【デッドマンズA:==『取り戻す』者の物語==】   作:enigma

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第四十三話

90階

「・・・遂に・・・ここまで来てしまったか。」

 

並み居る強敵たちを問答無用で爆破、消滅させ続け、ようやく・・・この難関のフロアまでたどり着いた。

 

確たる証拠があるわけではないが、なぜかこう思えてしまう。・・・あともう少しなんだと・・・

 

だが、それと同時に、ここからが本当の意味での踏ん張りどころなのだ。

 

この階層なら、間違いなくあいつらがいる。中でも一番注意しなくてはならないのが・・・

 

-----ガォオオンッ

 

「ゲッ!?やっぱり来やがった!」

 

・・・クリームだ。コイツの本体であるヴァニラ・アイスは前の階までなら本体がまず姿を見せてくれていたが、この階層からはこの限りではない。

 

最初からクライマックスと言わんばかりに亜空間攻撃を繰り出してくる。だから・・・

「とる手段はたった一つ!そう・・・逃げるッ!」

 

コイツが亜空間に潜んでいるうちは、逃走以外に手段がない。

 

ならば、ここは潔く逃げるに限るというものだ。

 

「ええとこっちは・・・だめだ!向こう側に敵がいr{ガオォオンッ}あぶねェ―――――――ッ!!チッ!とりあえずこっちに逃げるか!」

 

だから、他の敵が来るかどうかの確認のため、レーダーから常に視線を外さないのも至極当然のことである。

 

少なくとも、今の段階で鉢合わせようものならごちゃごちゃやってる間に敵ごと瞬殺されかねない。

 

レーダーを回りの音を確認しながら全力で廊下を走っていく。

 

(この先に尋常じゃないくらいに高速移動しているやつがいるな。メイド・イン・ヘブンに目覚めたプッチか?)

 

しかもまっすぐこちらに向かってる?ちょうどいい、こいつを利用させてもらうか。

「マン・イン・ザ・ミラー{ビュオンッ}」

 

ディスクに内蔵されたエネルギーで鏡を作り出し、キラークイーンにそれを遠投させる。

 

-----パリーンッ

 

「(よし来た!)マン・イン・ザ・ミラー!俺と敵の位置を入れ替えろ!」

 

俺の背後からマン・イン・ザ・ミラーが出現し、俺を鏡の中に引きずり込む。

 

一瞬だけマン・イン・ザ・ミラーに掴まれているプッチが見えたが、それも本当に一瞬のことで、気が付くとあっという間に外の世界に放り出されていた。

 

(さっきの呼吸は・・・よし、俺がさっき通ってきた道を進んでいったな。)

 

まあ確認した3秒後にはなぜかその反応もロストしてしまったが。

 

・・・くわばらくわばら・・・・・・

 

まあそんなことはお構いなく、俺は部屋に入ってそこで見つけた階段を一目散に

 

 

 

 

---・・・ゾワッ

 

「・・・ッ!!(何だ!?この何とも言えない悪寒はッ?!)」

 

駆け下りようとした途端、体に走った謎の悪寒に思わず足を止めてしまう。

 

「・・・・・・・・・・これは・・・そこにいるな!ヴァニラ・アイスッ!!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

-----・・・・・・ゾクッ

 

「ッ!!{ダンッ}」

 

再び体に悪寒が走るのを感じ、咄嗟に思いっきり横へダイブする。

 

 

-----ガオォオオォォオオンッ

 

その直後、俺がさっきいたあたりが完全に消えてなくなってしまった。

 

(クソッ!!やっぱりあそこにいやがったか!だがこれで・・・)

 

受け身を綺麗にとりつつ、スタンドのパワーも併用しながらトビウオのように階段めがけてダイブする。

 

(先ほどのような悪寒はもはやない。これならば・・・行ける!!)

 

はたしてその考えは・・・・・・・…どうやら正しかったようだ。

 

最早誰の妨害を受けることもなく、俺は次の階への階段に飛び込み、そのまま次の階層へと降りることに成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

91階

 

「{ドシャァア~~~~~ッ}い、イテテテテッ!!あ、危なかった~~~~ッ!!」

 

階段を転げ落ちてきたせいで痛む体を優しくさすり、同時に土やほこりなどを払い落とし、現状の確認を行う。

 

「・・・・・・・・よし、今のところ異常はないな。」

 

(しかしあいつ・・・いったい俺の位置をどうやって知っているんだ?大体の位置を顔を出して確認してから突っ込んでくるのは知ってるんだけど、おや?)

 

地形を無視して物凄いスピードでこっちに来るやつがいるな。レーダーに反応しているからこれは究極カーズか。

 

それじゃあいつも通りロッズを爆弾にして・・・これであとは奴の飛んで来る方向に飛ばすだけだ。

 

(奴がここに来るまであと5秒・・・・・・3・・・2・・・1・・・0ッ!)

 

自分の腕の下から、爆弾化したロッズをカーズの飛んで来る方向に飛ばす。

 

それと同時に、究極カーズの姿が目視できるところまで迫ってきていた。

 

(着弾寸前ッ!点火ッ!)

 

-----ドグオオォオオオォオォオオンッ

 

キラークイーンの右手のスイッチを押した瞬間、上空からこちらを強襲しようとしていた究極カーズがあっという間に粉々に爆発して消え去った。

 

やっぱ強すぎるな、キラークイーン。

 

「はい、これで終了ッと。それじゃあハーミット・パープルの念写を使いまして・・・・」

 

出口はここから西のところか。・・・・またなんかが来てやがるよ。

 

「ハァ~~~~~~・・・シアーハートアタック、この通路を通ってくるやつを残らず爆破しろ。」

 

「コッチヲミロ~~~」

(さて、俺はしばらく様子見と行こうか。)

 

クラフトワークに合成していたザ・フールの能力で細かい砂をかき集め、それを空中に散布しながら、爆発音とレーダーの反応が消えるまで待った・・・

 

 

 

 

「うし、進路クリアー。それじゃあ階段まで行きますか。」

こちらに向かう敵の排除完了を確認し、シアーハートアタックを呼び戻して俺は階段に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

98階

「・・・・・・・・ようやく、ここまではこれたか。」

 

この階層の終わりを告げる階段の前で、ふとそう呟く。

 

ちなみにあたりが若干焦げ臭いが、これは敵が密集して寝ているのをあらかじめレーダーで確認した後、毎度おなじみのシアーハートアタックによる殲滅作戦を決行した結果である。

 

シアーハートアタックは本当に頼りになり過ぎて困る・・・もうこいつ新たな兄貴扱いでいいんじゃなかろうか?

 

「さて・・・俺はあと何回ここを下りればいいんだろうな。・・・いや、こんなことは言うだけ無駄か。」

 

ふと、これまでの自分の歩みを振り返る。

 

 

 

 

 

キラークイーン、エアロスミス、スカイ・ハイ・・・・・この三つのスタンドディスクがもたらした恩恵は、俺の今までの苦労を、それこそ鼻で笑いたくなるくらい凄まじいものだった・・・

 

このコミックスが貴重過ぎるダンジョンでは、ある意味、俺が鉄獄で散々鍛えまくった(鍛えていた間の記憶は全くない)あのクリーム、シルバーチャリオッツ、クラフトワークのセットなんかよりもよっぽどひどいといえるくらいには・・・・・・

 

まずエアロスミスのレーダーは、いつでもフロアの敵の居場所を教えてくれるから万が一出会いそうになっても割と高確率で遠距離攻撃だけで始末できるようになる。

 

透明な敵として散々猛威を振るった、あのリゾット・ネエロやスポーツ・マックス、そいつが呼びだす透明のゾンビも、この能力の前では形無しだったと言ってもいい。

 

スカイ・ハイは敵の体温を奪うことで視界を封じることも、脳幹を冷やすことでその機能を停止させて殺すこともできる。コイツも遠距離要員として実に最適なものだった。

 

そして・・・極めつけはキラークイーンだ。コイツが明らかな決定打となった。

 

このダンジョンでこのスタンドを使い続け、俺は真の意味で・・・ようやくこのスタンドの恐ろしさを、『言葉』ではなく『心』で理解したといってもいい。

 

時に道端の小石を手動で起爆する地雷として、時にロッズを高速で撃ちだせる小型ミサイルに、時にその左手から、破壊困難な(『虫食い』やそうじゃない奴、セッコ、ブチャラティは別である)爆弾戦車を撃ちだせ、爆発が直撃した敵はほぼ必ず始末できる(一部例外あり)。

 

おまけに爆発の仕方も範囲も自分で自在に変えられる。

 

ここまでの火力と汎用性を併せ持ちながら、スタンドそのもののスペックもかなりのモノという。

 

俺の今回のダンジョン攻略は、ほとんどこいつらのみでどうにかしてきたようなものだ。いやホント。

 

まあもちろん、なにも本当にこいつらだけで突破してこれたわけではない。

 

遠距離攻撃用のスタンドディスクはもちろんのこと、大型モンスターハウスなどの乱戦が必至になる場所では、ジャンピン・ジャック・フラッシュやパープル・ヘイズの全体攻撃、接近され過ぎて爆弾が使えない時のためのデス・13の催眠攻撃や、敵の力を確実に落とせるグレイトフル・デッド、どれもこれもが俺の今回の冒険において欠かすことのできなかったものだ。

 

クラフトワークは、ロッズを使ったミサイルとシアーハートアタックを使うことを思いついてから当初考えていた活用法からかなりそれてしまったが、それでもその本来の使い方までは未だブレていない。

 

花京院、マンハッタントランファー、ホル・ホース、ミスタなど、爆弾も遠距離攻撃も届かないような距離から猛威を振るったこいつらの攻撃を、その『固定』の能力で常に軽減し続けてくれた。

 

こいつがいなければ、俺は今頃、あの弾丸の嵐に屈していたかもしれない。なす術もなく敗北していたかもしれない。

 

あの一階でのモンスターハウスや罠も、呪いディスクも、立ちはだかってきた敵も・・・いや、俺が今まで通ってきた全ての階層において・・・手にしたもの、出逢ってきたもの、失ったもの、別れたもの、どれか一つでも欠けていれば・・・俺はここまでたどり着くことは出来なかっただろう。

 

 

 

俺は・・・俺をここまで押し上げたすべてに感謝する。

 

 

そして・・・なんとしてでも、

 

「俺は・・・この先に、終わりにたどり着いて見せる。」

 

 

-----さあ、ここからが真の正念場だ。いつものことだが・・・全力でかからないとな。

 

 

 

 

 

 

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