ルートは、まぁ勘だ。自然エネルギーフィールドを感知する手段はないため、目を閉じて飛び回ることにする。
自分の今の状況俯瞰で見ると、人の周りを飛び回る小蝿のように思えてきて、ちょっとおかしくなった。そんなこと考える余裕のようなものがあったことに驚きながらも、ひたすらに飛ぶ。
力場を躱す。
掌底を躱す。
木槍を躱す。
全てが紙一重だ。
だが、目を閉じた事で研ぎ澄まされた勘がなければ叩き潰されていた確信があった。だが、それも数十秒のこと。
壁に衝突した。衣装の鎧がなければ首が折れていただろう。
嫌な予感から、閉じていた目を開ける。そこには、掌があった。
ならばと周囲を見渡せば、見えたのは絶望の光景だ。
360度全て、掌に覆われている。どこにも逃げ場など、ない。
「この程度で、死ぬなよ?」
掌が狭まり、俺を押しつぶそうとしてくる。このスケール差でパワー勝負などするだけ無駄だろう。
故に、未来に逃げる。
「
飛ばす時間は一瞬。それで回避などできるはずがない。
「模倣必殺、ファントムメナス!」
重なり合ったものは、存在が弾かれる。ゲームのバグのようなこの性質のお陰で、俺の命はまた一瞬繋がった。
そして、飛び出した箇所は仏の顔面の前。適当なポーズな割には粋な場所に飛ばしてくれたものだ。
「須佐能乎・紅蓮桜花衝!」
巨人状態でなく、人のスケールでの桜花衝。ダメージは見込めないが、陰我が俺を警戒しているのなら、防ぐだろう。防ぐはずだ。
だが、自然エネルギーフィールドは仏の顔面を守る位置には張られていなかった。つまり、俺の桜花衝は素通り。
「羽虫の一撃なんざ、防ぐ必要ないってか?」
まぁ、実際その通りなのだが。
今の一撃が通った事でいくつかわかったことがある。
木人とは違い、陰我は真数千手全体を自然エネルギーのフィールドで覆っているわけではない。故に、今のように不意を打てば攻撃は通る。
次に、火焔桜花衝のダメージ結果だ。真数千手全体のスケールとしては微々たるものだが、ダメージは通った。表面を砕き、その余波で表面を焦がしたのだ。
だが、当然のようにその表面は再生している。
つまり、俺の豪火滅却が防がれた理由は真数千手が燃えない性質を持っているというわけではなく、過剰なる再生スピードによって真数千手が焼け落ちる前に治し切ったというわけなのだろう。
いい加減にしろとなんと叫びたくなることか。諦めて逃げるというのもかなり有用な選択肢の一つとして出てくるレベルで力が足りない。
だが、ここで逃げれば二度と陰我と相対することはできない。そんな確信があった。
陰我は、逃げることなど容易にできたはずなのに俺と相対することを選んだ。真数千手なんて切り札を切ってでも。
それはつまり、陰我自身がここが命の張りどころと決めたからだろう。あるいは、命の捨て所と決めたのかもしれない。
それに答えないわけにはいかない。俺が陰我を宿敵と思っているように、陰我も俺を宿敵と思っているのだろうから。
「まだまだこれから!」
空元気なのはわかってる。だが、それでも声を出す。自分がやりたい自分であるために。
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チャクラの吸着で真数千手の表面に張り付き、向こうの掌底を誘発する作戦は自然エネルギーフィールドにより頓挫した。木人一人分すっぽり覆うくらいには奴の自然エネルギーフィールドは広いのだから当然だ。
だが、ここから離れたら千の掌底の射程に入る。そうなれば死ぬのは俺だ。だから、真数千手の体表面スレスレを飛行して撹乱する。次の不意打ちのネタを探しながら。
そのうち、指先の動きが鈍くなってきたのを感じた。無視して自然エネルギーのプレッシャーを回避して、それが故に真数千手から距離を取らされる。
そのうち、手が動かなくなるのを感じた。無視して千手の雨をかいくぐり仏の顔に再び接近しようとする。
そのうち、足が動かなくなるのを感じた。細かい移動が出来なくなったため、最高速で仏の顔へと動かなくなった足での蹴りを放つ。自然エネルギーフィールドに止められて、仏の顔に足が届く事はなかった。
それと、ボキリと両の足が折れた。
だが、出血はない。それはそうだろう。その足は、とうに圧倒的な柱間細胞のエネルギーにより木へと変化していたのだから。
だが、衣装須佐能乎のお陰でまだ戦える。木化したのは膝から下だけだったため、膝から下を須佐能乎で作り直せばまだ動くからだ。
そして、足の分だけ軽くなったため、スピードは上昇する。
動かなくなった両手を、須佐能乎で無理矢理動かし十字の印を結ぶ。
影分身の術である。それで実体化した32の小さな須佐能乎が一斉に散る事で、陰我に攻撃のポイントを絞らせない。
同時に、体に流れる柱間細胞のエネルギーを分配する事で、侵食を少しでも遅くする。
だが、たった32では千の掌を掻い潜り切ることは不可能で、一人また一人とダメージフィードバックとともに消えていった。
そして32人全員が消え去った。だが、陰我は警戒を緩めなかった。
そりゃあそうである。本体は、柱間細胞に逆らわないで合一化する事で、真数千手に隠れたのだから。
陰我の持つ強大な身体エネルギーは、柱間細胞由来のものである。それが故の奇策。慣れた感知タイプなら無意識的に自分のエネルギーを感知しないからだ。
だが、因果律予測を掻い潜る事はできないだろう。故に、この奇策で稼げる時間は数秒程度。
その時間をもって、俺は俺に転生する。
それが、か細い勝機に繋がる最初の博打である。
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真数千手の頭部にて、俺は走馬灯を見ていた。
それを無視して、加速した思考そのままに自身の身体をコントロールする。
今度は、俺を守る御堂柱間の意思は存在しない。あるいは、どこかで柱間細胞を抑えてくれるのかもしれない。
ありがとう、そう口にしようとして、しかし声は出なかった。
身体が全て、木になってしまっているからだ。
とはいえ思考は生きている。なら、あとは気合の問題だ。陰我の奴とてこの状態から復活したのだから。
身体を縛る柱間細胞のエネルギーを、感じる。流動する大きすぎる身体エネルギー、それの流れに逆らわずに精神エネルギーを添わせ、交わらせ、チャクラと為す。
そうして、自身の全てのチャクラを右目のあった部分に集約させ、その目をこじ開ける。
それが、自身の願った目かどうかは感覚が教えてくれた。この目は、違う。ただの万華鏡写輪眼だ。
もはや万策尽きた。右目が輪廻眼にならなかったという事は、俺は柱間細胞に選ばれなかったという事。陰我に匹敵する力は、得られなかったという事だった。
か細い勝機は、最初の一歩で断ち切れた。
しかも、開いた目は見た。陰我が俺を認識し掌底をもって叩き潰そうとしたのを。
これが終わりだ。そう思ってしまった。
でも、そう思わなかった奴らはいた。
「巡!」
才賀の声が聞こえた。才賀は、糸で釣られながら俺をかっさらい、アセロラとジャンクドッグとフランさんのコンビネーションの高速での巻き取りで俺を救出してみせた。
反撃に貰った、一つの掌底と引き換えに。
馬鹿野郎、そんな言葉が出てこない。口は木となり閉ざされているから。
だが、致命の一撃を喰らって尚、才賀は立ち上がった。
「へっ、目が開いてるって事は生きてるって事だよな!さっさと起きろ馬鹿野郎!」
海浜公園で俺を囲んで4人の戦士が立ち塞がる。真数千手を前にして。
「俺たちは回復したぜ?次の策はなんだ?」
「お坊っちゃま、団扇様は今喋れない様子。ひとまずあの大仏から逃げるのが上策かと。」
「逃してもらえるとは思えねぇがな。」
「カカッ!そんなもの、時の運に任せれば良いのじゃ!」
などと、割とボロボロで肩で息をしている皆が言う。
お前ら、無茶しすぎだろ。
才賀のダメージは明らかに致命傷だ。今すぐ治療をしなくてはならない。
だが、木になっている俺にはどうする事もできない。
やめろと言いたい。
逃げろと言いたい。
でも、背中を向けている彼らに、右目だけの俺は何もできない。
そして、千の掌の暴力により俺を逃がそうとした皆も纏めて吹き飛ばされた。
それでも、皆は生き延びた。不死身のアセロラとフランさんの糸が盾となってからのジャンクドッグの最高出力の引力フィールドによる後退というシンプルな手で。
だが、奇跡の代償は大きい。アセロラは下半身が千切れ飛び、フランさんは両手の指が折れ、俺と才賀を体でかばったジャンクドッグは背中のギアを破壊され多くの破片が背中に刺さっていた。
もう皆は、戦える状態じゃない。
それでも、皆は諦めていなかった。立ち上がろうとしていた。
そんなものを見たら、心に再び火が付かないわけはないだろう。
100%の全力で届かなかったなら、120%の力を出せばいい。
胸の思いは一つ、
全力以上の力を込める。全力以上の心を込める。全力以上の思いを込める。
カチリと、どこかずれていた歯車が噛み合った音が聞こえた気がした。
見えるものが、変わった。そしてその目が導く力を理解した。
いつだって、俺には力は微笑んでくれなかった。
いつだって、俺に微笑んでくれたのは光だった。
だから、その目はきっとそういう力なのだろう。
名付けるのなら、そう。
「皆、俺を信じて受け入れてくれ。俺たちは、これからだ!」
木の体が、肉の体に戻っていく。
ちぎれ飛んだ足が、再生していく。
それでも、急激な体の変化のフィードバックにより、俺が戦闘可能状態に戻るまでには、5分程度必要だろう。
だから、今度は皆を信じて任せる。
だから、使う。
「
善き人に、俺の心の光を付与するという新しい目の力。光を繋ぐ力。
輪廻写輪眼・天ノ逆手。
皆の心に俺の祈りの光、須佐能乎を纏わせる。
そのスケールは、今の俺の光の大きさ。40m級の須佐能乎が4体。
そして、須佐能乎のフィールド内にはそれぞれ用に調律した医療忍術のフィールドが展開した。これで皆の応急処置も間に合うだろう。
後は任せる。
任せろ。と繋がった心が響いてくる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一体の須佐能乎が糸を自在に操り真数千手の千の腕を絡ませる。糸で腕同士を絡ませる事により5本の腕を一本にまとめて千の腕を200にまで抑え込む。
そうして、迎撃の密度が減った所に3体の須佐能乎が飛び込む。
力任せのアセロラの一撃。
引力による速さのジャンクドッグの一撃。
驚異の技量による才賀の一撃。
そのどれもが、
出力が足りている。これなら、俺が参戦できれば勝機はある。
その原因は、なんとなくわかる。それだけ彼らは俺に善くしてくれていたからだ。
力を貸す事で、子供達を守ろうとするアセロラ。彼女の守ろうとする子供達の中にいつのまにか俺が含まれていたのを知っている。
成り行き任せで付いてきたジャンクドッグ。命を救った恩とは別に、ただ一人の友として俺に付いてきてくれた。俺の願いを守るために。
才賀に付いてきた事がきっかけのフランさん。彼女は一人の大人として、俺をただ見守ってくれた。
そして才賀。ただのお節介で付いてきたこの男。コイツとの出会いがなければ、おれはどこかで崩れて死んでいただろう。差し伸ばされたその手の力強い暖かさに、俺は心を許していた。
皆の善果は、俺の光が輝く程に報われるべきものだったのだ。
そう、俺の心は言っている。
「どこか彼女を感じる急激なパワーアップ。このままならばこの真数千手とて危ういかもしれんな。だが、急所が丸わかりだ。」
「させねぇよ!今の俺たちは、お前と戦える!あいつの光と共に!」
200に纏められた腕による剛撃の嵐。その目標は砂浜で倒れている俺だった。
それを50ずつ受け止める須佐能乎たち。伝わってくる心はただ一つ、守るとだけ。
それを信じて、しかし邪魔にならないように少しでも離れようとして。
一撃、皆が受け止めきれなかった攻撃が俺を襲おうとしたその時。
身体を抱えられた、
緑色のヒーローコスチュームの、頼れるヒーローに。
「お前、このバカみたいなスケールの戦いに突っ込んでくるとか、どうかしてるぞ。」
「いや、そのバカみたいなスケールを作り出してる半分って団扇くんだよね?勘だけど。」
「ああ、その通りだ。ついでに言うなら、そのバカみたいなスケールにお前を巻き込む事に決めた。じゃないと勝てそうにない。」
出久が逃げる進行方向を見ると、そこにはクラスの皆と相澤先生がいた。ヒーローコスチュームを着た状態で。
「緑谷くん!団扇くんは無事か⁉︎」
「皆、大丈夫、団扇くんは無事だよ!」
「緑谷ぁ!お前度胸ありすぎだろぉ!死ぬかと思ったぞ!」
「でもデクくん、ナイスだよ!」
「クソデク!クソ目!チンタラしてんじゃねぇぞコラァ!」
「いや、あいつらかなりのスピードだと思うぞ?」
「まぁ、仮免の癖に指示を待たないで突っ込んだ事は減点対象だ。あとで覚悟しておけよ。」
相澤先生の言葉が耳に残る。すまぬ出久、お前を助けられない非力な俺を許してくれ。
「それで、どうするの団扇くん。」
「搦め手は試し尽くした。あとは、力押しだ!でも、もちっと休ませて。」
「...締まらないね。」
「しゃーねーだろ、それが俺なんだから。」
どうしてここにいるのかはわからない。だが、ここに来てくれた信頼を信じて、皆と光を繋ぐ。
最大の障害、真数千手を倒す方法は手に入れた。
故に、勝利の法則は、決まった。
正直、次話でのやりたい事のためのこの作品続けてたりした所はあります。やっぱてんこ盛りは良い文明よ。