編成に関しては生暖かい目で見ていただけるとホッとします。(*´д`*)
本当の歴史?
どこでそんな話を聞いたのかは知らないけど、あんまりオカルト染みた事を書くと回想録じゃなくなっちゃうんじゃない?
え?良いの?あ、そもそもオカルトをメインで扱ってる出版社なんだ。へぇ……。
いやぁ、で?どうなんです?とか聞かれても困るのよねぇ……。
私も円満さんに聞かされただけだし、私自身アレを見たけど半信半疑なのよ。
アレって何かって?
簡単に言うと歴史書かな。
転生者達が介入して改竄した、本当の第二次世界大戦の顛末が書かれたね。
どんな内容だったかって?
申し訳ないけど言えないわ。だって、養成所の座学で習った内容とは別物と言って良い内容だったんだもの。
でももし、あの歴史書通りの顛末になっていたら、私は生まれてない可能性が高いわね。
~戦後回想録~
元駆逐艦 満潮へのインタビューより。
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艦娘運用母艦 ワダツミ旗下。
第一主力前衛艦隊。
旗艦 阿武隈 随伴艦 北上、暁、響、雷、電。
第一主力艦隊本隊。
旗艦 陸奥 随伴艦 翔鶴、飛鷹、隼鷹、妙高、羽黒。
第二主力艦隊。
旗艦 Iowa 随伴艦 Saratoga、Gambier Bay、Intrepid、Samuel B.Roberts。
第三機動部隊。
旗艦 龍驤 随伴艦 雲龍、天城、葛城、漣、潮。
第一遊撃部隊 第一部隊。
随伴護衛艦隊。
旗艦 能代 随伴艦 島風、沖波、長波、朝霜、清霜。
第一部隊本隊。
旗艦 長門 随伴艦 大和、武蔵、高雄、愛宕、涼月。
第一遊撃部隊 第二部隊。
随伴護衛艦隊。
旗艦 神通 随伴艦 大井、浦風、磯風、浜風、雪風。
第二部隊本隊。
旗艦 金剛 随伴艦 榛名、熊野、鈴谷、利根、筑摩。
ワダツミ直衛艦隊。
旗艦 阿賀野 随伴艦 白露、村雨、夕立、春雨。
工廠要員。
明石。
各艦隊、交代、補充要員。
青葉、大淀、酒匂、吹雪、白雪、深雪、初雪、朝潮、大潮、荒潮、秋雲、夕雲、巻雲、風雲。
タウイタウイ泊地発。
第一遊撃部隊 第三部隊。
旗艦 山城 随伴艦 扶桑、最上、時雨、満潮、朝雲、山雲。
第二遊撃部隊。
旗艦 那智 随伴艦 足柄、霰、霞、陽炎、不知火、木曾。
第三遊撃部隊。
旗艦 矢矧 随伴艦 神風、朝風、春風、松風、旗風。
トラック泊地発。
第一機動部隊。
随伴護衛艦隊。
旗艦 那珂 随伴艦 照月、野分、舞風、嵐、萩風。
旗艦 赤城 随伴艦 加賀、蒼龍、飛龍、比叡、霧島。
第二機動部隊。
旗艦 瑞鳳 随伴艦 伊勢、日向、千歳、千代田、秋月。
対潜哨戒部隊。
旗艦 夕張 随伴艦 大鷹、択捉、松輪、佐渡、対馬。
計110名。
「ふう、こんな感じかな」
「できたの?満潮」
「ええ、できたわ。今そっちのパソコンに送った」
今日も元気に事務仕事。
と、無理矢理やる気を出して秘書艦席に座った途端に、円満さんが「これ、清書しといて」なんて言いながら差し出した殴り書きのメモをパソコンで清書したら、なんとそれは捷号作戦の編成表だった。
まだ7月に入ったばかりだってのに気が早いんじゃない?と、言いたいところだけど、円満さんの予想だと、包囲網の構築完了、つまり敵の侵攻開始は8月上旬。
ハッキリ言って今でも遅すぎるくらいだわ。
でもまあ、これは餌になってもらう予定の南方の三基地に変な勘ぐりをされたためなんでしょうね。
この編成表が張り出されれば、どういう形であれ南方にいる人の耳にも届くはずだもの。
「うん、Okよ。助かったわ」
「打ち込んでて思ったけど、艦娘をこんなに投入する作戦って初じゃない?」
「初よ。正化29年のハワイ島攻略戦でさえ72人だもの」
日本が保有する艦娘の約半数。いえ、現在南方に投入している艦娘も含めれば半数以上。
それだけの艦娘を投入しちゃったら、本土に残る艦娘は数十が良いとこ。下手すりゃ30にも満たないわね。
「本土の防衛の心配してる?」
「うん……。だってこれじゃあ」
守り切れない。
最悪、舞鶴襲撃と横須賀襲撃の二の舞になりかねないもの。心配になるのは当然よ。
「作戦発令後、どうしても海に出なければならない船舶を除いて航海するのは全て禁止。艦娘による哨戒も全て中止よ。代わりに空軍、及び海軍が二十四時間体勢で哨戒を行うわ。深海棲艦発見時は、待機させてる艦娘を輸送機に乗せて運ぶ手筈になってる」
「陸軍は?」
「本土海岸沿いに防衛線を構築する。少将を知ってるでしょ?あの左門みたいな顔の人。彼経由で、陸軍には奇兵隊が培った対深海棲艦戦のノウハウが伝えられてるわ。それに、陸軍が保有している艦娘も貸してくれるらしいし」
「陸軍にも艦娘って居たの?」
へぇ、初耳だわ。
日本が保有している艦娘の総数が250に届かないくらいだって事は知ってたけど、それ以外にも艦娘が居たのね。
じゃあ、正確には『日本が保有する』じゃなくて『海軍が保有する』が正しかった訳だ。
「ええ、陸軍が艦娘を建造し始めたのがここ数年、正確には平成元年からだったせいで陸軍軍人ですら知らない人がいるわ。それに、その子達は輸送任務が主だから海軍は戦力としては数えてなかったの。でも、50人くらいいるわ。ただ……」
「ただ?ただ、何よ」
「大半が潜水艦なのよ。しかも、まともに潜れないらしい……」
潜れない潜水艦を潜水艦と呼んでいいのか。は、さておいて、輸送任務が主だったとは言え、存在すら知らなかった艦娘が50近くも防衛に加わってくれるのは良い事だわ。潜れる潜れないは別にしてね。
「どんな子達なの?伊号の子達みたいな感じ?」
「さあ?会ったことないから知らないわよ。ああでも、名前は知ってるわ」
「なんて名前?」
「まるゆ」
「まるゆ?変わった名前ね。他には?」
「一号から四十号」
「イチゴウカラヨンジュウゴウ?長くない?ん?いや、一号から四十号!?多くない!?」
もうちょっと凝った名前つけてあげなさいよ陸軍!
単純に、まるゆって名乗る艦娘が40人も居るって事でしょ?紛らわしいわ!
「まあ良いじゃない。おかげで本土の防衛に回せる艦娘が増えたんだから」
「円満さんがそれで良いなら良いけど……」
不安だなぁ。
普段は海軍の艦娘とドローンで行っている哨戒活動を空軍と海軍艦艇に任せ、捷号作戦に参加しない艦娘は、運航を停止することができない船舶を海軍艦艇、陸軍艦娘と共に護衛する者を除いて基本的に待機……か。
最悪、開戦初期みたいに店頭から魚が消えるかもね。
「こんな、国民の生活にも影響が出るレベルの作戦をよく国が許可したわね」
「許可?許可なんて出てないわよ?」
「は?はぁ!?」
いやいやいやいや!
軍がやる事に直接政府が口を出せないとは言っても、この規模の作戦になったら政府も黙ってないでしょ!
え?なんで口が出せないのかって?
理由はいくつかあるんだけど、最たるものを言うと陸海空の三軍の総大将が天皇陛下だからかな。
つまり、三軍は政府の直轄ではなく天皇陛下の直轄なの。
例えば今回の捷号作戦。
元帥さんと円満さんが好き勝手やってるように見えて、実は天皇陛下から許可を賜った上で準備が進められているのよ。
だから、内政を司る政府が軍の行動に口を出すには、一度天皇陛下を挟まなきゃならないの。
「心配しなくても話は通ってるから大丈夫よ。事が事だけに、今回は元総理まで担ぎ出して内閣を納得させたらしいわ。事が終わった後に、『敵が大規模な艦隊で北進を開始したから、軍は総力を挙げてこれに対応した』って事にするそうよ」
「それって元帥さんが、よね?あの人って元総理の知り合いまでいるの?」
「先生の知り合いと言うより、前元帥の同士だったそうよ」
「同士?」
「あ、そっか。アンタにはまだ話した事なかったわね」
円満さんの話では、前元帥元帥さんを含めた複数の転生者によって改竄された歴史上に私たちは暮らしているらしい。
改竄が行われたのは第二次世界大戦期。
桜子さんがもたらした情報のおかげで、深海棲艦が歴史の修正力と説かれた仮説も現実味を帯びたそうよ。
なんだか、漫画やアニメでありそうな話になっちゃったわね。事情を知らない人が聞いたら、それ関係の話をしてるんだと誤解しちゃうわよ。
「じゃあ、その元総理も転生者って事になるのよね?」
「そうよ。しかもその人は、元は陸軍の将官で大和の育ての親らしいわ」
「大和の?」
しかも育ての親?
大和が旅館の養女だって情報は、大和の嚮導を引き受けた時に貰った資料に書いてあったけど、元総理の育ての親が居たなんて情報は書いてなかったわよ?
「ええ、10歳までその人に育てられたそうよ。後にその人の孫である、『大和旅館』の女将の元へ養子に出されたんだってさ」
「じゃあ、大和って本当の両親を知らないの?」
「知らないはずよ。元総理が山で拾ったそうだから」
「それ、本当?」
「さあ?先生が聞いた話を聞かされただけだから真偽は定かじゃないわ。って言うか、アンタもその場に居たじゃない」
普段食べることが出来ない高級料理に舌鼓を打つのが忙しくて聴いてませんでした。
まあ、それは置いといて。
本当かどうかはともかく、大和って捨て子だったんだ。同じ身の上だからか、妙な親近感を感じちゃうわね。
ん?でも待って?
「大和が艦娘になる適性がなかったって話なかったっけ?あれって、戸籍を遡って調べるのよね?山に捨てられてた赤ん坊に戸籍なんてあったの?」
「ああ、その事?それは元総理が、友人の娘として戸籍をでっち上げてたからよ。だから戸籍上は、その友人から大和旅館の女将の所に養子に出されたって事になってる。要は、大和自身の戸籍を調べたんじゃなくて、でっち上げられた戸籍を調べた形になっちゃったのよ」
「なんだか取って付けたような話ね。じゃあ、もしかしたら艦娘になれる適性があったかもしれないんだ」
「調べようがないから謎のままだけどね。あ、ちなみに、元総理の友人って誰だと思う?」
いや、わかるわけないでしょうがそんな事。
そんな聞き方をするってことは私が知ってる人。もしくはその縁者なんだろうけど……。
円満さんが妙にニヤニヤしてるのがキモいから、取り敢えず無難なところで……。
「元帥さん?」
「惜しい!答えは、亡くなった先生の奥さんのお父さんよ」
「え?じゃあ大和って……」
「そう、戸籍上は先生の義妹になるのよ。面白いでしょ?」
「いや、べつに」
円満さんは「なんでよ!」とか言って憤慨してるけど、私的には面白くもなんともない。
って言うか、養子に出された事になってるんでしょ?その場合でも義妹って事になるのかしら。
元帥さんはどう思ってたんだろ?
「若すぎる嫁と歳が近い義妹(仮)が急に出て来た元帥さんの感想はどうだったの?」
「割と平然としてたわ。ああでも「なんで親父が前元帥と知り合いだったのかがようやくわかった」って言ってたわね」
へぇ、元帥さんのお義父さんと前元帥さんって知り合いだったんだ。それもあって、提督時代から好き勝手やれてたのかな?
「あの日にこれも貰ったわ」
「何?そのボロいノート。そんなの、いつの間に貰ってたの?」
「アンタが慣れないお酒を飲んで潰れた後よ」
さいですか。
円満さんが机の引き出しから取り出したのは、言った通り黄ばんでボロくなったA4サイズのノート。
表紙には何も書いてないわね。何が書いてあるんだろ?
「これは、前元帥を初めとした転生者達が、各々の記憶を寄り集めて書き上げた歴史書よ。
「本当の?」
「信じなくてもいいわ。私達にとっては、既知の歴史が真実なんだから」
「読んでみても、良い?」
「……良いわよ。アンタなら」
円満さんから受け取って読み始めたノートには、私が座学で習った内容とは全く違う歴史が綴られていた。
しかも、この内容って……
「ね、ねえ、円満さん」
「ビックリした?今準備を進めている作戦と似た作戦が行われてるでしょ」
「う、うん……」
捷一号作戦。
1944年10月18日に発動された作戦で、フィリピンのレイテ島周辺で連合国軍を日本軍が撃破しようとした作戦。
結果は惨敗と言っても良いわね。
特に目についたのは、私が扶桑さん達と行う予定になっているスリガオ海峡への突入。
駆逐艦 時雨を除いて全隻轟沈……か。
「これと同じように……なっちゃうのかな」
「ならないわ」
私はノートから視線を上げて、私に優しい視線を向ける円満さんを見た。
そりゃあ、実艦の満潮と私じゃできることが違うけど、この内容を見ちゃったら嫌でも不安が込み上げて来る。でも、円満さんはこの内容を知っているはずなのに、微塵も不安を感じてないみたいだわ。
「ねえ満潮。どうして艦娘は深海棲艦に勝てるんだと思う?」
「え~っと……。あれ?そういえば何でだろ?」
艦娘は深海棲艦の下位互換。とは、養成所の段階で教えられるほど周知の事実。
スペックでも数でも劣る艦娘が勝てるのはちゃんと訓練してるから?それとも、提督達の采配が素晴らしいからかしら。
「一つは、大半の深海棲艦に戦術という概念が無いからよ。基本的な陣形は取るものの、アイツらは単純な力押ししかしてこない」
「言われてみればそうかも……。それも窮奇から聞いたの?」
「ええ、実体験も含めてね。窮奇自身もそうだったそうよ。戦術や戦略という概念を理解している個体。例えば渾沌に直接指揮された者ならともかく、他の者に指示を出そうとしても、『あそこを攻めろ』とか『右方、または左方から回り込め』とかといった大雑把な指示が精々らしいわ。人語を解する鬼級や姫級ですら、個人で判断して臨機応変に立ち回るなんて事はほとんどしないんだってさ。例外はもちろん居るけどね」
なるほど、だからスペックと数で負けてる私たちは勝てるのか。
強力な艦隊が数の暴力で攻めて来るのは脅威だけど、提督や旗艦の対応次第でいくらでも対処は出来る。
実際、戦術を駆使して少数が多数を破った例なんていくらでもあるしね。
「人類の歴史は戦争の歴史。なんて言葉もあるくらい、人類は戦争をしてきた。それが助けになるなんて皮肉な話だけど、先人達が培った戦略や戦術が今、人類文明を護る武器になっているのは確かよ」
「でもさ、スリガオ海峡の突破は『姫堕ち』した私の
「それは否定しない。でも、戦力を効果的に配置するのも戦術の一つよ。現場の状況に合わせて臨機応変に立ち回れる水鬼級っていう
「使うタイミングが難しいんだけどなぁ……」
「アンタなら大丈夫よ。だってアンタはバカじゃないもの。それに、私が知るどの艦娘よりも勇敢だわ」
どの艦娘よりも。は、言い過ぎじゃないかしら
でも、円満さんは本当にそう思ってくれてるのか、自信満々の笑顔で私を見つめてくれている。
私に全幅の信頼を寄せてくれる円満さんの想いを嬉しく感じる反面、こそばゆく感じちゃうのは私がひねくれてるから?それとも照れてるだけ?
どちらにしても、相応の答えを返さなきゃ。
ひねくれ者の、私らしい答えを。
「何よそれ、結局必要なのは『知恵と勇気』とでも言いたいの?」
「ふふ♪そうね。知恵と勇気があれば何だってできるわ」
そう言った円満さんの、屈託のない笑顔から目を逸らしながら、私は本当の歴史が書かれたノートに記されたレイテ沖海戦の内容を思い出していた。
あの通りになれば、時雨さんを残し全滅。
扶桑さん、山城さんも、最上さんも朝雲さんも山雲さんも死んじゃう。
そして……私も。
「その先にあるのは、本当の地獄……」
私にとって初めての死線。初めて本気で戦える大舞台。負けるわけにはいかないわね。
だってこれは、扶桑さんの言葉を借りるなら一花咲かせるチャンスなんだもの。
私が、円満さんの切り札である私が戦場に火矢を撃ち込んでやる。
『西村艦隊』と言う名の、敵艦隊を焼き尽くすための火矢を。
主要キャラ人気投票
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朝潮(一部主役である二代目。大淀含む)
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神風(二部主役である初代。桜子さん含む)
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大和(影が薄い三部主役)
-
紫印 円満(実質三部の主役?)