艦隊これくしょん ~ナデシコの咲く丘で~   作:哀餓え男

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ゴトランド、今だにドロップせず(つд`)


第六十二話 衝突禁止!

 

 

 『朝雲と山雲』

 

 非常に珍しいパターンだが、二人一組、そのコンビ名が異名として定着してネームドとなった。(朝雲、山雲の各人に関しては各項を参照されたし)

 

 二人の活躍に関しては曖昧な部分が多く、確実なモノに限って言えば正化29年に行われたハワイ島攻略戦への参加。平成元年、同二年の演習大会優勝。平成五年に起こったリグリア海戦への参加。

 曖昧なモノも含めれば、平成三年に行われた捷一号作戦に第一遊撃部隊第三部隊、通称西村艦隊の一翼として参加(ただし、近年では西村艦隊の存在自体が疑問視されているため、参加自体していないのではと言われている)などが挙げられる。

 

 ~艦娘型録~

 ネームド艦娘。朝雲と山雲の項より抜粋。

 

ーーーーーーー

 

 

 最上さん?

 ええそうよ。最上さんと艦隊を組んだのはあの時が初めて。顔合わせした時は「そういえば居たわね」ってくらいにしか思わなかった。

 

 ひ、酷くなんてないわ。

 朝雲さんと山雲さんだって似たような事思ってたはずよ?山雲さんなんてハッキリと「誰だっけ~?」って言ってたもん!

 

 そ、そう!仕方ないのよ!

 青木さんだって、最上型の面子が濃いのばっかりだったの知ってるでしょ?

 突然「くまりんこ!」って言い出す人やJK感丸出しの処女ビッチ、脈絡もなく「とぉぉぉぉぉぉおお!!」って奇声を上げるお嬢様っていう個性の塊みたいな姉妹艦達に囲まれてたらキャラも埋没するわよ。

 いや、けっしてキャラが薄かったとかそういう事が言いたいんじゃないの。むしろ、キャラは立ってたと思う。

 時雨が合流してからは……ほら、最上さんも僕っ子だったじゃない?だから、時雨とキャラが被ってるとか言われたりしてたけど、本人は気にしてなかったわ。たぶん……。

 

 仲良くやれたか?

 ん~……どうだろ?特にケンカとかはしなかったし、何故か私の事を気にかけてくれてたから仲は良かったと思う。

 

 なんで気にかけられてたか?

 さあ?それは本当にわからないの。

 ワダツミで発つ前と後も、タウイタウイ泊地で合流してからも妙に気遣ってくれてさ。そっちの気があるのかな?って疑ったくらいよ。

 

 まあでも、面倒見の良いお兄……じゃなかった。お姉さんみたいな人だったから、変に気張ってた私が見てられなかったのかもね。

 ほら、あの人って駆逐艦に懐かれてたじゃない?きっとお人好しだったのよ。

 だから、私みたいな生意気な子にも優しくできたんだと思うわ。

 

 戦闘に関してはそうね……。

 痒いところに手が届く……違うか。そう!縁の下の力持ち的な感じよ!

 最上さんってさ、航空巡洋艦だからってのもあるけど多芸じゃない?

 水上爆撃機で先制攻撃もできるし潜水艦だって攻撃できる。さらにドラム缶だって装備できる。

 知ってる?あの人って、ドラム缶を担いで遠征に行ってる時、遭遇した敵にドラム缶で応戦したことがあるそうよ。実際に見たわけじゃないから、本当かどうかは本人に聞いてちょうだいね。

 

 「衝突禁止!」

 

 は?ってなるよね?

 私も初めて言われた時はそうなったわ。でも、あの人は事あるごとにそう言ったわ。

 その理由は、スリガオ海峡に突入して最初の戦闘でわかった。

 

 さっき言ったよね?戦闘に関しては縁の下の力持ちみたいな人だったって。

 あの人の戦い方は、他のメンバーを援護する事に特化していたのよ。

 盾役、って言ったら良いのかな。

 わざと目立って敵の注目を集めたり、砲撃や雷撃で敵の体勢を崩して私達が攻撃しやすいようにしたりね。

 そのおかげで、海峡突入後の戦闘はかなり楽だった。たしか、突破前最後の戦闘までは最上さんが小破した程度で済んでたわ。

 

 つまりね?

 あの人はその戦い方の都合上、常に周りに気を配ってるけど、周りまでそうとは限らないから『衝突禁止!』って注意を促してたのよ。

 衝突しちゃうような近距離に誰かが来たら、集めた敵のヘイトに他の人まで巻き込んじゃうからね。

 

 

 ~戦後回想録~

 元駆逐艦 満潮へのインタビューより。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 縁の下の力持ち?

 へぇ、あの子はそんな風に僕のことを見てくれてたんだね。なんだか、ちょっと照れちゃうな。

 

 え?艦娘を辞めても口調が変わってない?

 ああ……。僕って艦娘になる前からこの口調なんだ。でもさ、青木さんも艦娘だった頃と同じ口調じゃない?

 え?違うの?

 ごめん、僕には違いがわかんないや。

 

 どうして満潮を気にしてたのか?

 う~ん、今でもくまりんこに……。え?うん、くまりんこはくまりんこって呼ばないと怒るんだ。だから今でもそう呼んでるよ。

 で、そのくまりんこに今でも言われるんだけど、僕ってお節介みたいでさ。

 こう、なんて言うのかな。

 一人で思い詰めてるような子を見ると放っておけないんだよ。

 西村艦隊のメンバーでは満潮が正にそんな感じで、タウイタウイ泊地で合流してからのあの子は四六時中気張っててはち切れる寸前みたいに見えたんだ。

 だから、お節介だとはわかっていても声をかけずには居られなかったんだ。

 

 え?もちろん「ウザいのよ!」って何度も言われたよ。でも、話し掛け続ける内にポツポツと話してくれるようになってさ。

 この子は、提督の事が本当に大切なんだな。って思ったよ。

 だって、話すこと全部提督の心配だったんだよ?

 「ちゃんとご飯食べてるかしら」とか「服を脱ぎ散らかしてないかな」とか「夜はしっかりと寝れてるかな」とかね。

 そうだね。

 提督のお母さんか!って言いたくなっちゃったよ。

 

 でも、良いお母さんになりそうだな。とも思ったな。

 ほら、あの子って孤児でしょ?

 きっとあれが、あの子が考える理想の母親像。ちょっと違うか。あれが、あの子が母親にして欲しかったことなんだろうね。

 ふふふ♪確かに、過保護だとは僕も思うよ。

 

 それに、心配にもなるよね。

 だって、あの子に聞いて初めて知ったんだけど、提督って私生活がダメダメだったんでしょ?

 将来変な男に引っ掛からないか心配でさ……。

 この人は私が支えなきゃダメだ。とか本気で言いそうでじゃない?

 でしょ!?青木さんもそう思うよね!

 

 いやぁ~、今でも西村艦隊で一緒だった人とは連絡を取り合ったりしてるんだけど、必ずと言って良いほどその話題が出るんだよ。

 特に僕は、提督や満潮と同じく今でも横須賀に住んでるから絶対に聞かれるんだ。

 僕自身心配だから、満潮と同じ学校に通ってる元四駆の子達にそれとなく聞いてみたりしてるんだよ。

 

 実際どうなのか?

 それがさ、満潮って性格はキツいままだけど、そのキツさが男子生徒達のMっ気をこれでもかと刺激してるらしくてめっちゃくちゃモテてるんだって!

 嵐だった子に聞いたところ、元萩風と人気を二分してるそうだよ。なんでも『罵倒されたい女子生徒No.1』と『デレさせてみたい女子生徒No.1』に選ばれた事があるとかないとか。

 

 それに、週に一度は校舎裏に呼び出されてるそうだよ?

 いや、何のために?って……。

 そんなの告られてるに決まってるじゃないか!

 もしかして青木さん、偏向報道する度に被害者から工廠裏に呼び出されてたから、そっち方面の用事での呼び出しだと思ったの?

 え?違う?ホントかなぁ……。

 

 どんな断り方をするのか?

 う~ん。僕も聞いただけだからなぁ……。

 意外と丁寧な断り方をしてるって、元嵐が言ってたのを聞いたことがあるよ。

 

 男に興味がない?

 いやぁ~。そんな事はないんじゃないかな?

 スリガオ海峡へ突入した日の昼間に時雨に襲われたっぽいんだけどさ。その時に「私ノーマルだもん!女に興味ないもん!」って叫んでるのが僕のテントまで聞こえてきたもの。

 

 僕?僕はノンケだよ!

 歴代の僕っ子艦娘には必ずと言って良いほどレズが居たせいで、僕も着任当初は無駄に警戒されたりしたよ?実際、僕の前に最上をしてた人はレズだったそうだから。

 でも僕はノンケ!

 今だって、こんな僕を好いてくれてる人とお付き合いを……。って!僕のことはどうでもいいじゃないか!元満潮の事を聞きたいんでしょ!?

 

 え?ネタになればなんでも良いって?

 変わらないなぁ、青木さんは。それで何回痛い目を見たのさ……。

 

 あ、痛いと言えば、スリガオ海峡を突破する直前に、後に『海峡夜棲姫』と名付けられた二体で一体の新種と、同じく新種の『防空埋護姫』。さらに随伴艦が10隻以上の連合艦隊規模の敵が立ち塞がられたんだ。

 その時、僕たちは割と余力を残してたんだけど、あとちょっとで突破ってところで都合3隻もの姫級とその随伴艦達でしょ?

 さすがに無理かなって、みんな思ってたと思う。山雲なんて、旗艦だった山城さんに撤退を進言してたしね。

 

 でも、満潮と時雨は諦めなかった。

 あの二人は敵連合艦隊に臆する事なく立ち向かい、及び腰になってしまった僕たちにも火を着けたよ。

 山城さんなんてテンションが上がりすぎて「邪魔だぁぁぁ!どけぇぇぇぇ!」って叫んでたな。

 

 でも、さすがに姫級3隻を含んだ艦隊を相手にするのは厳しくてさ。みんな徐々にではあったけど負傷が増していった。

 扶桑さんが中破しあたりで、みんなの頭に「これ以上はマズい」って考えがよぎったんじゃないかな。

 そりゃあわかるよ。

 みんな攻撃よりも回避を優先するようになってたからね。

 でも、けっして臆病風に吹かれた訳じゃないんだ。

 だって、僕たちの目的はスリガオ海峡の突破自体じゃなく、その後の奇襲だったんだから。

 

 そんな時に、満潮が時雨と朝雲と山雲にこう言ったんだ。

 

 「1分間、私を全力で守って」って。

 

 そう言った満潮は、動きを完全に停止してその場に棒立ちになった。

 うん、正気じゃないよね。

 だって戦闘の真っ最中だよ?そんな、砲撃や魚雷が飛び交う中で、満潮は無防備な姿を晒したんだ。

 

 何をしたのか?

 ごめん、それは言えないんだ。

 機密なのかどうかは知らないけど、あの子が傷付くかもしれないからね。きっとあの子は僕たちにすら見られたくなかったから、ギリギリまで使わなかったんだろうし。

 でもこれだけは言えるよ。

 僕たちがスリガオ海峡を突破できたのはあの子の活躍のおかげだって。

 

 駆逐艦一人の活躍で突破できるとは思えないって?

 そうだろうね。

 僕だって、あの場に居ずに話だけを聞いたんだったら信じなかったと思うよ。

 あの、白く光り輝く戦場を見てなかったら……。

 

 

 

 ~戦後回想録~

 元航空巡洋艦 最上へのインタビューより。

主要キャラ人気投票

  • 朝潮(一部主役である二代目。大淀含む)
  • 神風(二部主役である初代。桜子さん含む)
  • 大和(影が薄い三部主役)
  • 紫印 円満(実質三部の主役?)
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