【デッドマンズA:==『取り戻す』者の物語==】   作:enigma

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第四十四話

99階

===チャリオッツ・レクイエムの記憶===

 

――――気をつけろッ!この階層は『チャリオッツ・レクイエム』によって支配されているぞッ!!

 

 

 

ッ!!・・・・・ついに来たか。この時が・・・

 

「・・・・・さて、レーダーに移る敵影は・・・6、いや7体か。」

 

敵の配置からして・・・このフロアって相当でかいのか?大体大部屋モンスターハウスくらいの規模があるが・・・

 

「ん?待てよ・・・よく見るとここの敵・・・一体だけ動いている奴がいるのか?」

 

レーダーの反応をよく観察してみると、7つある呼吸の反応のうち一つだけが、緩慢な動きで移動を行っていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

(コイツ・・・すごく怪しいぞ。なぜ俺以外でこいつだけが動いているんだ?)

 

あり得る可能性としては、こいつが俺の探し求めている『チャリオッツ・レクイエム』であるということだ。

 

このフロアの特徴として、最初の頃はチャリオッツ・レクイエムの能力で眠りについていて、チャリオッツだけが矢を守る防御機構としてこのフロアを徘徊し続けている。

 

そしてしばらくすると、他の連中も目が覚めてこのフロアを徘徊し、俺を見つけた途端攻撃をしてくる。こう言う筋書きだと考えると、この状況にも説明がつくというものだ。

 

「さて、他の奴らが起きないうちに片をつけるか。」

 

一つだけ動いている反応に向かって、足音をできるだけ抑えながら走っていく。

 

 

 

 

 

 

道中で寝ている敵を始末しながら、着実に距離を縮めていく。

 

「奴の反応は・・・この部屋の中だ。奴は・・・この中にいるなッ!」

 

部屋の入り口の前で、ただ一人分だけ動いている反応を見る。

 

「・・・・・ん?」

 

・・・ふと、自分の手を意識すると、いつの間にかそれは、今までにないくらい震えていた。よく見ると足も・・・

 

「・・・ハハハ、手どころか足まで震えてきやがった・・・」

 

(焦るな・・・攻略法はわかっているんだ。ここまで来れたんだ。俺ならできる・・・やれるんだ!)

 

-----スゥ―――――――・・・ハァ―――――――――・・・

 

 

 

「{バシィッ}・・・よし、行くぞ。」

 

自分の顔を平手で思いっきり叩き、心構えを確かなものにする。

 

震えは止まった。もう・・・『怯え』も『恐れ』も、ないッ!!

 

「{ソロ――リッ}あの真っ黒い何かは・・・見つけたぞ。あれがレクイエムか・・・」

 

向こう側の通路に行こうとしているな。ちょうどいい。通路内でなら邪魔が入ることは比較的少ないからな。(一部例外を除いて)気を付ければいいのは真後ろのみだし。

 

「通路に入ったか。よし、俺も行くぞ。」

 

通路に消えたチャリオッツ・レクイエムを追い、俺も通路に走っていく。

 

幸いそこまで離れていなかったため、追いつくこと自体は簡単だった。

 

「・・・確かに、見た目はどこか生き物のような感じとも、真っ黒いプラスチックのような感じともいえるな。そして下に写る影は・・・どっちに回り込んでも俺と反対側に位置する。まるで・・・光源が常に俺の背後にあるかのように・・・」

 

これが、あのディアボロが見つけ出したレクイエムの秘密・・・そのヒント。

 

俺の目の前にいるこいつは、本当はレクイエム『本体』ではない。こいつはいわば・・・生き物が個人個人で見る『己の精神の影』。よって、コイツを攻撃するということは、その攻撃した自分自身を攻撃するということにつながる。

 

ならばどうやってこいつを攻略するのか・・・それは、こいつの『影の意味』に気づくことができれば、後は容易に理解することができる。

 

先ほども言ったが、目の前にいるこいつは個人個人の見る『精神の影』だ。

 

『影』がある・・・ということは、どこかに生き物の精神を照らし、影を作る『光』が、個人個人の『精神を照らし出す光』がどこかにあるはずなんだ。

 

そう・・・それは・・・

 

「どう回っても反対側に影ができるというのなら・・・その『光』は常に俺の背後にあるということッ!『光』はッ!己の精神の背後だぁああああああああああああッ!!」

 

-----ドグシャァアーーッ!!

 

「!?ウガ、グ・・・」

 

!?馬鹿な!確かに手ごたえはあったはずだ!一撃だけでは倒れないのか!?

 

「チッ、もうい・・・ち・・・ど・・・・・・」

 

-----ガクッ

 

「・・・え?」 

 

なん・・・だ・・・?なぜ・・・俺は・・・・・・膝・・・まづ・・・く?

 

(まさか・・・・・俺も・・・・・たまし・・・いが・・・・・・・・)

 

だめ・・・・だ・・・・いし・・・・・き・・・が・・・・・・・・・・・

 

 

-----・・・ドサァッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・う、ううう・・・・・」

 

・・・・・・・・・・・・・ぐ・・・・・どこだ・・・ここは・・・・そうだッ!たしか俺は、レクイエムを倒そうと、自分の背後にある「何か」を・・・壊そうとして・・・・

 

「・・・ぐ、うう・・・{ムクリ}お、俺は・・・?ここはどこだ?俺は確か、通路にいたはずなのに・・・誰かと体が入れ替わったのか?(・・・なんだ?何がとは言わないが・・・なんか臭うんだが・・・ま、まさかッ!)」

 

けだるさを感じながらも体を起こし、自分の体を確認する。

 

「・・・・・・・・やっぱりか。いや・・・まさかよりにもよってこいつとは・・・・」

 

・・・今の俺は・・・ミスタの体になっていた。

 

「いやっ!今はそんなこと言ってる場合じゃねえ!!あいつは・・・クソッ!全員起きていやがる!」

 

だめだ・・・レーダーに映っているものが動き始めていてどいつがどいつか分からなくなってきた。

 

「{シュババババッ}・・・後ろに殴りかかっても全く手ごたえがない・・・距離が開きすぎているせいなのか?」

 

・・・このまま座っていてもしょうがないか。やれやれ、片っ端からあたっていくしかないとは・・・

 

「まずはいちばん近いこいつからだ。待っていやがれッ!」

 

体に力を入れ、一番近い反応のある場所に向かう。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけたぞッ!ここで必ず倒す!」

 

手当たり次第に敵を爆破していき、ようやくレクイエムを見つけ出した。

 

どいつもこいつも見た目と中身が完全にあべこべになっていたために不意を突かれ過ぎて正直まいる。

 

「よし、ここまで近づけ・・・う、眠気が・・・・」

 

マズイ、部屋の中だと眠らされるのか・・・

 

「さ、させるか・・・ぐ、ギィシャアアアアッ{ズドドドド}」

 

-----ドゴドゴドゴドゴ

 

(クソ…またか・・・だが、・・撃・・・た・・・・・・・)

 

薄れゆく視界の中で、怯むレクイエムを視界に収めながら地面に倒れ伏し、俺の意識はまたしても遠のいた・・・・

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も・・・俺は何度も同じことをし続けた・・・・

 

ある時はブチャラティ、ある時はトリッシュ、ある時はジョルノ・・・・意識が途絶えるたびに、俺は色んな体に精神を入れ替えられて、そのたびにレクイエムの所までたどり着き、時に自分の体に入った敵を傷つけないよう手加減しながら気絶させ、何度も何度も挑戦し続けた。

 

そして遂に・・・・・・・・それも終わりの時が来たようだ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「ハァ―・・・ハァ―・・・ようやく・・・追いついた・・・・・・」

 

今俺の精神は、どこの誰とも知れぬ警官の体に取り付いている。

 

あれから・・・・すでに十回以上は誰かの体に自分の精神を入れさせられた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

-----ズルリッ・・・ズルリッ・・・

 

俺の目の前には、全身ボロボロになり、足を引きずらなくてはならなくなっても、なお無言で前に進み続けるレクイエムの姿がある。

 

もうあと一押しで、確実に倒せるくらいにボロボロのレクイエムが・・・な・・・

 

「ハァ―・・・・・・感想・・・コメント・・・記憶の振り返り、そんなのは全部、まとめて後でやってやる。だから・・・今はくたばれ。」

 

みんな・・・やってくれ・・・・・・

 

『しばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばッ・・・しばッ!』

 

-----ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

 

-----ゴシュァアアアアアァァアアアアッ

 

自分の背後にある『光』を、装備しているすべてのスタンドの総攻撃により破壊し尽くした。

 

そして・・・・・・

 

「これは・・・俺の精神が・・・戻っていく・・・・・・」

 

自分の精神は、チャリオッツレクイエムの崩壊とともに段々と警官の肉体から離れていく・・・・

 

(これで・・・入れ替わった全ての精神は・・・すべて元に戻る・・・・・・)

 

「オオオオオオ~~~~オオオオオオオ~~~~~~~オオオオ~」

 

-----シュゥ―――――z____ッ

 

そして、『光』が間違いなく完全に破壊されたと確信した瞬間、俺の目の前で、俺のことなど見向きもせず、ただひたすらに歩き続けていたチャリオッツ・レクイエムは、

 

「 Arrivederci(さよならだ。)、チャリオッツ・レクイエム・・・お前もまた、間違いなく俺にとっての試練だったよ・・・使命から解き放たれて、安らかに眠ってくれ・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

俺の意識が暗転すると同時に、完全にこの世から姿を消した・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う・・・ここは・・・・・」

 

あの後、レクイエムと倒した後・・・俺は・・・・・・・・・そうだッ!!

 

「矢だ!!レクイエムの矢はどうなった!?・・・イテテテ・・・」

 

クソ、こんなところでぼうっとしている場合じゃない!急がなくては!

 

「{ザッザッザッザッザッザッザッザッザッ}えっと確かこのへんに・・・あった!!」

 

俺がレクイエムを倒したあたりに、それはあった。

 

エンヤ婆や写真の親父(吉良吉寅だったかな・・・)が落とすものとはまた違う。

 

甲虫のようなものがかたどられた矢尻、持ち手の部分が何かに食われたようにほとんどなくなっている、ジョルノ・ジョバーナが自らのスタンドに刺した、あの矢と同じものが今俺の目の前に転がっていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

(落ち着け、まだこれがちゃんと使えるか分からないんだ。それに・・・まだ俺の冒険は終わってはいない。)

 

俺はまだ・・・ダンジョンの中にいるのだ。

 

こんなところで、慌てたり、気を抜いて喜んだりしてはいけない。

 

「生きてちゃんと帰れた時・・・それこそが本当の試練達成。本当の意味で喜ぶべき、至福の時なのだから。」

 

一応、レーダーに今の所、敵影はない。

 

俺は恐る恐る、床に落ちている矢を拾い上げてそれをリュックの中にしまう。

 

(後はこのまま、階段を上って帰るだけだ。それは間違いないことだろう・・・)

 

俺は先ほど寝ていた部屋と、ここに来るまでにとおってきた部屋以外のところを捜索する。

 

 

 

「ここは・・・・・・あった。『上り階段』だ・・・」

 

そして最後の部屋で、ようやく階段を探し当てる。

 

「・・・・ようやくか・・・さて、帰ったらやることはたくさんありそうだ。」

 

(・・・・・・・・・・・・・・ふう、いかんいかん。もうすぐ終わりだからと言って気を抜いていいわけがないんだ。)

 

振り返るだけならあとでも出来る。そんなことを考えて緩みそうになる気を引き締め、とにもかくにも今は謙虚に振る舞い、俺は上り階段を上っていくことにした。

 

 

 

-----カツ―ンッ カツ―ンッ カツ―ンッ カツ―ンッ カツ―ンッ カツ―ンッ カツ―ンッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

奏でられし鎮魂歌(レクイエム)・・・・・・完全制覇!!

 

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