昨年は12月25日の投稿に間に合わずすみませんでした。
遅れましたが投稿致します。
また今年もまたよろしくお願いいたします。
ギアス嚮団。
超常の力であるギアスを研究する、今は亡きシャルル・ジ・ブリタニアの極秘研究機関である。
その内容はギアスを与えれるコード保有者でシャルルの双子の兄“V.V.”を嚮主に据え、
計画名“ラグナロクの接続”。
ギアスの遺跡を用いて思考世界“Cの世界”に干渉するシステム“アーカーシャの剣”を構築し、ギアスの源である“不老不死のコード”で集合無意識に全人類を繋げるという計画。
これにより死者も生者も統合され、
虚言妄想の類に聞こえるだろうが、すでにその計画自体はすでに実行可能なものにまで仕上がっており、後はC.C.のコードさえ揃えばいつでも実現可能―――だった…。
枢木 白虎によるシャルル・ジ・ブリタニアの死去。
大事な弟の死去はV.V.の心にダメージを負わし、皇帝と言うブリタニアの絶対権力者の加護を失った事で動きに幾つかの制限が付いた。
これでC.C.を軍を使ったりして連れ戻す事も捜索する事も難しくなった。
あと少しだというのに計画が遠のいた事実に、殺害した枢木 白虎には怒りを覚える。
そう…弟が死んだ事ではなく、遠退いた事に対して…。
どうせ計画が遂行されれば繋がるのだからと…。
V.V.は腰かけていた椅子に凭れて大きなため息を漏らした。
「V.V.様。そろそろ…」
「―――ん」
時刻が来たことをギアスの紋章が描かれたローブを着込んだギアス嚮団幹部に告げられ、視線を頭上の大型モニターに向ける。
そろそろ「好機を伺っております」以外の報告を聞きたいものだ。
もし駄目であれば他の者を送ろう。
現状“
ギアスユーザーを使用しないのであれば、皇族に関りがあり、嚮団の仕事にも従事した事のある特殊部隊“プルートーン”を動かすか。
次の手から今の
何事かと周囲の幹部連中が慌てるが、これの意図することは一つしかない。
「しくじったねネブロス」
『御明察の通りですわ』
多少の期待交じりの報告は一瞬で最悪な報告へと変わる。
この通信回線が使われているという事は、確実にネブロスが情報を漏らしたという事だろう。暗殺失敗どころか情報を敵に渡すなんて使えなさ過ぎる。
暗殺しか取り柄の無いような駒は、もはや使えない駒どころか排除すべき塵と判断するしかない。
ため息交じりに目の前に映し出される正体不明の少女に意識を向ける。
「それで何の用だい?」
『せっかちですわね。まだ自己紹介もしていないというのに。お互いに名無しの権兵衛ではおさまりが悪いでしょう?』
「僕はそれでもかまわないけどね」
『困った方ですわね―――私は皇 神楽耶と申します。枢木 白虎の許嫁と言えば伝わると聞きましたが…』
枢木 白虎の名を耳にしてカッと頭に血が上る。
弟を殺し、計画を遅延させた張本人。
その関係者と聞いて、もろに感情が表情に出てしまった。
するとそれを嬉し気に笑みを浮かべられたので、ハッと我に返るがもう遅い。
悔し気に表情を繕って睨みつける。
『名乗ったというのに名乗り返して貰えないのですね』
「名乗らずとも
『色々と。例えば“アーカーシャの剣”を使って“Cの世界”に干渉し、“コード”を用いて全人類を繋げる“ラグナロクの接続”をなさろうとしているのですよね?』
「一体誰から…まさかC.C.?」
『さぁ、どうでしょう。そういえば貴方も今は亡きシャルル皇帝も、C.C.さんに振られた上、逃げられたそうですね』
苛立っているのにさらに挑発するように癇に障る言い方。
あの少女は何かを交渉する気があるのか?それとも別のナニカがあるのか…。
ずっと流れを掴んでいる少女に苛立ちが高まっていく。
『でも残念ですわよ。追い掛けても意識する女性に逃げられ、手の届きそうな夢は夢幻へとなるのですから』
「・・・・・・何をした?」
『そのままお伝えしますわね――――神根島の遺跡を破壊した』
神根島の遺跡はギアス嚮団本部の遺跡と同様に非常に状態が良い。
ラグナロクの接続をするにあたって、万が一にも嚮団本部の遺跡が使えなくなった場合はそちらを使用するセカンドプランを立てていた。
それだけに重要性の高い場所だったというのに…。
しかしそれは万が一があった場合のセカンドプラン。そちらが破壊されたからといって計画そのものが頓挫したという訳ではない。
『46cm三連装砲合計12基による一斉射撃。跡形もなく吹き飛んだでしょう。詳しい説明は省きましたので、艦隊指揮を執っていた藤堂大佐は命令事態を不思議がっていたそうですけどね。あ!ついでに中華連邦に点在している遺跡は中華連邦軍が破壊しましたわ』
勝ち誇ったように告げられ、内心は怒りでどうにかなりそうだったが、必死に堪えて余裕を崩さない。
しかし画面に映らないように手で指示を出して、事実確認ともしも責めて来たときの為に脱出の準備命令を下す。
「それでぼく達に勝ったつもり?」
『異なことを仰いますのね。中華連邦にはもう一つ遺跡があるのに』
ふふふっと笑いながら呟かれた言葉の意味を理解し、余裕を浮かべていた表情が崩れてサーと血の気が引いて行く。
嫌な予感しかしない。
否、この娘が連絡を入れた時点で気付くべきだった。
「こうも簡単に無駄話に付き合って頂きありがとうございました。おかげで貴方の居場所を逆探で把握出来ましたので」
「……止めろ…」
『えーと、こういう時は何というんでしたっけ…』
不安で押し潰されそうになっているというのに、神楽耶は気にも止めずに別の事を考え始めていた。
どうすればいいのか、どう言えば良いのかと思考を働かせるが、考えは纏まらない。
「止めろぉ!!」
『思い出しましたわ―――嫌だ。そんな頼み聞けないね!』
もはや怒鳴る事ぐらいしか出来なかったV.V.の叫びをピシャリと両断する。
同時に地上と地下を隔てる天井の一部に穴が空いて、数機のナイトメアが飛び込んで来たのだった。
枢木 白虎は愛機“月下先行試作機”内でひたすら待ち続けていた。
今回行う作戦は内容自体は単純だが、どうしても時間との勝負になってしまう。
運が悪ければ日を改めなければならないし、手間取れば自分がしてきたことが水泡に帰す可能性が高い。
もし自分がブラッドリー卿みたく冷酷であれば、ルルーシュみたいに超頭脳であれば、こんな博打みたいな作戦にはならなかったというのに…。
「ま、悩んでも致し方なし。やるだけさね」
ポツリと呟くとモニターにセシル・クルーミーが映し出される。
同時に簡易な建造物が並び、赤い点が示された地図が立体的に表示された。
『ターゲットの位置情報を送信。オペレーション“サジタリウス”開始して下さい』
「こちらサジタリウス1了解―――全機フルブラスト!!」
ニカっと笑いながら白虎は操縦桿を握り締め、まだかまだかと待ち続けていた両足に力を入れてペダルを踏み込む。
急激な加速により身体がシートに押し付けられるが気にも止めない。
オペレーション“サジタリウス”。
表向きには中華連邦内に建設されたブリタニアの研究施設を制圧する作戦であり、実際はギアス響団本部を完全に潰す作戦である。しかしながら、ギアス嚮団は被験体として多くの子供ギアスユーザーを保有しており、白兵戦やナイトメアでも近づけば操られて殺される可能性まである。
冷酷であれば空爆して潰す事も考えれただろうが、さすがに女子供関係なく生き埋めにしたと知ればスザクからの視線が痛い事待ったなし。
だからと言って時間を掛ければ嚮主V.V.が遺跡を使って逃げる可能性があるので却下。しかも全遺跡を繋げる前だから、繋がっているのはシャルルが使っていたブリタニア本国の遺跡。逃げられれば二度と好機は無い。
そこで考えた。
時間を掛けずに最低限の戦力で最低限の事を成せば良いと。
それならば数は必要ではなく、相手の急所を射抜くだけの一本の矢で事足りる。
『先行し過ぎです!』
突然降下して行った白虎を追いかけてスザクのランスロットが横を通り過ぎていく。
一本の矢と言ったがナイトメアで数えると四騎。
枢木兄弟のランスロットと月下先行試作型、それと桃色と金色の月下が一騎ずつ。
桃色にはC.C.が搭乗しており、金色にはロロが搭乗している。
彼ら四人が矢であり、突入する戦力の全てである。
「スザク。怖くないか?」
『しろ兄を信じているから』
「―――ッ…嬉しい事言ってくれるねぇ」
気遣ってかけた言葉なのだが、返された言葉に逆に元気付けられてしまった。
頬が緩み切った白虎は別に治そうとせず、前に出たランスロットの後ろにぴったりと並ぶ。
ギアス嚮団は研究施設。
それもブリタニア勢力圏外に秘密裏に建設したがゆえに、対空システムなんて構築できない。
フロートユニット限界高度からの急降下。
合わせて推進剤を使っての加速もあるからかなりの速度である。
馬鹿げているだろう。
それほどの速度で地面に向かって突っ込むのだ。
傍から見れば自殺行為。
しかしながら原作知識を持っている白虎には有効的な手段である。
アニメや漫画に登場する地下に建造された基地と言うのは、強固なものとして描かれる。しかし、ギアス嚮団は例外中の例外だと思っている。
なにせビルに押し潰される程度の推進力しか持たないジークフリートの体当たりを受け、アニメ二期最終回前まで世界最高の防御力を誇る絶対領域を展開していない蜃気楼の後部装甲―――もっと詳しく言うとフロートユニット部分が岩盤に激突したというのに、無傷のまま地下より地上まで岩盤を貫通出来る程度の硬さしかないのだ。
だったらブレイズルミナスを展開し、可変弾薬反発衝撃砲ヴァリスを構えたランスロットが突破できない筈がない。
「血路を開けスザク!」
『吶喊します!』
ランスロットがブレイズルミナスを展開ながらヴァリスを放つとあっさりと岩盤を貫いていおり、脆くなった穴をブレイズルミナスで無理やりこじ開ける。後に続いた白虎達のモニターに広大なギアス嚮団施設が広がった。
これだけ見事な地下施設など、二度と目にすることは無いだろう。
だからと言って立ち止まっているほどの余裕も時間もない。
あれば神楽耶とデートでもしたいもんだかね。
「ロロは誘導。スザクは予定通り脱出路へ。俺とC.C.は目標へ向かう。間違っても子供に近づくなよ!」
指示を飛ばせば一斉に動き出す。
ロロはここの出身でアニメでも子供達に慕われている様子から信用を得ていると判断して子供達と研究員の誘導を任せ、スザクは嚮団幹部であろう黒ずくめの連中が逃げるであろう脱出経路で待ち伏せして一網打尽にする。ただし捕まえる気はさらさらないのでアニメ通りに吹き飛んでもらうがね。
そして俺とC.C.の役割はシャルルとV.V.の悲願である計画を潰す事。
遺跡の位置はアニメの内容からおおよその見当が付いているので真っ直ぐそちらへ進む………のだが。
「邪魔されては面倒だからな」
地図に表示されていた赤い点に近づいたので高度を下げて、示されていた建物を蹴り飛ばす。
天井が砕けて晒された内部には黒ずくめ数人とV.V.が居り、驚いた表情でこちらを見上げていた。
そこに何のためらいもなく左手で持っていたアサルトライフルのトリガーを引き、戦車の装甲も貫通する弾丸の雨を浴びせる。
いかに不老不死と言えども、コードギアスに登場するのは瞬間的に欠損部位を回復する類のものではない。ほぼ肉片にまですれば、動けるぐらいに回復するだけでも時間を要するだろう。
『容赦がないな』
「余裕がないし、容赦する理由もない」
『確かにな』
短い会話を交わしてギアスの遺跡へと近づく。
遺跡の奥にはアニメ、漫画、ゲームなどで見たまんまのギアスの紋章が描かれた壁があった。
場所が場所なだけにアニメのシーンが脳内に流れて、自然と笑みが零れる。
アニメのように弱々しいC.C.を見て見たかったなと本人には決して言わない事を抱きつつ、紋章へ月下先行試作型の右手を当てる。
「行くぞC.C.」
『あぁ、やってくれ!』
C.C.機に左手を伸ばし、握られたのを確認すると意識をコードに集中する。
だいたいの使い方はC.C.から聞いてはいたが、使用するのはこれが初めてだ。
しかもアーニャの身体からマリアンヌの精神だけを遺跡内に飛ばすのではなく、ルルーシュとシャルルが会った時のように機体ごと向かう。
出来るかどうかではなくしなくてはならない。
自身に活を入れながら、白虎は眩い光に包まれて行った。
不安を抱きつつ瞼を開けると、モニターにはギアスの紋章が描かれた壁は映し出されてはいなかった。
黄昏の空にギリシャの神殿を思わせる建造物が浮かんでいる。
現実にはあり得ない光景に安堵と達成感を同時に味わう。
「幻想的な光景だな」
『壊すのが惜しくなったか?』
「ちっとも」
想いはしたがこれらは自分にとって不要。それどころが害悪でしかない。
一回だけ眺めると興味を無くし、目的の物へと視線を向ける。
建造物の奥に、二重螺旋を形成して空中に制止しながらくるくると回っている謎物体がそこにはあった。
『あれがアーカーシャの剣だ』
「剣と言うよりは遺伝子データみたいな形だけどな」
『形は何であれアレがCの世界に干渉するシステムだ』
「ならさっさと処分しちゃいますか」
“Cの世界”に“
オカルトチックな割に持ち込んだ物理攻撃は通用するというのは都合がいいと思うべきか。
アニメで蜃気楼の攻撃で建造物を破壊したルルーシュに感謝を心の中で述べつつ、同じようにナイトメアの火器を使用する。
C.C.機は携帯型バズーカ二つで白虎機はアサルトライフルを構え、容赦なくトリガーを引き続けた。
バズーカの弾頭が直撃すると爆炎と同時に直撃個所を粉砕。
アサルトライフルの弾丸は瞬く間にアーカーシャの剣を削っていく。
弾切れになるまで撃ち続け、アーカーシャの剣はもはや原型を留めていなかった。
トドメと言わんばかりに白虎が残骸を輻射波動で吹き飛ばし、ついでに建造物にまで一撃お見舞いする。
基礎をぶち抜いたために床が崩れ始め、さすがに慌てただろうC.C.機に手を伸ばす。
「帰るぞ。捕まれ」
『やるなら先に言え!』
当たり前の抗議を耳にしながら機体同士を寄せてしっかりと掴む。
崩れ落ちていく建造物を見送りながら、白虎とC.C.は現実世界に帰還する。
戻ったと認識するや否や、即座に三発目の輻射波動をギアスの紋章が描かれた壁に撃ち込む。
念には念を。
これでこの遺跡は二度と使われることはない。
「ロロ、誘導状況報告」
『現在出入り口に向かわせてますが、時間がかかります』
「なら俺がそちらの手伝いに回ろう。スザクはどうだ?」
『予定通りに脱出を阻止。完全に破壊しました』
「良し!だったらスザクはC.C.と共に先に外へ」
普通なら僕も手伝うとスザクあたりが申し出るが、ギアスが効かない白虎やギアスユーザー達と親交のあったロロとは違って危険があり、口が酸っぱくなるほど命令には従う事と言い聞かせたので、スザクは少し間を開けて返事をして地上を目指して高度を上げて行った。
見送った白虎は手伝いに向かおうとしたが、足を止めて辺りを見渡す。
「――っと、忘れてた」
吹き飛ばされた肉体が徐々に治り、ずりずりと這いずっていたV.V.を見つけ、潰さない程度に月下で掴む。
V.V.より怒気を含んだ睨みが向けられるが一切気にせず、白虎は熱源探知を使用して施設内に残っている人が居ないか確認するのであった。
C.C.は少し虚しさを味わいながら、ギアス嚮団本部があった辺りを眺める。
すでに天井は浮遊航空母艦鳳翔と、フロートシステムと砲撃戦仕様の兵装を装備した月下隊の集中砲撃によって崩され、瓦礫で埋まる地下施設にはミサイルの雨が降り注いで、ナパームで灼熱の海と化していた。
お飾りだったとはいえ自分が携わり、何十年もかけて作り上げた牙城がものの数十分で無に帰したのだ。
虚しさもあろう。
けれど虚しさだけでなく、どこか清々しい気分も味わっていた。
シャルルは死に、アーカーシャの剣は破壊。
ギアス嚮団の全データと職員たちを失っては、もはや計画の遂行は不可能。
正直私自体は嘘のない世界になろうがなるまいがどうでも良かった。
私は私の望みが叶えば何でもよかったのだ。
コードを白虎が継承し、不老不死から解き放たれた人間に戻った今となっては、自分の都合により出来た不始末に辛く思うところがあった。
ギアス嚮団然り、マオ然り。
しかし、それらは白虎が背負うと宣言した通りに取り除いてくれた。
捨てた
ギアス嚮団は幹部以上を殺し、研究者は二分して管理するとの事。
一方の幼いギアスユーザーの子供達に好かれている研究員たちは、一緒に施設に移して面倒を見させ、もう一方はバトレーの下に送ってギアスの研究を続けさせ、
なんにしても重荷が肩から降りた気持ちだ。
清々しい気持ちを味わっていると、近くに月下先行試作型を停めた白虎が近づき、ズボンが汚れる事など気にも止めずに隣に腰かける。
「また借りが出来たな」
「そうさな。デカい借りだな」
感謝を口にすると冗談交じりに返される。
ならばとこちらも返してやろうという気持ちが高まる。
「お前に借りっぱなしというのは気持ちが悪い。いつか返してやろう」
「ばぁか。明日も知れない我が身なんだ。即日返しが基本でしょ」
「ほぅ、求めるモノによっては神楽耶に報告する義務が発生する訳だが?」
「お前は俺が色魔に見えんのかよ」
「冗談だ。お前が興味あるのは神楽耶だけだもんな」
「なんか言葉に語弊を感じるんだけど?」
「気のせいだろう」
気に入らないと言わんばかりに顔を顰めていた白虎だったが、どうでもよくなったのかその場で寝っ転がる。
その表情は何処か困った様子であった。
「シャルルの記憶改竄のギアスがあれば、餓鬼どものギアスを封じれて良かったんだけどな」
「今更悩むか?」
「無い物強請りなんてらしくないか。なら代用品を探すまでだ」
「その様子だと心当たりがあるようだな」
「居るんだよなぁ。記憶改竄ではなく記憶の消去が可能なギアスユーザーが」
クツクツと嗤う白虎にC.C.は呆れたように笑う。
何処でそんな情報を…と普通なら驚くべきところなのだろうが、相手が白虎であるならそこまでの疑問は浮かばない。
寧ろ目を付けられたどこぞの誰かさんを憐れむぐらいだ。
「悪い男に口説かれたものだな。私もお前も」
「つくづくそう思いますよ」
作業が終了して報告しようと寄って来たロロはため息交じりに、投げかけられた言葉に同意する。
ロロの役割は、顔見知りである事を利用しての子供達から研究者までの誘導。
途中から白虎も手伝いに行ったものの、やはり知りもしないナイトメア乗りの言う事はすんなり聞いてもらえず、結局ロロ一人で誘導したのだ。
疲れた様子を浮かべるロロに苦笑を向ける。
「ロロもお疲れだし、そろそろ遺跡の破壊状況を確認して帰るか」
「そうですね」
「―――ァルル…」
腰を上げて自機に向かおうとする矢先、掠れたような声が耳に届く。
ポツリと漏れた声に振り返ると、白虎が回収して放置していたV.V.が座り込んでいた。
ロロは警戒の色を強くして睨み、懐から拳銃を取り出す。
「白虎さん」
「いんや、放っておけばいいさ」
三人の視線の先のV.V.はまったく反応を示さない。
白虎はちょっとやりすぎたかなぁ程度に申し訳なさそうに、後頭部を掻きながらロロを制止する。
「ねぇ、シャルル…何処に居るんだい?」
虚ろな瞳で優し気に寂し気に語り掛ける。
壊れた…のだろう。
大事な弟に念願だった計画の頓挫、遺跡の破壊などで奴を支えていた心の支柱がぽっきり折れた。
正直白虎も精神的に壊す気はなかった…と思う。
C.C.が断定できないのは計画を潰すために何をしたのかを白虎が嬉々として語った姿を目撃してしまい、それが精神破壊を意図したものなのか、ただの嫌がらせなのか判別がつかないのだ
捕縛後の計画では
再認識した白虎が頬を緩めた事で、またろくでもない事を考えたなとC.C.は少しだけ距離を取った。
何度も“シャルル”を呼ぶV.V.に言葉を投げかけようとした白虎は寸前で口を閉ざし、これは使えるなと思った事をロロに耳打ちして指示を出す。
一瞬、ロロは戸惑ったが言われるがまま言葉を口にした。
「どうしたんですか―――
その言葉に振り返ったV.V.は虚ろな瞳でしっかりとロロを捉え、「そこに居たんだね」と穏やかな笑みを浮かべた…。