どうしてこうなった?
いや、今までの経緯はしっかり憶えてるんだけど、それでもなんで、私がお風呂でオッパイに囲まれてるのかがわからない。
いや、考えたくないだけか。
大会二日目が無事に終わり、ゲストたちとの晩餐会も問題なく熟して部屋に戻ったまでは普通だったのに、澪に「久しぶりに一緒にお風呂行こうよ」と誘われて上位艦種用のお風呂に来たのが運の尽きだった。
「ねえ澪、これは何の嫌がらせ?」
「嫌がらせは心外だよ。私はただ、ウォースパイトが「日本の文化に裸の付き合いとやらが有ると聞いた」って言って興味津々だったから場を設けただけだよ?」
場を設けただけ?
ウォースパイトにビスマルク、更にガングート、イタリア、ローマ、ネルソン、そしてアイオワ。更に日本代表とばかりに大和と長門と金剛。そんなオッパイの見本市みたいな光景を私に見せつけようとしたんじゃなくて?
いや、それだけじゃない。アンタはまたしても邪魔をしようとしてる。
きっとアンタは、お風呂に入ったあと私がヘンケンと呑みに出る約束をしてたのに気付いて阻止しようとしてるんだわ。
でも抜け出すチャンスはある。
だって今日の呑みはビスマルクも同席するんだもの。時間が迫れば私から言い出してもいいし、ビスマルクの方から行こうと言い出すかも知れないわ。
それまではこの拷問に堪えつつ、澪がどうして私とヘンケンの邪魔をしたがるのか探るとしましょう。
「澪ってさ、ヘンケンの事が嫌いなの?」
「嫌いじゃないよ。ただ……」
「ただ、何?」
「嫉妬は……してると思う」
「嫉妬って、澪がヘンケンに?」
それってどういう事?まさかとは思うけど、澪ってそっちの気があったの?しかもその対象は私!?
いやいや落ち着きなさい。
澪とは10年近い付き合いだけど、コイツがそんな素振りを見せたことは一度もない。
単に、妹のように思ってた私に彼氏ができたから嫉妬してるんだと思う。いや、そうであってくれないと身の危険が……。
「うん、正直憎らしいよ。私と恵にもできなかったことを、あのポッと出がアッサリやっちゃったんだもん」
「いや、意味分かんないんだけど……」
ヘンケンが澪と恵でさえできなかったことを私にした?彼が私にしたことと言えばプロポーズくらいだけど、まさか澪も私にプロポーズしたかった……って、それは有り得ないわね。
「わかんない……か。相変わらず、円満って頭良すぎてバカだよね」
そう言った澪は、何故か悔しさと寂しさが同居したような顔をしていた。
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エマと交際するにあたって一番の障害だったのは間違いなくミオだな。
ああ、彼女には事あるごとに邪魔されたよ。
彼女さえいなければ、俺とエマは演習大会の頃には深い仲になっていたはずだ。
今でこそ、俺とエマにサッサと籍を入れろと言うミオだが、当時はエマの事を心配するあまり過保護になっていたらしい。
俺が童貞だったと発覚するまで、女性を食い物にするプレイボーイだと思っていたとも言っていたな。
男に騙された経験でもあったのか?
いや、彼女の恋愛遍歴を知らないから俺にはわからない。だが、彼女は男に遊ばれるタイプではないと思うぞ?
まあ、ミオにとってエマは妹のようなものだったから、ポッと出の俺が信用しきれなかったんだろうな。
だからエマに相応しい相手になれるようにと、彼女が俺に課した課題は常軌を逸していた。
課題の内容については勘弁してくれ。
正直、俺にとっては黒歴史に等しいほど恥ずかしい内容なのでな。
だが課題を全て熟し、エマとの仲を正式に認めてもらえた時は素直に嬉しかったよ。
彼女に鍛えられていなかったら、俺は今ほどエマと深い仲になれていなかったかもしれないんだからな。
~戦後回想録~
バーガーショップ マクダニエル日本支店店長。
ヘンリー・ケンドリック退役大将へのインタビューより。
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「長門さん。とりあえずどうしてこうなったのか説明してもらってよろしいですか」
「私が聞きたいくらいだよ。澪が風呂に誘うから、てっきり朝潮も一緒だと思ったのに朝潮どころか駆逐艦が一人もいないじゃないか」
それは私も同じです。
他の駆逐艦はどうでも良いですが、長門さんと同じく朝潮ちゃん目当てで来たのに影も形も有りません。
有るのは国際色豊かなオッパイだけ。いや、これだと正確ではありませんね。
各戦艦は言わずもがなですし、大城戸さんも小さいながら谷間が作れる程度には有りますが、その隣で不機嫌そうにしている提督が絶壁過ぎます。アレではお世辞にもオッパイとは呼べません。
「駆逐艦みたいな体型の人ならいますけど?」
「それ、円満には絶対直接言うなよ?もし円満の耳に入ったら、機関のみ背負わされて夜間の対潜哨戒をやらされるぞ」
それは恐ろしい。
提督が本当にそんな事をするのかは疑問ですが、彼女の胸の大きさに対するコンプレックスは相当のものですから、うっかり聞かれようものなら本当にやらされるかもしれませんね。
「それよりも長門、これは何の集まりなんデース?」
「さっき大和にも言ったが、それは私が聞きたいくらいなんだよ金剛。澪は戦艦の見本市でも開きたかったのか?」
「素っ裸で?」
金剛さんにジト目でそうツッコまれて、長門さんはバツが悪そうに虚空を見上げてしまいました。
でも、金剛さんがそう言いたくなる気持ちもわかります。
確かに今現在、この浴場には各国の戦艦が集まっていますが艤装は背負っていません。
これでは戦艦の見本市と言うよりオッパイの見本市ですね。品評会が開けそうなほど多種多様、大小様々なオッパイが集まっています。
「まさか、貴女と裸の付き合いをする事になるとは夢にも思わなかったわね」
「私もですよ、アイオワさん。でもそれを言ったら、この場にいる全ての人がそうなのでは?」
長門さんと金剛さんが雑談を始めたのを見計らったかのようなタイミングで、アイオワさんが私の方に寄って来ました。
たしか、窮奇の話ではこの人も私と同じ存在でしたね。
「確かにそうだけど……」
「自分とは違う。いえ、
「そんな言い方をするって事は、やっぱり貴女も
「ええ、思い出したのは呉で貴女と話した次の日です」
私が自分と同じだと知って嬉しかったのか、アイオワさんは安堵したように「そっか……」と言ってため息をつきました。
この人、人の弱さを捨てているという話なのに、随分と人間くさい反応をしますね。呉で話したときもそうでしたし、艤装を背負っているか否かで変わるのでしょうか。
「興味深いお話をしてるわね。私も混ぜて頂いてよろしいかしら」
「ちなみに、どのあたりが興味深いの?Ms.Warspite 」
「それは当然、貴女方二人が私たちと違うと言った部分よ。Ms.Iowa」
そう言いながら私とアイオワさんの正面に移動してきたウォースパイトさんは、まるで観察でもしているかのような視線を無遠慮に注いでいます。
私たち二人が他の人と違う言った部分が気になったと言うことは、この人は私たちのような存在に心当たりでもあるのでしょうか。
「Ms.Iowa、米国にはどの程度話したのですか?」
「何の事かしら?」
「とぼけるのはやめにしましょう?当然、この戦争終わらせる方法についてです」
ウォースパイトさんのその一言で、この場にいる全ての人の視線が彼女に集中しました。
この戦争を終わらせる方法?そんなモノ、深海棲艦を根絶する以外にありません。
何故なら、例え個体レベルで理解し合えたとしても、人類と深海棲艦とでは根源的な目的が異なるのですから。
「それは、英国にも
「ええ、そう受け取って頂いてかまいません」
アイオワさんとウォースパイトさんのとの間に不穏な空気が漂い始めました。
とぼけるのはやめにしようと言ったクセに、肝心な部分を誤魔化しているウォースパイトさんにどこまで話して良いのかアイオワさんが探っているのでしょうが、これではお風呂なのにゆったりとできません。
「Ms.ウォースパイト。貴女が知りたいのは『穴』を塞ぐ方法ではなく、大和とアイオワも『蓋』に成り得るのかどうか。じゃない?」
「ご明察ですMs.Ema。でもJapanが『蓋』なんて穏便な言い方をしているとは思いませんでした」
「一応は最重要機密、いえ、最重要機密
貴女のせいでそうじゃなくなりましたけどね。
とでも言いたそうに、提督がウォースパイトさんを一睨みしました。
今までの話から推察するに、この戦争を終わらせるためには『穴』を『蓋』で塞ぐ事が必要。しかもその『蓋』に成り得るのは、私やアイオワさん、それに英国にいるというもう一人の転生者にしか無理なのでしょう。
そして恐らく、ウォースパイトさんが「穏便な言い方」と言ったことから、『穴』を塞ぐために『蓋』は……。
「命と引き換えにする必要がある。所謂『生贄』もしくは『人柱』と言うことですね」
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あの時の大和とアイオワ、そして円満とウォースパイトの話の内容はちんぷんかんぷんだった。
だってそうだろう?
『穴』だの『蓋』だの『生贄』だのと抽象的な事しか言わないから、戦争を終わらせるためにそれが必要ということ以外はサッパリわからなかった。
ビスマルクやガングートあたりは察しがついていたようだが、私がその意味に気付いたのは最後の最後でだ。
ああ、お前も見たのか。
そう、あの時大和があの『穴』に飛び込んだのを見て始めて、私はあの時の会話の意味を理解できたんだ。
~戦後回想録~
元戦艦 長門へのインタビューより。
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ウォースパイトの目的に気付くのが遅すぎた。
そのせいで、以前窮奇から不意にもたらされ、先生から機が熟すまで機密扱いにしろと命じられていたこの戦争を終結させる方法が少人数にとはいえ知られてしまった。
しかも、その鍵を握る一人である大和本人にまで。
「紫印提督、今の話は本当デスか?」
「本当よ金剛。でも他言はしないで。これは私の命令ではなく、元帥閣下からの命令だと思ってくれていい。大城戸中佐と長門、大和も同様よ。もし他言すれば厳罰に処すわ」
こう言っても、金剛は呉提督あたりには話すでしょうね。でも澪と、話が理解できていない長門は問題ないはず。問題は、当事者である大和ね。
「提督、黙っていろという命令には従いますが、質問してもよろしいですか?」
「答えられる範囲でなら答えるわ」
「では単刀直入に。提督は、私を『生贄』にする事に抵抗がありますか?」
「正直に言えばあるわ。でも、必要とあらば迷わずそうする」
できることなら戦死者なんて出したくはない。
でも、窮奇からもたらされた他の情報が確かなら、対欧州中枢戦は先の二つの中枢戦以上の戦死者が出る。
下手をすれば、その中枢戦に投入される全ての艦娘や軍人たちが全滅するほどのね。
だから、犠牲を最小限で済ませられるなら、私は迷わず大和を生贄にするわ。
「それを聞いて安心しました。もしその時が来たら、アイオワさんやウォースパイトさんのお身内の方でなく、私をいかせてください」
ウォースパイトがこの場でこの話を始めた理由。
恐らくは転生者である自身の娘、ジャービスの代わりになれる者を見つけるために、自国ですら最重要機密扱いであるはずのこの話を始めた事に大和が気付いたのに少し驚いたけど、それよりも驚いたのは大和の表情。
まるで救われたような顔をしてるわ。もしかしてこの子……。
「アンタ、死にたいの?」
「そう受け取られても仕方ありませんが、私は死にたいんじゃありません」
「ではどういう意味?」
今時点で窮奇から得ている情報では死ぬ公算が高い。
それは情報をもたらし、
「かつての私は一億総特攻の先駆けとして捨て駒にされました。お偉方にどんな高尚なお考えがあったのかも、後の歴史で私の死がどう評価されたのかも知る由がありませんが、少なくとも私は何も成していません」
「英雄にでもなりたいって言うの?」
「それも少し違います。確かに英雄には憧れますが、私が欲しいのは称賛ではなく別のもの。酷く個人的なものです」
大和はそこまで言って、決意でも固めるように瞳を閉じた。周りのみんなも、大和の言葉を固唾を呑んで待っている。
長門は頭にハテナマークを浮かべて「ウォースパイトの身内?一億総特攻の先駆け?」とかブツブツ言って小首を傾げてるけどね。
そして、満を持して瞳を開いた大和は、死地に赴く兵士のような瞳でこう言ったわ。
「私が生きている意味を知るため」と。
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アイツの意外な一面を見た気分でした。
アイツは生まれのせいもあって、学生の頃から異常なほど自分を律して貴族たらんとしていましたから。
ええ、学生時代も「貴族とは民衆を導き、民衆のためなら己の命すら省みず戦う者」と、漫画やアニメで出てくるようなセリフを大真面目な顔して言うような奴でした。
そんなアイツが、娘を死なせなくて済む方法を探していたと知った時、「ああ、コイツもやっぱり母親なんだな」と思いましたよ。
もっとも、次の日の雪風とジャービスの試合中にアイツがしたことを目の当たりにして「いや、どうしたいんだよ」と頭の中でツッコんでしまいましたけどね。
え?口調が普通?似非外人っぽくない?
あ~……アレはキャラ付けみたいなモノですから。
英国に留学してたのはほんの数年ですが、帰国当初はイントネーションに変な癖がついてて「金剛はそういう喋り方をするんだ」と、周りに認識されてしまったからその喋り方を通しただけです。
それでも、感情が高ぶると素に戻っていましたけどね。
その後?
その後は、訳がわかってなかった長門とネルソンが漫才じみたやり取りを始めたのを切っ掛けに、真面目な話から一転して紫印提督の胸の無さを誉める会に変わりました。
だって紫印提督が、ぶるんぶるん揺れる長門とネルソンの胸を見て血が滴りそうなほど唇を噛んでたんですよ?
それを見たアイツが「貴女の体型なら胸がない方が綺麗よ?」とか言い出し、ビスマルクも「そうね。エマの身体は完成してると言って良い。もっと自信を持つべきだわ」と乗っかって、後は空気を察した他の面子も続いてそうなったんです。
私は傍から見てただけなんですが、私から言わせればあれは嫌がらせですね。
確かに誉めたり慰めたりしてたんですが、彼女を囲むように作られた胸の壁は男性からしたら天国なんでしょうけど、胸の大きさにコンプレックスを抱えてた彼女からしたら拷問にも等しかったと思います。
だって、脱衣所で着換える紫印提督は心の底から絶望したような顔をしてましたから。
~戦後回想録~
元金剛型戦艦一番艦 金剛へインタビューより。
主要キャラ人気投票
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朝潮(一部主役である二代目。大淀含む)
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神風(二部主役である初代。桜子さん含む)
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大和(影が薄い三部主役)
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紫印 円満(実質三部の主役?)