【デッドマンズA:==『取り戻す』者の物語==】 作:enigma
===鉄獄===
1階
「さ~て今日も張り切っていきますか!」
やるべきことはすべてやり終えた…はずだ。あとはただ挑むのみ!
「え~とこのディスクは{ズブズブッ}…ムーディーブルースか。まあまずまずだな。」
拾ったディスクの鑑定を済ませ、近くに落ちていたカエルをカバンの中にしまおうとした。…したのだが…
「…あれ?こんなディスク持ってきてたっけ?」
なぜか俺のカバンには、持ってきた覚えのないディスクが3枚入っていた。
種類はそれぞれ、クリーム+6が一つ、クラフトワーク+10が一つ、シアーハートアタック+8が一つといった具合だ。当然ネアポリスのピッツァも入っている。
「………ああ、確かにあった!こういうの持ってたな。…あれ?なんで俺こんなの持ってんだ?」
自分の記憶を探り、確かにこの3枚があったことはわかった。
けどそうなると次の問題が出てくる。ひとつはこのディスクの出所が分からないことと、持ち込み禁止のはずのこのダンジョンでなぜ3つだけディスクを持ってこれているのか。
(3つ…というのが、この問題のミソだよな。なぜあえて3つなのか。)
持っていた覚えはあっても、持って来た覚えのないスタンドディスク、それが3つ…
(そういやここってG.D.St刑務所を作り直したところだったよな。もしかしてミューミューの『ジェイル・ハウス・ロック』の効果でこうなっているとしたら…)
そうなるとこの状況にある程度説明がつく。俺は一度、この刑務所内をある程度進んでいて、そこでスタンド攻撃を受けて、この3枚のディスク以外の記憶を消されてここまで戻された。こう考えると、辻褄が合ってくる。
(この状況、利用し無い手はないな。その記憶が消されるまでの『ある程度進んだ階層』、ここまでの間を何回も繰り返しやり続ければ、おのずと修正値の数も増えていくかもしれない。まあ何度もできたらの話だが…)
ひとまず、もともと危惧していた敵の難易度の問題が解消できるかもしれない。そう思うだけで、結構この冒険に希望が持ててきた。
「一先ずはその『記憶が消される』階層に向かうか。そこまでに修正値を…最低でも50以上にはしておきたい。」
ディスクを装備し、次の階段とアイテムを見つけるため、歩みを進めていく。
6階
「レストラン・トラサルディーへようこそ!本日も様々な商品が取りそろっておりますよ。」
「いつもお世話になります^^今日は何があるかな~?」
置いているものは漫画本が五冊と装備ディスクが二枚、カエルが二匹といったところだ。
あと余計なことかもしれないが、久々にレストランの商品にハイプリエステスが紛れ込んでいないことに少なからず感動してしまった。
大体いつもは九割以上の確率で紛れ込んでるのになぁ(遠い目)
(漫画は三部が一冊、四部が二冊、五部が二冊ってところか。装備ディスクは…値段からしてキッスとシルバーチャリオッツか。)
自分の持ち物からいらないものを選んで買おうとするが、欲しいものを全部買おうとすると少しばかり足りない。
(ぐぬぬ、できればこれ全部買いたい!けどここのフロアは大体回ってしまったしどうすれば…いや、あることには…あるのか?)
店内の床という床を丁寧にスタンドで殴っていく。
(ここでもない、ここでもない、ここでもない、ここでも…あった!)
最後に叩いた床から、少し目立つ程度のひび割れが出てくる。ダンジョンでよくある落とし穴だ。
(行ける!トニオさんには悪いけど俺も四の五の言っていられるような状態じゃないんだ。ここは…盗ませてもらう!)
一先ずトニオさんに、手持ちのアイテムを全て売り払うべく、床にすべてのアイテムを置いておく。
「トニオさーん、これ全部買い取ってくださーい!」
「かしこまりました。そうですね…全部で16500Gとなります。はい、どうぞ。」
「ありがとうございます!」
(…………………さて、ここからだ。正直…こんなことをやるのはかなり心が痛むが、油断や遠慮が俺の明日を蝕むというのなら、ここはあえて、それらを捨ててかかるとしよう。)
漫画をそれぞれの部に対応したスタンドに読んで強化した後、さっき売ったものも含めてすべてカバンに入れていく。
(………今だけは、迷いは捨てる!)
そしてそれを終えた後、部屋の隅にある落とし穴に思いっきり踏み込み、
---ボゴォォーz_ンッ
「待ちなさい!このドロボー!」
ただじゃあおきません!…せん…せん…
次の階へ落ちていく過程で、そんなトニオさんの怒鳴り声が反響して聞こえてきた…
(許してくれとは言いません。まあ、次に会うときは石鹸の一発くらいは飛んで来るだろうな。)
…やべえ、考えただけで思わず震えてきやがった((;゚Д゚)ガクガクブルブル
13階
「レストラン・トラサルディーにようこそ!」
「…………………………………」
………………………………………………
「……………{ゴソゴソ}」
アイテムは漫画が二冊とカエルが三匹、ヌケサクとペッシの記憶ディスクとネアポリスのピッツァ二枚か。
「すみません、これとこれ、あとこれとこれを下さい。」
「ハイ、畏まりました。全部で1580Gとなります。」
「あ、はい・・・それじゃあこれで。」
「はい、確かに受け取りました。」
「失礼します。」
「はい、またのご利用をお待ちしております。」
…………………………………………{スタスタスタスタスタスタスタスタ}
…なんだろうか、このあっけない感じは。何ともいえないけど、とりあえずこれだけは言わせてもらおう。
「………解せぬ。」
19階
その後、もやもやとした気持ちをため息とともに吐き出してから、強化した装備で着々と階層を突破していく。
(そういえばミューミューが出てこないな。ここまでくればもうそろそろ出てくるはずなんだけどな…)
まあいずれは出てくるだろうと思い、まずは階段の場所を確認する。
「ハーミット・パープルとマンハッタントランスファーを使って…また階段の位置がモンハウの中かよ…」
念写と気流の読み取りで、階段がどこに、どういう状況であるのかを調べた。
はっきり言ってまずい状況だ。中にいる敵にもよるが、万が一6部の敵ばかり、もしくは5部の敵ばかりのモンハウだった場合、負けて死ぬことはないにしろ相当な浪費を強いられてしまうだろう。
「覚悟を決めるしかないか。」
まずはディスクの確認をする。幸いここにはプロシュートのディスクがあるため、こいつを使って発動の効果を上げ、クラフトワークの固定で全ての敵を止めてしまえばアイテム回収の後であっさり次の階に行けるようになるだろう。
「というわけで早速使って…これで良し。」
モンスターハウスと思われる部屋に続く廊下へと赴き、入口に陣取って寝ていたグリーンデイを倒してから中にはいっていく。
案の定、部屋に入った途端一斉に中の敵が起き始めるが、プロシュートのディスクの効果でパワーアップしたクラフトワークの発動により、それらをすべて固定して封じる。
(これで俺から攻撃しない限りはこいつらも動けないはずだ。あとは敵を避けながら地道にアイテム回収して次の階層に進むか。)
床に落ちているヤバいものを鑑定すると、それがDIOの骨として認識できるようになった。今回はホントについてるな。
一先ず固定されている敵を懸命によけながらアイテムを回収し、鑑定できていないディスクを鑑定してから何を合成するか考える。
(今のところベースの候補はクリーム、シルバーチャリオッツ、シアーハートアタック、クラフトワークの四枚。記憶を消される前にこのうちどれか三枚を持ち越せるようにしておきたいけど一体どれを選んだものか…)
クリームとシルバーチャリオッツはもとより持ち越しを決定している。
クリームは敵に囲まれた際、敵をほふりながら確実に体勢を立て直せるディスクだし、シルバーチャリオッツも単純な戦闘力ではかなり頼りになるものだ。
となると、シアハかクラフトワークか、このどちらかをベースに合成したいところだ。
(シアハの爆発は一部とはいえ終盤まで効きづらい奴がいるからな。吉良とか川尻浩作とか成長した吉良とか。反面クラフトワークはどんな敵にも必ず有効なものだ。…ここは無難にクラフトワークをベースにしておくか。)
骨の容量は4、中にクラフトワーク、シアーハートアタック、ザ・フール、キャッチ・ザ・レインボーを入れて合成し、そして骨をぶっ壊して中身を回収する。
「これで修正値は合計24、できればもっと欲しいところだな。」
とりあえずこの階でやることもなくなったため、階段の上に陣取っているブラック・サバスをぶちのめして次の階層への階段に足をかける。
「……私の仕事は『スタンド使い』を閉じ込めておくこと……」
「!?だれだ!」
すると突然、どこからともなく声が聞こえてきた!こいつがミューミューか…
「これ以上進むというのなら、私は貴様を始末しなくてはならない。」
(なるほど、どうやらここが分岐点…もとい引き返してディスクを強化する機会か。ありがたく有効活用させてもらうとしようか。)
「だがお前が大人しく戻るというのなら…3つだ、3つだけディスクを持たせて戻してやろう。」
正直、試練上層で出てきた敵が今の勢いで出てきた場合、このまま行ってもまだ俺に勝ち目はないだろう。大体上層ではディアボロと二人でやってあれほど苦労させられたんだし。
そう結論付け、俺はカバンの中身から選ぶディスクをよく吟味し、選んだディスク以外をすべて部屋の中に捨てる。…この作業を、目標達成するまで何回することになるのやら…
「ああ、分かった。ここはあんたの言う通りおとなしく戻らせてもらうよ。」
「そうか…それではここでお別れだ。行け、戻りの道は向こうだ。」
ミューミューの言葉が終わった直後、階段の壁から突如として現れたジェイル・ハウス・ロックが俺に触れ、途端に視界が暗転する。
(…そう、今は素直に戻ってやる…今はな…だが、最後に勝つのは…この俺だ!…ハハハ、こんなセリフも、きっとここに来るうちは何度も繰り返す羽目になるんだろうなぁ。)
フッ、まあいいさ。うまくいかないのはもう慣れっこだ。
正直ここまで来れれば運だよりになる要素が今までよりも断然少ない。
その事実だけで、きっと今までなんかよりも十分うまくやって行けるのだから…