次章の投稿開始は……。ゴールデンウィークが終わるまでにはしたいなぁ……(´_ゝ`)
親父がどれくらい強いか知りたい?
また変な事に興味持ったっすね。
え?最後の海戦の時に親父が前線に出てたって噂を聞いたから?
それ、噂ってことにしといてくださいよ?
海軍のトップが本土を離れてドンパチに参加してたって知れたら色々と面倒臭いっすから。
実際どうなのか?
ノーコメントっす。自分の口からは言えないっす。言ったってバレたら親父の前にお義母さんにボコられるっすから。
じゃあせめてどれくらい強いかだけ教えろ?
う~ん……今でも、戦闘能力だけ見れば海軍でトップじゃないっすかね。自分はもちろん桜子さんも親父には敵わないっすから。
以前はもっと強かったのか?
戦闘能力って意味でなら変わってないっす。
親父の強さは、そんなわかりやすいもんじゃなかったんすよ。
自分もアレを何て言ったら良いか今だにわかんないっすけど、親父の全盛期は間違いなくあの時だったって思えるっす。
そっす。
ライン川で
大和さんが『歴史の特異点』とするなら、親父は差し詰め『歴史の沈殿物』って感じっすかね。
~戦後回想録~
奇兵隊副隊長へのインタビューより。
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私にとって海軍元帥は二人います。
一人は今、目の前のカウンターでお酒をチビチビと飲みながらお通しを摘まんで注文した料理ができるのを待っている現海軍元帥。
もう一人は、呉鎮守府の初代提督にして、退役して今は自宅で余生を過ごしている日本国防軍の初代海軍元帥です。
「桜子さんの容態はどうですか?」
「思っていた以上にピンピンしていたよ。もっとも、医者にしばらくは飲食禁止と言われて絶望してたがな」
「あら、内臓を痛めたのですか?」
「ああ、タシュケントの拳をモロに食らったらしい。アイツもまだまだだ」
海上ではなかったと言え、艦娘による打撃を受けてそれでも生きてるんだからもう少し褒めてあげても良いのでは?
しかも聞いたところによると、誘拐された艦娘も無事保護して間諜の方々も拘束したとか。
それなのに、どうしてこの人は誉めることをせずにまるで「面倒事が増えた」とでも言いたげなお顔をしているのでしょうか。
「孫が増えた……」
「は?今何と?」
「馬鹿息子の話によると、桜子はタシュケントを養子にするつもりらしいんだ」
なるほど。そういう事ですか。
孫が増えたなんて言うもんですから、私はてっきり桜子さんが二人目を妊娠したのかと思いましたよ。
ですが、今の話が事実なら確かに面倒ですね。
タシュケントさんは露国の艦娘であり間諜。
退役後ならともかく、現役の彼女を簡単に養子にできるとは思えません。
まあ、この人なら面倒だとか言いながらもなんとかしてしまうんでしょうけど。
「そう言えば、敵艦隊の迎撃も上手くいったようですね」
「ん?ああ、君の出番がなくて良かったよ」
「私的には残念で仕方ありませんでしたが?」
「冗談はやめてくれ。君が出撃すると言うことは、鎮守府が本当に危ないのと同義なんだぞ?」
ええ、承知しています。
私は横須賀鎮守府最後の砦。守護神である長門さん同様、横須賀鎮守府最後の護りです。その私が出撃すると言うことは鎮守府が陥落寸前な事とイコール。
それ故に、私は此度のような事態程度では出撃を許されません。
「君が現状に不満が有るのは承知しているが……」
「いえ、単なる憂さ晴らしなので気にしないでください。出撃を許されない分、色々と便宜を図ってもらっていますし」
それはこの店に始まり地下の個人練習場、更に通常任務の免除と非常時の独断専行権等々、言えば大抵の人が羨ましがるような便宜を図ってもらっています。
お給金もまあ……ぶっちゃけ長門さんより多いです。
「ああそうだ。来週末の予定は空いているか?」
「空けようと思えば空けれますが……。デートのお誘いですか?」
「そうだ。と、言いたいところだが、俺では君の相手には不相応だよ」
本当に謙遜してそう仰っているようですが、私的にはそんな事はないと思いますよ?
私は普段着も着物ですし、この人も普段着は着流しというお話ですから格好的にも違和感はありません。さらに年齢的にも、相手が大淀ちゃんより私の方が釣り合いが取れると思います。
「ジジイのところへ行く予定になっているんだ。だから君もどうかと思ってな」
「貴方が私を誘うと言うことは、長く……ないのですか?」
「お見通しか。
今話に出て来た淀渡君こと
現在はこの人の秘書官として大本営に籍を置きつつ、前元帥の介護をなさっています。
その彼女が「そう遠くない内」と言ったと言う事は、本当に長くはないのでしょう。
現実問題として、彼は100歳を軽く超えていますし。
「葬式に呼ばれなかっただけマシ。と、思うべきでしょうか」
「そうだが、用意はしといた方が良いだろう。あのジジイは「みんなが見舞いに来てくれるまで絶対に死なないよ」なんて言ってるそうだからな」
それは逆に言えば、私たちがお見舞いに行けば未練が無くなってポックリ逝ってしまうのと同義なのでは?
まあ、ポックリ逝けるのなら幸せでしょう。なにせ、大往生なのは間違いないのですから。
「寂しそうですね。あの人のことを恨んでいたのではないのですか?」
「そう、見えるか?」
「ええ、とても……」
前元帥は深海棲艦が……いえ、彼が妻子を失う原因となった転生者の一人。さらには提督という重責を背負わせた人でもあります。
以前、淀渡さんから聴いた話では、この人は前元帥が深海棲艦出現の原因を作った一人だと知った途端に彼を殺そうとしたそうです。
そんなこの人が、仇と言えなくもない彼が亡くなりそうなのを寂しがってるのは意外です。
「あのクソジジイのおかげでいらん重荷を背負ってしまったが、それでも一応は感謝してるんだ」
「桜子さんのこと……ですか?」
「それもある。実際、あのジジイが便宜を図ってくれなかったら桜子はとっくに死んでいたかもしれんし、俺もとっくに壊れて死んでいただろう」
それはどうでしょう。
貴方は例え提督になっていなくても復讐を諦めなかったと思いますよ?
だって貴方は、その気になれば海上でも何食わぬ顔して歩きそうですし、必要とあらば海軍を乗っ取るくらい平気でやりそうです。
ん?後者は達成してると言えなくもないのかしら?
「なんだ?俺の顔に何かついているか?」
「いえいえ、別にそういうわけではないのですが……」
私としたことがついついガン見してしまいました。でもふと気になったことが有ります。
この人はいったい、どのくらい強いのでしょう?
何年も前に、艤装を背負った状態の長門さんを相手に浴場が全壊するほどの大立ち回りを演じたのは知っていますし、桜子さんが逆立ちしても勝てないほど強いと聞いたこともあります。
ですが、それ以上はまったく知りません。
そもそも、海軍の要職中の要職に就いているこの人が直接戦闘を行う機会など無いに等しい。それはここ横須賀で提督をしていた頃も同様です。
まあ、私がいくら考えを巡らせたところでわかるわけはないので直接聞いてみることにしましょう。
「貴方はどのくらい強いのですか?」
「なんとも唐突な質問だな。そんな事を聞いてどうする気だ?」
「いえ、純粋に好奇心からです。答えたくないのなら別に……」
「いや、構わんよ。そう聞かれたら、自分がどの程度なのか客観的に考えたくなった」
私が識る限りですと、この人は神風だった頃の桜子さんに「悪ノリしてスペックが跳ね上がったお父さんには海上でも勝てない」と言わせ、長門さん曰く「陸とは言え内火艇ユニットも無しで私の『装甲』を斬り裂いた」そうです。
コレらだけでも相当出鱈目な強さですが……。
「ふむ……。どう考えても、俺は人の域は出ていないな」
「いやいやご冗談を」
「冗談ではないさ。単純な殴り合いなら俺は少将より弱いし、射撃の腕では馬鹿息子の足元にも及ばん。それに狩衣と薄衣を装備していても、海上では新米の駆逐艦に勝てんだろう」
「それは真正面から馬鹿正直に戦った場合。ではないのですか?」
あ、間違いありません。だってお猪口を呷ってほくそ笑んでいますもの。
と言う事は、今言ったのはあくまで身体的スペックを客観的に評価したモノ。彼の持つ戦闘技術や戦術等は全く考慮されていません。
「様々な状況の艦娘と深海棲艦の戦闘記録を見てきたが……。正直言って呆れたよ」
「呆れた……ですか?」
「ああ。どうして皆、あんなにまどろっこしい戦い方をするのか。とな」
まどろっこしい?
どの戦闘がまどろっこしいのでしょう。もしかして艦娘全ての戦い方がですか?
「艦娘は基本的に『弾』を纏わせた攻撃で敵の『装甲』を中和し、本体に砲弾なりを撃ち込む」
「ええ、それが唯一の方法ですし……」
それがまどろっこしいと?
ですがそれ以外の方法となると、発砲の瞬間だけ消失する射線上の『装甲』の穴に砲弾なりを撃ち込むしかありません。そんな、大淀ちゃんくらいしかできそうにない曲芸みたいな真似をしろと?
それとも……。
「貴方なら、別の手段で攻撃すると?」
「基本的には同じさ。だがたまに、火力が無駄だと思う事があるんだ」
「火力が……無駄?」
「そうだ。君も識っての通り、艦娘が扱う兵装は『弾』を纏わせる事で名称通りの威力となる。それがどうにも無駄に思えてな」
ふむ、言われてみれば、確かに無駄と言えなくもないかもしれません。
極端な話ですが、『装甲』を貫けるだけの力場が付与できるのなら拳銃でも深海棲艦を倒せます。
にも関わらず、艦娘が扱う兵装には過剰とも言える火力があるのです。
ですがけして無駄なわけではなく、例えば航空爆撃によって生じる爆発にはちゃんと『装甲』への干渉力がありますし、砲撃の威力は『装甲』を貫くのにも一役買っています。
と言うかそもそも、纏わせられる『弾』の量と兵装の威力が例外を除いてイコールなのです。
それでも過剰と言われれば否定はできませんが……。
「では、貴方ならどうするのですか?」
「近づいて叩っ斬る」
「は?申し訳ありません。よく聞こえなかったのですが……」
「近づいて叩っ斬ると言った。と言うか、俺にはそれくらいしかできん」
いやそうでしょうけど、それは非常に困難な事ですよ?
実際にそんな危険行為をしている艦娘は今だと神風ちゃん。昔も含めれば桜子さんと龍田さんでしょうか。
ですが三人とも相応の試行錯誤とリスクを乗り越えた上でそれを実現しています。
それとも何ですか?
貴方は、海上を移動さえできれば今すぐにでも実現可能だとでも仰るのですか?
だとするなら、同じ装備なら現状でも鬼級を屠った桜子さん以上。
本人は人の域を出ていないと言いましたが、この時点で人の域を超えているように思えます。
だから、あえてもう一度同じ質問をしましょう。
「もう一度お聞きします。貴方はどれくらい強いのですか?」
私の質問に対する彼の答えはある意味では予想通り。ある意味では予想外でした。
だって彼はこう言ったんです。
悪びれもせず、かと言って自信満々にでもなく、若干ため意味混じりに「艦娘並に海の上を移動できるなら、かつての敵太平洋艦隊くらいの規模なら俺一人でいい」と、本当に残念そうに。
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私と主人が本気で喧嘩をしたらどちらが勝つか。ですか?
それは当然、主人です。
今でも口では敵いませんし、当時の彼には例えば殴り合いになったら100%勝てません。
はい、実際にやる気はありませんが、今ならなんとか勝てると思います。
ですが当時の、目的を果たすまでの彼には、私はもちろん大和さんですら敵わないでしょう。
ええ、艤装を背負った状態で海の上でもです。
彼がその身に宿していた悪魔はそれ程のモノだったんです。
なにせ、彼がその悪魔を解放した瞬間時間が止まったんですから。
ええ、もちろん比喩です。
彼の内にいた悪魔にそんな力はありませんでしたし、そもそも物理的な影響力など持ち合わせていませんでした。
はい、正直二度とお目にかかりたくありません。
アレは人が抱えていて良いモノじゃない。
アレはこの世に有って良いモノじゃない。
あの時、周防の狂人と共に死んだ人の負の念の結晶とも言えるあの悪魔は、そう思えるほど禍々しく醜かった。
でも不思議なんです。
私はそん風に考えている頭の片隅で、「なんて純粋で美しい感情なんだろう」って思っていたんですから。
~戦後回想録~
元軽巡洋艦 大淀。現海軍元帥夫人へのインタビューより。
次章予告。
大淀です。
人類文明のリセットを実行しようとする深海棲艦を止めるための会議を開く要人たち。大和さんは会議に出席したものの、メインは窮奇なので少しふて腐れてるみたいです。
一方、大きな戦いが迫っているとは露ほども知らない艦娘達はお正月にバレンタインと別の意味で大忙しです。
まあ、気持ちはわからなくもないのですが……。
次章、艦隊これくしょん『想いと思惑の
お楽しみに。
主要キャラ人気投票
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朝潮(一部主役である二代目。大淀含む)
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神風(二部主役である初代。桜子さん含む)
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大和(影が薄い三部主役)
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紫印 円満(実質三部の主役?)