もしもFGOがゲームではなく大人気実写特撮映画シリーズ『Fate/Grand Order』だったら   作:ルシエド
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 国民的大人気実写映画『Fate/Grand Order』。
 最初期からこの映画を肯定的に、かつ誠実に記事にしてきた映画情報誌『シネマトゥモロー』編集部。
 今日はFGO第二部公開に先駆け、一年前に公開され大人気を博した『英霊剣豪七番勝負』こと『屍山血河舞台 下総国』特集!
 アーチャー・インフェルノ役、茨新稲氏にインタビューだ!


屍山血河舞台下総国/アーチャー・インフェルノ役/茨新稲 インタビュー

―――今日は取材に応じてくれてありがとう、茨さん

 

「は、はい。若輩者ですが、頑張ります!」

 

―――そう固くならずに。大丈夫、掲載分は関係各所のチェック入るから

 

「そ、そうですね。いつまで経ってもインタビューというものは慣れなくて、すみません」

 

―――まだ16歳なんだから仕方ないさ。それをフォローするのは私達の役目だ

 

「ううっ、すみません、すみません、お手数おかけします」

 

―――英語の発音等、そういったこなれてない初々しさが受けたところもあるしね、『剣豪』

 

「いえ、英語の発音は単純に私の英語の成績が壊滅的なだけでして……」

 

―――……そ、そういえば、英語以外の演技はとても良かったような

 

「古典の成績で取り戻してますから! ……補修以外に、問題は無いです! 無い!」

 

―――いい高校行ってるんだから、勉強も頑張らないとね

 

「うう……インタビュアーさんまでお母さんみたいなことを……」

 

―――でも、その年齢で十分な演技力とアクションができるのは凄いことだよ

―――私も予告編(トレーラー)を見て、君の年齢を確認して、驚いた覚えがあるから

 

「昔からよく童顔の大人だと見られがちなんです。ちょっと自慢なんですよっ」

 

―――喋ると実年齢が分かるってよく言われない?

 

「なんで分かるんですか!?」

 

―――(笑) 他の人は知らないけど、私は童顔、表情、話し方なんかで見てるかな

 

「ううっ、やっぱり喋り方が大人っぽくないとか、そういうのでしょうか」

 

―――その辺りは、私には余計なことは言えないから。そのままでいいと思うけど

―――無理してキャラを変えてしまうと商売に影響が出てしまうのが芸能人だからね

 

「どうしろと!」

 

―――事務所に従っておけば大丈夫! でも芸能人には時に事務所に逆らう気概も必要だよ

 

「どっちですかっー!」

 

―――君はまだその歳なんだから、親に事あるごとに相談すればいいんじゃないかな

 

「おお、まともなご意見……ありがとうございます! かたじけのうです!」

 

―――(笑) それじゃあ『剣豪』についてだけど、印象に残ったことはあった?

 

「それはやっぱり、切羽千尋さん(※1)との共演シーンです!」

 

 欄外注釈

 ※1 切羽千尋。『女信玄覇王録』で主演デビュー。大河ドラマ『上杉謙信最強伝説』にて10分で千人の敵兵士を切り倒す上杉謙信を演じ、一躍有名に。FGOシリーズでは女剣豪『宮本武蔵』を演じ、女体化武将名俳優の評価に恥じない名演を見せる。

 

―――切羽さんかっこよかったよね(笑)

 

「はい! 凄いアクションでした!」

 

―――茨さんもかっこよかったよ

 

「え? ひゃ、ひゃい、ありがとうございます」

 

―――もう有名役者さんなんだから、突然褒められたくらいで照れちゃ駄目でしょ

 

「……む、むむ。そこはこう、インタビュアーさんが気を付けておけばいいじゃないですか!」

 

―――分かった、以後気を付けておこう

 

「とにかく切羽さんのアクションが凄くて。

 私、高校では弓道部なんですけど、弓アクションで付いて行くのは辛かったです」

 

―――『剣豪』の遠距離攻撃と近距離攻撃の読み合い戦闘は文句のつけようがなかったよ?

 

「あれは……その……私の接近戦アクションがあまり上手くないというのもあって」

 

―――(笑) でも、弓を構えて放つまでの動きは、玄人顔負けの美麗さがあったじゃない

 

「あ、え、はい、ありがとうございますっ。

 その……そのくらいしかアクションの取り柄ないもので……」

 

―――あの最後の攻防を見て、それしか取り柄がないなんて言う人は居ないと思うな

―――巴御前の撃った矢を拾って投げつける武蔵、その矢を矢で撃ち落とす巴御前

―――巴御前の速射、その矢を真正面から刀で真っ二つにする武蔵

―――そして、決着。あの数秒は『剣豪』の終盤にあっても遜色のないクオリティだった

 

「あ、あー、いや、そうでもなくてですね!

 あれ切羽さんリテイク無し一発撮りでやったんですよ!

 で、でも、私の方は五回はリテイクしちゃったりしてまして!」

 

―――五回! 五回でできたのか、それは凄い! 弓アクションは初挑戦じゃなかった?

 

「……! ……そ、そんなことよりプリンの話しませんか」

 

―――話の逸らし方下手くそか!

 

「……っ! い、インタビュアーさん!

 口の聞き方には気を付けてください!

 私が話し辛い空気を作られるようなら取材には応えませんからね!」

 

―――……宝具名を真言(オン)聖観世音菩薩(アロリキヤ・ソワカ)から改名しよう

―――真言(オン)聖観世音菩薩(アガリヤ・ソワカ)

 

「~っ!」

 

―――この辺は原稿ではカットしておくよ

―――でもほら、こういうの慣れないと、ね? 次の大河も決まってるでしょ、茨さん

 

「……正論ごもっともです……」

 

―――そういえば、茨さんは好きな歴史の人物とかはいるのかな?

 

「ええと……ここは『義仲様です!』とか答えた方がプロの役者っぽいんでしょうか」

 

―――(笑) 真面目か! 君個人が好きな人物でいいんだよ

 

「私個人なら、義仲より義経の方が好きなんですけどね……あ、男の方の義経ですよ!?」

 

―――分かってるよ(笑)

 

「良かった……『義経』と私が普通に話題に出すと女性だと思われがちなので」

 

―――恐るべしFGO効果

 

「あ、源だと鎮西八郎こと源為朝も好きですよ!」

 

―――兵士五人でないと引けない剛弓を操り、大船を弓矢で沈めた、と伝えられる豪傑だね

 

「はい!」

 

―――その辺りがさらりと出て来るってことは、歴史好き?

 

「古典が得意で歴史が好きなんです。昔から和風のものが好きで……実家もそういう家なんです」

 

―――おお、巴御前のイメージに合うね

 

「実家だと和服ばかり着ているので巴御前のイメージとは違うかもしれません(笑)」

 

―――(笑)

 

「あ、そうだ。あの、このインタビューって会話の順番って変えられますか?」

 

―――要望があれば、私が反映しておくよ

 

「ありがとうございます!

 あの、撮影の時にあった面白い話を思い出したんです。

 この話をさっきの切羽さんの話に繋げれば、雑誌大売れ間違いなしですよ!」

 

―――それは凄い。是非とも聞かせてもらいたい、お願いしてもいいかな?

 

「はい! あれは最後に武蔵に巴御前が接近された時の戦闘でした。

 接近された私は苦し紛れに弓で武蔵の刀に応じます。

 ところがそこですぱーんっと刀が走って、私の角に当たっちゃったんです!

 何か変な勢いがついて、角に変なヒビも入ってたみたいで、想定外に角が折れちゃいまして」

 

―――あのシーンか

 

「一瞬、私も切羽さんもびっくりして止まっちゃったんですよ。

 でもいつもは判断の早い白澤監督(※2)が撮影を止めなかったんです。

 なので、私も切刃さんも一瞬で判断して演技を続けました。

 後の特殊効果の追加で、その時の一瞬の静止が、こう……

 『その瞬間、互いに勝敗を確信した』

 みたいな演出になってて、プロの人達の仕事って本当に凄いなあって思っちゃいました」

 

 欄外注釈

 ※2 白澤章監督。『ジプシー・デンジャー&メカゴジラ 人類絶対防衛戦』等大ヒットシリーズをいくつも手がける。

 

―――あそこで角が折られたのは予定になかった、と。それは興味深い

 

「あの一瞬の緊迫感と、独特の間と、瞬間の攻防。

 あれは台本通りにやっても、誰かが真似しようとしても、できないものだったと思うんです」

 

―――うん、普通の人にできることじゃない。切羽さんと茨さんが凄かったんだね

 

「だよね? だよねっ?

 そう見るとあそこの一瞬の私の判断すごかったって分かるよね!?

 この話誰にも話せないから自慢もできなくてっ、でもすごいことやったよね私?

 あぁ、同じことやれって言われても二度はできない奇跡の一瞬で……ん、んんっ、こほん」

 

―――今のは編集でカットしておくよ

 

「……ありがとうございますっ……!」

 

―――え、ええと、綾里さん(※3)や吉備津さん(※4)みたいなベテランと同じ陣営でどんな気持ちだった?

 

 欄外注釈

 ※3 綾里るり。代表作『スネークバイト』。FGOシリーズでは『アサシン・パライソ』役を務める。

 ※4 吉備津彦太郎。代表作『比叡山以外全部焼き討ち』。FGOシリーズでは『宝蔵院胤舜』役を務める。

 

「超頼りがいありました!

 安定感が凄かったです!

 いつも美味しいご飯を奢ってくれて、美味しい店も教えてくれました!」

 

―――芸歴が長いからね、あの二人も。白澤監督の過去作で名演を見せた二人でもあるし

 

「でも綾里さんが二児の母って凄いですよね……」

 

―――それはもう人体の神秘だよ。いや、あの人は努力の賜物でもあるけど

 

「え?」

 

―――プライベートでもナチュラルメイクで徹底して若く見せてる人だから

 

「え、そうなんですか!?」

 

―――体型維持とメイクで"若い外見と熟練の演技"という売りを作ってるプロだよ

―――天才とは真逆の人だね。この業界で何十年と生き残るのは、ああいうプロだ

 

「知りませんでした……お世話になったのに……」

 

―――役作りなら、吉備津さんも凄かったろう?

 

「あ、はい。あれはもう……圧巻だったと言いますか……」

 

―――宝蔵院を演じるため、ベテランイケメン俳優が髪の毛全部剃ってきたんだからね

 

「私、前日にお母さんと車のCM見てたんです。

 髪の毛のある吉備津さんがかっこよくカローラの宣伝するやつです。

 そしたら翌日、髪の毛の無い吉備津さんが来て……現場の空気がガラッと変わったんです」

 

―――そりゃ、皆適当な仕事はできないよね。本気の本気になるわけだ

 

「私も人から聞いた話なんですけど……

 企画が今の形になる前は吉備津さん居なかったらしいです。

 今の企画の形になって本当に良かったなあ、って思っちゃいますね」

 

―――企画会議が二転三転したって噂は私もよく聞いた覚えがあるな

 

「初期は坂田金時が登場する予定だったとか聞きますね」

 

―――!? それは初耳だ

 

「あ、共演した皆さんから聞いただけの噂話ですよ?

 だから頼光、酒呑、小太郎、タマモと過去作で絡んだキャラが登場してたんだとか。

 金時の登場は無くなったけれども、その名残が残ってるんだ……みたいな話でしたね」

 

―――なるほど

 

「えーと、確か……

 武人入り乱れる下総にするというのが当初の企画で……

 その途中で、宮本武蔵の一本軸に統一するという話になって……

 活躍シーンを切羽さんの武蔵に集中する、分かりやすい話にしたんだったっけ……?」

 

―――七対七のどちらが勝つか分からない『七番勝負』を、武蔵の七連戦に変えたわけだ

 

「あくまで噂というか、私も又聞きなので、あんまり真に受けない方が」

 

―――うん、分かってる。でも面白い話だ

 

「『金時が居ないからこその話』を作ってる、とか演技指導の方が確か言ってました」

 

―――金時が居なかったからこそ、っていう話作りの妙だね

―――だからこそ『剣豪』の死狂いの如き鬩ぎ合いが吟じられたわけだし

―――金時が居たらヒーロー物のフォーマットに近くなっていたかもしれない

―――小太郎と段蔵の関係も、金時という主軸が増えると尺の都合上霞みかねないし

 

「小太郎と段蔵の話は本当好きです……! 親子ッ! って感じで。

 あ、ライダー・黒縄地獄の親子ぉ……って感じも好きです!」

 

―――うん、分かる。修羅剣豪悪鬼羅刹の中にああいうのが入るのがいいよね

 

「はい!」

 

―――正直、さっきの角の話よりこっちの方が特ダネになると思うな。金時の話は初耳だ

 

「え、ええっ!? そうなんですか!?」

 

―――茨さんは天然だなあって言われてそう

 

「……! ぬっ、ぬぬっ……!

 い、言われる時もありますけどそんなに多く言われてませんから!

 『剣豪』の頃にふらっと来てた櫻木光宏(※5)さんによく言われてた気がしますけど」

 

―――あー……あの人か

 

 欄外注釈

 ※5 櫻木光宏。俳優業でも成功を収めるが、主にタレント活動で多方面に活躍する。FGOシリーズでは『マーリン』役を務める。

 

「私が風邪気味だった時

 『効いたよね、早めのアヴァロン』

 とか言って風邪薬見せてきたのは……」

 

―――うん、あの人の持ちネタだ。間違いなくあの人だ

 

「『アヴァロン星人は夕陽が大好きだぞぉ』とか言ってるのは」

 

―――若い人には夕陽のメトロン星人があんまり分からんと知らないのかあの人は

 

「『僕の出演作アヴァロンパをよろしく!』とか言ってダンガンロンパを見せてきたのは」

 

―――オッサンは二十代後半からダジャレが大好きになってくるんだ

 

「『アヴィケブロンって実際アヴァロンだから僕が出演してるようなもの』とか」

 

―――アヴァロン芸人になるつもりかあの人

 

「『もちろん』を『アヴァのロンさ』とか言い換えて話してた時点で……

 ……なんというか、その、失礼かもしれませんが、肌に合わなくて距離取っちゃいました」

 

―――運が良かったね

 

「え?」

 

―――撮影当時15歳の子に何やってんだあの人……

 

「運がいいって……え、なんですか?

 あの人何か悪い噂あるんですか?

 イケメンでさわやかだけど何か裏切りそうって印象しかなかったんですが」

 

―――それアーサー・ペンドラゴン役の人も時々言われてるから

 

「魘井(※6)さんは悪い噂とか一切聞かない人じゃないですか?」

 

 欄外注釈

 ※6 魘井孝則。日本を代表する美形俳優チーム『ラウンズ』リーダー。大人気TVシリーズ・Fate/Prototypeの主演の一人『アーサー・ペンドラゴン』を演じる。

 

―――彼は女性関係の噂すら立たない、清純派王子様キャラで売ってるからね。厳禁ってやつさ

 

「清純派……ほえー……」

 

―――魘井さんは私生活レベルでも自分を完全に律してるとしか思えない聖人だよ

―――昔下世話なパパラッチや三流ゴシップ誌がこぞって彼を叩いてた時期あったけど

―――いくら叩いても全くホコリが出なかったとんでもない人だからね。現代の王子様さ

 

「すごい……」

 

―――で、そんな魘井さんの対極に居るのが櫻木さん

 

「えっ」

 

―――あの人女癖悪いから気を付けなよ? だから女性ファン多いけど女性に嫌われてるんだ

 

「えっ」

 

―――顔は良いし性格も悪人ってわけじゃないけど致命的に責任取らない男だから

―――事務所がスキャンダルが広がらないよう努めてるけど、今も離婚調停中だし

 

「えええ……」

 

―――だから運が良かったね、って言ったの

 

「一緒に居た斎賀さん(※7)は何も言ってなかったですよ?

 斎賀さん、紳士的な方かと思っていましたが、私と同様に業界に疎い方だったんでしょうか」

 

 欄外注釈

 ※7 斎賀雅紀。『安倍晴明記』主演・安倍晴明役で人気を博する。FGO1.5部で先行登場。FGOシリーズでは『キャスター・リンボ』を演じる。

 

―――紳士的だから信頼しちゃったのかー

―――いや一般の人は知らないけどあの人も相当女癖悪いよ

 

「……!?」

 

―――あの人は紳士風に新人に近付いて食って、女性と関係切るのが異様に上手いだけ

―――こう、女の側に後悔させずに別れ話するのが異様に上手い人なんだよね

 

「え? え? 嘘ですよね」

 

―――本当だよ、だから気を付けて

―――ちなみに女好きの癖に女の扱いや関係の清算が苦手で、毎度大火傷してるのが櫻木さん

 

「駄目人間じゃないですか!」

 

―――もう駄目っ駄目だよあの二人

―――「可愛い子なら誰でも好きだよ、俺は!」って感じ

―――女性だってただ食われるだけなわけないんだからさあ

―――櫻木さんもここだけの話、今の離婚調停でかなりお金もぎ取られるって噂だしね

 

「もう誰も信じられない……」

 

―――茨さんの共演者で女性関係がマズくない若い男性は……

―――藤井君(※8)、花咲君(※9)、箕輪君(※10)

―――吉備津さん、篠井さん(※11)、針宮さん(※12)かな

 

 欄外注釈

 ※8 藤井健。FGOシリーズの主演・藤丸立香役、2018年『バキ』主演・範馬刃牙で主演予定。

 ※9 花咲吾郎。『服部半蔵宇宙戦争』でデビュー。『風魔小太郎』役を演じる。

 ※10 箕輪龍。ジャニーズアイドルグループ『F8』所属。主に声優業で成功を収める。Fate/Apocryphaから『天草四郎時貞』役でFGOシリーズに参戦。

 ※11 篠井直江。Fate/stay night『衛宮士郎』役で大ブレイク。『千子村正』役を演じる。

 ※12 針宮京志郎。Fate/stay night『佐々木小次郎』役で大ブレイク。FGOシリーズでも同役を演じる。FGO第一部第一特異点BD特典映像でも人気を博した。

 

「吉備津さんと篠井さんと針宮さんは既婚者で、花咲君は婚約発表済みじゃないですかぁ!」

 

(笑)

 

「どうなってるんですかもう……」

 

―――優しくて誠実な男を周囲の女が放っておくわけがない。なので結婚しないわけがない

―――そして結婚できない独身遊び人が業界に残る……

 

「知りたくなかった話ですよぉ!」

 

―――まあ、なんというか。本当に運良かったね。悪い男に狙われてたというか

―――君、ちょっと隙が多い。マネージャーさんに気を遣ってもらった方がいい

 

「そんなに隙だらけに見えますか……?」

 

―――うん

 

「そ、即答!」

 

―――君が大人っぽく見えるの黙ってる時だけだよ。あと演技してる時

 

「だ、断定!」

 

―――余計なお世話かもしれない、忠告になるけど

―――芸能界で自衛は義務であり責任だよ

―――悪い男に騙されたから君は何も悪くない、なんてことにはならない

 

「うっ」

 

―――スキャンダルと醜聞が広まったら、君の人生はおしまいになるんだ

―――君の人生は君自身で守りなさい

―――悪者に台無しにされた人生は、二度と戻って来ないんだから

 

―――人理は修復できるけど、人生は修復できない。やり直しはきかないんだよ

 

「……今のインタビュアーさんちょっとかっこよかったので記事に載せませんか?」

 

―――(笑) 残念。私は本記事では自分の個性をあまり出さないように編集する男なんだ

 

「それで私の恥は残すんですよね! 分かってますよ!」

 

―――君の事務所が編集に関わるから残さな……いや、おいしい部分は残すのか?

 

「おいしい部分とは一体……あの、お願いですから、武士の情けで、私の恥は載せない方向で」

 

―――尽力するよ。……ああ、そうだ。他の男性といえば三國さん(※13)が居た

 

 欄外注釈

 ※13 三國秀明。代表作『野獣戦線 徳川綱吉』。名シリーズ『暴れん坊将軍』に次ぐ人気を誇る名シリーズの主演で知られる。FGOシリーズでは『セイバー・エンピレオ』役を務める。

 

「孫が居るお爺ちゃんじゃないですか!」

 

―――(笑)

 

「あのお爺ちゃんの孫だったら絶対楽しいやつですよ、あれ」

 

―――ユーモアのある人だからね

 

「あの人、演者の演技が硬いと判断すると、カメラの後ろで変顔するんですよ……」

 

―――(笑)

 

「カメラ目線で演技しようとすると思わず"んふふっ"て笑っちゃうんですよ……」

 

―――(爆笑)

 

「いやそれで、リテイク入って次からは肩の力が抜けるんです!

 抜けるんですけど! ……なんなんですかねあのお爺ちゃん!?」

 

―――三國さんはすごいなあ

 

「いやすごいんですけどね……ギャップもすごい人です。

 ふざける時はふざけて、かっこいい時はかっこよくて。

 遊びに来てた星仔ちゃん(※14)をあやしてる時はただのお爺ちゃんだったりして」

 

 ※14 長房星仔。昭和の名俳優・長房源十郎の孫娘。長房三姉妹の三女。希少なホラーの怪異を演じられる子役で評価が高い。FGOシリーズでは『ラヴィニア・ウェイトリー』役を務める。

 

―――FGOシリーズは年齢の幅が広いシリーズだから

 

「私、何故か二部役者のカドックとラヴィニアが兄妹設定だと思ってたんです」

 

―――え

 

「お兄ちゃんお兄ちゃんと星仔ちゃんが話題に出すのは、カドックのことだと思ってたんです。

 いや、実は藤井君だったので全然かすりもしてない勘違いだったんですけど」

 

―――……

 

「それと、何故かラヴィニアとアナスタシアが姉妹設定だと思ってたんです」

 

―――え

 

「お姉ちゃんお姉ちゃんと星仔ちゃんが言うのは、アナスタシアのことだと思ってたんです。

 いや、実は月湖ちゃん(※15)だったので全然かすりもしてない勘違いだったんですけど」

 

 ※15 長房月湖。昭和の名俳優・長房源十郎の孫娘。長房三姉妹の次女。年齢にそぐわぬ高い演技力とトーク力への評価が高い。FGOシリーズでは『アビゲイル・ウィリアムズ』を務める。

 

―――……

 

「なので、その……

 スタジオでカドック・アナスタシアの二人が撮影終えた後も、一緒に居て……

 仲睦まじくデートしてるのを見て、『あの二人兄妹なんだな』って勘違いしちゃって……」

 

―――これ記事に乗せるか迷う天然だ……

 

「待ってください! ちょっと勘違いしただけです!

 だから『これは天然じゃないな』って言ってください!」

 

―――髪の毛の色だけで変な勘違いしてたんだろ君! これはもう完璧天然だ!

 

「いや、待ってください! この勘違いは論理的に説明できるんです!」

 

―――論理的な説明? 勘違いに?

 

「はい。私は天然じゃありません。誰だって勘違いせざるを得ない状況があったんです」

 

―――それは?

 

「あの二人は二部の撮影を終えた後、手を繋いで外を歩いてたんです!

 でも冷静に考えてみてください。家族でもなければ人前で手は繋げませんよね?」

 

―――……ああ、うん

 

「そんな、恋仲の男女が路上で手を繋ぐとか……

 常識と羞恥心がある人間なら絶対に無理ですよ!

 なので手を繋ぐ二人を見た私が、恋仲ではなく兄妹だと思ったのは自然の成り行きで……」

 

―――よし、時間がなくなってきた。そろそろインタビューを締めようか

 

「あれ?」

 

―――何か言っておきたいことはある?

 

「あ、インタビュアーさん。

 気を遣ってくださったんですよね?

 おかげで途中からは緊張せずに話せました! ありがとうございます!」

 

―――いえいえ

 

「あ、それと。読者の皆さん!

 4月4日公開の『永久凍土帝国 アナスタシア』見てくださいね!

 ……最後に最新作の宣伝するのって大人のプロっぽくないですか? ぽいですよね?」

 

―――(笑) 君はプロだよ。ちゃんとプロだ。これからもしっかり頑張って

 

「はい!」

 

 

 




 本文と脚注は一部編集された上でインタビューページとして出版されました







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