三日後・・・
「やれやれ・・・ウンザリするほどの晴天だな。お前ら、充分休んだか?」
後ろに集まった第1班の連中に聞く。
「ええ、昨日は丸一日休暇でしたからね。皆充分休みましたよ。」
「そうか。じゃあ体全員あっためておけ。今日は長丁場になるぞ。」
「「「「了解!」」」」
そして各自ウォーミングアップをはじめる。
「隊長はいいんですか?」
「ん?ああ、気にすんな。俺は朝偵察ついでに済ませてある。お前は?」
「そうですか。俺も済ませてありますよ。」
そう言って二人でウォーミングアップを始めているみんなを見る。
「ほかの隊はどうだ?」
「・・・ダメですね。皆、訓練不足。第1班上がりのメンツはどれだけ厳しいのか知っていますから、準備も念入りにしていますが。それ以外の連中ーーーー第1班に入ったことのない連中は日頃の生ぬるい訓練程度だと思っていますね。中には第1班上がりの面子を笑っている班もありますし。」
「・・・・・・馬鹿か?戦場での不調がどれだけ危険なのか知らないバカばっかりかよ。ガチで昨日の予想どうりになりそうだな。」
「・・・八分の一とちょっと、ですね。使えそうなのは。」
「厳しいな。」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
・・
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「隊長!見えました!」
「よし。10~20班の連中は市民の誘導に専念しろ!残りの班は5グループに分かれて防壁の影から射撃開始!これは3グループで行え!残りの2グループは防衛設備で砲撃しろ!」
全体に指示を出していると・・・
「おい!何を馬鹿なこと言ってやがる!全員後退しながら威嚇射撃すればいいだろ!」
「そうだ!どうして俺たちが残らなくちゃいけないんだ!」
・・・・・・・腰抜け共が。散々威張っておいて結局その様かよ。
「じゃあいい!てめえらみたいな腰抜けどもは居たって邪魔なだけだ!妖怪どもの餌になりな!
俺の指示に従ってくれる奴らはさっきの指示通りに戦闘を開始しろ!」
「「「了解!」」」
見繕っていた連中と元第1班の面子は残ったが、ほとんどの連中は逃げた市民たちに紛れて逃げようとしていた。
その様子をしばらく見たあと、残ってくれた面子に向かっていう。
「あ~お前ら。この際だからついでに言っておくわ。俺、実は半妖なんだ。」
「「「はっはははあはは!」」」
「あ?どうしたお前ら?」
「隊長、今更何言ってるんですか?そんな事、皆知ってますよ。」
「マジで?」
「ええ。ここに居るみんなは隊長の心や行動に惹かれて集まって従ってるんです。隊長が半妖だろうと誰も気にしませんよ。」
「・・・そう、か。・・・・・・・・・」
ふぅ・・・
「やれやれ。俺も随分と信頼されたもんだな。この大馬鹿野郎どもが。」
そう言ってはいるが、どことなく嬉しそうな表情である。
「さて、と。悪いなお前ら。貧乏くじだ。何処までも付き合ってもらうぜ?
命令は三つ。死ぬな、死にそうになったら逃げろ。そんでロケットに乗り込め。
無理して残る必要はねえ。ヤバイと思ったら逃げてもらって構わない。
常に2人1組で行動しろ!いいな!?」
「了解!」
そして戦闘が始まる。
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「ぐ、はぁ。てめえら全員生きてるか!?」
「はい!全員生きてます!」
「よし!もう十分時間は稼いだ!若い連中から順にロケットに乗り込め!
現1班の連中は・・・悪いな。殿だ。俺と一緒にな。」
「ははは、不死身の第1班の体調がいるなら問題ないな!隊長の運、少し分けてくださいよ?」
「しゃーねえな。少しだけ分けてやるよ。付いてこいよ?」
「「「了解!」」」
そうして死を恐れない、勇敢な兵士たちが決死の覚悟で時間を稼ぐ。
だが。
「隊長!ロケットの基盤がやられていて発射できません!」
先に乗り込ませておいた奴が報告に来る。
「クソが!上層部のアホどもか!」
そう言った直後に報告に来たやつのデバイスから映像が流れる。
『悪いね、防衛班の諸君。だが君たちは穢れに接しすぎた。そんな者共を月へ招くことは出来ないのでね。ここで君たちには我々のために礎となってもらうよ。それではごきげんよう。』
そう言って通信が切れる。
「隊長・・・どうすれば・・・」
「く、くくくくくくくく。ははははははは!なるほどクソ野郎どもが!予想はしていたがそれ以上のクズ野郎どもの集まりだったようだな!!ふざけやがって!てめえらの方が穢れてんじゃねえか!」
そう言って切れる。
「お前、ほかの面子に伝えろ。最後のの命令だ。『死ぬのは俺ひとりで十分だ。お前らはロケットに乗れ。』」
「なっ!?隊長!?」
「誰かがロケット発射までの時間稼ぎをしなきゃなんねえ。俺は自分に付いて来てくれた連中を死なせたくないからな。てめえらは逃がしてやる。行け!」
「っつ!了、解、しましたっ!」
泣き出しそうな顔をしつつ、伝令の兵士が駆け出す。
「・・・・・・・ふう・・・ワリイな、永琳。月に行けそうにないわ。」
一時的に敵を殲滅し、休息を得る。
「お前ら、来たんだな。」
ふと何かの気配を感じ、後ろを見るといつぞやの狼たちがいた。
「こっちにおいで。先にシェルターの中に逃げてな。」
そう言いつつ誘導し、シェルター内に避難させる。
「全員乗り込みました!」
先ほどの兵士が報告に来る。
「よし。」
早速最後のロケットに向かう。
「副隊長。これからは隊長として頑張ってくれ。」
そう言いつつ、以前作っておいた予備の回路を渡す。
「コイツで動くはずだ。あとは頼んだ。それと・・・」
朧火を抜き、渡す。
「永琳にこれ渡しといてくれ。あと次会った時に返してくれって言っておいて。」
「隊長!でもそうすると武器が!」
「あ?いいよ。俺は半妖だぜ?妖力や霊力、能力で戦うさ。」
そう言って扉を閉める。
「あばよ、てめえら。達者でな。」
そう言って開けられないように外から能力で扉のすぐ傍の空間ごと固定する。
そして背を向け、手を軽く振って離れる。
「さてと、てめえら。俺と遊んでもらうぜ?」
霊力で作った刀でいきなり次元斬を放ち、まとめて切り払う。
「おら!かかってきな!」
挑発しつつ、自ら飛び込んでいく。
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「終わった、か。」
所々負傷しつつ、妖怪を全て倒すことに成功する。
「・・・そうだ・・・早くシェルターに入らないとな・・・。」
そしてなんとかシェルター内に入り、入口を閉める。
その十秒後に、核の洗礼がその場を襲った。