艦隊これくしょん ~ナデシコの咲く丘で~   作:哀餓え男

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第六十七話 西村艦隊の本当の力

 

 

 朝潮型駆逐艦 三番艦 満潮。

 

 初代横須賀提督時代から重用されていた事で有名な朝潮型駆逐艦の一人だが、彼女は他の姉妹艦に比べて極端に戦果が低い。

 初代満潮は言うに及ばず、二代目満潮として任期を全う後に二代目横須賀提督と成った紫印少将(当時)も目立った戦果は挙げていない。

 にも関わらず、初代横須賀提督は秘書艦であった朝潮よりも、後に提督の座を譲った事でもわかるように彼女に最も厚い信頼を寄せていたと言われている。

 これに関しては初代横須賀提督の愛人説や記録に残せないような作戦にばかり参加してした等、根拠のない俗説が多々あるが、事実は今現在も謎のままである。

 

 特に戦果について不明瞭な点が多いのが、紫印少将と入れ替わりで満潮となり、終戦まで戦い抜いた三代目である。

 彼女は着任後ほどなく紫印少将の秘書艦となり、常に傍で少将を終戦まで支え、リグリア海戦にも参加した。

 かの西村艦隊の一翼としてスリガオ海峡突破作戦に参加したとも伝えられているが、突破前に落伍したのか挟撃自体には参加していなかったと伝えられている。

 だが逆に言えば、それ以外の公式記録が存在しない。

 

 

 

 ~艦娘型録~

 朝潮型駆逐艦三番艦満潮の項より抜粋。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 瞼を開いた私の目に映ったのは明るく照らされた海。

 そして、肩で息をしながらも無事でいてくれた時雨達。三人とも呆けたような顔をして私を見てるわね。

 私の姿が醜過ぎてどう反応していいかわからないのかしら。

 

 「相変わらず邪魔くさいな。この裾。それに、手に連装砲を持ってないのが落ち着かないわ」

 

 『姫堕ち』中、私の制服はなぜか白い着物のような物に変化し、通常時は両手と両腿に装備している連装砲と魚雷発射管は機械的な外見から深海棲艦のように生物的な外見へと変わり、背中から伸びたアームに繋がれる。

 正面から見たら「X」みたいな感じに見えるんじゃないかな。

 

 「ごめん時雨、少し遅れた?」

 『いいや。ピッタリ一分だよ満潮』

 「そう、なら後は私が終わらせる。みんなは前に進むことだけ考えて」

 

 いつもより潜ってる時間が長かったから、一分なんてとっくに過ぎてると思ってたのにそうでもなかったのね。あの空間で流れてる時間と現実の時間じゃ流れ方が違うのかしら。

 

 「さて、随分と大人しいけど撃ってこないの?これだけ派手に光ってるんだから見えてないって事はないでしょ?」

 

 時雨達が相手にしてた敵本隊は私を捕捉しながらも手をこまねいてる。

 もしかして仲間と思われてる?

 それとも、私があまりにも綺麗だから見惚れてるのかしら。なんてね。

 

 「まあどうでもいいわ。時間が無いからサッサと潰させてもらうわよ」

 

 『姫堕ち』状態を維持できるのは僅か10分。

 10分以上その状態でいる事も出来ないことはないんでしょうけど、たった10分でも『姫堕ち』解除後は最低でも三日くらい動けなくなる。

 動けなくなるだけならまだしも性格が激変するってオマケまでついてくるわ。

 具体的に言うと誰彼構わず甘えたくなっちゃうの。

 初めて『姫堕ち』を使った時なんか、使用後にお姉ちゃんにこれでもかってくらい甘えちゃってさ。今でも、自分の痴態を思い出すだけで顔面から火が出そうになるわ。

 

 「今回はどこかの島に隠れて迎えを待つか……。間違って時雨に甘えようもんなら色々失いそうだし」

 

 戦闘終了後の事も決めたところで、私はトビウオで加速して敵艦隊の真正面に向けて突撃を開始。

 バカ正直に真っ直ぐ進む私に対して、ようやく戦う気になったらしい4隻のル級は単横陣で持てる砲を最大限に生かそうとしている。

 私とル級達の距離は3000ってとこかしら。

 いくら『姫堕ち』中で火力が上がってるとは言え射程は変わってない。だからこの距離で砲撃したって大した効果は期待できないわ。ならば。

 

 「雷撃戦用意。ル級各艦に二発づつ」

 

 私の指示に従って、背中から伸びたアームに繋がれた魚雷発射菅が意志を持っているかのように動き出した。

 って言うか意志を持ってるんだけどね。

 今魚雷発射管を動かしているのは私ではなく、私の指示と思惑を理解した妖精さんたちだもの。

 

 「ようやく撃ってきたわね」

 

 思い出したように開始されたル級による砲撃。

 いや、これはもうスコールって呼んでもいいわね。

 人一人分の隙間もないほどの密度で放たれた砲弾のスコールは、私を海ごと押し潰そうと殺到してきてる。

 

 「各砲迎撃。道をこじ開けなさい」

 

 私の命令に応えて、アームに繋がれた連装砲が任意に迎撃を開始した。

 これは『姫堕ち』で全感覚が拡張された今しか使えないものの、私を害そうとする全てを砲撃で撃ち落とす『蜂落とし』。

 砲弾全てを撃ち落とすのはさすがに無理だけど、針路を確保するくらいなら問題なくできる。

 後は、確保した砲弾の隙間を縫って進むだけだ。

 

 「抜けてみせるわ」

 

 さっきも言ったけど、『姫堕ち』中の私は艦娘としての性能だけでなく視覚、聴覚などの五感と思考速度も格段に跳ね上がる。

 その結果がどうなるかと言うと、通常時は前方くらいしか把握できない海波も全方位把握できる。つまり、今の私は時雨並に『波乗り』を使い熟せるの。

 それだけじゃない。

 海波を読んだ上で使用する他の脚技は効果が上がる。

 例えば、前方向に流れている並に乗り、前方向へのベクトルの恩恵を受けた状態で『トビウオ』を使えば普段の倍近い速度と飛距離を得られるわ。

 もちろん、それは『稲妻』でも同じ。

 今の私が使う『稲妻』は別物と言ってもいい。150ノット近い速度と20mに迫る移動距離。さらに、『脚』を独楽のように変化させて旋回半径を0にする『黒独楽』を併用すれば速度を殺すことなく『水切り』並の機動力も得られる。

 言わば全脚技の合わせ技。

 今の私を捉えられるのはお姉ちゃんだけよ。

 

 「魚雷一番から八番、順次発射」

 

 砲弾のスコールを駆け抜けながら、私は雷撃の指示を出した。

 ル級達が何を考えてるかはわかんないけど、今の私は迎撃と回避で手一杯で反撃する余裕はない。そう、思われているはず。アイツらにそこまで考える頭があれば、だけど。

 

 「手応えの無い子」

 

 それが、駆け抜けたル級達へ抱いた私の感想だった。

 コイツらは戦艦、しかもフラグシップが4隻掛かりなのに、今の私に傷一つつけられない。

 それだけ今の私が強いって事なんでしょうけど、自分の強さを実感する度に、そんな私をコテンパンにしちゃうお姉ちゃんが遠く感じちゃうわ。

 

 「な~んて、浸ってる場合じゃないか」

 

 事前に放っていた魚雷がル級達に命中して上げた炎の熱さを背中に感じながら見た先には新種の姫級が2隻。

 どことなく扶桑姉妹に似てる気がするわね。

 もしかしたら、この2隻はスリガオ海峡を突破出来ずに沈んだ扶桑と山城の怨念だったりするのかもしれないわ。

 

 

 『ココ...ハ...通レナイシ......。 .....通サナイ......ヨ......ッ! 』

 「あっそ、ならこう言わせてもらうわ。押し通る!ってね」

 

 扶桑姉妹に似てるからって戸惑ったりしない。失われた過去の怨念だからって同情したりもしない。

 今を生きてる私達の邪魔をするなら容赦なく沈めてやる。

 そう、思いを新たにして私は二体で一体の深海棲艦へ向け加速した。八輪の青い光る彼岸花に囲まれた彼女達を沈めるために。

 

 「自発装填急いで。各砲は白い方から狙いなさい」

 

 私の指示に従って魚雷発射管は魚雷の装填を開始し、各砲は砲撃を開始した。

 今の私の砲火力で装甲を貫けないって事は、アイツの装甲値は軽く200を越えてるわね。

 

 『ココハ……地獄ナノヨ……』

 「そうね。ここは地獄よ。アンタにとってはね!」

 

 6基の砲塔による砲撃を躱しながら、私の砲は白い方を執拗に撃ち続けた。

 何発かは装甲を抜けて届いているのに、白い方は無表情を崩さないわね。痛覚がないのかしら。でも黒い方は被弾する度に「ヤメテェッ…」と言っているのに、白い方は口を動かすことすらしないわ。

 

 「魚雷、五番から八番発射!」

 

 白い方を倒すため、左舷下部アームに繋がれた魚雷発射管にそう命じると、発射された魚雷が猟犬のように敵右舷、白い方に殺到して火柱を上げた。

 

 「消えて行く?白い方はただの映像?」

 

 そう、消えていく。魚雷の直撃を受けた白い方が霧のように霧散していく。

 その様子を見つめる黒い方は絶望したような顔をして何か言ってるわ。

 読唇術は得意じゃないけど、たぶん『姉様』って言ってるんだと思う。

 

 『ヤメテッテ、オ願イシテルノニィ…ッ!』

 

 白い方が完全に消えると、憤怒に彩られた表情になった黒い方が砲撃を再開した。

 そっか、二体で一体じゃなかったのね。

 最初から黒い方しか居なかったんだ。よくよく考えればそうよね。アイツは艤装の操作を二人で分担してるように見えなかった。

 白い方、扶桑さんに似ていた方は、山城さんに似た黒い方が自分よりも先に沈んだ姉を想って作り出した幻だったんだわ。

 

 『マダ…先ニナンテ…進マセナイ…。コノ地獄デ…コノ地獄ノ海峡ガ…アナタタチノ行キ止マリナノ…ヨオオォッ!』

 「行き止まりなんかじゃない。私達は、アンタが地獄と呼ぶこの海峡を駆け抜ける」

 

 それが、わたしにできるせめてもの供養。

 アンタ達が出来なかった事を私達が成し遂げる。怨念に囚われて、今を生きる私達の邪魔をするアンタを沈めて。

 

 『通サナイッ...テ...言ッテルノニ......。 死ニタイ...ノォッ! 』

 「死ぬもんか!アンタは海の底に還って見てなさい!私達が、私達西村艦隊がスリガオ海峡を突破する瞬間を!」

 

 私は稲妻を使い、砲撃を掻い潜って20mの距離まで一気に接近した。

 今から私が仕掛けるのは対大型艦用の『戦舞台』。低い性能で、それでも戦艦に勝とうと桜子さんが編み出した必殺のハメ技。

 それを、駆逐水鬼並の性能になっている今の私が使えばどうなるかと言うと……。

 

 『ヤメテェ!ヤメテヨォ!』

 「やめない。アンタが沈むまで、私は撃つのをやめない」

 

 私の戦舞台、個人的に海上舞踏(マリンダンス)と呼んでいるこれは相手に何もさせない。身動きすら許さない。

 稲妻で駆け抜け、黒独楽で方向転換して砲撃を加え、魚雷を発射し、着弾よりも早く次の場所へ移動する。

 今のアンタは、満潮()が作り出した潮溜まりに捕らえられた哀れな魚。

 安らかな()に満たされるまで、アンタは私が作ったタイドプールで迷い続けるの。

 

 『ソウナノデスネ……。アナタ達ハ……ソレデモ…コノ先ニ 進モウト言ウノデスネ…。ナラ、アナタ達ハ…進んで…この先に待つモノヘ…』

 「ええ、進ませてもらうわ。貴女たちが辿り着けなかった、本当の戦場へと」

 

 私の応えに満足したのか、黒い姫は微かに微笑んで水底へと還って行った。

 残る敵はあと1隻。

 見た感じ防空駆逐艦っぽいけど、容姿は秋月型の涼月って子に似てる気がする。歴史書を読んだ限りだと、涼月はスリガオ海峡夜戦に参加してなかったはずだけど……。迷子にでもなったのかな?

 

 『私ガ…オ相手…シマス……』

 「出来ればこのまま通してほしいんだけど……。まあ、無理なんでしょうね」

 

 『姫堕ち』のタイムリミットが近い。

 あと数分以内に、性能が未知数な新種を倒すなんて無茶をしなきゃならない。

 まったく、帰ったら円満さんにご褒美の一つでも貰わなきゃ割に合わないわ。

 

 『私ガネ…?守ッテイクノ…ッ!』

 「それはこっちのセリフよ!アンタ達が脅かしてる平和を私達が守る!」

 

 ちょっと熱くなり過ぎちゃった。

 『姫堕ち』中は感情の起伏が激しいのよねぇ……。

 こういうセリフは、私より神風達の方が好きだし様になると思う。って言うか、そもそも私のキャラじゃない。

 

 「相手の性能を探ってる暇はない……。だったら!」

 

 私は連装砲を連射しながら、右に孤を描くようにして接近を試みた。

 撃った手応え的に、アイツの装甲は闇落ち山城と同程度か少し下くらい。

 魚雷を全弾撃ち込めば倒せそうだけど、自発装填が完了する前に『姫堕ち』のタイムリミットが来る。

 かと言って連装砲だけじゃ仕留めきれるかわからない。

 アイツの装甲を、もっと言えば性能を下げる必要があるわね。

 

 『キカナイ…ッ!』

 「ええそうでしょうよ。でもね、私はアンタみたいな奴でも倒す方法を知ってるの!」

 

 艦娘と深海棲艦の性能が下がる場合は複数有る。

 例えば損傷。

 艦娘本人と艤装が傷付けば傷付くほど性能は下がっていくわ。

 もう一つは海から離れる。

 例えば陸上に上がるとかね。

 艦娘や深海棲艦は海から離れる、と言うより接触を断たれると途端に弱体化する。

 もちろん、トビウオなどの脚技で跳んでる時も同様よ。

 で、私が何を言いたいかというと。

 性能が未知数の敵と相対し、尚且つ攻撃手段が限られている場合。相手を弱体化させる手段があれば、例え攻撃手段が連装砲だけでも倒し得るって言いたいの。

 

 「アレがヒントになるなんて思わなかったなぁ」

 

 私の脳裏に思い浮かんだのは昔の訓練風景。

 当時、まだ朝潮だったお姉ちゃんにお熱だった長門さんが、時も場所も選ばずに襲い掛かってた時期があったのね?もちろん、ここで言う『襲い掛かる』の後には(意味深)がつくわ。

 そんなある日、あまりのしつこさにお姉ちゃんがブチ切れちゃってさ。

 「この海域から出て行け!」って言いながら殴り飛ばしちゃったのよ。文字通り。

 それが後に、『衝角戦術』と名付けられた近接格闘術になった。

 それが完成してからは、お姉ちゃんの「五万馬力ガゼルパンチ!」って声が聞こえる度に長門さんが吹き飛ぶ光景が見れるようになったわ。

 当時の私は訓練でいっぱいいっぱいだったのもあって「うわぁ~…」くらいの感想しか抱けなかったけど、お姉ちゃん達のしごき……。もとい、訓練を堪えきった頃にふと思ったの。

 殴り飛ばされた直後に砲撃されたら、いくら長門さんの装甲でも一溜まりもないわね。って。

 

 「駆逐艦の実力はスペックではない。桜子さん、貴女の教えは正しかったわ」

 

 駆逐艦は自分が出来ることなら何でもする。

 弾が切れたら拳で殴るし、拳が無くなってれば頭突きもするし噛みつく事だって厭わない。

 勝つためと言うよりは、自分の意地を通すために。

 その心意気は今の私も変わらない。

 例え性能が駆逐水鬼並でも、私は私が出来ることなら何でもする。

 魚雷の再装填が間に合わないなら砲撃で倒す。

 砲撃が効かないのなら……。

 

 「ぶん殴る!」

 

 闇落ち涼月(仮)の砲撃を掻い潜って懐(と言っても、脚と装甲の関係で2mは離れてるけど)に到達した私は膝を曲げ、同時に腕を畳んで肘を弓のように限界まで後ろへ引き絞った。

 私が今から繰り出すのはガゼルパンチ。

 ただし、お姉ちゃんが得意とし、『衝角戦術』で強化された戦艦すら殴り飛ばす一撃。

 誇って良いわよ?

 たぶん、深海棲艦でこれを食らうのは貴女が初めてのはずだから。

 

 「五万馬力……!ガゼルパンチ!」

 

 下から突き上げた私の拳に触れた相手の装甲が風船のように歪み、水柱を伴って天高く舞い上がった。

 後は砲撃するだけ。

 いくら装甲値が200を越えていようと、海に脚が着いていない状態じゃ半減以下になる。

 その状態なら、私の砲撃でも容易く貫けるわ。

 

 『オモシロイ。デモ…マタ来ルワ。マダ…マダ 終ワラナイカラ…!』

 「いいえ終わりよ。各砲!砲身が焼け付くまで撃ち続けなさい!」

 

 私の命令を手ぐすね引いて待っていた2基の連装砲が、宙を舞う闇落ち涼月(仮)に砲撃を開始した。

 何処かの戦闘民族の王子なら「汚い花火だ」とか言うんでしょうけど、私は敵の体に咲き乱れる砲撃の花を綺麗だと思ってしまった。

 だってこれは祝砲だもの。

 見える?円満さん。私達の勝利を告げる大輪の花が。円満さんの勝利を信じ、不可能を可能にした栄光の華が。

 

 「みんな頑張ったよ。よく、よく……頑張ったんだから……!」

 

 闇落ち涼月が爆散するのを確認して届くはずがない言葉を紡いだ私は、『姫堕ち』と『艦体指揮』が解除すると同時に襲ってきた激痛と孤独感に堪えられず、両腕で体を抱き、その場に崩れ落ちた。

 まだ我慢しなさい満潮。

 まだ泣いちゃダメ。まだ泣き言を言っちゃダメ。

 今言っちゃうと誰かしらが一緒に残ると言いかねない。

 だから、近くの島に辿り着くまでは我慢するの。

 泣くのは、それからよ。

 と、必死に自分に言い聞かせ続けた。

 

 

ーーーーーーー

 

 その後、一番近かったレイテ島まで満を曳航してからの事は知らないわ。

 たしか……大淀が迎えに行ったと聞いてる。

 

 心配じゃなかったか?

 もちろん心配だったわ。

 曳航中は何かに怯えてるかのように震えてたし、必死に泣くのを我慢してたのが丸わかりだったもの。

 でも、私達は迷わず満を置き去りにした。

 後ろ髪を引かれたけど、満が切り開いてくれた道を進まない事はあの子を裏切る事と同じだと思えたから。

 

 海峡を抜けた後は、姉様の「西村艦隊の本当の力…見せてあげる!」という激に背中を押されて弾薬が切れるまで敵艦隊を撃ち続けたわ。

 たぶん最上も、時雨も朝雲も、撤退を進言してきた山雲さえも同じ気持ちだったはずよ。

 

 変な話だけど、あの時初めて、私達西村艦隊の心は一つになったの。

 挟撃成功の報を満に伝え、勝利の歓びを共に分かち合う。そう、私達は思っていたの。

 

 恥ずかしい事を言うわね?

 ハッキリ言って赤面ものだけど、あの一つになった想いが『西村艦隊の本当の力』だったんだって、私には思えるの。

 

 

 ~戦後回想録~

 元戦艦 山城へのインタビューより。

主要キャラ人気投票

  • 朝潮(一部主役である二代目。大淀含む)
  • 神風(二部主役である初代。桜子さん含む)
  • 大和(影が薄い三部主役)
  • 紫印 円満(実質三部の主役?)
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