洞窟の入り口に光が差し込む。その光が照らすのは無数の剣と人の姿。その中の3人は動く兆しすら見せない。
剣の刀身が光を反射し煌めく。しかし、その光を飲み込みそうなほど禍々しい剣が押し返す。
その瞬間を狙ったかの様に魔法の一斉放射が起こった。属性により色が違うので、遠目から見る分にはさぞ綺麗な事だろう。しかし、攻撃されている身のものはたまったものではないだろう。
……普通の人間ならば。
「セヤッ!!」
振るったのは一撃。しかし、放たれる剣閃は5つ。殺到する魔法の数と比べると圧倒的に少ないのだが、魔法を全て迎撃した。
その技は一重に死と隣り合わせで生き、戦いに身を投じているうちに身についたものである。
なので確かな技として身につき、生半可な攻撃、連携では倒せない。
だが、
「負傷した者は回復!動ける者は一撃離脱を繰り返せ!奴の斬撃の射程はそう長くない!」
『了解!!』
騎士達の練度、連携は全く引けを取らないと言ってもいい程であろう。
どちらが有利に戦えるかと問われれば、9割以上が騎士団と答えるだろう。
力が拮抗する戦いは、最終的に長期戦となり疲れ、魔力が無くなったものが敗北する。
1対多の戦いを見て、どちらが長期戦を行えるかは考えるまでも無いだろう。
また一つの銀閃が煌めく。相手の注意を逸らすように、すぐ離脱できるように考えられた位置取り攻撃方法。
そして、その後続の騎士がすぐさま攻撃できるように構えていた。
「舐めるなよ」
確かに魔力で創り上げた斬撃の射程はせいぜい剣が届く範囲が限界だ。だが、近接戦闘においてそれだけの射程があれば十分だ。
先ほど攻撃した騎士と後ろにいた騎士が攻撃に移る刹那、二人がギリギリ射程に収まったタイミングに黒き閃光が煌めく。
金属でできた防具が切り裂かれる。それも一箇所ではない。全身に切り裂かれた傷ができ、その隙間から血を流し金属の塊が崩れ落ちる。
「おいおい。どうした?騎士の実力ってのはここいらで限界か?」
嫌味を多分に含めた言い方をする。これで5人の死体を作り出し、的確に指示を出すもそれらは無意味とかしている。
正直もう退いて貰いたいものだ。実力差は確かに全体でいえば悪くない。今のところは。
だが、確実に個の実力で勝っている此方に有利ができてきている。数は確実に減っている。その内確実に此方が優勢になり、勝てる。
だが、それを見抜けない騎士ではないだろう。
「フン。余裕でいられるのもこれまでだ」
そう言ってリーダー格の男が剣を引き抜く。
その刀身は一切混じり気のない白銀でできた美しい剣だった。しかも、剣自体に魔力が宿っているようにも見える。しかも属性が何属性かさえ分からない。
様々な属性が混ざりあったように見えるし、ただ一つの属性のように見える。
つまり
「ほう。聖剣の類か」
聖剣。はるか昔何らかの方法によって出来た未知の剣。その中の聖なる力を秘めた剣を総じてそう言う。
因みに、対照的に邪悪な力を秘めた剣を総じて邪剣という。
聖なる力、邪悪な力。属性が不明確であるが故に未知であり、ただ魔力と属性が宿っているだけの魔剣とは違う分類として区別されている。
「その通りだ。貴様の剣は邪剣の類か」
「ご名答。刀身も形も不明確で分からないただの邪剣さ」
ただ魔力で出来ているように見える此方の剣は、スキルにより邪悪な力か聖なる力が付与される。
ただ、邪剣としての力で出てくることは無い。せいぜい色が黒か白の違いしかない。
それでも並みの剣を凌駕する力をもっていた。
「であれば、この戦いは偶然ではなく必然だ。聖剣と邪剣を持つ者同士の」
騎士がお手本のような綺麗な構えを取る。
「生憎ロマンチストじゃねーから、その気持ちは分からねえな」
此方も邪剣を構える。
周囲の騎士はこの場所から離れていっている。それほど強いという事か。
「分からなくて結構。討たせてもらうぞ魔王!!」
「此方も討たせてもらうぞ騎士の大将!!」
同時に脚を踏み込み、邪剣と聖剣が激突する。
面白ければ幸いです。