【デッドマンズA:==『取り戻す』者の物語==】   作:enigma

26 / 49
第二十四話

74階

梶原泰寛side

近くで戦っている音がする。妙だな。

 

ここで俺以外の敵を襲うやつなんてサンタナか混乱したやつくらいなもんなんだけどな。

 

面倒事には極力関わりたくはないが、一応確認の為、音のする方向までかけていく。

 

そして、音のする部屋を見ると、中でサーレーが倒れている誰かのもとに歩いていくのが見えた。

 

「残念だったな。テメーの冒険はここで終わりだ。」

 

「………また…こんなところで……」

 

 

…あれ?おかしいな。俺幻覚でも見えてんのか?

 

サーレーの前に、漫画では見てもここでは全く見ることのなかった奴が跪いていた。

 

網掛けのような服、鍛えられた四肢、カビのような模様の入ったショッキングピンクの髪の毛。このひとは、こいつは・・・

 

「とどめだ!クラフトワー「ホルス神!{ドンドンッ ズドドッ}」なあ!?」

 

気が付いたら狙撃用のスタンドをいつの間にか撃っていた。自分でも何でこんなことしたのかわからないが…

 

「とりあえずぶっ潰す!」

 

クラフトワークに遠距離戦は不利だと判断し、サーレーに駆け寄っていく。

 

「テメーも敵{スパーz_ン}ウゲ!?しま…た…」

 

すると後ろからスティッキーフィンガーズで頭を切開され、サーレーはそのまま倒される。

 

俺は油断なく、目の前で膝をついているこいつを見据える。

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

おれは・・・こいつをどうしたらいい?この男を、ディアボロを…

 

何時か会うだろうとは思っていた。だからこういう状況も想定していなかったわけではない。

 

対応次第ではどうにかなるかもしれないし…場合によっては…

 

…しかし妙だ。反吐が出るような奴は幾度となく見てきたが、今のこいつからはそういう雰囲気が感じられない。どういうことだ?

 

「「………………」」

 

暫くの間沈黙が続く。今思えば、相当長い間続いてたかもしれない。

 

しかしやがてその沈黙が破られる。

 

{グゥ~~~~~~~~~~}

 

「「・・・・・・・・・・・・・・」」ドサッ

 

ディアボロから空腹を知らせる音が聞こえると同時に、ディアボロはその場に倒れこんだ。

 

(・・・うだうだ考えてる場合じゃないな。)

 

俺はカバンからピッツァを出しながらディアボロに近寄っていく。

 

たとえ過去が何であれ、ここまで来ることがいかに難しいか、そして餓死がいかに精神的にきつい失敗かを俺は知っている。

 

一度裏切られたことがあるとかならまだしも、俺は今のこいつとは初対面だ。碌に相手を知りもしないのにここで見捨てていくことは…

 

「だ、大丈夫ですか!しっかりしてください!ほら、これ余りの分のピッツァです!食べて下さい!」

 

俺にはできない。

 

ディアボロは俺が差し出したピッツァを見るなり、奪い取るようにそれを手に取って食い始めた。

 

さて…俺は周囲の警戒でもしとくかな。

 

 

 

たべ終わってからしばらくすると、相手もだいぶ休めたようだ。

 

「もう大丈夫ですか。」

 

「ああ、もう大丈夫だ。…ひとつきいてもいいか?」

 

「?なんですか?」

 

「…助けてもらってこういうことを言うのもなんだが…なぜ私を助けた?ここでは食料はいくつあっても足りないことくらい君も知っているはずだ。なのになぜ助ける価値があるかもわからない私を助けた?」

 

…いやまあそうなんですけどね。

 

「…なんでって言われても。しいて言うなら餓死の怖さやここまでくることのつらさを知ってるから、単に見捨てたくなかったってところですよ。」

 

「…本気で言っているのか?私を助けたところで君に何か利益があるとは限らないんだぞ。」

 

うん、自分でもわかっちゃあいるんですけどね。確かにそんなものはないかもしれない。けど

 

「それでも、やることは変わってないと思いますよ。というか実際にそんな感じで今回やってましたし。まあこれ以上は仮定の話になるでしょうけど。」

 

「…君は随分とお節介だな。ここがそんなことを言っていられるような甘ったれた場所ではないことくらいわかっているだろう。」

 

「そこらへんもちゃんと把握してますよ。ちゃんとわかったうえでの判断です。」

 

そう。だからそこは自己責任、解ってるよ。

 

「それじゃあ僕はそろそろ失礼しますよ。どうか気をつけて「待ってくれ。」?どうかしましたか?」

 

「君のさっきの行動、あれは、私の正体を知っていた上でのものか?」

 

「…ええ、知ってます。でも…」

 

「でも?」

 

少し間をおいて答え始める。

 

「今のあなたからは、他人を平気で使いつぶしたりするようなドス黒い感じがしない。それどころか、どこか迷いを感じてるようにも見える。」

 

「………」

 

「ま、だからどうしたって話かもしれませんが。他に聞くことはありますか。」

 

「ああ、君の名前を聞かせてもらってもいいか。」

 

「…そういえばなんだかんだで自己紹介はまだでしたね。僕の名前は梶原泰寛です。」

 

「梶原泰寛か…梶原、ここはお互い協力していかないか。このまま碌に借りも返さずというのもさすがに勘弁したいんでな。無論聞きたいことがあれば何でも聞いてくれ。私にわかる範囲であればなんでもこたえるとしよう。」

 

「…いいんですか?」

 

「ああ、頼めるか?」

 

「いえいえ、むしろこちらからお願いしたいくらいですよ。これから宜しくお願いします。」

 

俺は手を出して握手を求める。向こうは多少戸惑うものの、それに応じてくれた。

 

「ああ、こちらこそよろしく頼む。それと…さっきは助けてくれてありがとう。」

「いえいえ、どういたしまして。」

 

こうして、まさかの二人での冒険が始まった。しかも相方は、かつての第五部のボスだった男。なかなか先が見えないが、まあどうにかなるかもな。

 

 

ディアボロside

ちょっとした金稼ぎのつもりで行ったエジプトの遺跡発掘のバイト。あそこでたまたま掘り当てたあの七本の矢尻がすべての始まりだった。

 

たまたま掘り当てたあの7本の矢尻の一つで偶然か必然か手を切ってしまい、そしてその出来事が私にあの能力を、キングクリムゾンをもたらしたのだ。

 

あれを手に入れた時、私は確信した。これは運命だ。この能力は、私がこの世の頂点に立つためのもので、この私こそが、この世の頂点に立つ、真の帝王にふさわしい存在なのだと。

 

それからの決断はいたって簡単だった。発掘した矢尻をすべて盗み出し、一本だけ手元に残して後はエンヤとかいう老婆に高値で売りつけた。それからは故郷に帰ってから、自分の存在と消息を完全にこの世から消し去った。

 

そして、入念な準備と計画、厳密で厳戒な情報統制と恐怖体制のもとに、私は故郷であるイタリアに一大ギャング組織を打ち建てた。その名はパッショーネ、私の永遠の絶頂への情熱を体現するという意思を込めてそう名付けた。

 

この組織を打ち建ててから10年間。組織に逆らう不穏分子や裏切り者、私の正体に近づこうとする者を徹底的に排除し続けながら、麻薬などによる収入で、私の組織は徐々に大きくなっていった。

 

そんなことを続けているうちに、やがてこの組織は、何者であろうと逆らえないほどに大きく、完全なものとなっていった。そして同時に、私の絶頂は揺るぎないものとなった…はずだった。

 

ジャン・ピエール・ポルナレフ・・・剣を扱う以外に特筆しようのないとるに足らない能力しか持ち合わせていないにもかかわらず、あのころはまだ完璧な情報統制をできていなかったとはいえこの私の正体に唯一たどり着くことができた唯一の敵だ。

 

無論今までの敵と同様、始末したはずだった。しかし奴は生きていた。体をバラバラにして、海にばらまいてやったにもかかわらずだ。そして奴は、私から身を隠している中で手にした。真にこの世の頂点に立つ方法を。

 

無論そうとも知らずそのまま放置し、それから三年ほどたって、ついにあの事件が起こった。

 

始まりは、私の娘トリッシュが見つかったこと、いや、あの新入り、ジョルノ・ジョバーナが入団してきたことだろうか。

 

いずれにしろ、トリッシュの存在が私の正体につながることを恐れた私は、幹部の試練を乗り越えたブチャラティのチームにトリッシュの護衛をやらせ、私のもとに連れてこさせた。

 

そして一人を除き、ブチャラティのチームは組織を裏切り、私はあらゆる手段を使って奴らを始末しようとした。

 

最後の最後には、私自ら出向いて奴らを始末しようともした。

 

しかし、それでも私は奴らには勝てなかった。

 

この明らかにこちらに有利な状況だったというのに、奴らは不確かな可能性を頼りに私の親衛隊たちを次々と打ち破り、死んだ仲間たちの意志を受け継ぎ続け、そしてついにはあのポルナレフが見つけた矢の真の使い方をもって私を打ち破った。

 

そして敗北した私を待ち受けていたのは、絶望だけが目の前にあり続ける未来だった。

 

ジョルノ・ジョバーナの矢によって進化したゴールデクスペリエンスの能力により、私は永遠に死に続けることとなったのだ。

 

どうあがいても逃れられないこの運命に最初の頃こそ抗っていたものの、徐々にその虚しさを思い知らされるこことなった。

 

何百、何千…あらゆる死をただ受け入れるしかない状況に、私の心はただ静かに朽ち果てるのを待つばかりだった。

 

 

 

 

…はたしてどれほどの時間が流れたのだろうか…

 

絶えず死に続け、精神が朽ち果てるのを待つしかない私に、ふとこんな噂が耳に入った。

 

この世のどこかにあるといわれる奇妙なダンジョン。

 

そこには数多くの試練が待ち構えており、ある者はその先に黄金郷を、またあるものは幸福を手にしたといわれていた。

 

その噂をたびたび聞くようになるにつれ、私の心は加速度的に蘇っていった。絶望という暗闇しかなかった私の心に、希望という名の光が差し込んだのだ。

 

もともとスタンドという常識ではありえない能力を使っていたこともあり、私はいつの日か、必ず自分もそのダンジョンにたどり着き、そこで今度こそ永遠の絶頂を手にして見せると決意していた。

 

そしてその決意からさらに死に続けて幾時が経過し、時間が急激に加速していくという異常現象を乗り越え、私はついにそのダンジョンへと到達した。

 

しかしここで私は、とある疑問にたどり着いた。それは、私が敗北したことが、もともと決められていた物なのではないかということだ。

 

それは、冒険の中で手にしたとある漫画、「ジョジョの奇妙な冒険」を読んだことから始まった。

 

荒木飛呂彦という男が描いたこの漫画の第五部と呼ばれる物語は、まさしくあの戦いのすべてを記していた。

 

そしてこれを知り、話を読み進めていくうちに、ふとこんなことを思った。私の人生とは、永遠の絶頂を求め続けていた私の一生とはいったいなんだったのかと。

 

あれだけの戦力差にもかかわらず、ブチャラティたちはたかが数人程度のチームであらゆる困難を打ち破り私を打倒した。

 

あそこまでしたにもかかわらず、私はたかが数人にすら勝てなかったのだ。

 

その事実と、目の前のこの漫画が、私の今までの行いや人生観に大きく疑問を抱かせることとなった。

 

善悪の判断にもともとそこまで頓着はない。そんなものは、それを判断する者の価値観によって違う。人の数だけ正義があるといっても過言ではないからだ。

 

だが、ギャング時代に抱いていた絶頂の理想像を考えてみると、私自身そこまで深い考えはなかったのではないかと思う。

 

そもそもギャングのボスとして君臨していたころは裏切り者の可能性も考えるとろくに夜も寝れず、とてもじゃないがリラックスした状態とは言えなかった。

 

そのために私のもう一つの人格であるドッピオに普段は肉体の支配権を渡して体ごと変化させ、私はその意識の裏側で電話という形で彼に指令を出すことで正体を知られることなくいられたのだ。

 

組織の頂点に立つために苦労するのはいたって当たり前のことだが、私の場合は組織をより完璧に纏め上げるためにそれが特に顕著で、私自身に自由らしい自由はあまりなかった。

 

今になって考えてみると、これは果たして、私の語る永遠の絶頂にふさわしい結果だったのだろうか。私の能力に戸惑うブチャラティに語った永遠の絶頂の通りに、果たして私はいられたのだろうか。

 

挙句の果てにその徹底した秘匿性と完璧主義が災いし、ブチャラティどもを反乱させるに至ったのだ。

 

そしてその迷いは、ある程度区切りがついたとわいえ今も私の中に残っている。

 

そして幾度とない戦いと死のもとに、とある一枚のディスクの存在を知った。

 

その名はボヘミアンラプソディー、このディスクを使えば、私は絶頂の日々を手にすることができるかもしれない。

 

自分を脅かすもののいない、見えない恐怖に怯えることのない永遠の絶頂を…

 

そんな限りなく儚い希望を求めて、私はそのダンジョンを下りて行った。

 

 

 

 

 

 

 

さすがに試練と名がつくだけあって、二十階までたどり着くだけでも幾度となく死に続けた。何より今までと違って、アイテムの持ち込みができないことが一番の難題だった。

 

そしてそこを越えられるほどのスタンドを手にしても、ふとした油断や不運が一瞬で私の命を奪い去ってしまう。

 

今回もそうだった。食糧が底を尽き、飢えて碌に集中できない状態で不運にも敵に囲まれそうな時にローリングストーンズの罠を踏んで文字通り絶体絶命の事態に追い詰められた。

 

何とか力を振り絞って敵をほとんど倒したものの、かろうじで耐えきったサーレーが徐々に距離を詰めてくる。私はもう発動をする気力もなかった。

 

(クソ、何か・・・何か手はないのか。何か手は・・・)

 

何とか動こうとするも、もう体も動かない。そしてついに奴のスタンド、クラフトワークの腕が私を倒さんと振り上げられた。

 

「残念だったな。テメーの冒険はここで終わりだ。」

 

(また…これか。いつになったらたどり着けるんだ…)

 

「………また…こんなところで……」

 

「とどめだ!クラフトワー「ホルス神!{ドンドンッ ズドドッ}」なあ!?」

 

死を覚悟していたところで、驚くべきことが起こった。目の前にいるサーレーが自分のスタンドとともに凍りついたのだ。

 

サーレーが振り返った先を見ると、そこには一人の少年がいた。

 

全身黒一色と言わんばかりの見た目をしており、そのまなざしはサーレーを鋭く睨みつけていた。

 

「とりあえずぶっ潰す!」

 

その言葉に反応し、サーレーのこちらへの警戒が完全に外れる。

 

(やるなら今しかない!)

 

「テメーも敵{スパーz_ン}ウゲ!?しま…た…」

 

隙をついて、サーレーをスティッキーフィンガーズで倒す。

 

そして、先ほど現れた少年を見た。そいつはこちらを警戒してはいるものの、他の敵と違い敵意は感じられなかった。

 

(く、だが依然として状況は変わっていない。…だめだ、もう体力が…)

 

しかしそれも長くは続かず、腹の虫が鳴った後私は倒れこむ。

 

その少年はそれと同時にこちらに駆けつけてきて、あろうことか私にこう言った。

 

「だ、大丈夫ですか!しっかりしてください!ほら、これ余りの分のピッツァです!食べて下さい!」

 

私はその言葉を聞き、何とか視線を上げる。

 

その少年はこちらに膝を突き、丸々一枚分のネアポリスのピッツァをこちらにさしだしていた。

 

私はそれを見て、奪い取るようにそれを掴んで食べた。

 

腹が限界まですいて力が出なかった私にとって、それは何物にも代えがたい幸運だった。

 

 

 

 

「元気になりましたか?」

 

食い終わって休憩をし、体に力が戻ってきたころに、少年は私にそう尋ねる。

 

「ああ、もう大丈夫だ。…ひとつきいてもいいか?」

 

「?なんですか?」

 

「…助けてもらってこういうことを言うのもなんだが…なぜ私を助けた?ここでは食料はいくつあっても足りないことくらい君も知っているはずだ。なのになぜ助ける価値があるかもわからない私を助けた?」

 

これは憶測に過ぎないが、曲がりなりにもここまで来れるということは、すでに私の出てくる漫画を読んでいるはずだ。

 

邪推かもしれないが、こんな私を助けるなんて何かしらの打算があるのではと考えてしまう。

 

…しかし私はすぐにその判断を後悔した。

 

「…なんでって言われても。しいて言うなら餓死の怖さやここまでくることのつらさを知ってるから、単に見捨てたくなかったってところですよ。」

 

「…本気で言っているのか?私を助けたところで君に何か利益があるとは限らないんだぞ。」

 

「それでも、やることは変わってないと思いますよ。というか実際にそんな感じで今回やってましたし。まあこれ以上は仮定の話になるでしょうけど。」

 

その少年の眼差しや態度には、取り繕った様子は全く見られなかった。彼は、私の考えていたような深い考えや打算があったというわけではなく、本当にただ私を助けようとしていただけらしい。

 

…正直まだ理解はできない。見ず知らずの自分を、危険を冒してまで助けようとするこの少年の考えが。

 

だが…その雰囲気やあり方を、私はどこかで見たことがある。

 

そう、こいつの雰囲気や考え方は、あいつらによく似ている。

 

かつて、利益や権力のためではなく、私がトリッシュを自分の絶頂の日々のために殺そうとし、それに激怒して反逆を起こしたブチャラティのような。

 

私の最大の敵として立ちはだかり、そして私を打ち倒した、あのジョルノ・ジョバーナのような。

 

単なる損得の問題ではない。たとえ自分に関係なくとも、自分以外の者の不幸や、弱者を欲望のままに踏みにじる者を見過ごせない、そういう雰囲気がこの少年から感じられた。

 

「…君は随分とお節介だな。ここがそんなことを言っていられるような甘ったれた場所ではないことくらいわかっているだろう。」

 

「そこらへんもちゃんと把握してますよ。ちゃんとわかったうえでの判断です。

……………

「それじゃあ僕はそろそろ失礼しますよ。どうか気をつけて「待ってくれ。」?どうかしましたか?」

 

私はその場を去ろうとする少年を呼び止める。

 

「君のさっきの行動、あれは、私の正体を知っていた上でのものか?」

 

これが最後の質問だ。この返答次第で私は・・・

 

「…ええ、知ってます。でも…」

 

「でも?」

 

少し間をおいて答え始める。

 

「今のあなたからは、他人を平気で使いつぶしたりするようなドス黒い感じがしない。それどころか、どこか迷いを感じてるようにも見える。」

 

「………」(そんなところまで見抜かれていたのか…)

 

「ま、だからどうしたって話かもしれませんが。」

 

…いや、少なくともこれで私のやることは決まった。

 

「他に聞くことはありますか。」

 

「ああ、君の名前を聞かせてもらってもいいか。」

 

「…そういえばなんだかんだで自己紹介はまだでしたね。僕の名前は梶原泰寛です。」

 

組織のボスの時は、ドッピオ以外に初対面で信じられるものがいなかったが、その過去が意味を失った今、こいつならば信じてもいいだろうと思えた。だからこそ私は…

 

「梶原泰寛か…梶原、ここはお互い協力していかないか。碌に借りも返さないまま終わるのはさすがに勘弁したいんでな。無論聞きたいことがあれば何でも聞いてくれ。私にわかる範囲であればなんでもこたえるとしよう。」

 

前の世界では考えもしなかった判断をした。

 

「…いいんですか?」

 

「ああ、頼めるか?」

 

「いえいえ、むしろこちらからお願いしたいくらいですよ。これから宜しくお願いします。」

 

そういうと、梶原は手をこちらにさしだしてくる。

 

「ああ、こちらこそよろしく頼む。」

 

私はその手を取り、ともに握手をした。

 

そしてこれから先、会う機会こそ少なかったものの、この決断が間違いではなかったということを私は知ることになった。

 

 

梶原泰寛side

さて、とりあえずこうして会えたことだし、胸を借りるつもりでアドバイスをもらうか。

 

「それじゃあまず一つ質問してもいいですか?」

 

「ああ、なんだ?」

 

「ディアボロさんってメイド・イン・ヘブンの作り方は知っていますか?」

 

「…あれか。私も作る方法を知るまでは苦労したものだ。それを知っているというのならあとわからないのは四つのカブトムシのことだな。」

 

「はい。」

 

「あれのヒントはグッチョの死体だ。あれに装備ディスクを差し込んだときに流れる曲がヒントになる。」

 

俺は黙々と話を聞いていく。

 

「カブトムシの意味についてだが、カブトムシを英訳するとbeetle、そしてディスクを死体に差し込んだときに流れる曲は実は今のところすべて洋楽が流れるんだ。」

 

・・・待てよ?洋楽でビートルってことは…

 

「つまり死体に刺した時にビートルズの曲が流れるディスクがその合成素材ということで?」

 

「そうだ。一応私はもう作れているが一応聞いておくか?」

 

「…お願いします。」

 

「わかった。必要なのはデス・13、ハーミットパープル、イエローテンパランス、ホワイトアルバムの四枚だ。」

 

なるほどな。確かどれも倉庫に入ってたし、ここを乗り切ったら作ってみるか。

 

「ああ、あと一つ注意点があるが…あのディスクを使う際は装備しているスタンド以外のアイテムは捨てた方がいい。あれを装備しているとディスク以外の持ち物が時間の加速に巻き込まれてあっという間に朽ち果ててしまう。」

 

「なん…だと…」

 

ひ、ひでえ(--;)いやでも逆に考えるとそれくらいのデメリットを持ってなお強いってことだろうか。

 

「それとこのスタンドのように合成でなければ手に入らないディスクがあと二つあってな…」

 

そのあとも、ディアボロのスタンドディスク講義を聴き続けた。いや~ホントためになったよこれ。帰ったらさっそく実践するとしよう。

 

…さて、今回出てくるボスもおそらく一体だけだろうし、今回はあれの準備もできてる。特に心配もいらないな。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。