今日、学校で防犯訓練がありました。
3階の教室で警察官のお姉さんが3人来て、色々とお話をしてくれました。
「皆さーん。知らない人にはついていってはダメですよ」
「「「「はーい」」」」
「もし、知らない人に連れて行かれそうになったら、防犯ブザーを鳴らしてください」
警察官のお姉さんは、いろんな色のストラップの防犯ブザーを皆に配りました。
「この紐を引っ張ると、ハイ」
お姉さんは防犯ブザーの紐を引っ張るとすごい大きな音がなりました。
皆は耳を塞いでました。
お姉さんが防犯ブザーのボタンを2回押すと鳴り止みました。
「これを学校にいつも持ってきてるカバンに取り付けてくださいね~」
「「「「はーい」」」」
警察官のお姉さん達は、何処に取り付けたら良いのかとか、取り付け方を一人一人手分けして教えてくれました。
私はお父さんにカバンに付けてもらった防犯ブザーを持っているので、どうしたらいいのか警察官のお姉さんに聞きました。
「あら、あなたはもう防犯ブザーをもっているのね。可愛らしいけど見たことのない形状ね。これはどういうものなの?」
警察官のお姉さんにお父さんに付けてもらった防犯ブザーの事を聞かれたので、答えました。
私の防犯ブザーは、ハート型の本体の上に森の妖精さんのちっちゃな人形がくっついてます。
ハート型の本体に停止用の大きなボタンがあって、その下に赤、黄、青の紐が3本付いてます。
「変な人を見つけたらこの黄色い紐を引っぱります。警戒音が鳴ります。5分後にアルが来てくれます」
「アル?」
「アルは家の愛犬です。とっても強いです」
「犬が来るの?………本当に?」
警察官のお姉さんは信じてくれません。
「じゃあ、この青い紐は?」
「わたしが尾行されたり、連れ去られそうになった場合に青い紐を引っぱります。スタン性のある特殊警戒音が鳴ります。5分後にお父さんが助けに来てくれます」
「へ?お父さんが?………またまた冗談よね」
警察官のお姉さんは信じてくれません。
「おもしろい子ね。じゃあ、この赤色の紐は?」
「テロリストに攫われたり、人質になった時に赤色の紐を引っぱります。警戒音は出ません。5分後にアルとお父さんが武装して助けにきてくれます。それと、お父さんが言ってました。MI6(イギリス秘密情報部)も完全武装で来るそうです」
「え?それは何の冗談かしら……ねえねえ、この子面白いのよ!」
やっぱり、警察官のお姉さんは信じてくれません。
警察官のお姉さんは他の警察官のお姉さん達を呼んできました。
そして、さっき私の防犯ブザーの説明を楽しそうに他のお姉さんたちに話してました。
「あなたお名前は?」
「アスカ・チドリです」
「じゃあアスカさん。試しに防犯ブザーの青い紐を引っ張って貰っていいかしら、一応警戒音がどんなものかも、聞いておきたいから」
「でも、お父さんが緊急の時以外は使っちゃダメだって言ってました」
「その、緊急のための訓練だから、きっとお父さんも許してくれるわ」
「わかりました」
私は防犯ブザーの青い紐を引っぱりました。
すると………超音波のようなキーンと言う音が教室の中いっぱいに鳴り響きました。
「ちょ!これ、身体が動かない…………止めて!アスカさん」
警察官のお姉さんたちはびっくりして、止めるようにと言ったので、ボタンを押して止めました。
「これ、すごいわね。こんな小さな防犯ブザーのストラップなのに…………」
警察官のお姉さんは息を切らしながら驚いてました。
教室の皆もビックリしてました。だから言ったのに……
この防犯ブザーはスタン性のある音波衝撃波が流れるって、お母さんが言ってました。
お母さんの手作りです。
「……アスカさんはこの防犯ブザーがあるから……大丈夫ね」
そう言って、警察官のお姉さん達は他の皆のところに行って、防犯ブザーの取り付け方の説明の続きを始めました。
でも、……何かを忘れてる気がします。
ブウウウウウウウンンン!!
キキキキッッ!!
ガシャーーーーン!!
外で大っきな音がして………
バタン!
3階のこの教室の窓が開きました。
「アスカ!!無事か!!」
お父さんが格好良く、窓から教室に飛び込んできました。
丁度青い紐を引っ張ってから5分です。
「うん。お父さん大丈夫。防犯訓練なの。訓練だからブザーを鳴らしてみなさいって、警察官のお姉さんが言ったの」
お父さんが格好良く窓から現れて、警察官のお姉さんと、クラスの皆はビックリした顔をしてました。
その後、警察官のお姉さん達はお父さんにずっと謝ってました。
お父さんは学校の授業が終わるまで、教室の後ろで授業を見てくれてました。
帰りはお父さんのバイクで一緒に帰りました。
クラスの皆は、お父さんの事を格好いいと褒めてくれました。
私もお父さんが褒められて嬉しいです。
やっぱり、私のお父さんは格好いいです。
でも……MI6って何のことかな?