【デッドマンズA:==『取り戻す』者の物語==】   作:enigma

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第四十五話

===ヴェネツィアホテル===

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

・・・・帰って・・・来れたのか・・・・・・

 

(とりあえずいろいろ言いたいこともやりたいこともあるが・・・いや、その前にまずは戦利品の確認だ。いつも通り亀の中でやるとするか。)

 

とりあえず亀の中に入り、中に置かれている、容量が限界まで拡大されたエニグマの紙や形兆のディスクケース、トラクターのタイヤに、それぞれ分別、収納していく。

 

また、それと並行しながら『アレ』の準備もする。

 

「えっとこれがここに入って・・・・・これがここだからここに・・・これはあのディスク

 

ケースに入れて・・・・・・・・・・・」

 

まあ収穫が収穫なだけに、かかった時間もかなりのモノになりそうなんだが。・・・これいつまでかかるかな~~~~~・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フゥ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・・・やっっっっっっっっっと終った~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!」

 

あとかたずけ・・・始めてからどれくらいたっただろう。一時間?二時間?いや・・・もっとかかったんじゃあなかろうか。いや、本当にしんどかった・・・けれど・・・

 

「さて・・・・・・・俺としてはむしろ・・・ここからが本番だ。」

 

俺はリュックサックの中から、今回の一番の戦利品である『矢』と、さっきの荷物整理の間に取り出した二枚のスタンドディスクを手に取った。

 

「この矢尻・・・入れ物系のヤバいものなのか。そして容量はちょうど『二つ』・・・・最初から狙ってやりましたと言わんばかりの状態だな。」

 

今この矢尻を調べてみたが、こいつの効力、それは『中に入れた装備ディスクに何かしらの能力を付加する』という、ブラック・サバスを彷彿とさせるものだった。

 

「さ~~てここでお立合い~~~~~~」

 

敢えてふざけた調子でそう言いながら、俺は手に取っていた二つのスタンドディスク・・・『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』と『シルバーチャリオッツ』を頭上に掲げる。

 

「ここに、不完全な『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』と『シルバーチャリオッツ』のスタンドディスクがございますッ!こちらの二つを、今回の戦利品であるこの矢にいれたら・・・いったいどうなるでしょうねぇ~~~~~~~~~~?」

 

・・・・・・頼む、これで・・・

 

「さあ、それでは入れてみましょ~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!」

 

陽気な態度をとりながらも、俺は心の中で必死に祈りながらその二つのディスクを矢尻に入れる。

 

「これで、この矢尻には二つのディスクが入りました。このディスクが、果たしてどんな変貌を遂げているのか!?ではまいりましょうッ!」

 

大きく振りかぶって~~~~~~~~~~・・・・・・

 

「BREAK THE ALOW!!」

 

天井にッ!オーバースロォォォオオオォオ―――――――ッ!!

 

-----ビュオォオオンッ ガッシャアアアアアアアンッ

 

天井めがけて、手に持った矢尻を力の限り投げ飛ばした。

 

矢尻は天井にぶち当たった瞬間、あっという間に粉微塵に砕け散った。

そしてその残骸の隙間から、二つのディスクが飛び出した。

 

「!!どうなったんだ!?いったいどうなった!?俺のディスクは!!」

 

俺は落ちてきたディスクをノーバウンドでつかみ取り、ディスクの状態を確認する。

 

「こっちのディスクは・・・・・・・・・・・・間違いない。変わっているぞ・・・・・・・・・『シルバーチャリオッツ』が、『チャリオッツ・レクイエム』にッ!」

 

最初に見たのは、シルバーチャリオッツの変化・・・いや、進化した姿だった。

 

銀色の甲冑姿は、真っ黒い・・・まるでマントのないナポレオンの様な姿に。

 

その手には、俺がさっき放り投げてぶっ壊したのと同じ形の、あの矢が握られている。

 

間違えようなんて微塵もない。俺がさっきまで激闘を繰り広げていた、あの『チャリオッツ・レクイエム』が、俺の持つディスクのうち一つに、それはそれは綺麗に映りこんでいた。

 

「・・・・・問題の、『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』は・・・映り込んでる姿だけじゃあ全くわからないが、一体どうなったんだ?」

 

・・・・・・・・・・・・・・・これも・・・確かめてみるしかない!

 

俺はディスクを頭に差し込み、声高々と叫んだ!

 

「『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』!!」

 

その時だった・・・・・・・・

 

 

 

 

-----┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ッ

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

俺の目の前に、そいつは現れた。

 

姿形は全く変わらないというのに、そいつが纏っている、この世のすべてを文字通り、完全に超越・・・

 

いや、最早いかなる知恵を持ったものの言葉や表現すらも、コイツの存在を片鱗すら語ることはまかり通らないであろう。

 

そんな感想を抱かせるほどの、圧倒的なプレッシャーをこいつは放っていた・・・

 

「・・・・・・」

 

前に、レクイエムを攻略するうえで何度か使ったことはある。

 

あの時も、こいつの持つ・・・得体のしれない何かに、思わずブルっちまったことはあるが・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハハハ、足が笑うなんて・・・レベルじゃあねえぞ、こいつはぁ・・・ハ、ハハハ・・・」

 

最早・・・今のこいつは、完全に別物だ。嗚呼、これは・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・く・・・クク・・・ククククククククククククククククッ」

 

完成している・・・・・・・・完璧に・・・完全に・・・

 

「ふふ・・・・はははは・・・ハハハハハハハハッははははッ!!」

 

ついに、遂に俺はッ!

 

ハハハハハハハハハハハハハハハハッ!俺はッ!!!ハハハアハハハッ!!俺はァあああああぁぁっぁぁああぁぁあアアアアアッ!!!!

 

「ハハハハハハハハハハハハハハハハッ!ヒィ――――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ!!」

 

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!アァ―――――――ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!

 

「ヒヒッ!ヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ!ヒャ――――――――――ッはははははははははハハハハハハハハハハハハハあははああああハハハハハハハハハハハハハッ!!!」

 

ウケケケケケケケッ!!ヒャ――――――――――ッはははははははははハハハハハハハハハハハハハあははああああハハハハハハハハハハハハ―――・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

あれから・・・・・・・・どれくらい笑い続けただろうか・・・・・

 

あまりの嬉しさに・・・・・・・時間の感覚なんてとっくになくなっていた。

 

それくらいうれしかったんだ・・・だって・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・そう・・・俺は・・・ようやくつかんだんだ。

 

・・・・・・探し求めていた物を・・・・・・・

 

「・・・俺の・・・俺だけの『真実』を・・・・俺だけの・・・『勝利』をッ!」

 

ようやく・・・つかんだんだ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

-----ズブズブッ ドサァッ

 

俺は頭から『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』のディスクを抜き取り、それをディスクケースの中にしまった後、ソファーに身をゆだねるように仰向けにぶっ倒れる。

 

「フゥ~~~~~~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・なんとなくだが・・・はっきりとわかることが一つだけある。

 

俺はもう・・・何時だって帰ることができるのだ。

 

この地獄のような世界から・・・・・・

 

元の・・・あの平穏な毎日に・・・・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

死んで初めて・・・心から理解できた。

 

「非日常」、「非現実」・・・この現代社会において、多くの人々が心のどこかで望み、願うなにか・・・

 

俺も・・・日頃から漫画やアニメを見る中で、そこに映りこむような「非日常」や「非現実的」ななにかを・・・心のどこかで望んでいた・・・

 

そして俺は・・・あの瞬間から・・・「現実」から「非現実」へと放り込まれた・・・・

 

そして・・・こんな中で、俺は初めて理解したのだ。

 

本当に・・・俺にとって大事なのが何かを・・・こんな地獄のような世界で、俺は初めて・・・本当の意味で理解することができたんだ・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ふと、今までの戦いが無意識に掘り起こされる・・・・・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・本当に・・・・・・・色んなことがあったなぁ・・・・・・・・・・・・」

 

血反吐を吐き、手足をもがれ、時に粉微塵にされ、ミンチにもなった。

 

カビに体を食い尽くされたりもした。体がカタツムリになって、そのまま死んだこともある。

 

何が起こったか理解する間もなく、いつの間にか死んだことも。どこぞの死にたがりの自殺行為に無理やり巻き込まれて死んだことも。

 

全身の血を吸い尽くされて死んだ。体を丸ごと飲み込まれ、食われて死んだこともある。

 

純粋100%の酸素に体を侵されて衰弱死したことも、体の年齢を胎児以前にまで戻されて死んだことも・・・

 

全身を焼き尽くされ、灰も残らず蒸発したことも・・・

 

殴られたり、斬り殺されるなんてまだいい方だ。爆殺、刺殺、殴殺、撲殺、絞殺・・・中には何が起こったのかさえ分からず死ぬこともあった。

 

だがそれでも・・・こんな絶望的な状況を、俺は今まで走りぬいてきたのだ。

 

あるかどうかすらもわからないものにすがり、わめき、泣き叫び、嗚咽を漏らし、地に這い蹲り、そして祈り・・・

 

俺は・・・自分の現実を・・・日常を取り戻すために・・・ただそれだけのために・・・こんなにも困難な道のりを、今まで走り続けてきたのだ・・・

 

自分の祈りを・・・神にではない。『自分の未来』に捧げながら・・・・・・

 

俺の場合はあらかじめ情報がある程度あったうえに、何度でもコンテニュー出来るというハンデがあった・・・・・・

 

いくら地形が、挑戦や階を跨ぐたびに変わったり、アイテムの位置も種類も完全にランダムだという点はあるが、それでもまだまだ、俺は一人前の『冒険者』を名乗るには遠いものがあるだろう。

 

少なくとも『一人前』というものに満足するようではだめだと思う。

 

・・・・・・けれど・・・そんな俺でも・・・・・・・・

 

 

 

 

アテのない荒野を、ひたすらに突き進み、道を切り開いてきた『開拓者』達の・・・・・・・

 

 

果てなく続く、荒れ狂う大海原を突き進んだかつての『航海者』達の・・・・・・・

 

 

かつて世界を股にかけ、この世の未知に挑み続けた『冒険者』たちの思いが・・・今な

ら分かる気がする。

 

 

どこにどう手を付ければいいか分からない。けれど・・・進み続け、その中で得たものには、確かな意味が必ずどこかにある。

 

 

そんなことを四六時中やり続け、諦めずに何度だって進み続ける。

 

 

そしてある日・・・ふと振り返ってみると、その歩みが作り出した軌跡は、やがて自分にとって確かな勝利への道となっている。

 

 

そんなふうになるのが、いったいいつの頃になるのか・・・いったいどれだけ進めば勝利なのか・・・・・・それは進んでいる本人にすらわからないかもしれない。

 

 

けど・・・それでも信じて『向かって』行けば・・・・・・何時かはたどり着けるはずなんだ。だってそうだろう?俺たちは『向かっている』んだから・・・

 

 

-----ウトウト・・・・

 

(・・・やれやれ、なんだか・・・眠たいな~~・・・・・・・)

 

最早・・・自分の未来に不安はない。

 

今一度・・・敢えて言おう。はっきりと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は・・・掴んだぞ。これが・・・・・・・」

 

-----『真』の・・・『勝利』だッ!

 

 

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