もしもFGOがゲームではなく大人気実写特撮映画シリーズ『Fate/Grand Order』だったら   作:ルシエド

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 国民的大人気実写映画『Fate/Grand Order』。
 今日もフルスロットル、映画情報誌『シネマトゥモロー』編集部。
 FGO第二部公開記念、各特異点の登場人物にスポットを当てたインタビューコーナー!
 今回の特異点は2016年に公開され大人気を博した『北米神話大戦イ・プルーリバス・ウナム』!
 カルナのライバル・アルジュナを演じる、バグワン・クリシュナ氏にインタビューだ!


北米神話大戦イ・プルーリバス・ウナム/アルジュナ役/バグワン・クリシュナ インタビュー

―――本日は取材に応じてくださり、ありがとうございます。バグワン・クリシュナさん

 

「……」

 

―――あの、バグワンさん?

 

「……」

 

―――このメモは……マネージャーさんからの伝言ですか?

―――『バグワンは何も喋らないと思いますが構わずインタビューしてください』

―――『多分それはそれで上手くいくと思います』

―――『問題があれば事務所に連絡をお願いします』

―――なんですかこれ……

 

「……」

 

―――え、親指立てて……え? まさかこの形で進行するんですか?

 

「……」

 

―――インタビューされてる人が一切喋らないインタビューって……

―――ええと、バグワンさんは日本とインドとの両方で活躍されていますね

―――二つの映画界を股にかける、実力派俳優

―――それでいて五章の劇中では日本語も流暢に語っておられました

―――バグワンさんにとっては外国語であるはずの日本語での名演は、とても印象的に残っています

 

「……」

 

―――うっ、せ、せめて返事をお願いします……日本語喋れるはずですよね……?

―――って、それは、週刊誌の記事ですか。持ち込まれて来たんですか?

―――随分古い……五章当時の記事でしょうか

―――CMで出たセイバーディルムッドが登場しなかった経緯の記事ですね

 

「……」

 

―――あれは仕方ないところもありましたね

―――ディルムッド役の身内が刃傷沙汰を起こしてしまう、なんて誰も予想できなかったです

―――刃傷沙汰に使われた刃物を連想させる剣に持ち替えさせる不安は小さくなかったでしょう

―――今振り返れば、あれは『自粛』だったんでしょう。問題を起こさないための

―――自粛で登場が見送られたセイバーディルムッドはなんというか、ディルムッドらしい不遇感がありますね……

 

「……」

 

―――当時の参加Pや偉い人の顔ぶれ次第では、そのまま出た可能性もあったと思います

―――けれども結果は誰にも分からない以上、慎重を期すのは当然でしたね

 

「……」

 

―――ですが、北米神話大戦の公開も2016年3月30日

―――もう二年も経ちました。満を持しての登場、というのも十分ありえます

―――セイバーディルムッド登場にそう時間はかからないと思いますよ

 

「……」

 

―――はい、めくって次のページを見れば良いんですね

―――次のページは……北米神話大戦の女性特集ですか

―――曲がりなりにもアルジュナと共闘したメイヴを演じたミーナさん(※1)についてですか?

 

 欄外脚注

 ※1 ミーナ。『メイヴ』を演じる。女優としては女王キャラを演じがちだが、バラエティ等では親しみやすいキャラで人気が高い。読者モデル、女性用化粧品のCM、高級ブランドイメージキャラクターを経て、女優としてデビューした天才肌女優。

 

「……」

 

―――首を横に振って……違いましたか。ええと、どう解釈すればいいのか

―――……バグワンさんは不満げな顔……女性ページを見て不満げな顔をする……?

―――バグワンさん、あるいはアルジュナが女性に抱いた不満……?

 

「……」

 

―――え、何故女性陣の胸を指差しているんですか

―――ん? もしかして……いやそんな……失礼を承知で聞きますが……

―――『うちの陣営には貧乳しかしないのに主人公側が巨乳ばかりなのはズルい』ですか?

 

「……」

 

―――う、頷いた! これで大正解!?

―――い、いや確かに、ナイチンゲール・ネロ・スカサハとその手の女性は全員主人公側で!

―――エジソン側にはエレナのみ、メイヴ側にはメイヴしかいませんし!

―――"そういう目"で見れば五章は主人公陣営だけ優遇されてるように見えますけど!

―――エレナの水谷さん(※2)もメイヴのミーナさんもスレンダーな超美人ですよ!?

 

 ※2 水谷笑間。『エレナ・ブラヴァツキー』役を演じる。『ままちゃん』『マハトママン』等の主演で人気を博した。快癒と復帰おめでとうございます。

 

「……」

 

―――平坦なまな板持って首を横に振らないでください!

 

「……」

 

―――机に転がってた『リップ』を拾って首を横に振らないでください!

―――分からない人は首傾げますし、分かる人でも反応に困ります!

―――パッションリップと比べたらナイチンゲールですらナイチチゲールですからね!

 

「……」

 

―――え、何故いきなりキラーマシンの絵を……それも頭と足を隠して

―――……あ、頭と足を隠してるから「■ラーマ■■」ってことですか?

―――良かった頷かれた……正解ってことですね

―――指で三角形を作って何を……いや待ってください。もしかして角度?

―――もしかしてsinθ? θ(シータ)? あ、頷いてるってことは正解ですね

―――ラーマとシータ……?

 

「……」

 

―――……『美少年と美少女も演じられる朴君(※3)味方なカルデアは贔屓されすぎている?』

 

「……」

 

―――これも正解!? て、適当に頷いてるんじゃないですよね!?

 

 欄外脚注

 ※3 朴円。『ラーマ』『シータ』を演じる。歌舞伎出身の俳優であり、男女両方のキャラを演じられる希少な人間として、一部ファンから熱狂的な支持を受ける。代表作『GUILTY GEAR』『THE IDOLM@STER Dearly Stars』『まりあ†ほりっく』等。

 

「……」

 

―――本当に正解っ……! なんてこと……!

 

「……」

 

―――少し、少し落ち着ける時間をください

―――ああなんでいつの間にマシュマロ食べてるんですか? どこから出したんですか?

―――マシュマロ指で押して潰して、何をしていらっしゃるんですか

―――こほん。ええと、シリーズを通して一番に好感を持てたキャラは誰でしょうか

 

「……」

 

―――無視しないでください……

―――……ん? マシュマロを指で押し続けて……

 

「……」

 

―――マシュ推しなんですね!?

 

「……」

 

―――正解、正解ですか。頷きありがとうございます。

―――FGOシリーズではマシュが好きなキャラであると

―――女性キャラは分かりました

―――では逆に、男性キャラで一番に好感を持てたキャラは誰でしょうか?

 

「……」

 

―――え、何故袖まくりを……

―――……マックール! フィン・マックール!

―――フィンが好印象だったんですね!?

 

「……」

 

―――よ、よし、正解みたいだ

―――いいですよねフィン。登場する度に軽快な会話で好きになれる演技とキャラ付けです

―――五章から随分時間が経ち、新しい掘り下げが行われたキャラは多くいます

―――それはフィンに限りません

―――五章で共演し、後々の掘り下げで印象が変わった俳優やキャラクターはいますか?

 

「……」

 

―――何故ステーキの絵を……?

―――何故仮面ライダーBLACKの変身ポーズを……?

―――……!

―――仮面ライダーBLACK主演であった倉田てつを氏が経営するステーキ店!

―――そのステーキ店の名前が『ビリー・ザ・キッド』!

―――第二部のロシアでのビリー・ザ・キッドで、印象が変わったということですね!?

―――確かに格好良かったですが!

 

「……」

 

―――う、頷かれた……頷かれてしまった……できればハズレであってほしかった……!

―――もはやインタビューというかなぞなぞの類でしかない!

―――なんだか楽しんでませんかバグワンさん!?

 

「……」

 

―――こ、今度は分かりやすくお願いします

―――演じたキャラクターではなく、俳優個人として一番好感を持てた方はいらっしゃいますか?

 

「……」

 

―――……分かりやすくって言いましたよね!?

―――何故上半身を隠した佐々木小次郎とドラえもんのブロマイドを見せてくるんですか!

―――分からない……これの意図は一体……いや待てよ

―――さっきのラーマと同じパターンだとしたら……

―――■■■次郎、■■えもん……次郎衛門……?

 

―――1985年放映の『必殺仕事人意外伝 主水、第七騎兵隊と闘う 大利根ウエスタン月夜』!

―――"皆既日食だったから"というだけの理由で西部開拓時代アメリカに飛ばされた日本人が、インディアンの味方についてアメリカ第七騎兵隊相手に戦うというかなり狂った時代劇!

―――何故かインディアンが巨人軍のピッチャーのようなフォームから投げた投球が、スライダーやナックル風味に曲がってアメリカ軍を蹴散らす狂った描写!

―――『次郎衛門は過去に残った』『ジェロニモは次郎衛門がなまった名前』とかいう狂った設定!

―――ある意味FGOの祖先!

 

「……」

 

―――つまり、ジェロニモ役の方に好感を持ったということですね!?

 

「……」

 

―――頷かれた!

―――え、なんでこんなに日本に詳しいんですか!?

―――インド出身の役者さんですよね!?

―――日本でも活躍されてますがどちらかと言えばインドの映画界で活躍されてる方ですよね!?

―――これ日本人にすらそんなに有名じゃないと思うんですけど……

 

「……」

 

―――……日本の時代劇とか特撮とか、お好きですか?

 

「……」

 

―――ありがとうございます

―――その頷きが、とても嬉しいです

 

「……」

 

―――え? "エジソンをライオンにしたのは雷音というダジャレか?" いや違うと思います!

 

「……」

 

―――段々バグワンさんの意図が読めるようになってきました、どんと来いです

 

「……」

 

―――劇団エグザイルらしいロビンフッドの動きも印象に残った?

―――女性陣の中ではネロ役のユーコさんが一番魅力的に見えた?

―――ネロ役の人は自分に酔いすぎるから音痴になる人で、エリザ役は純然たる音痴?

―――五章は男と男の激突が良く、エジソンとテスラの絡みが好印象?

―――でもやはり、アルジュナ役としてカルナこそが一番特別な存在である?

 

―――よ、よし……慣れてきた……! だんだんスムーズに読み取れるようになってきた!

―――インタビューは成立してる! バグワンさん一言も喋ってないのに!

 

「……」

 

―――なんていい笑顔……!

―――カルナにも見せないような笑顔を浮かべてる……!

―――さ、さあ! 次は何を語りますか! どうぞ!

 

 

 

「いえ、もうそろそろ事務所で打ち合わせをしないといけない時間なので帰ります」

 

 

 

―――!? あ、あれ!? 何か事情があって喋れないとか、そういうのでは!?

―――え……え!? 普通に喋っ……あれ!?

―――事情があって撮影の時くらいしか普通の喋りができないとかそういう人じゃ……あれ!?

 

「いえ、単純に初対面の人の前で喋るのが億劫な気質の人間でして。

 あとシネマトゥモローさんは洒落が分かると聞いたので。

 たまにはマネージャー以外の人と遊んでみようかなあと思ったんです」

 

―――!?!?!?

 

「……」

 

―――え、また黙って……あ、いや、今ドアの方見ましたね

―――つまりええと、インタビューはこれで終わりでいいでしょう、ということですか

―――え、何このチラシ? 『バーフバリ』?

―――「この映画面白いからインタビューで宣伝してたってことにしといて」ってことですか?

 

「こちらの意図を正確に読み取っていただいてありがとうございます。お疲れ様でした」

 

―――……お疲れ様でしたっ! あと、バーフバリはもうとっくに特集組んでますっ!

 

「いやあ、楽しかったです。ではまたの機会に!」

 

 

 




 本文と脚注は一部編集された上でインタビューページとして出版されました

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