思いつきで魔王になったら存外いい感じです。   作:旋弧

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第1話

とりあえず、過去の話をしよう。

 

18年前、車に轢かれ死亡した。

しかし、目が開けられる事に気付き開けると、二人の人が見えた。

これは俗に言う異世界転生というものであろう。小説みたいだね。内心めっちゃ嬉しかったです。はい。

8年前、冒険者になった。あ、孤児院に預けられたからね。金の問題があったからみんなの為にね。

そこで、

 

『魔王になれるダンジョンがあるらしい』

 

という情報を耳に入れる。

何それ面白そう。と思い、孤児院をでたら、魔王になろうと思った。

4年前、晴れて孤児院を卒業しました。卒業しても孤児院にお金を寄付という形で送り続けた。

それが一ヶ月前までの話だ。

 

そして、今に至る訳だ。

今何しているかって?そりゃ、『魔王』に決まってますよ。

ただ、魔王城なし。玉座なし。ダンジョン崩壊。洞窟のような場所にポツンと一人。飾り付けなし。ゴテゴテとした岩壁だけ。

しかも、一週間はこの空間から出られない。そういう魔術がかけられていたのだ、魔王になれるオーブに。

胡散臭かったなー。『鑑定』で見た時に

 

『魔王オーブ』 魔王になれる。

 

だったからね。メチャクチャ警戒したな。あれ。使う決心するのに30分かかったな。

使ったら、このザマだよ。『魔王』になったけど一週間はここから出られない訳だよ。

しかも『魔王』になった瞬間、結構な範囲に魔力が流れたからな。位置も『魔王』になった事もバレただろう。

明日にでも騎士団が来るかな。面倒だな。嫌だなー。顔がバレてしまう。『魔王』になっても街で冒険者を続けようと思ったのにな。

そう思い、スキルと職業が書かれた画面をよび出す。

 

職業:魔王

スキル:〈聖邪〉〈魔力武器〉〈鑑定〉〈身体強化『魔王』〉

 

といった具合だ。新しいのは〈身体強化『魔王』〉くらいだろう。

スキルは経験と実践で手に入れることができる。アイテムで手に入るのは聞く限りこれだけだろう。

因みに俺のスキルは、

 

〈聖邪〉 聖なる武器と邪なる武器を創り出す事ができる。魔術、魔法の類が一切使えなくなる。

 

〈魔力武器〉 魔力で武器を形作る事ができる。

 

〈鑑定〉 対象を知ることができる。

 

〈身体強化『魔王』〉 身体能力を極限まで高める。

 

といった具合だな。これでも魔法を使わずに純粋な剣の腕だけで生き残ってきた程度の実力はある。拳の方もまぁまぁいけるけど。

今からする事はこの体になれる事かな。何せ〈身体強化『魔王』〉の効果で身体能力は上がりっぱなしのはずだ。

この体に慣れていなくて死亡とか笑い者だぞ。誰も笑わなくても俺が笑うわ。

 

「しっかし、本当に魔王になれるとは。偽情報と思ってたけど、信じてみるもんだな」

 

と独り言を呟く。

実際、魔王になれるとは思っていなかった。面白そうだな。程度にしか思ってなかった。

片手を肩の高さまで上げる、そして、その手に魔力を込める。すると、真紅の魔力が凝縮し黒くなった剣が現れた。

その形はシンプルなロングソードながら、邪悪な感じがする剣だ。

それもそうだ。〈聖邪〉と〈魔力武器〉を組み合わせる事によってできた、魔力のみで創られた邪剣に近い剣なのだから。

それを振り下ろす。これといった変化は見受けられなかった。

とりあえず、両手で握り、脳内で敵を創り出しそれを片っ端から切りにかかった。しかし、特段身体能力の向上は分からなかった。

 

「名前だけ大層なスキルなのか?」

 

それとも、目の方もかなり良くなっていて向上したのが分からなかった。という事だろうか?

口に出していない後者であればいいのだが。と思いながら、左手をロングソードから離し、同じように剣を創り出す。

今度は、青き魔力が凝縮し白くなった剣が現れる。

今度の武器も二つのスキルを使い創られたロングソードである。しかし、二つの違いは片方は邪剣の力を秘めているが、先ほど創り出した方は聖剣の力を秘めていた。

一時期『白黒の剣士』なんて呼ばれていたな。なんて事を思い出し、苦笑する。

厨二心が疼くようなネーミングセンスだね。

当時の俺はかなり調子に乗っていたと思う。討伐依頼を受けては倒してをメチャクチャ繰り返した。

それが普通だと思うが、いけなかったのは達成した数だ。1日に六つは流石にやり過ぎた。ギルマスからストップが入ったからな。

 

「他の人が受ける依頼が無くなるだろ!!」

 

と注意も受けた。それからは大人しくしていた。

と、物思いに耽っている場合じゃなかった。またも架空の敵を想像し、切り伏せる。

やはり特段変わったようには思えなかった。

 

「うーん。ま、いっか」

 

と、縦横無尽に移動していた足を止める。

 

「騎士団と教会の方との戦いは避けられそうにない。騎士団はいいけど、協会はなー。戦いづらいな」

 

騎士団に知り合いはいるにはいるが、去年騎士学校を卒業したばかりだから、この戦いに参加する事はないだろう。だから、遠慮なく戦える。

しかし、教会は俺達を育ててくれた恩がある。戦えない事はないが、戦えない事はないんだけどな。

教会というのは、なんとか神を信仰しており、その教えに則った行動、食生活を営んでおり、人々に治癒や孤児を保護する役割を担っている。

1000年前からクレイン聖国という国ができたほどだ。

因みに俺が育った国はガラルド王国だ。こちらも1000年前にできた国だ。

というよりもこの大陸の国は殆どが1000年前からできた国だ。

またまた話が逸れていたな。戦う決意を固めなければな。俺を育てたのはあの人達でここに来る事はない。そう、来る事はないのだ。

来るのは別人でただの敵だ。

 

「よし!」

 

決意も固まったので一つ練習でもしておくか。




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