艦隊これくしょん ~ナデシコの咲く丘で~   作:哀餓え男

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 正直に言うと、曙美さんの演説を書きたかっただけの回です。


第百一話 征くぞ諸君!

 

 

 

 

 大和と秘書艦を代わっている間、私は第八駆逐隊のメンバーと一緒に訓練したり哨戒に出たりしてたわ。

 

 うん、楽しかった。

 あの子達は脚技が使えなかったから、私の行動はいつも以上に制限されてたけどそれでも楽しいと思えたし、頼ってくれることを嬉しくも感じていた。

 

 さすがに、円満さんの世話があるから八駆の部屋に戻るってことは出来なかったけど、秘書艦業務がなかったから暇さえあれば八駆の部屋に入り浸ってたわ。

 

 そうそう、横須賀鎮守府名物の秋刀魚漁にも一緒に行ったっけ。

 しかもその時は、元帥さんがサンマを食べたいって言いだしたとかでお姉ちゃんも同行する事になったの。

 

 いやぁ、あの時のお姉ちゃんは別の意味で凄かったわね。

 頭のカチューシャをねじり鉢巻きに換装したお姉ちゃんが秋刀魚を網に誘導する様は曙美さんがスカウトするくらい手際が良かったわ。

 爆雷を投下し始めるまではね……。

 

 

 ~戦後回想録~

 元駆逐艦 満潮へのインタビューより。

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 「と言う訳でお世話になります。曙美さん」

 「何がと言う訳なのかわかんないけど了解よ満潮。でも、お世話になるのはこっちの方じゃない?」

 「いや~、今回はあの人が一緒だから……」

 「そう言えばそうだった……」

 

 私と気仙沼漁船団、通称『曙の明星』を束ねる先代曙の曙美さんがため息混じりに視線を向けた先にいるのは朝潮たちと談笑しているお姉ちゃん。

 今回の秋刀魚漁支援任務でトラブルが起こるとすれば、その原因は間違いなくお姉ちゃんだわ。

 

 「そもそも、何で今回はアイツがいるの?」

 「元帥さんが秋刀魚を食べたいとか言い出したんだってさ。後はまあ……想像つくでしょ?」

 「なるほどねぇ……。でもそういう事なら人一倍頑張ってくれる……のよね?」

 「それは間違いないわ。だってほら、探照灯を両肩に付けてるし、円満さんの話だと四式水中聴音機と試製15cm九連装対潜噴進砲まで装備してるらしいから」

 「ちょっと待て。ソナーはともかく九連装対潜噴進砲!?そんな物ぶっ放したら魚がダメになっちゃうでしょ!」

 「いやぁ……いくらお姉ちゃんでも使う時はそれくらい考えて……」

 

 使うんじゃないかなぁ。と続けようとしたけど、曙美さんの「本気でそう思ってんの?」と言わんばかりに細められた視線に負けて顔を逸らしてしまった。

 でも大丈夫よ!

 深海棲艦でも出てくれば話は別だけど、そうじゃないなら爆雷なんて使う必要がないんだから!

 

 「あ、そういえば曙美さんってお姉ちゃんの事が苦手って円満さんに聞いてたんだけど大丈夫なの?」

 「私が苦手なのはあくまで『朝潮』よ。だからアイツ自体は平気。元帥の事を悪く言わなきゃ何もしてこないしね」

 

 本当にそうだろうか。

 私と曙美さんが話してるのに気付いたお姉ちゃんが、こっちを見ながら朝潮に何か耳打ちしてるんだけど……。

 あ、朝潮の手を引いてこっちに来た。

 

 「ヒッ……!朝潮!」

 「ね?本当に怖がるでしょう?」

 「いや、覚えのないことで怖がられるのはそれなりに傷付くのですが……」

 

 お姉ちゃんの口元が猫みたいになってる。

 もしかしなくてもさっきまでの私と曙美さんの会話が聞こえてて、朝潮を曙美さんの目の前に連れてくれば面白いことになるかもとか考えたんだわ。

 最近、桜子さんと考え方が似てきてない?

 

 「ほら曙美さん、この子が今の朝潮ですよ。可愛いでしょう?」

 「やめっ、やめて……その子を私に近づけないで」

 「どうしてそういう事を言うんですか?ほら、こんなに小さくて可愛いんですよ?ほら、ほら」

 

 などと言いながら、朝潮の両脇に手を入れて持ち上げて曙美さんの目の前で朝潮を左右にユラユラと揺らすお姉ちゃん。

 曙美さんは恐怖のあまり固まって動けずにいるし、オモチャにされてる朝潮のメンタルもゴリゴリ削れてるっぽいわ。

 だって涙ぐんでるもん。

 お姉ちゃんは曙美さんをイジりたいだけなんでしょうけど、それって同時に朝潮もイジメてるからね?

 可哀想だからやめたげてよぉ……。

 

 「あ、あの先輩、そろそろ……」

 「ダメです。曙美さんが貴女に頬ずりするまでやめません」

 「で、でも嫌がってますし……」

 「朝潮。彼女は私のせいで厄介なトラウマを抱えてしまってるんです。その尻拭いを貴女にさせるのは筋違いとは思いますが、曙美さんの朝潮恐怖症は現朝潮である貴女にしか治せないのです。わかってくれますね?」

 「り、理解はできますが、でも……」

 

 理解できるのかよ。

 アンタはお姉ちゃんのそれっぽい口車に乗せられたっぽいけど、お姉ちゃんは単にアンタを出汁にして曙美さんをイジりたいだけだからね?

 

 「アンタも大変ね……」

 「ご、ご理解頂けたならその……凄く言いづらいのですが……」

 「わ、わかってる。少し怖いけど、アンタの泣きそうな顔を見てたら我慢しなきゃって思えてきたから」

 

 本当に申し訳ございません!

 朝潮と曙美さんがお互いの苦労を感じ取って頬ずりをされる覚悟とする覚悟を決めたのに、「気持ち良いですよ~?モッチモチしてますよ~?」とか言って空気がまるで読めてないお姉ちゃんに代わって謝罪します!

 

 「どうです?思わず吸い付きたくなるような触感でしょう?」

 「え、ええ……確かに……。ぬめってるけど」

 

 それは朝潮の涙です!

 後でハンカチを貸しますし、朝潮も涙を流すくらいメンタルにダメージ負ってるんで勘弁してください!

 

 「ぬめってる?ああ、朝潮が泣いてるんですね。なんで泣いてるの?」

 

 だいたい、って言うか全部お姉ちゃんのせいよ。

 だから「涙ってたしか塩味ですよね?ならばコレは朝潮の塩!つまり朝塩!」とか馬鹿な事言ってないで開放してあげて!「意外と売れるかもしれません」とか桜子さんみたいな事考えなくて良いから!

 

 「満潮さ~ん!」

 「あ~よしよし。もう大丈夫だから泣くんじゃない」

 

 ようやく開放されて私の胸(円満さんより有る)に飛び込んできた朝潮の頭を撫でながらお姉ちゃんを睨んでも、お姉ちゃんは腕を組んで「姉妹仲が良いのは良いことです」とか相変わらず空気が読めてない事を言いながらウンウンと肯いてるわ。

 コレがお姉ちゃんじゃなければ5~6発ぶん殴れるのになぁ……。

 

 「ほら、アンタは大潮と荒潮のとこに行ってなさい。ここにいるとまたオモチャにされるわよ?」

 「み、満潮さんも一緒に……」

 「私はまだ曙美さんと打ち合わせがあるから無理なの。良い子だから我が儘言わないで?ね?」

 「はい……」

 

 トボトボと聞こえてきそうな足取りで二人のもとへ向かう朝潮を見てると罪悪感が湧き上がってくる。

 でも私だって本当は一緒に居てあげたいの。

 一緒に居るだけでなく、朝潮が「もういいです」って言うまで頭を撫で続けてあげたいわ。

 でも、この場に居る艦娘でまともに打ち合わせが出来るのは私だけ。

 だって大潮と荒潮は論外だし、経験が少ない朝潮も無理。

 ならば軽巡であるお姉ちゃんがって事になりそうだけど、元帥さんの為になる事にしか脳みそを使ってないお姉ちゃんじゃ打ち合わせなんて大潮と荒潮以上に無理だもん。

 

 「じゃあ私もあっちに……」

 「お姉ちゃんはここにいて。お姉ちゃんは一応私達の旗艦だし、立場だって一番偉いんだからね?」

 「いやぁ、でも私は名目上の旗艦ですし……」

 「それでも話は一緒に聞いといて。あんまり我が儘言うと円満さんに言いつけるよ?」

 

 ちょっとズルいけど、円満さんと仲直りしたばかりのお姉ちゃんにこれは効果的。

 シュンとして「わかりました」と言いながら大人しくしててくれることを約束してくれたわ。

 

 「曙美さん。段取りは七駆から聞いてる通りで良いんですよね?」

 「構わないわ。ちなみに、どういう段取りだって聞いてる?」

 「え~っと……」

 

 大雑把に言うと真夜中、と言うより日付が変わった直後くらいに港に集合し、各々準備を終えてから、曙美さんによる演説を聴いて漁場ま移動。それから数時間、明け方まで漁をして港に帰港し、採れたてのサンマをご馳走してもらって鎮守府に帰る。

 なんだか不安を掻き立てる文言が混じってるけど、流れはだいたい今言った通りよ。

 

 「アレ……まだやってたんですか?」

 「アレってどれ?」

 「出発前の演説です。私も見たのは一度だけですが……何て言うかこう……」

 

 酷いの?

 お姉ちゃんはなぜか、両手をワナワナとさせて怒りと言うか苛立ちというか、とにかくイライラしてるように見えるわ。

 

 「じゃあそろそろ行きましょうか。アンタ達も準備してちょうだい」

 

 打ち合わせが終わり、私達にそう言い残して船団の方へ曙美さんが歩き始めるやいなや、彼女を迎えるように漁師さんたちが両脇に整列した。

 それだけじゃないわ。

 彼女が歩を進める度に、整列した漁師さんたちによって彼女の()()が装着されていく。

 それはねじり鉢巻きに始まり、法被、ゴム長靴、そしてどうやって手に入れたのか旧式の訓練用内火艇ユニット。それらが彼女の歩みを一切損なわせずに装着されたわ。

 そして最後に、桟橋の先に立った彼女に恭しく手渡されたのは豪奢な刺繍が施された大漁旗。

 さっきまで私と雑談し、お姉ちゃんにイジられていた曙美さんが、たった百数十メートル歩いただけで女王の風格を纏った……。

 いえ、これが彼女の本当の姿なのかもしれない。

 彼女は気仙沼を統べ、三陸沖に君臨する漁師さんたちの女王。豊漁を司る漁場の女神なんだわ。

 

 「満潮ちゃん。連装砲のトリガーから指を離しておく事をお勧めします」

 「どうして?」

 「どうしてもです。少なくとも私は、かつて曙だった頃の彼女の演説を聴いて撃ちたくなりましたから」

 

 いや、訳わかんない。

 曙美さんの演説って撃ちたくなるほど酷いの?って言うか毎回出発前に演説してるの?

 なんて疑問を頭に浮かべながら艤装を背負って海に出た私達を確認した曙美さんは、船団の先頭で仁王立ちして静かに、でもハッキリと聞こえる声量で語り始めた。

 

 「諸君、私は魚が好きだ。諸君、私は魚が好きだ。諸君、私は海の幸が大好きだ」

 

 聞こえてくるのは曙美さんの声と波音だけ。不自然に周りが静まり返ってるわ。

 最初こそ「なんだかワクワクしますね♪」とか「何が始まるのかしらぁ」なんてはしゃいでた大潮と荒潮ですら、この異様な雰囲気に飲まれて黙り込んでしまった。

 

 「ワカメが好きだ。フノリが好きだ。サクラマスが好きだ。カレイが好きだ。スズキが好きだ。マグロが好きだ。カジキが好きだ。サンマが好きだ」

 

 曙美さんの口調は激しくない。

 でも熱がこもり始めているのが肌で感じ取れる。

 それに呼応するかのように、漁船団からも熱気のようなモノが漂い始めたわ。

 

 「浜で、浅瀬で、遠浅で、波頭で、三陸海岸東部で、西部で、常磐沖で、この海上で行われるありとあらゆる漁業活動が大好きだ」

 

 そう言い終わると、曙美さんは左手に持つ大漁旗を軽く持ち上げて即降ろし、『脚』に当たった大漁旗の石突が鳴らしたカツンという音と共に一度息を整えた。

 私の横にいるお姉ちゃんが「知ってるのと違う……」なんて言いながら呆然としてるけど、前に聴いた演説と違うのかしら。私はなぜか、曙美さんの演説を何処かで聴いたような気がしてきたんだけど……。

 

 「船列をならべた漁船からの一斉投網が轟音と共に魚群を包み込むのが好きだ。海面高く釣り上げられた魚介類がばらばらと音を立てて落ちる時など心がおどる。

 操舵手の操る漁船のエンジンが海上を疾駆する時の音が好きだ。水飛沫を上げて荒れる海面から飛び出してきた大物を銛で一刺しした時など胸がすくような気持ちだった。

 トップガイドをそろえた釣り師の横隊が一斉に竿を振るのが好きだ。興奮状態の新兵が生きの良いカツオを何度も何度も天に掲げる様など感動すら覚える。

 ボウズで終わった敗残兵達を釣果に恵まれた者達が励ます様などはもうたまらない。汗を滴らせた漁師達が私の降り下ろした手の平とともに照らし始める集魚灯に魚が集まる様も最高だ。美味しいサンマ達が私達に食されるために集まって来たのを赤色灯落ち着かせ、群れごと一網打尽にした時など絶頂すら覚える。他国の密漁団が乱獲をするのは嫌いだ。我らが獲るはずだった海の幸が蹂躙され、稚魚までもが攫われ殺されていく様はとてもとても悲しいものだ」

 

 曙美さんがそこまで早口でもなく、でも淡々と言うよりは早く捲し立てたところで思い出した。

 口調もテンポも違うけど、コレたぶん某少佐の演説のパクリだわ。

 

 「諸君、私は大漁を、消費しきれないほどの豊漁を望んでいる。諸君、私に付き従う船団の釣り仲間諸君。君達は一体何を望んでいる?食うに困らない程度の漁獲量を望むか?頭を抱えたくなる様な不漁を望むか?どこぞの国のように悪逆非道の限りを尽くし、三陸沖の魚を採り尽くす様な乱獲を望むか?」

 

 瞬間、漁師たちから発せられた目に見えそうなほどの熱気が場を包み込んだ。

 まるでその問いを待っていたかのように、ガガガガ!ガガガガッ!と靴音を響かせ、船の上で直立不動の姿勢で演説を聴いていた彼らは一斉に敬礼して口々にこう叫び始めたわ。

 

 「「「「「大漁!! 大漁!!大漁!!」」」」」と。

 

 曙美さんは問いに応える漁師さんたちの様子を満足げに見渡した後、右手を挙げて静止を呼び掛け今度は自分が応える番だとばかりに大きく息を吸い込んで叫んだ。

 

 「よろしい!ならば大漁だ!」と。

 

 そのあまりの迫力に完全に気圧された朝潮は「ピィ……!」と変な鳴き声を上げて尻餅をつき、大潮と荒潮は……あれ?今一緒に「大漁!」って叫んでなかった?

 

 「我々は満身の力をこめて今まさに振り下ろさんとする釣り針だ。だが、この三陸沖で半世紀以上もの間漁法を伝え続けてきた我々にただの大漁ではもはや足りない!!」

 

 じゃあ何なら良いのか。

 は、置いといて、さっきからお姉ちゃんがやたらと静かね。真顔で船団の方をじ~っと見てるけど……。

 もしかして怒ってる?

 

 「豊漁を!誰もが羨むの大豊漁を!我らはわずかに一個船団。千人に満たぬ烏合の衆にすぎない。だが諸君は一騎当千の古強者だ。と、私は信仰している。ならば我らは諸君と私で総兵力100万と1人の大集団となる!」

 

 なるかボケ。と、ツッコみたい。

 曙美さんって横須賀所属だった割に話してみて普通だったから油断してたけど、やっぱり横須賀に所属してた元艦娘にまともな人っていないのね。

 実際はいるのかもしれないけど、少なくとも私が知ってる元艦娘にまともな人はいないし……。

 

 「我々を忘却の彼方へと追いやり、収穫を待ってるだけの連中を叩き起こそう。髪の毛をつかんで布団から引きずり出し、眼を開けさせ思い出させよう。連中に最高の味を思い出させてやる。連中に我々のゴム長靴の音を思い出させてやる。夜明け前の海には、奴らの哲学では思いもよらない事が起きていることを思い出させてやる!一千人の秋刀魚好きの漁船団で市場を燃え上がらせてやる!」

 

 今ふと思ったんだけど、この人たちって深海棲艦より前に殲滅した方がよくない?

 いや、べつにテロとかクーデターを起こすとか言ってるわけじゃないのよ?でもなんか、「ウオォオォォォォ!」とか叫び始めた漁師さんたちを見てたら何故かそういう気持ちになっちゃったのよ。

 

 「曙の明星 船団指揮官より全船長へ。秋季恒例棒引き網漁、状況を開始せよ!」

 

 大漁旗を大きく掲げて曙美さんがそう言うとさっきまでの絶叫の渦がピタリと止まり、代わりに漁船団のエンジン音が鳴り始めた。

 それにしても、ここに集まってる漁師さんたちって無駄に訓練されてるわね。その直立不動の姿勢は歴戦の兵士を彷彿とさせるし、眼光からは狂気すら感じるわ。

 若干宗教じみてる?

 

 「征くぞ諸君!」

 

 そして、満を持してそう言った曙美さんに率いられて、漁船団と私達は気仙沼を出航した。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 あの演説の後、漁師さんたちの迫力にビビって泣き出した朝潮を慰めたり、真顔で「撃ちます」とか言って本当に撃とうとしたお姉ちゃんを宥めたりで大変だったわ。

 大潮と荒潮?あの二人は漁師さんたち並みにテンションが跳ね上がっちゃって、私が止める前に駆け出してたわ。

 

 でもまあ、漁場に着いてからそろそろ帰ろうってなるまでが平穏だったのがせめてもの救いだったかしら。

 

 そう、それまでは平和だった。

 最初に言ったけど、お姉ちゃんの魚の追い込み方は曙美さんが惚れ惚れするくらい見事だったし、八駆の三人も不慣れながら楽しんでた。

 でも、帰る間際になって潜水艦が出てさ、朝潮が挨拶代わりの魚雷に被雷しちゃったのよ。

 そしたらそれにブチ切れたお姉ちゃんが「海ごと吹き飛ばしてやる」とか言って15cm九連装対潜噴進砲を乱射し始めちゃって、三陸沖を文字通り火の海に変えちゃったの。

 

 いやぁホント、深海棲艦から船団を守るよりお姉ちゃんの攻撃の余波から守る方が大変だったわ。

 しかも!

 そのせいで漁場にまで被害が出てたみたいで、そのシーズンはその日以来漁に出られなくなったの。

 

 そう!ニュースにもなったし新聞にも載ったでしょ?

 たしか『艦娘大暴走!深海棲艦ではなく海の幸を殲滅か!?』って見出しで。アレの犯人って、艦名は報道されなかったけどお姉ちゃんだから。

 

 え?でも誰も責任を取って辞任とかしなかったじゃないかって?

 あ~、それは艦娘の役割が船団の護衛。ひいては深海棲艦と戦うことだったからよ。

 実際、船団は無傷で港まで帰したし、人的被害も朝潮が怪我した以外は皆無。つまり、本来の役割はちゃんと熟してたの。

 

 しかも当時はまだ戦争中だったから軍の報道官も今より強気で「漁場への被害は不可抗力。船団への被害を最小限に抑えるためには仕方なかった。それとも貴方たちは、人命を蔑ろにしてでも魚を守れば良かった。とでも言うつもりですか?」って会見で言ってインタビュアーを黙らせちゃったのよ。

 

 それでもお咎めが全くなかったわけじゃないわ。

 お姉ちゃんは気仙沼どころか三陸全ての漁港から一生涯出入り禁止にされたし、演習大会までの間自宅謹慎の処分を受けたわ。当然ながら桜ちゃんに会うのも禁止ね。

 

 私たち?

 私たちはべつにお咎めはなかったわ。

 まあでも、秋刀魚漁支援任務がなくなった代わりに大会の設営準備に回されたのが罰だったと言えば罰だったかな。

 

 

 ~戦後回想録~

 元駆逐艦 満潮へのインタビューより。

 

主要キャラ人気投票

  • 朝潮(一部主役である二代目。大淀含む)
  • 神風(二部主役である初代。桜子さん含む)
  • 大和(影が薄い三部主役)
  • 紫印 円満(実質三部の主役?)
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