日本国をエリア11とは呼ばせない   作:チェリオ

3 / 40
第02話 「八月十日」

 皇歴2010年8月10日。

 神聖ブリタニア帝国は日本国に対して宣戦布告。

 同時にブリタニア艦隊による領海侵犯が行われ、防衛に駆け付けた日本海軍と衝突。

 大艦隊で押し寄せたブリタニア艦隊に急遽集められた日本海軍は壊滅。

 ブリタニア海軍はほぼ無傷で突破。あとはナイトメアや歩兵を乗せた輸送船と多数の上陸艇による日本への本土上陸作戦が開始される。

 

 現行の兵器を圧倒的に上回るナイトメアフレームの実戦導入にて、本土防衛戦は崩壊。

 兵器・物資・兵員で勝るブリタニアは一日にして侵攻目標であった沿岸部を攻略…………。

 

 

 

 ―――――出来る予定だった…。

 

 

 

 宣戦布告を受けた日本政府、国防軍総司令部は騒然としながらも予定されていた防衛計画に従って行動を開始していた。

 元々首相から本日に侵攻を開始するだろうと秘密裏に防衛部隊を移動させたりしていたが、関係者の誰もが半信半疑でまさか本当に宣戦布告されるとは信じていなかった。

 配布された防衛計画に則って防衛艦隊を出撃させたが、あっという間に壊滅。

 日本国領海への侵入を防ぐ手立てはなくなった。

 計画通り(・・・・)とは言え軍部・政府上層部は半信半疑で見守るしかない。

 

 千葉県の海岸沿いに向けてブリタニア海軍が進軍してきた様子を日本国首相枢木 ゲンブは、険しい表情ではなくニヤリと笑みを浮かべながら眺めていた。

 モニターに映る艦隊はかなりの数で既に本土へと向かってくる上陸部隊の数も尋常ではなかった。多分この部隊こそ本土上陸の主力部隊だろう。

 

 作戦司令部を兼ねた部屋内では各オペレーターが忙しなくキーボードを叩き、インカムを通してやり取りを繰り返す。

 対して枢木 ゲンブと今回の作戦の要をこなした桐原 泰三を特別に招いて、見世物でも見物するかのようにリラックスしていた。

 

 「まったく、貴様は国のトップであろう。もう少し慌てたらどうだ?」

 「知り得ている事柄が目の前で起きた所で何を驚けと言うのか」

 「はぁ…儂もそうだから強く言えんがな。あの小僧は予知能力者なんじゃないかと疑うぞ」

 「――フン、そんな非科学的な存在ならここまで真面目に話を聞くことはなかっただろうな」

 「末恐ろしいのぉ。アレが成長したらどうなる事か」

 「危惧するか?」

 「いんや、楽しみだ」

 

 かっかっかっと桐原翁の笑い声も周りのオペレーターの声でかき消される。

 すでに艦隊によるロケット弾と航空戦力の攻撃により沿岸部の建築物に多大な被害が出ている。そこには指示通りハリボテの兵隊や兵器しか置いていないというのに。

 

 「ブリタニア軍第一陣上陸間近です」

 「戦闘機部隊は空母に帰還、補給中とみられます」

 「続いて第二上陸部隊が来ます。目標地点到達まであと10秒!」

 「さて、そろそろじゃな」

 

 大きく頷き立ち上がるゲンブを見て、近くで控えていた准将以上の軍人たちも立ち上がり視線を向ける。

 その表情には悲観などの感情はなく、どこか自信に満ち溢れていた。

 

 「では、奴らに我らが国を攻めた罪を償わせるか―――これより第二作戦へ移行。反撃の狼煙を挙げよ!!」

 「首相…こちらを」

 「うむ」

 

 内部を機械機器で埋め尽くされたアタッシュケースを向けられ、中央のスイッチを見つめる。スイッチの上部には鍵穴があり、ゲンブは持っていた鍵を入れて捻る。ロックが解除され、これでボタンが押せる状態になった。

 大きく息を吸い、吐き出して気持ちを落ち着かせ、力強くボタンを押した。

 

 海上を進む第二上陸部隊の真下が鮮やかな桃色の輝きを放ち、第二上陸部隊はその輝きの中へと消えていったのである。

 これこそ日本国の―ー枢木 ゲンブの―――否、枢木 白虎のブリタニアに対する最初の一手だった。

 

 

 

 

 神聖ブリタニア帝国…。

 大陸一つを国土にしている大国。

 留まることなく成長し続け、軍事力にものを言わせて幾つもの他国を植民地支配する超大国に成長した今でもその歩みは止まらない…。

 

 俺は臨時第08軍所属第二歩兵大隊所属のNo.1615。

 日本上陸作戦に合わせて臨時に編成された神聖ブリタニア帝国により八番目に植民地にされたエリア出身者で編成された歩兵部隊。

 幾ら超大国で国力も戦力も物資も他国に比べて多いと言っても限度がある。

 すでに植民地エリアを十か国も獲得し、エリアを維持しうるだけの戦力を置かねばならない。それらでも大量に人員を配置しなければならない状態で人的資源を最も失う戦争。足りない人員を補充する意味でも失われるブリタニア人の損失を減らす意味でも植民地エリアの人間を用いるのはブリタニアからすれば当たり前の発想であった。

 何の支援も社会的地位も与えられない植民地エリアの人間。

 役所に申請して一部の制約を免除され、ブリタニア人の支配を受け入れた名誉ブリタニア人。

 その中で軍に所属した者には銃の保持を許すか許さないなどいろいろな差別的格差や取り決めがある。

 人間には多くの考えを持っているが、大多数が苦しい生活より少しでも良い生活を目指す。

 俺もその一人だ。名誉ブリタニア人になり、ブリタニア軍のナンバーズ部隊に入隊し、少しでもよりよい扱いになるように必死に務めた。頑張りが報われたのか今では銃を携帯する事を許される立場になった。

 それでもナンバーズへの差別や格差は激しかった。だからもっと良い暮らしを求めて危険に飛び込んだ。

 

 危険を伴う他国への侵攻軍の第一陣。

 僅かながらの報奨金や功績から得れるご褒美を求めて志願した。

 おかしな話だとは思う。

 支配される苦しみを知っている自身がブリタニアが他国を支配する手伝いを率先してやっているのだから。

 

 現在俺が乗り込んでいる輸送船はブリタニア海軍の艦隊に護られながら日本国のイバラキ・フクシマと呼ばれる地域の沿岸沿いを目指している。さすがに艦隊で直接乗り付ける事はしないがかなり近くまで迫っている。

 ブリタニア人の上官が見下しながら怒鳴って命令を言い放つ。

 見下されることもぞんざいに扱われることも慣れているので今更どうとは思わない。言われたまま列に並んで順番通りに上陸艇に乗り込んで行く。

 乗り込む際、空母より発艦した戦闘機や攻撃ヘリが飛び立った。それに続いて艦隊のロケット弾が一斉に放たれて海岸線の先に並ぶ住宅街を吹き飛ばして行く。

 

 その光景を見てまたかという感想を抱いた。

 上陸作戦の際には無防備な上陸時こそ防衛側は攻撃を仕掛けてくる。それを防ぐために飽和攻撃を行って敵の防衛能力を削るのだ。それゆえに迎撃システムを配置してあるであろう防波堤や兵を伏せて奇襲や白兵戦を行える住宅街を集中的に狙って攻撃している。艦隊からのロケット弾に続いて戦闘機や戦闘ヘリからの攻撃で建物の多くが吹き飛び火の手が上がる。

 何度目だろうか。自分がブリタニア軍として侵攻軍に組み込まれた時も、自国が侵攻された時も見た光景…。

 

 日本国の防衛能力を削った所で輸送船より多くの上陸艇が海岸に向かって進み始める。第一陣は急ぎ海岸沿いを走破し目標地点までの道を切り開くのが目的で、目標地点の確保などは第二陣が行う。

 正直第一陣は捨て駒だ。ナンバーズで構成された歩兵部隊は海岸に埋められた地雷や海岸沿いに残っている防衛線力の排除など言葉通りの捨て駒として扱われるのだ…。

 しかし、従来の上陸作戦と違ってナイトメアフレームなる新兵器が実戦投入される事は心強い。

 話を聞いたのは作戦開始直前になってからで、聞いた直後はSFかなにかと嗤ったものだ。いきなり今回の戦いでは人型のロボットが投入されると聞いたら皆同じ反応をするだろう。けれど上陸艇で目にしたナイトメアフレームは思っていたよりも小型ながら堂々とした佇まいには戦場では味わえない安心感があった。足には機動力を得る為のランドスピナーなる車輪が取り付けられたパーツがあり、かなりの機動力で走破出来るとか。つまり自分たちの先頭を進むロボット。しかも装甲車と同じ装甲を使っているという事は自分たちが危険視している対人地雷などものともせずに走破するのだ。安心感どころか大きな期待感を寄せずにはいられない。

 

 仲間たちも妙に安堵した表情で海岸線を見つめていた。

 ゆっくりと海岸まで辿り着いた上陸艇は降り口の鉄板を開けて海岸へと続く橋になり、歩兵や戦闘車両、ナイトメアフレームが次々に上陸を果たして行く。

 が、ここで俺は気になることがあった。確かにブリタニアの飽和攻撃はかなりの物量を投入したことで住宅街などは粗方吹き飛んでいる。されど完全に吹き飛ばした筈はないので生き残りは必ずいる。なのに銃弾一発飛んでこないというのはどういう事なのだ? 

 疑問を抱きはしたが周りの仲間と同じにブリーフィングの通りに海岸を突破しようと駆け出していた。

 先頭をナイトメアフレームが進みだし、装甲車以上の速度で進んでいく。 

 

 突然、シャンパンのコルクが抜けたような音が響き渡り、円柱型の物体が砂地より飛び出した。

 それがいったいなんなのか。見当もつかない間に俺は何かに吹き飛ばされた。

 衝撃に耐えきれず倒れ込んだ俺は上に乗った何かを押しのけながら周りを見渡す。

 

 ―――地獄が広がっていた…。

 

 戦争に従事するからには悲惨な作戦や残虐な行為を目にする機会も多かった。

 だが、これはなんだ?

 自分たちが期待を寄せていた先行のナイトメアフレーム隊は蜂の巣か大破して地面に転がっていた。それだけでなく、ナイトメアだけではなく歩兵部隊にも被害が出ていた。

 上に乗ったのがまさにそれだ。何があったかは分からないが大きく抉られた仲間の死体。上に乗ったものを理解すると同時に胃の内容物をその場で吐瀉した。

 後味の悪い酸味が残るがいちいち気にしてはいられない。

 このままここで倒れていては乗って来た者同様自分も同じ運命を辿ってしまう。

 

 他の部隊でも同様の事が起きていた。

 ある地点を通り過ぎると地面より円柱形の物体が空中へと射出され、それが破裂すると周囲に何かが撒き散らされる。

 ナイトメアフレームも、装甲車も、歩兵もそれの直撃によって無残にも屍を晒した…。

 

 呆気にとられる兵士は多く、歩兵だけでなく無事なナイトメア隊までも足を止めていた。

 まさにそれを待っていたと言わんばかりに大きな爆発がいくつも起こった。爆発したのは先行部隊がやられた位置と上陸地の中間。爆発自体の被害は少ないがその爆発はクレイモアのように周囲に破片を撒き散らすタイプの地雷なのだろう。自分の近くにも飛んできた鉄の矢を見て理解できた。目に映った感じから何百、何千もの鉄の矢が放たれた事だろう。

 ナイトメアや装甲車にも被害が出ていたものの規模の割には小さかった。先行部隊がやられたのと違って、この地雷は対人地雷であったのだ。

 点のような影が多く自分に被った事である事に気付いて大慌てで駆け出す。

 駆け出した先には足を止めている装甲車があり、滑り込むように車両の下へと潜り込む。

 もしも急に動きでもしたらひき殺される。が、外に出てば確実な死。ならば祈るしかない。

 

 大きな爆発で鉄の矢は周囲だけでなく頭上高くまで打ち上げられたのだ。それらは放たれた勢いがなくなった時点から地球の重力や引力に従って落ちてくる。何千もの鉄の矢の雨が歩兵たちを襲った。

 

 まさに地獄絵図と言う奴だ。

 第一上陸部隊の大半の兵士が鉄の矢を浴びて行動不能に陥っていた。ナイトメア部隊もかなり減らされたが第二上陸部隊と合流すればまだまだ行ける。

 

 

 

 海面が桃色の閃光を放ち、大きく盛り上がって第二上陸部隊の上陸艇をひっくり返した。何とか耐えた上陸艇もあったが同じように耐えようともがいた上陸艇とぶつかり大きく破損した。

 

 

 

 もはや第二上陸部隊を期待できない以上はここには絶望しかない。

 こちらの絶望を色濃くするように防波堤を超えて日本軍が迫る。機関銃を積んだ装甲車も含まれていたが大半が二人乗りした三輪のバイク集団だった。バイクの正面には対人用の機銃が取り付けられ、荷台に乗っていた兵士は無反動砲か軽機関銃を構えていた。

 確実に機動能力を重視した部隊。

 それだけではない。あの最初に爆発した地雷などはナイトメアを想定したものだった。

 ブリーフィングでは奇襲と聞いていた筈なのに日本軍はすでに準備を終えていた。

 もしも……もしもだが日本軍がこちらの動き、戦力を把握して用意を整えていたのではないか?だとすると今頃各方面軍も…。

 

 呆然と眺める一兵士は抵抗は無駄だと察し、捕虜の一人となったのであった…。

 

 

 

 

 

 

 福島・茨城沿岸地域防衛司令部の情報統括室。

 海岸線の様子をモニター越しに眺めていた枢木 白虎は安堵して大きく息を吐き出した。

 自身の作戦が上手くいった事に安堵するが喜んでばかりはいられない。なにせ彼は忙しいのだ。藤堂 鏡志郎中佐や後の四聖剣メンバーの内三名にも各地で指揮を執って貰ているとしても有能な指揮官が足らなくて負けている戦線があるのは事実。ここの部隊を片付けたら次の戦場に移動しなければならないのだ。

 

 「そういえば…大丈夫かルルーシュ?」

 

 司令官が座る特等席の隣には子供が座れる椅子を用意されている。

 これは白虎がルルーシュに戦場での事を知ってもらおうと急ぎ用意してもらった特等席なのだが、その特等席に肝心のルルーシュの姿はなかった。近くのごみ箱を抱き抱え、胃の内容物を吐瀉していた…。

 

 「あー、すまん。配慮が足りなかった」

 「……うぅ…」

 「どうするこれから見るの止めとくか」

 「いや、慣れておかないと…俺はあいつを」

 「そっか」

 

 そうだよな。

 原作でのルルーシュのイメージで忘れてたけどまだ幼いんだよね。

 …これトラウマものだよね。

 吐くぐらいで済んで本当に良かった…あれ?そういえば母親の殺害現場を目にしてたよな。他人より肉親が無残に殺された現場に比べれば遠目からのシーンはまだ軽いか。

 

 「…はぁ…はぁ………あれ何だったんだ?」

 「アレとはどれの事だ」

 「一度目と二度目の地雷。そして海中での爆発の三つ」

 「あぁ、地雷の方は新型の対ナイトメア地雷と対人地雷。そっちは後で詳細が書かれたもんを渡すよ」

 「海中の奴は?」

 「そっちは兵器じゃない。流体サクラダイトが詰まったタンクの一斉爆破」

 「サクラダイト!?」

 「引火性は高いし、量さえあればあれだけのことは出来るさ」

 「水中だぞ」

 「だから周りの上陸艇は波で飲み込まれたろ」

 

 どこか納得できない表情をしながら思考を働かしていろんな事を考えているんだろうな。

 俺が普通の―――前世の記憶を持たない人間なら考え付かないよ。

 だってサクラダイトの使い方を教えてくれたのはルルーシュ、君だよ。

 コードギアス第13話のシャーリーと銃口で日本解放戦線のタンカーを囮に集まったブリタニア軍をサクラダイトの爆発で混乱を作った作戦。本当はアレをやろうとしてたのに親父が「貴様が提案したこの作戦だが東京方面に向かってくる部隊に使用することとする」とかなんとか勝手に決めて、終いには儂が爆破ボタンを押すと言い出したんだ。40過ぎたおっさんが威圧を込めた駄々をこねるなよ…。おかげで桐原のじいちゃんから貰った大半を親父が使ってこっちはギリギリの量で不安だったのだから。

 

 地雷に関してはコードギアスになかったものだ。

 対ナイトメア用の地雷は前世の世界であったとある大規模上陸作戦に使用されたものを改造してみた。

 本来は対人地雷で地面に埋まっているが地中で爆散するのではなく、空中に射出されて炸裂する跳躍タイプ。空中で炸裂する為に攻撃範囲は広い。それを対ナイトメア用に細かい鋼ニードルを撒き散らすようにしたのだが威力は申し分ない。ただナイトメア以外に歩兵にも当たって悲惨な事になっていたが…。

 対人地雷として使用したのはフレシェット弾というのは時限信管付きの砲弾で、炸裂すると内部に納められた何千本もの鉄の矢が進行方向に撒き散らす物である。実際には戦車砲や自走砲などで打ち出す砲弾だが、前世で見たアニメ【ヨルム●ガルド】での使用法をそのまま採用してみました。

 

 何にしても結果は上々。

 我先にと突っ込んできたナイトメア部隊の撃破に大半の歩兵部隊の消失、第二次上陸部隊の壊滅と想定以上だ。

 残りの部隊はうちの連中でなんとかなるだろう。

 本当は馬鹿みたいに長い名称が付けられてたが…えーと確か特秘対人型自在戦闘装甲騎試験大隊だったか。ほとんどの奴が特試としてしか呼んでいないからたまに思い出さないと忘れてしまいそうだ。

 この部隊は俺の指導の下、対ナイトメア戦を想定した特化部隊だ。二人乗り用の三輪軍用バイクを主戦力として、次点で歩兵、さらに装甲車などで構成されている。初期段階では戦車や自走砲を入れるべきだと関りのあるご歴々が口出ししてきたが却下した。なにせ機動力で現行の陸上兵器を蹂躙した兵器を相手にするのに、足を止めねばならない自走砲や戦車では死にに行くようなもの。だからこそ小さく、小回りが利き、機動力のあるバイクを採用した。

 銃武器は【亡国のアキト】の最終章でアレクサンダ・ドローンというナイトメアと戦ったユーロ・ブリタニア軍の歩兵の装備を見習わせて頂いた。ワイヤーの両端に爆弾を取り付け、投げたらナイトメアの脚部に絡まり易い脚部破壊用の爆弾に、一人で持ち運び可能な軽機関銃などを装備させている。

 アニメのコードギアスなどで携帯対戦車グレネードランチャーでナイトメアを撃破するシーンがある。だからといって持ち運べる弾数は少なく、取り回しが難しい。その前に全員に配備するのに難があり却下。そこでナイトメアの装甲を貫通しうる軽機関銃を採用したのだ。関係者の中には短機関銃で良くないかなどの意見が出されたが、短機関銃だとナイトメアの装甲を貫くことは不可能だ。アニメでコーネリアのグロースターがどれだけ撃たれても問題なかったしね。

 

 「さてと、残敵掃討は問題なさそうだな。これなら間に合う」

 「そんなに急いでいるのか」

 「そりゃ各方面に有能な人材が居なければ引っ張りだこだわな」

 「…自分の有能さのアピールか。で、次は何処に行くんだ」

 「自宅だ」

 「帰るのか!?」

 「当たり前だ!スザクと神楽耶が俺を祝おうとパーティの準備をしてくれているんだ。一分一秒でも早く向かいたいのに…」

 「あ、あー…今日は白虎の誕生日だったな」

 「本当にこんな日に限って攻めてきやがって…どうしてくれようか」

 「私怨甚だしいな」

 

 至極当然のように言い放った白虎に呆れながらもルルーシュは感心する。

 今までの戦争になかったような戦術。

 ブリタニアの動きを見越した配置。

 ましてこの戦場では住宅地などの被害を除けば、現在交戦している部隊のみ被害を受けている。最初の飽和攻撃など住宅街に撃ち込まれることを断言してそもそも兵員を配置すらしていない。

 

 こいつなら勝てるんじゃないかとナナリーを守りたい兄として、自分たちを捨てた父に恨みを持つルルーシュとして感心せずにはいられなかった。

 

 「そうだよ俺は自分勝手な男だから。私怨でも汚い手でもスザクたちを護れれば何だって良いんだ。それはルルーシュも一緒だろ?」

 

 その言葉にルルーシュは強く、心の底から頷いた。

 最愛の妹のナナリーを護るためならどんな手段も講じる。そのためにはこいつから色々学ばなければ。

 

 新たに決意を心に決めたルルーシュだったが、この後の白虎の誕生日会でスザクや神楽耶にデレデレの白虎を見て考えを誤ったかと思うのであった…。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。