扶桑型戦艦二番艦 山城。
一番艦の扶桑と共に第二戦隊を編成し、南方からの敵に対する最終防衛ラインとして佐世保鎮守府に配属された。
しかし、一番艦の扶桑と同じく被弾率が高く、扶桑姉妹は長い間小規模な戦闘には参加しても大規模な作戦には投入されないのが常態化していた。
そのせいで一時期は、扶桑姉妹は佐世保提督の寵愛を受けているから危険な作戦に投入されないという俗説が流れていたが、平成3年に行われた『捷一号作戦』に三代目扶桑、二代目山城が投入された事で払拭された。
~艦隊型録~
扶桑型戦艦二番艦 山城の項より抜粋。
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満潮の事が聞きたい?
それはどっちの満潮だい?円満の方?それとも『
どちらでもいいよ?僕は二人の趣味や好きな食べ物、嫌いな食べ物、嫌いなタイプや好きなタイプ。さらには性感帯まで知ってるからね。
そういう関係だったのかって?
いいや、僕はどちらも抱いた事がないよ。円満にはキッパリと振られちゃったし、満には今絶賛アタック中さ。
でも僕くらいになると、相手を見ただけで何処が性感帯かくらいはすぐにわかるんだ。ちなみに青木さんは……。ああ、そこだね。意外とマニアックな場所だ。
何処か気になるって?
ふふ♪教えてあげないよ♪
でもヒントはあげる。足の何処かさ。
ちなみに円満の性感帯は……。え?聞かなくていいの?僕的には話したいんだけど……。
まあいいか。円満と満は性感帯が同じだから、円満のをバラすと満のまでバラしちゃう事になるしね。
うん、二人とは今も仲良くしてるよ。
特に満とはもっと仲良くなりたいと思ってる。
どうして?って……。
好きだからに決まってるじゃないか。もちろん、Likeじゃなくてloveの方だよ?実は僕、満にも円満にも話した事ないんだけど性同一性障害でさ。だから女の子の方が好きなんだ。
うん、そのおかげで艦娘時代は天国だったよ。
だって右を見ても左を見ても美女美少女ばかりで、しかも艦娘同士の恋愛は黙認されてたからね。
歴代の時雨もそうだったのか?
さあ?僕の前の人の事なんて知らないし興味もないよ。
ああでも、佐世保提督に「お前ほど女好きな時雨はいなかった」って言われた事があるからノンケだったんじゃないかな?
昔は気に入った子なら手あたり次第に手を出してたけど、今は満一筋さ。
本当だよ?
青木さん自身も知らない青木さんの性感帯を開発したいだなんて考えてないし、元四駆の子達と一緒の時だって必死に我慢してるんだ。
それでも満は振り向いてくれないから、たまに誰かで欲求不満を解消しようとか思う事もあるよ。
ああ、心配しないで。
押し倒したくてウズウズしてるけど手を出す気はないから。
だって、バレたら満に嫌われちゃうかもしれないからね。
なんでそこまで満に惚れこんでるのか?
う~ん、今から話す事は満には秘密にしてくれる?本当?だったら話してもいいよ。
実は、最初は円満の代わりでしかなかったんだ。
僕と円満は養成所からの付き合いで、何を隠そう、僕の初恋の人でもあったから。まあ、フラれちゃったんだけどね。
ほら、僕と違って円満はノンケだったから、円満からしたら僕は女に欲情する色情魔でしかなかったんだよ。
まあ、その経験のおかげで順序を大切にすべきだったと学んで、満には紳士に接してるよ。
あの子、あれで意外と少女趣味なんだ。
少女マンガに出て来るみたいなシチュエーションに弱いっぽいから円満に比べたらはるかに攻略しやす……え?このくだりはいい?
僕的には今現在の攻略状況も聞いて欲しいんだけど……。本当に話さなくていいの?そう……。
円満から満に鞍替えしたのはいつか?
鞍替えって言われるのは心外だなぁ。円満の事は今でも好きだよ?もっとも今は友人として、だけどね。
僕が満に心奪われたのはあの時。そう、スリガオ海峡での夜戦の時さ。
前衛艦隊を片付け終わって、本隊からの攻撃を躱しながらどう攻めようかと考えてたら、不意に満が言ったんだ。
「1分間、全力で私を守って」って。
それを聞いてすぐは何を言ってるかわからなかったな。
だってそう言うや否や、戦闘の真っ最中なのにその場で目を閉じて棒立ちになったんだよ?ハッキリ言って正気の沙汰じゃなかったよ。
でも、満は僕の返事なんかお構いなしだったから、悩んでる暇なんてなかった。
だから悩まず、僕は持てる砲全てを使って敵の注意を引いたよ。もちろん、一人で一艦隊分の敵の注意を集め続けるのは僕でも至難の業だった。
そんな折に、満を挟んだ反対側から探照灯の光が伸びて敵艦隊を照らした。
最初は最上さんかな?って思ったんだけど、最上さんにしては射線が低かったからすぐに朝雲か山雲のどちらかだっていうことはわかったよ。その時はどっちかまではわからなかったけどね。
後に聞いた話だと、朝雲と山雲は円満から事前に言われてたらしいんだ。
「満潮が『守って』と言ったら全力で守ってあげて」って。
さらにこうも言ってたらしい。
「満潮がそう言った時が、スリガオ海峡夜戦の天王山よ」と。
大事な試合前とかによく言うよね。
元々は戦国時代の山崎の合戦で天王山を制した方が戦いを有利に進められられ、実際に勝ったから大事な試合などでは「この試合が天王山だ」なんて言うようになったらしいんだけど、あの時の場合は少しばかり意味が違うと言うか、本来の意味と言っていいのかな。
つまりね?
あの時の満は天王山そのもの。羽柴秀吉が天王山を制して戦に勝ったように、僕たちは満を守り切ったから夜戦に勝てたのさ。
事実、守り切った後は満が全てを終わらせた。
敵の本隊の随伴艦を各個撃破どころかまとめて沈め、後に海峡夜棲姫と名付けられた二体で一体の姫級と、防空埋護姫と呼ばれるようになる姫級を事も無く沈めて見せた。
ふふふ♪信じられないでしょ?
僕だって、今でも夢だったんじゃないかって思う時があるくらいさ。現実離れし過ぎてたからね。
でも、あの夜の満に心奪われてしまった僕は今でも鮮明に思い出せるよ。
白い光と装束に身を包み、美術品の如く美しい艤装を手足のように操って戦場を舞った彼女の姿を。
あの時の彼女を例えるなら、敵に向かって駆ける様は潮が満ちるが如く緩やかで容赦がなく、彼女が駆け抜けた後に残された敵の残骸や煙は言うなれば潮溜まり。
そう、あの光り輝くお姫様は、海のど真ん中にタイドプールを作っちゃったんだ。
~戦後回想録~
元駆逐艦 時雨へのインタビューより。
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満が秘密にしてる力?何?それ。
もしかして、スリガオ海峡での夜戦で満が見せたアレのこと?え?アレって秘密だったの!?私てっきり、奥の手的なモノってだけだと思ってたよ。
だって恵姉さんの深海化みたいなモノでしょ?
いや、みんな口には出さないだけで知ってるよ?恵姉さん以外にも深海化が使える人はいたって話だし。
私が知ってる限りだと佐世保に居た○○って子とか、呉だと○○さんかな。あ、名前は伏せてあげてね?そういう事なら、本人は知られたくないと思ってるかもしれないから。
でも、満のあれは深海化とは違う気がするんだよねぇ。
原理は同じなんでしょうけど、なんて言うか禍々しさ?みたいなモノがなかったもん。間近で見たんだから間違いないわ。
見た目?
そうねぇ、例えるならお姫様?西洋のお姫様じゃなくて日本のお姫様ね。白無垢を着てるようにも見えたっけ。
すっごく綺麗だったから、私の隣に居た山雲なんかは「名前をつけるなら満潮聖姫かしらねぇ」って言ってたわ。
ホント、ビックリしちゃったよ。
あの時の満は、私にしか興味がなかった山雲がうっとりしちゃうくらい綺麗だったんだから。
もちろん綺麗なだけじゃないわ。
満は海面を滑るように……例えるならアイススケート?みたいな感じで攻撃を躱しながら突撃したわ。
死角からの攻撃も軽く躱してたわね。こう、ヒョイって擬音が聞こえそうなくらい軽く。ホント、フィギュアスケートを見てる気分だったなぁ。
クルッと回ったかと思えば真横に跳んだり、もの凄いスピードでジグザグに海面を滑空したりね。
いやいや、青木さんだって艦娘だったんだから、その動きがどれだけ常識外れかわかるでしょ?
その時は見惚れちゃって気付かなかったけど、アレが脚技って呼ばれてる技術なんだって後で気付いたわ。
いや、知ってたのよ?
先代八駆の姉さん達が使ってたってのは知ってたけど、実際に見るのはあの時が初めてだったのよ。だからすぐには気付けなかったんだと思う。
だって大潮姉……じゃないや。澪姉からは「使わなくて済むなら使えない方が良い」って言われてたからさ。私と山雲は習わなかったのよ。
まあ、習っておけば良かったって、あの夜戦の後に少しだけ後悔した……かな。
ごめん、話が逸れちゃった。
え~と、何処まで話したっけ?あ、敵の攻撃を躱しまくったところね。
その後は……う~ん。
なんて言えば良いか……。その時起こった事をそのまま言うと、満が随伴艦達を通り過ぎて数秒後にル級4隻が同時に爆沈したのよ。
意味わかんないでしょ?私もその時「はぁ!?」って言っちゃったもん。
どうも満は敵の攻撃を躱しながら、通り過ぎる前に魚雷を発射してたっぽいのよ。しかも敵が移動するであろう位置に!
今思いだしても、満が敵じゃなくて良かったって心底思うよ。
だって、1隻あたりに二発づつ当てる芸当だけでも凄いのに、未来位置を予測してそこに正確に撃ち込むなんて私達にだって無理だもん。
本気状態の満をまともに、しかも一人で相手できるのなんて当時の大淀くらいじゃないかしら。
叢雲じゃ無理か?
ん~どうだろう。叢雲も強かったし、当時の横須賀でNo.1駆逐艦って呼ばれてたけど、あの満に勝てるとは思えないなぁ。
性能面や技術面はもちろんなんだけど、なんて言うか……覚悟?それとも意地かな?
兎に角そう言った面に差が有り過ぎたと思う。
「後は私が終わらせる。みんなは前に進むことだけ考えて」
そう言って満は駆け出したっけ。
私達は言われた通りにした。
もちろん一緒に戦おうとも考えたよ?
でもこの時のために、私達を海峡の向こう側へ送るために満は編成されたんだって理解できたから、残された私達はうっすらと明るくなり始めた海峡の向こうへと針路を取ったわ。
満が切り開いてくれた先にあった、私達の本当の戦場へと。
~戦後回想録~
元駆逐艦 朝雲へのインタビューより。
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満?ええ、もちろん憶えています。
佐世保と横須賀では距離が離れすぎていますのでたまにしか会えませんが、他の元西村艦隊のメンバー同様、今でも大切な友人の一人です。
はい、長い休み、ゴールデンウィークやお盆には、元時雨と一緒に里帰りがてら立ち寄ってくれます。
あの子、一応はこっちの出身ですから。
ですが、あの子は今でもうちの主人に良い感情を抱いてないようで家には泊まってくれないんです。
顔を合わせれば挨拶くらいはするんですが、逆に言えばそれくらいしかしてくれません。
主人も嫌われ続けるのは辛いらしく、何かと機嫌を取ろうとするんですが結果が今一つなのが現状ですね。
なぜ嫌われたのか?
それは捷号作戦の会議の場で真っ向から紫印提督に反対したからでしょう。
どうもあの時に満は「コイツは敵だ」と主人を認識してしまったみたいです。
主人もそれはわかっているらしく、半分仕方ないと諦めているんですがどうにも未練があるようでして。
ここで弁解しても詮無いだけなのですが、あの人は紫印提督が憎くて反対したわけではないんです。
私と妹がスリガオ海峡への突入メンバーに選ばれていた事で多少ヒートアップしてしまいましたが、元々、横須賀へ向かう三日ほど前に元帥閣下から頼まれていたから、大湊提督と共に反対する側。いえ、紫印提督の敵に回ったんです。
会議の後に大湊提督と主人がその事について話していました。内容はたしかこうです。
「随分と良い役者っぷりだったじゃないですか佐世保提督。演技とは思えませんでしたよ?」
「半分、いや八割方本気だったよ。そう言ってくると言う事は、大湊提督も元帥殿から?」
「ええ、貴方と同じく憎まれ役をやってくれと頼まれました」
「貴様、火を点けるだけ点けて後は俺に丸投げだっただろうが」
「いえいえ、そんなつもりは全く。私のような若輩者にはあれが精一杯だっただけです」
どうも大湊提督も、主人と同じ事を元帥閣下から頼まれていたようです。
その会話を傍で聴いていた私と千歳さんはと言いますと……。
「どう見ても、うちの主人が攻めですね」
「何を仰いますか扶桑さん。うちの提督が強気攻めでそちらがヘタレ受けです」
などという女子トークを……。え?腐が抜けてる?しかもその話はしなくていい?そうですか……残念です。
「で?大湊提督から見て紫印提督はどうだった?」
「有り得ませんね。小さすぎる。いえ無さ過ぎます。アレで喜ぶのは元帥閣下くらいのものですよ」
「誰が胸の話をしろと言ったこのオッパイ星人。俺が聞いたのは見込みがあるかどうかだ」
「見込み?無いでしょう。確か紫印提督は19歳でしたか?その歳でアレでは見込みどころか希望も無い」
「胸から離れろ!貴様はあれか?胸の大小でしか女性を評価できない奴か!?」
「甘いですね佐世保提督。形も重要かつ不可欠です!私の理想のオッパイはそこで汚物でも見るような目で私を見ている千歳ですが、うちで海防艦のお守りをしてくれている天龍と龍田も捨てがたい!改二になる前も素晴らしかったが改二になってからはもう……たまらん!」
「お前が今言ったセリフをそのまま、元天龍の辰見大佐に言ってやろうか?首が物理的に飛ぶと思うぞ」
「ご安心召されい佐世保提督。心配しなくても貴方の奥方も立派な物をお持ちだ」
「話が噛み合ってないのがわかってないのか!?胸から離れろと言っただろ!と言うか貴様、俺の女房も視姦していたのか!?」
「視姦とは失礼な!私は純粋に、大きさと美しさを兼ね備えた美術品の如きオッパイを鑑賞していただけです!ちなみに『しずく型』と推察しましたが合ってますか?」
大正解でした。
と、それはどうでもいいですね。
ひとしきりオッパイについて熱い持論を展開した後、大湊提督は思い出したようにこう仰いました。
「それにしても、元帥閣下は非情なお方ですね。あれでは千尋の谷どころか地獄ではないですか」
「あれが元帥殿の育て方なんだろう。俺も厳しすぎるとは思うが、あの程度の事くらい越えて見せねば紫印提督の目的は達成できないんだろうさ」
「あの程度と仰いますか。過去、例を見ないほどの規模の作戦ですよ?」
「あれ以上の事が待っているという事なんだろう。紫印提督からすれば、南方攻略は前哨戦と言ったところだろうからな」
「前哨戦?アレが前哨戦……。なるほど、彼女は私達が諦めてしまった事を成そうとしている。と言う事ですね?」
「そうだ。今回の作戦前と後の精神的重圧。さらに部下の戦死という名の十字架。それらを乗り越えた先にようやく、終戦の二文字が見えてくる。要は、俺達は紫印提督の肥やしにされた訳だ」
「そこは乗り越える壁。もしくは試練と言いましょうよ」
「そうだな。ならばこれからも紫印提督に恨まれるような事をしなければな」
「秘書艦の子に末代まで祟られそうですが?」
「それは……有り得るな。仇でも見るような目で睨んでたし」
まあ、そんな感じの会話を交わした後に別れたのです
が、それからも事あるごとに二人は紫印提督の敵に回りました。
特に強固に反対したのは欧州への……。あ、この話は後でいいですか?わかりました。
スリガオ海峡突破後、ですか?
突破後の事は青木さんもご存知でしょう?え?詳細は知らない?はあ、そうですか。
ではお話ししましょう。
満のおかげで無事にスリガオ海峡を突破した私達6人は、力を使いすぎたせいか動けなくなった満をレイテ島まで曳航してからエンガノ岬沖を目指しました。
そして、水平線上に朝日が完全に顔を出した頃だったでしょうか。私達は敵第三波の最後尾を捕捉する事に成功し、後は撃って撃って撃ちまくりました。
敵旗艦を打ち損じたのが少しばかり悔やまれますが、私達は無事に任務を達成し、サンベルナルジノ海峡を抜けて来た第二遊撃部隊と交代するように撤退しました。
テンションが上がりすぎて、弾薬が切れているのにも関わらず突撃しようとする妹を力尽くで引っ張って帰ったのも今では良い思い出です。
その後の事は私も詳細は知りません。
ただ、私達の奇襲で統率が乱れた敵艦隊にワダツミ旗下の艦娘達が突撃して暴れ回ったとは聞いています。
その時に、敵旗艦が数十の手勢を率いて撤退した事も。
正直に申しますと、私はその時点で満足してしまったんです。
だって旗艦を打ち損じたとは言え、与えられたスリガオ海峡を突破して敵の背後から奇襲と言う任務をやり遂げたのですよ?
今では『スリガオ海峡の突破は不可能だ』『西村艦隊は存在したかどうかもあやしい』などと言われているようですが、逆にそう言われる事が誇らしく思えます。
私達七人は、後の人達に不可能と言われる事をやり遂げたのですから。
~戦後回想録~
元戦艦 扶桑へのインタビューより。
主要キャラ人気投票
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朝潮(一部主役である二代目。大淀含む)
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神風(二部主役である初代。桜子さん含む)
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大和(影が薄い三部主役)
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紫印 円満(実質三部の主役?)