日本国をエリア11とは呼ばせない   作:チェリオ

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第04話 「戦いはまだまだ続く」

 神聖ブリタニア帝国は荒れていた。

 たった一国。

 それも小さな小さな島国を相手に超軍事大国である自国が攻めあぐねている事に。

 

 地下資源であるサクラダイトの利権を狙って日本に対して神聖ブリタニア帝国は宣戦を布告。

 各地に集結させていた艦隊を宣戦布告前に出撃させ、宣戦布告と同時に日本領海内へと進軍させた。

 サンフランシスコ・ベースとカルフォルニア・ベースよりハワイ経由で主力の大艦隊が太平洋へ。

 シアトル・ベースよりアリューシャン海軍港を経由した中規模艦隊がオホーツクへ。

 フィリピンより小規模艦隊が東シナ海へ進軍し、艦隊・艦艇数で勝るブリタニア軍は日本軍の海上防衛能力を無力化し突破。そのまま上陸作戦を開始。

 

 ハワイより出撃した上陸部隊は二手に分かれ、一方はホッカイドウ南部とイワテ。もう一方はシアトル・ベースよりアリューシャン海軍港を経由した艦隊に合流してホッカイドウ南東部へ。

 アラスカ・ベースからはホッカイドウ北部と北東部、マーシャル諸島基地からはイバラキ・フクシマ、フィリピンからは三つほどの艦艇群が出撃。上海と大韓民国を経由して進んだ艦艇群はホッカイドウ西部にアオモリにニイガタにイシカワの四つに部隊を分け、上海で分かれた小部隊がヤマグチへ、あとはカゴシマとチバへと上陸作戦を決行。

 それぞれの部隊が連携しつつ、日本国の心臓部である首都トウキョウに向けて制圧して行けばという予定だった…。

 

 結果はカゴシマ・チバ・イバラキ・フクシマへの上陸部隊は壊滅。イシカワへの上陸部隊は海上で半壊させられ撤退。イワテ上陸部隊は敵の反撃を受けながらも上陸作戦を敢行したが部隊は半壊した為にアオモリ上陸部隊と合流と初戦でかなりの痛手を負ってしまった。

 上陸を成功させたアオモリは防戦一方で打って出るだけの余力はなく、ヤマグチは左右を囲まれて現在は壊滅寸前。ニイガタはじわじわと兵力を削られて投降している者が多く居るという…。

 唯一予定通り事を成しているのはホッカイドウのみ。されどその部隊のみでは日本国を手にすることは出来ない。

 

 この予想し得なかった事態に作戦指揮を執ったバトレー・アスプリウス将軍に対し、とある軍人は罵詈雑言を浴びせ、とある貴族は侮蔑の言葉を投げつけ。とある皇族は蔑む様な視線を向けた。

 が、神聖ブリタニア帝国第二皇子シュナイゼル・エル・ブリタニアのみはそのような考えを持ち合わせなかった。

 

 今回の侵攻作戦は兵員に兵器、物量などで絶大な差を有していた勝ったも同然の戦いで、皇族として戦の経験のないクロヴィスに慣れさせる兼ね合いもあって第三皇子クロヴィス・ラ・ブリタニアが総大将とされている。

 クロヴィスは美術や遺跡などの分野に秀でていて決して戦上手という訳ではない。専属の将軍であるバトレーも文官出で、突出して戦上手という訳ではないが、将軍という事もあって参謀将校と協議を重ねて上陸作戦の計画を練り上げた。

 

 得手不得手もあって多少なりとも不備はあっただろう。

 されどこの結果はありえない。

 

 「やはりおかしいね。これは」

 

 第一次上陸作戦の詳細や結果の詳細を書き綴られた資料を見終わったシュナイゼルはそう呟いて背もたれに身体を預けた。

 少し時間が経ってぬるくなった紅茶を喉に流し、大きく息をつく。

 

 初めに感じた違和感は上陸作戦を阻止された最初の一報が届いた時だった。

 電撃的な奇襲作戦に関わらず、日本軍は対応したのかと耳を疑った。

 艦隊を動かしたのだから何かしら警戒はするだろうが、有効な対抗手段を展開できるかと言えばシュナイゼルでも難しいと言うしかない。

 だが、日本国はやって見せた。

 飽和攻撃を予想して部隊を沿岸部に配置せず、サクラダイトを用いた策略で上陸艇を消滅・転覆させ、地雷や砲撃などで上陸出来た部隊を薙ぎ払い、生き残った戦力を後方より攻め込んできた部隊で攻撃・捕縛した。

 

 これは完全にこちらの詳細な侵攻作戦計画を把握していなければ不可能な事だ。

 日本国の諜報部が嗅ぎつけても詳細を入手することは不可能だろう。これは参加する将軍級に私兵や勲功を挙げさせるために息子達を出兵させた貴族、皇族などの一部しか知らず、詳細となると極僅かな人間に絞られる。

 その誰かに接触して入手するというのはあまりにも困難。

 ならば誰か裏切者が居る?

 いくら考えてもこれに関しては答えは出なかった。

 

 未確認の情報では日本軍はブリタニア軍最新鋭の人型機動兵器――ナイトメアフレーム【グラスゴー】の対策を施した部隊を展開しているとか…。

 

 そして日本はブリタニア本国へと一手、また一手と打って来た。

 

 神聖ブリタニア帝国は強大な軍事力にものを言わせてすでに十か国ほど植民地としている。

 中には――いや、ほとんどがその支配に納得できず、虐げられている現状に何かしら不満を持ち、ブリタニアへの恨み辛みを募らせている。

 そんな憎しみの対象である絶対強者が小さな島国一国を落とし切れないどころか押し返されている現状をどう思うか?

 国力でも兵力でも物量でも負けている小国が超軍事大国に対して奮闘して有利に事を進めている様子は反ブリタニアの思想を持つ者にとっては胸のすくような思いだろう。

 その結果、彼らは希望を見出す。

 たとえ相手より小さくてもやりようによっては勝てると反抗の芽が育ち始める。

 日本国が連日のように全世界に向けて放送している状況報告は各植民地エリアにも流し、鎮火しかかっていた火種が再び燃え上がらせようとしているのだ。

 

 さらにこちらの貴族を密かに寝返らせている。

 日本侵攻は勝つのは当たり前という前提で大小問わず、貴族の中には次期当主である息子を行かせて勲功を立てさせようとしていた。これらにバトレー達も危険も貴族達の考えも理解し、終始優勢で勝てるだろうと判断して侵攻軍に組み込んだのだ。

 しかし予想に反して上陸作戦のほとんどが失敗。

 戦死した者もいるらしいが捕虜になっている者も多くいるらしい。

 

 『息子さんが無事に帰れるように手配しましょうか?』

 『捕虜としての人権は保障します。が、我が国は小国で独房の数も知れます。人数が人数なので貴方達が植民地にした人々と共同の部屋に入れる事になりますが宜しいですよね?』

 『何かしら手を回して貰えるというのなら色々と都合できるんですがねぇ…』

 

 子供を心配する親心、代々受け継いできた家を護ろうとするプライドを利用して、言葉巧みに貴族達を引き込んでいる。

 言葉巧みと言ってもそんな易々と鵜呑みにする者ばかりではない。

 忠誠心の高い者は嘘か真か計り知れない言葉よりもブリタニアの方針に従う姿勢を見せた。

 

 が、一週間前の捕虜受け渡しの際に渡された捕虜二十名の中には大貴族・下級貴族の子供らが含まれており、この事実を知った貴族たちの心は揺れ、何人か情報と引き換えに交渉に及んだようだ。

 

 すでに後者のほとんどは対応した。

 なにせ子供を出した家柄となれば調べるのは容易い。

 取引に応じた者の中には大貴族も含まれており、公にすることは避けて話した内容や相手との会話で得た感じや情報を出させ、取引にまだ応じていない者には接触してこちらを噛ませての交渉をさせる手筈を整えた。

 

 「枢木 白虎か…一体どのような人物なのだろうね」

 

 一番上に置かれた【枢木 白虎】という日本軍人の資料に視線を向ける。

 現日本国首相の長男で、日本陸軍少佐。

 若くして多種多様な部隊に配属され、瞬く間に少佐の階級にまで上り詰めた男。

 集めた情報の中には親の七光りで出世したなどというものもあったが、親の威光だけの人物でないことは分かった。

 

 日本がこちらの貴族を引き込んだように、シュナイゼルは大企業の創始者を独自に引き込んでおり、その者の言によればこの人物こそがブリタニアを退けた作戦を立案したのだという。

 さすがにすべてを鵜呑みにしないが興味は大いに湧いた。

 

 出来れば会ってみたいものだ…。

 

 そうは思うが無理だろうなと判断する。

 なにせ神聖ブリタニア帝国は第二次上陸作戦の実行を決定した。

 内通者よりサクラダイトを用いた防衛作戦は量が足りないからと使用不可。

 輸入制限をかけて物資が流れないように各国には交渉をした。

 

 一度目は防げても奇策は使えず、物資は足りなくなる日本国が第二次上陸作戦を防ぎきることは不可能。

 さらに援軍としてコーネリア率いる部隊も参戦する。

 

 「ふむ、おかしいね。負ける筈がないのだが…」

 

 何かが足りなく感じる。

 負ける要素は無い筈だ。

 日本国の海上戦力は第一次で壊滅させ、残るのは国土を護っている防衛部隊のみ。

 勝ち以外にはない筈なのに胸騒ぎがする。

 

 

 

 

 

 ―――――ッ!?

 

 白虎は凍り付くような視線を感じ、勢いよく背後を振り返る。

 しかし後ろには座っている椅子の背もたれと壁しかなく誰かが居ることなどありえない。

 気のせいかとどこか納得できない心を無理やり落ち着かせ、膝の上に座っている神楽耶の頭を優しくなでる。

 

 宣戦布告&侵攻作戦を受けて三週間が経った八月三十一日。

 最前線で指揮を執っていた枢木 白虎は枢木家別邸に帰っていた。

 

 青森の部隊は押し止めるだけで無理な追撃や攻撃はせず放置。

 山口の部隊は藤堂中佐と朝比奈中尉の部隊を中心に挟撃を行っており、あと二週間も掛からずに殲滅できるだろう。

 

 そして白虎が担当していた新潟県はもはや瓦解寸前というかした。

 慣れない気候に土地、日本特有の湿気の多い暑さで士気は下がっている上に、援軍や補給が望めない絶望的状況下に追い込まれて新潟のブリタニア軍は弱り果てている。特にナンバーズで構成された歩兵部隊の士気の低下は激しい。

 ブリタニア人には差別意識の高い者が多く、そうでなくても物資が足りない状況を考えるとブリタニア人を優遇してナンバーズを冷遇するのは当然と言えば当然とも言える。食事のランクはどんどん下がり、仕事も増えていくだろう。

 

 ―――そんな悪化の一途を辿る状況下で甘い言葉をかけてやればどうなると思う?

 

 答えは簡単だった。

 ブリタニアに無理やり従わされた連中が大半で忠誠心もないのだ。

 抵抗を止め武器を捨てて投降すれば温かい食事に安心して眠れる寝床も用意する。もし希望するなら他国へ渡る手段や亡命を検討しよう。

 武器を捨てるどころか一式盗んで投降してきた連中も居て日本軍としては大助かり。しかもブリタニアに恨み辛みを抱えたナンバーズは共闘を申し出てくれて現場では急造の外人部隊で戦力が多少なりとも拡大出来た。

 

 …中には忠誠心の低いブリタニアの騎士がグラスゴーごと投降してきて、奇襲かと思った部隊とひと悶着あったっけ。結局、本当に投降してきたので騎士には捕虜収容所に行ってもらい、グラスゴーは兵器開発局に速攻で送った。

 

 多大な兵力の低下に、裏切りによる疑心暗鬼、暑さから来る苛立ちなど積み重なって新潟ブリタニア軍はすでにガタガタ。あと少し放っておけば自然と消滅するだろう。ここで下手に追い打ちをかけ過ぎたら手負いの虎となり、いらぬ被害を生み出す。

 

 まぁ、優勢である現状の勢いに任せて突っ込もうとする草壁 徐水中佐ら強硬派みたいな連中も居るので気は抜けないが、たまには良いよね?

 

 「で、これからどうするのじゃ?」

 「どれの事?」

 

 頭を撫でられて満面の笑みを浮かべる神楽耶の言葉にどれを意図しているのか分からず首を捻る。

 

 「桐原の件」

 「あー、別に何もしないよ」

 「良いのか?あ奴は私たちを、日本を裏切った売国奴になったのに」

 「…よく売国奴なんて言葉知ってるね」

 「毎日勉強をしておるからな」

 「よしよし偉い偉い」

 

 褒められた神楽耶はむふーと笑顔がふやけた。

 桐原の爺さんが裏切る事はなんとなく予想していた。原作では身の安全や利権・権利を保障され特区日本への協力を示した人物。日本への愛国心がない訳ではないが理想主義者ではない。しっかりとした現実主義者。たとえ現状が優勢でも日本がブリタニアには勝てないことを思って、後の為に備えを始める。

 許せない筈の裏切り行為なのだが予想通り動いてくれてこちらは大助かりであるがね。

 

 予想していたのなら網を張れる。

 まんまと掛かってくれた桐原の爺さんの弱みを握れる。

 実質一個人が桐原産業を操る事も可能となったのだ。

 なにせ国を売った売国奴の会社と知れば熱心な愛国心を持った者なら暴徒と化して襲いかねない。最悪殺されかねないほどのものなのだから。

 面倒なのでする気はないけど。

 

 とりあえず流す情報に制限をかけてシュナイゼル殿下と仲良くやってもらうさ。

 元々ブリタニアに対して強硬姿勢を取っていた親父達は有効な外交ルートを持っていない。俺の考えでは最後は皇族…それもブリタニア中枢に食い込む人物との話し合いが必要不可欠。裏切りとは言えパイプを得た事には変わりないのだ。

 

 だから感謝こそすれど恨みはしない。

 ただ、まぁ…俺の情報を流すのは止めて欲しかったぐらいか。

 サクラダイトの量が足りない云々は別にどうでも良い。というか知られたことで次の手も打ち易い。

 

 「それより目下は第二次上陸作戦の方なんだよねぇ…」

 「また攻めてくると」

 「当然」

 「アレだけ白虎がコテンパンにしたとゆうのに…」

 「その言葉だと俺一人でボコっちゃったみたいに聞こえるんだけど。それはさておき、来るだろうね。前の犠牲を塗り替えるほどの犠牲をこちらに出させる為に」

 「どうされるのじゃ?」

 「なんとかするさ。最低でも後二回は耐えないとお話も出来ないんだから」

 

 すでに手は用意した。

 開戦前に海軍の説得。

 日本国は陸軍と海軍の仲が悪い。

 仲の悪い陸軍の俺の話なんて聞いてくれないので親父達からの説得をして貰い準備を行わせた。あとから陸軍からの指示だったと聞けば憤慨するだろうがそんなのは後回し。日本を守り切った後で幾らでも謝罪してやる。

 それと外国勢力からの援助。

 と言ってもブリタニアが輸出制限をかけて、他国にも強要している時点でどこの国も日本に物資を送ろうとはしない。送れるとすればブリタニアと対等に渡れるほどの大国で日本に近く、お金で動いてくれそうなところ。

 

 条件に当てはまる国があって良かった。

 そう、中華連邦である。

 通常の二倍とかなり高めであるが物資不足に陥るであろうこちらとしてはありがたい限りだ。

 もしも日本が勝った時の為に未来への投資と言う事で戦後の復興援助も約束してくれた。代わりに三年間はサクラダイトの輸出40%を約束したが。

 そしてある条件を呑んでくれる代わりにおもちゃ箱をプレゼントした。

 最新のブリキのおもちゃ。

 多少中古ではあるが予備パーツに追加装備を含めたおもちゃ箱二つをセットにしたら二つ返事で頷いてくれたよ。

 手数としては少ないがあとは現世で得た奇策で何とかするしかない。

 

 「ずるいぞルルーシュ!」

 

 神楽耶を撫でながら考え事をしていた白虎は、部屋の中央でルルーシュより白虎と戦地を巡った話を聞いていたスザクの大声で現実世界に引き戻された。

 凡そ一緒に連れて行っているルルーシュを羨んでの言葉だろう。前々からスザクも連れてってとおねだりされているが、危なくて連れて行ける筈がない。

 ルルーシュは危険に遭わせても良いという訳ではなく、色々学んで貰わないとこれから先不味いのでね。

 話を聞いているのはナナリーも居て、突然の大声に驚いている。

 勿論別荘にはC.C.も居るのだが、生地の代わりにもちを使用したピザに舌鼓を打っており、まったく興味なさげだ。

 

 「だいたい内容は理解したが喧嘩は止めなさいね。ってかC.C.は止めようとしようよ」

 「何故だ?男子というのは多少荒事も経験すべきだろう」

 「面倒くさいだけだろう」

 「今忙しいからな」

 「――さいですか」

 「し~ろ~に~い~!!」

 「ワスプッ!?」

 

 神楽耶を持ち上げて安全を確保し、いきなりのスザクの横っ腹への体当たりを耐えた。

 何事かと見下ろすと頬を膨らませてご機嫌斜めな顔が映る。

 

 「えーと、どしたの?」

 「ルルーシュだけずりぃよ!!おれだってしろにいといっしょにいきたい!!」

 「行きたいって戦場に?駄目だよ。危ないんだから」

 「スザクは駄目で俺は容赦なく連れて行くのな」

 

 ルルーシュの冷静な突っ込みを受けながら、スザクから視線を逸らさない。

 諦めてくれたのかぷいっとそっぽを向いて唇を尖がらせる。

 

 「もう、いいよ」

 「分かってくれたのかい。すまn――」

 「しろにいとはにどとくちきかないから」

 「すみませんでした!!なんでも言う事聞くから許してください!!」

 「「えー…」」

 

 スザクの一言で全力で土下座をする白虎をC.C.とルルーシュの冷めた視線が向けられる。

 

 「喧嘩ですか?駄目ですよ喧嘩は」

 「ナナリーは気にしなくて良いんだよ」

 「あ!なんでもは禁句――」

 「いまなんでもっていったよね!?だったらしろにいのつくったふねにのりたい!」

 

 先ほどの無期限が嘘のように晴れ、スザクは棚の上に置かれていた軍艦の模型を手に取り駆け出して来た。

 その軍艦は白虎が制作を頼んだ新造戦艦の模型である。

 

 「乗りたいって使用時に?…ちょっとそれは…」

 「さっきなんでもっていったよね?」

 「ウッ…いや、でも…」

 「しろにい―――うそついたの?」

 「………分かりました」

 「やった!しろにいといっしょ!しろにいといっしょ!」

 「お船に乗るのですかお兄様。私も乗りたいです」

 「え?それは――」

 「駄目でしょうか?」

 「―――ッ!?だ…だ…だm………良いよ」

 

 キラキラとしたスザクとナナリーの期待に白虎とルルーシュは乾いた笑みを浮かべながら首を縦に振った。振ってしまった…。

 ナナリーの言葉に神楽耶も便乗してなぜか全員が乗ることになったがそんな事気にも留めずにC.C.は白虎に近づき、耳元で呟く。

 

 「………私との契約忘れるなよ…」

 「……あぁ…勿論…」

 

 どこかさみし気な表情を浮かべるC.C.に対し白虎は穏やかな笑みを浮かべ、片目を赤く輝かせた………。


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