「龍、起きなさい。森に行くわよ。」
「あ~わかった・・・・朝食作るからちょっと待って・・・どれぐらい行く?」
「そうね・・・全部見つけるには午前中いっぱいぐらいはかかるかしら?」
「あいよ~じゃあ昼飯の下拵えもついでにやっとく・・・。」
そう言って調理に取り掛かる。
「「ごちそうさまでした。」」
下ごしらえと朝食を作り終え、食べたあと。
そのまま出かける準備をする。
といっても、黒に銀の糸で少し刺繍をしてある着流しを着て、自分で作った刀『朧火』を帯刀するだけだが。
「ん。準備できたぞ。」
「そう。こっちも準備できたから行きましょう。」
そう言って家を出る。
移動中・・・
到着
「さて、それじゃあ始めましょうか♪龍、貴方はこれらを採ってきて頂戴。」
「わかった。永琳は?一人で大丈夫か?」
「ええ。心配御無用。ちゃんと弓矢を持ってきたわ。」
そう言って俺に愛用の弓矢を見せてくる。
「ならいいけど・・・気をつけろよ?」
「ええ。わかってるわ。」
そして別れ、それぞれ必要な物を集める。
・・・・・・・・
「よし。これで集まったか。あとは永琳と合流すればいいか。ど~こっかな~っと?」
まあ、能力ですぐわかるんだが。
っつ!?マズい!
とっさに永琳の所まで空間を捻じ曲げて移動する。
「永琳!」
そう叫んで永琳を抱きかかえ、背中で守る。
side永琳
「あとはこれと・・・そういえばこれもなかったわね。丁度切らしていたところだし、いただいていきましょう。」
そう言いつつ目的の物以外のものもとっていく。
そしてたまたま場所が良かったのか、なかなか取れない薬の材料なども追加で採取する。
だが、その作業に熱中しすぎたのがいけなかった。
「キシャアアアアアア!」
「キャッ!」
後ろから奇声をあげ、襲いかかってくる妖怪に全く気付かなかった。
それこそ、致命的なまでに対処が遅れるほどに。
死を覚悟し、目を強くつむり、来るであろう痛みに耐えるために歯を食いしばる。
「永琳!」
よく知っており、自分の愛し、全幅の信頼を寄せる半妖がいた。
ザクッ!
「ぐぅっ!流石に痛えっ・・・!」
資格から襲いかかってきた蜘蛛の妖怪の攻撃を自らが壁になることで防ぐ。
「クッソ・・・『次元斬』っ!」
自身の霊力を刀に込め、空間ごと相手を切り裂くイメージで抜刀して居合斬りを放つ。
・・・・・・あ、ミスった。
この状況でこれ使ったら・・・!
サンっ!
うん。確実に蜘蛛の妖怪を倒せるのはいいんだけどね?
・・・これ、まだ未完成で体にめちゃくちゃ負担がかかるんだった・・・。
ドサドサッ!
蜘蛛の妖怪が切り裂かれて力尽き、倒れるのと同時に。
俺の体も既に深手を負っていたにもかかわらずこんなめちゃくちゃな技を放ったせいで体に過剰の負担がかかり、危険を感じた脳が自動的に痛みを遮断する。
有り体に言えば。
気絶した。\(^o^)/
・・・・・・・・・
「ぐ、ぬう。ここ、は?」
「・・・よかった!気がついた!」
「ぐほぁっ!?永琳!頭!頭鳩尾に入ってる!」
目を覚ますと真っ白な天井があり、気がついた途端泣きそうな顔をした永琳が顔をうずめてくる。
「永琳、どうした?俺が気絶したからってなく必要ないだろ?」
「いいえ・・・聞くよりも見たほうが早いと思うわ・・・。」
そう言って鏡を渡してくる。
「え?なにこれ?」
そこに映っていたのは俺とそっくりな、髪の白い青年がいた。
「え、永琳?どゆこと?」
「・・・ごめんなさい。あなたがそうなったのは私が原因なの。」
「は?」
恐らく俺がこうなったのには永琳に原因(俺は元々は黒髪)だと思ったので聞いてみたところ、泣き出しそうな顔で説明をはじめようとする。
「あ~永琳?もうこうなっちまったもんはしゃーないし、落ち着いて話してくれ。」
「ええ。わかったわ・・・実はね、あなたが気絶したあと・・・」
side永琳
「そんな・・・龍、しっかりして!」
抱き起こしてみるも、息は荒く、背中側は大きく切り裂かれており、どす黒く変色した血が絶え間なく流れ出していた。
「まさか爪に毒が・・・とりあえず急いで戻らなくちゃ!」
そう思い、抱き上げようとするも、
「・・・重い・・・」
女性一人の力で大の大人の体重をいくら細身とは言え抱き上げることもできずただ焦っていただけの所。
「ガウっ!」
「っつ!狼!」
反射的に弓を構えるが、ここで気づく。
「いくらでも襲えてたはずなのに、襲ってこなかった?」
不思議に思い、呆然と見る。
「アォーンっ!」
「遠吠え!?仲間を呼ぶつもり!」
慌てて矢を射ようとするが、狼の目を見て気づく。
「・・・攻撃の意思がない?」
そして仲間が集まり、唸ったり地面を前足で掻いたり体を震わせたりの意思疎通らしきものをしたあと。
ズル・・・ズル・・・
十数匹もの狼が集まり、それぞれが服の裾をかんで引っ張り出す。
ーーーーーーーー本来ならば寄り付きたくもないであろう街の方へと。
「運んで、くれている?」
慌てて自分も手伝い、一緒に引っ張り、街の入口までなんとか戻る。
「あ、ありがとう。」
狼たちに礼を言うと、狼たちは軽く頭を下げ、再び森のなかえ駆け出し、消えていった。
「そうだ!急がなくちゃ!門番さん、手伝ってくれる?」
「は、はい!どうしたんですか!?」
「森の中で妖に襲われて重傷を負っているの!急いで治療をするから運んで頂戴!」
「わかりました!お前、ここの見張りを頼む!俺はこの人を運ぶ!急ぎましょう、永琳先生!」
「ええ!」
そして急いで運び、自宅の診療所へたどり着くも、
「出血が・・・止まらない!解毒剤もないし、今から作っても到底間に合わない!」
そして周りを見渡すと・・・
「蓬莱の薬の試作品・・・こうなったら仕方ないわね・・・死んでしまうよりも、蓬莱の薬を飲ませたほうが!」
そしてもう出来ることはないと判断し、思い切って蓬莱の薬を飲ませる。
なんとか入れられたものを飲み込む。
「グ、う、がああああああああああああああああああああ!?」
副作用で身体が激しく痛むのか、叫び声を上げつつ悶え苦しむ。
そして収まった頃に慌てて脈を取り、心音を確かめる。
「よかった・・・生きてる・・・。」
ようやくほっと一息をつき、ベットに運んでもらったあと、自分は傍のストールに座り、様子をしばらく見る。
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
・・
・
「で、今に至る、ということだな。」
「ええ。ごめんなさい。それと背中の傷だけど、薬のおかげで治ったわ。毒も殆どが抜けて、残ったものももう分解されたみたいよ。」
「そっか。じゃあ死ぬ心配あもうないんだな。そういえば蓬莱の薬ってなんなんだ?」
「不老不死の薬・・・と言いたい所だけど、あなたの飲んだものは未完成なのよ。あなたが飲んだものは特に対する耐性と傷の超回復、それと不老の効果よ。」
「なるほど。つまり老いない効果はあるが、死にはする、ということか?」
「ええ。不死の方が不老よりも難しかったのよ。だから未完なのよ。」
「ふ~ん。ま、生きてんならいいや。永琳は怪我していないし。」
「・・・あなた、軽すぎない?」
「ん~?別にそんな気にする必要ないだろ?そんよか得のが多いだろ?」
「本当にいいの・・・?」
「いいって別に。じゃあ俺は防衛班にはいろうかな?」
「え!?あなた、自分が半妖なの忘れてない!?」
「人としての姿だけ見せりゃあいいだろ。」
「・・・それでいいならいいわ・・・。とりあえず、貴方の実力なら問題ないと思うから私の方から推薦しておくわ。」
「ありがとな。んじゃ、明日から早速防衛班として頑張るかね。
永琳、しばらく薬の材料取りは遠慮しておこう。」
「そうね。次行く時は集団で行きましょう。」
そう言って一日を終え、就寝する。