【デッドマンズA:==『取り戻す』者の物語==】   作:enigma

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や、やっと書けたーーーーー!!
そ、それでは読者のみなさん、大変長らくお待たせしました。



第二十九話

===ヴェネツィアホテル===

「ふう、だいぶ集まったんじゃないだろうか…」

 

鉄の牢獄でジョリーンに負けた後、ちょうどいい機会だと思って鉄球を回す訓練をすることにした。

 

でも、よく考えたらそれ用の準備とかいろいろ足りないことに気づき、レクイエムの大迷宮で道具を集める。

 

具体的には鉄球(必需品)、カエル(もしかしたら黄金長方形が見えるかもしれない)、ゴールドエクスペリエンスのディスクとその修正値集め(カエルと理由は同じ)、ジャイロのバックル(黄金長方形を学ぶ上であって困るものではない)、その他もろもろといったところだ。

 

ついでに手に入った道具は、いらない物はジッパーに捨てて養分にする。

ちなみに道具に余裕ができるようになってからこれをコツコツやっていたおかげで、一人用としてはかなり広かったこの部屋は一定の段階ごとに更に一回りずつ確実に広くなっていた。

・・・ホント、ずいぶん広くなったもんだな。そのうち部屋が増えたりダイニングやキッチン、果ては風呂とかもつくんじゃないだろうか・・・夢が広がるな。

 

あの天国目指してるコンビにベッドを占拠されたのは割とがっかりだが、それはこの際もう気にしないことにした。…気にしてないよ?気にしてないよ?(真顔)

 

「まずは鉄球をうまく回す事から練習しないとな。」

 

さて、とりあえず一段落の条件として、ボールブレイカー&スキャンをもとに鉄球を回す練習をしていこうと思う。

 

こいつは物を投げる際、投げる道具に回転のエネルギーが加わる。

 

ディスクなどの道具は回転が安定しないから何とも言えないが、これをもとに鉄球の回転をよく観察して、俺なりに回転のイメージを掴んでいきたいと思う。

 

まずはディスクの効果による回転を起こす。

 

そして俺は、ひたすら回っている鉄球をガン視して、ひたすら観察し続ける。

 

ジョニィなんか、あの極限状態の中でジャイロの投げる鉄球を観察し続け、結果不完全ながらも廻し方のコツを掴むことができたのだ。俺だってできるはず。

いや、やってみせる!

…ひょっとしたら極限状態だからできたのかもしれないがまあそこは置いておこう。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

…………

 

 

……………

 

 

………………

 

 

…………………

 

 

……………………

 

 

「……………………………」

 

ひたすらに…ただひたすらに視続ける。『見る』のではなく『視る』。回転の微妙な揺れも見逃さない。無心に、視続ける。

 

(…………………………………)

 

そしてある程度たつと、今度はディスクを外して自力で回そうとする。

---ビッ、ビッ

 

鉄球をはじく音が、亀の倉庫の中に鳴り響く。

 

ある程度イメージはある。ジョニィの回転のイメージが「木の葉がダンスをするように舞い落ちる」のならば、俺のイメージは「昔見た鳴門の海の渦潮」だ。

 

しかしイメージはあるものの、やはりなかなかうまく回らない、だがそれでも回す。

 

廻す、廻す、廻す、廻す、廻す、廻す…

 

その作業をただひたすら繰り返す。

 

そして集中力が持たなくなったら、しばらくの間娯楽と休憩を挟んで、休めたと判断したらまた開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…どれだけの時間がたっただろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある時・・・転機が訪れた。

「{ビッ シュルシュルシュルシュル}ッッッ!で、出来た!廻せたぞ!」

 

まずははやる気持ちを抑え、別の鉄球に取り換えてもう一度試みる。

 

(もう一度だ。あの感覚でもう一度…)

 

「{ビッビッビッ シュルシュルシュルシュル}ッ!!よし!出来た!今度もまたできたぞ!やった!ついにここまで来たんだ!」

 

ためしに俺の肩に、廻っている鉄球を軽くあてる。

 

「{ギャルギャルギャルッ}ぐ、おおおおお!!か、肩が!その周囲がねじれて!アイデデデデデ!やっぱりだ!やっぱり成功したんだ!」

 

また別の鉄球に取り換え、同じことを何度も試みる。

 

2回、3回、4回…やる度に精度が上がっていく。

 

黄金長方形を基本にしているわけではないから威力自体はまだまだ低いかもしれないが、それでも俺にとっては大きな進歩だ。

 

ここから、さらに黄金長方形を見つけ、その無限のスケールを見抜く訓練をする必要があるが、さすがに今日は疲れた。

 

早いとこ寝て、また明日から始めることにしよう…

 

俺は倉庫の長椅子に寝転び、ぐっすりと眠りこんだ。なかなかに達成感のある睡眠だったと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ふう、よく寝た。」

 

とりあえず寝起き一発目で、近くに転がっていた鉄球を手に持って回転させる。

 

鉄球は問題なく、俺の手のひらで回転し始める。よしよし、まずは問題はないな。

 

エニグマの紙からカエル、ゴールドエクスペリエンスのディスク、ジャイロのバックル、タスクACT1、2、3を取り出す。

 

(ジャイロのバックルにある黄金長方形はあくまでもコピー、あくまでも本物、自然の中にある本物の黄金長方形を見つけ出さなければ無限のエネルギーは得られない。…でもこのダンジョンで、その道理が必ずしも当てはまるとは限らない。)

 

なんせ、全く関連のなさそうなスタンドを合成したくらいで最強クラスのスタンドディスク(メイド・イン・ヘヴン)ができたくらいだ。

 

ある程度常識から外れた思考も必要になるだろう。

 

「さて…LESSON4『敬意を払え』、まずはセオリー通り自然から学んでみるか。」

 

自然に、いや、俺をここまで押し上げてくれたすべてに深き感謝を、そして敬意を払う。

 

そして、ゴールドエクスペリエンスで変えた花や、それにとまるモンシロチョウを、じっくりと観察する。

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………………………!!

 

今、なんとなく見えた気がする!あの四角形が、あの長方形が!

 

もう一度、深く観察し続ける。

 

………………………………………!!

 

見えた!間違いない!これだ!この長方形が、これが美しさの基準か!

 

これが…あいつらが、ジャイロやジョニィたちが見ていた物なのか!この通りに回せばいいんだな!

 

手に持った鉄球を、視えた黄金長方形のスケール、その中の、無限の螺旋の軌跡の通りに回す。

 

---ギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルッ!!

 

回転のスピード、勢い、そして感じられるパワーが、これまでの渦潮のイメージで回してた時とは比べ物にならないほどのものになる。

 

間違いない!これだ!これでいい!…あとは体全体でこの回転のエネルギーを生み出す訓練と、実戦でこれを試すだけだ。

 

「ええっとこうやって…違うな、もっとこう…」

 

(う~ん、やっぱ手先だけでやるのと体全体でやるのとは難しさが大きく違うな。けどこれさえできるようになればさらに冒険の効率も上がるはずだ。何としてでもモノにしてみせるぞ!)

 

とは言えやっぱり難しいものは難しい。その後も、結局何度も何度も練習を重ねながら何とかものにしていこうとするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………よ、よし…何とか…様になってきた…」」

 

(あとはこれを実践で使えるか試すだけだ。…装備はなるべく外していくか。ある程度緊張感のある状態じゃないと多分意味ないだろうし。)

 

そんなこんなで、最終テストとして最低限の装備のみをそろえて、レクイエムの大迷宮に向かう。

 

これが実践で使えるようになれば、俺の冒険は一気にやりやすくなるはずだ。あと少し…あと少し…

 

 

===レクイエムの大迷宮===

4階

「チュミミィーーーz__ンッ」

 

「来たか…」

 

実戦で技術を試すには、ある程度敵が手強くないと話にならない。戦いでは常に平常心でいられるとも、有利な状況でいられるとも限らない。

 

ゆえに、自分がどんなに危機的状況に陥っているときでも、冷静に、正確に事をなし得なければならない。この辺は波紋の修業でも同様だった。

 

そして鉄球の技術においても、その考えやあり方は変わらない。

 

敵は全部で四体、手元には鉄球が二個とカエルが一匹、装備は今、すべて外している。

 

まさしくヤバい状況だ。たぶんいちいち付け替えている暇もないだろう。

 

…だからこそいいんだ。この状況こそが、絶好の修業の機会なんだ。

「かかってこい。全員まとめて倒す。」

 

「「「んだとこのカス野郎がーーーー!!」」」

 

「チュミミィーーーz__ンッ」

 

挑発とともに、敵が全員で俺の方に掛かってくる。俺はそれを視界に入れながら、足元に下したカエルをじっと見つめる。

 

…見える。カエルの中にある、美しさの比率、黄金長方形のスケールが…

 

---ギャルギャルギャルギャルギャル

 

下半身から、腰、胸、肩、上腕、前腕と、回転のエネルギーを増幅させ、手先まで急速に伝達していく。

 

そしてそれが手に持った鉄球まで伝わった時、鉄球が一気に回り出す。

 

「オラオラァッ!」ブンブンッ

 

「「ぐはぁっ!」」

 

まず、俺に一番近い二体に鉄球を投げつける。

 

鉄球は体にエネルギーを伝え終わったのか、俺の方にすぐさま戻ってくる。

「これであと二体だ。」

 

「このやろおおおおおお!!」

 

敵の後ろにいたワンチェン二体が、俺に爪を突きたてようと向かってくる。

 

「{ボゴォッ}うぎゃあああああ!?ぶ、ブルりん!?キサマ何するアルカ!?」

 

「{ドガッバキッドゴッ}がが、ぎ、エコーズ、お前も何をしているネ!?」

 

しかし、、体に回転のエネルギーが伝わったブルりんとエコーズが、それぞれ一体ずつそれを妨害し、攻撃を与えていく。

 

「ち、違うんだ!体が勝手に…{ギャルギャルギャル}ぐああああああああ!!」

 

「チュッ、チュミミィーz_ン!?」

 

やがて体に回転のエネルギーが伝わったブルりんとエコーズはワンチェン達をそのまま始末してくれた。

 

そしてその二体にも鉄球を投げつけて引導を渡してやる。

「フゥ――――――――――――・・・・・・いいねいいねぇ~~~、実に良い調子だぁ!」

 

ベネ!(よし!)あとは波紋の修業をする時と同じ、ひたすら実践あるのみだ!

 

「さあ次だ次!」

 

自分の得た新しい力に、確かな手ごたえと達成感を抱きつつ、新たな戦いの場を求めて俺は迷宮の奥へと進んでいった。

 

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