もしもFGOがゲームではなく大人気実写特撮映画シリーズ『Fate/Grand Order』だったら   作:ルシエド
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(予定になかった第一部はミスが出るかもしれませんが笑って許してね)

 国民的大人気実写映画『Fate/Grand Order』。
 今日もフルスロットル、映画情報誌『シネマトゥモロー』編集部。
 FGO第二部公開記念、各特異点の登場人物にスポットを当てたインタビューコーナー!
 今回の特異点は2015年に公開され大人気を博した『炎上汚染都市冬木』!
 トップバッターはFGOの顔マシュ・キリエライト役、皆浜れん氏だ!


おまけ
炎上汚染都市冬木/マシュ・キリエライト役/皆浜れん インタビュー


―――今日は取材に応じてくれてありがとう、皆浜れんさん

 

「よろしくお願いします! 若輩者ですが、全力で頑張りたいと思います!」

 

―――元気がいいね(笑)

 

「はい! 元気、やる気、勇気! 基本的には私にはこれしかありませんので!」

 

―――皆浜さんの成長っぷりはFGOでもよく語り草に上がるからね

―――演技、アクション、長台詞の回し方に、舞台外でのトークと

―――ファンは皆、年単位で君の成長を喜んできたわけだから

 

「私が撮影開始時点で未熟だったというだけです!

 皆さんは最初からとても素晴らしい演技でした!

 私は成長してようやく皆さんと同じになっただけなのです!」

 

―――FGOでデビューなのにこの成長は、十分に凄いことだとも

―――誇って良いんだよ?

 

「ありがとうございます! ですが慢心は敵なので、お気持ちだけ貰っておきます!」

 

―――そうか。うん、分かった。ではインタビューだけど、冬木で一番印象に残ったのは?

 

「颯さん(※1)と木室さん(※2)ですね!

 篠井さん(※3)や小松原さん(※4)も印象に残りましたが!

 このお二方は私に演者にしかできないアドバイスを何度もくれましたので!」

 

 欄外注釈

 ※1 颯瞬。代表作『北欧獣人血闘』。シリーズを通して『クー・フーリン』役を務める。

 ※2 木室卓造。『源義経VSシャーク平家 サメ清盛の最期』でカルト的な人気を獲得。以後、和製サメ映画の人気作の多くに出演し、日本サメ映画人気の立役者の一人と謳われる。撮影がない時は茨城の大型水族館の案内人をしていることで有名。『呪腕のハサン』役を演じる。

 ※3 篠井兼続。ハリウッド映画『デビルメイクライ』バージル役等で世界的な評価を受ける。『影のエミヤ』役を演じる。

 ※4 小松原澪羅。代表作『Fate/stay night』他。炎上汚染都市冬木の最後に立ちはだかる敵、『アルトリア・オルタ』役を演じる。

 

―――皆浜さんはどこのインタビューでもその二人の名前を挙げていたね

―――だからか瞬さんと木室さんも冬木のインタビューの度に君の名前を出してるよ

 

「ありがたいです! 自分新人なので、ベテランの方の評価はそれだけでありがたいのです!」

 

―――皆浜さんが成人してたらお酒の席に呼んでたかもね、瞬さんが

 

「お酒……興味があります! ビールとか飲んでみたいです!」

 

―――あの人は本当に気さくな人だから

―――僕もお呼ばれしたことあるけど

―――皆浜さんや藤井君(※5)みたいな共演者だと、成人式の後日くらいに誘われるかもね

 

 欄外注釈

 ※5 藤井健。FGOシリーズで主演・藤丸立香役を演じる。2019年度公開予定『大英博物館のクトゥグア』の助演決定など、精力的に活動中。

 

「おお……! お酒デビューですね!」

 

―――初めてのお酒体験はまたインタビューをお願いするかもしれません

 

「はい! 美味しかったお酒について語って見せます!」

 

―――瞬さんも気さくだけど木室さんも気さくな人だから、いい環境だったのかな

 

「はい、とても恵まれた撮影環境でした!

 ただ……ちょっと分からないことが」

 

―――?

 

「木室さんの

 『そんなにイケメンじゃない方のキムタクです』

 っていう持ちネタって、ネットで検索したんですが、木村拓哉さんのことでいいんですか?」

 

―――……嘘だろ

 

「あ、気に障ってしまったならすみません! ごめんなさい!」

 

―――あ、いや、うん。素の声で驚いてごめんね

―――そうか……もう木村拓哉(キムタク)を誰もが知ってて当然の時代じゃないんだ

―――『昔凄かったらしいおじさん』くらいの認識でピンと来ない子も増えてきたのか……

―――皆浜さんも藤井君も三年撮影してんのにまだ20歳にもなってない年齢だもんな……

 

「あ、あの、本当に気に障ったのならごめんなさい」

 

―――あ、ごめんね、そういうのじゃないから大丈夫

―――キムタクの全盛期っていつだ……20年前……? 15年前……?

―――いやでもそうか、藤井君然り、皆浜さん然り、世代交代の波が来てるのか

―――喜ばしいことなのかもね

 

「無知な新人で申し訳ありません! 勉強を重ねます!」

 

―――こちらも改めて、変に気を使わせてごめんなさい

―――ちょっと質問なんだけど、FGO共演者以外で『凄い男性俳優』と言えば誰思い浮かべる?

 

「ええと……

 山崎賢人さん、菅田将暉さん、福士蒼汰さん辺りでしょうか?」

 

―――時代を感じるなあ

―――FGOシリーズは若い人から結構なお歳の人まで幅広く楽しまれてるけど

―――『私の世代の有名芸能人』を挙げさせたら相当バラけそうだ……

―――2018年でキムタクは46歳、亀梨和也も32歳というこの事実……

 

「偉大な先輩達に追いつけるよう頑張りマシュ! 違った! 頑張ります!」

 

―――うん、頑張って。二部からは新衣装『オルテナウス』だけど、着た感じはどう?

 

「初期マシュみたいな服装にされたら断固抗議するつもりでした!」

 

―――(笑)

 

「露出は死活問題です!」

 

―――やっぱり皆浜さんからすれば、マシュの私服みたいな、露出の少ない方が好きなのかな

 

「あ……いえ……その……昔から、男っぽい服ばかり着ていたせいで、その」

 

―――?

 

「『マシュ』の女の子っぽい服って……正直私に似合わないと思いますぅ……」

 

―――いやいや、大人気だよ? うちの雑誌の表紙も一回飾ってもらったじゃないか

 

「いや、絶対に似合わないです!

 はじゅかし……恥ずかしいんですよ普通の女の子が着るようなひらひら!

 私みたいな普段男物しか着ないような女に、へそ出しさせるとか正気じゃないです……!」

 

―――(笑) 事務所と監督の意見が一致したらしいね、初期マシュの戦闘服

 

「へそは急速に隠してもらいました!

 だ、だって! だってですよ! だってじゃないですか!」

 

―――お、落ち着いて

 

「序章と一章と二章はほとんど並行して撮ってたので!

 二章ではもうおへそ隠していただきました!

 六章でようやく人権を取り戻せた気がします……!」

 

―――じ、人権

 

「凄いですよ!

 六章以後の私は腰マントありますからね!

 監督達がローアングルでアクション撮影しに来てもお尻隠せるんです!」

 

―――おおうっ

 

「その代わり

 『マントをひらりと動かしてちらりと生足見せて』

 みたいな要求が増えましたけど些細なことですよね!」

 

―――撮影は、嫌だった?

 

「嫌だったのは恥ずかしい服だけです!

 撮影はとっても、とっても楽しかったですよ!

 誰も彼もが凄い人で、とても勉強になりました!」

 

―――恥ずかしいのは、もう嫌?

 

「プロですので、嫌ですがやります!

 それが人気の作品作りに繋がるというのはなんとなく分かってきましたので!

 期待して待ってくれているファンの皆さんは裏切れませんし、裏切りたくないです!

 恥ずかしく感じるのは、私の未熟と不慣れがゆえだと割り切ることにしました!」

 

―――うん

 

「監督や脚本等の皆さんと、藤井先輩と私!

 皆で一緒にこのシリーズを作ってきました!

 とても、とても恥ずかしいですが!

 再臨でのへそ隠しなどの要望を聞いてもらってきたのも事実!

 あまり我儘を多く言っては、先輩達に申し訳ないのです! だから、がんばります!」

 

―――それだけ恥ずかしがり屋なのに、よく『デンジャラス・ビースト』とか……

 

「アレの話はやめてくださいっ!」

 

―――……もう二度と着ないで済むといいね

 

「はいっ! 本当にっ……本当にそうであってほしいですっ……!」

 

―――ええと、そうだ、最近気になっていることはあるかな?

 

「気になっていること……『エリちゃん's』(※5)ですね!」

 

 欄外注釈

 ※6 音楽ユニット『エリちゃん's』。「世紀の狂気の楽器の悪夢」とミュージックステーションで評された話題沸騰中の六人(?)バンド。

 

―――あれは……凄いよね。語彙が死ぬ。語彙が狂う。語彙が死徒になる

 

「CD聞きました! 楽しかったです!」

 

―――エリザベート(※7)、剣エリザ(※8)、術エリザ(※9)

―――ヴォイドエリザ(※10)、サリエリ(※11)、メカエリザ(※12)の六人は凄い

―――バンドなのにまず視覚で殴ってくる

 

 欄外注釈

 ※7 エリザベートに扮する謎のボーカル。その正体はFGOシリーズでも『エリザベート・バートリー』役を演じる茅野鈴。かつて歌手経験があると伝達ミスで勘違いされエリザベートに採用され、仕方なくそのまま撮影。「声が可愛いだけのジャイアン」の愛称で親しまれた。

 ※8 エリザベート(ブレイブ)に扮する謎のベース。その正体はFGOシリーズでも『カーミラ』役を演じる茅野琴。実妹である茅野鈴とのバンド共演はこれが初と思われる。

 ※9 エリザベート(ハロウィン)に扮する謎のギタリスト。その正体はFate/EXTELLAにて『アルキメデス』役を演じる三谷概。今までの硬派なイメージを覆すコスプレに話題沸騰中。

 ※10 エリザベート・ヴォイドに扮する謎のドラマー。その正体は監督になる前に俳優業とバンドマンの経験があったFGOシリーズ総監・白澤章監督。

 ※11 サリエリに扮する謎のピアニスト。その正体はFGO第二部にて『サリエリ』役演じる茅野鈴の父、茅野弦太朗。有名ピアニストであり、特撮シリーズ『仮面ライダー』のバイオリンの描写に影響を受け、俳優の世界に身を投じる。

 ※12 メカエリザに扮する謎のシンセサイザー。その正体は六人目のバンドマンとエリザベートが言い張っているだけの、メカエリザっぽくダンボールで仕立て上げられた自動音楽演奏機。重量バランスが悪くライブ中によく倒れる。

 

「露骨にFGOファン狙い撃ちでした! はい!」

 

―――CDそんなに何種類も出ないと思うけど、インパクトは凄かった。うん

 

「二部ではサリエリさんも凄かったですね!

 生身では弦太朗さんが凄いピアノを演奏する!

 怪人スーツ状態のサリエリはスーツを来た反町さん(※13)がアクションする!

 変身後の状態でのピアノは後から弦太朗さんの音楽を合成する!

 ああいう方法があると、昔の私はてんで知りませんでした!」

 

 欄外注釈

 ※13 反町裕二。スーツアクター歴二十年。FGOシリーズのスーツアクターを務める。

 

―――サリエリのアクションは凄かったね

―――ストーリーだけ見ていたら身体能力自体は設定上低いのかなと思ってたら

―――パンフレット見て筋力B敏捷Aにびっくりしたよ。怖っ

 

「(笑)」

 

―――そういえば、マシュも冬木の頃はそういうスーツアクター使う案もあったと聞くね

 

「はい! 私が最初にアクションを監督に見せた時はすっごく深い溜め息つかれました!」

 

―――うおうっ

 

「大変申し訳無い話ですが!

 後から知ったところ、私は事務所のゴリ押し枠というやつだったらしく!

 白澤監督の求める能力水準に達していないのに選ばれた人間でもあったらしいのです!

 他に推されていたのに選考を落とされたゴリ押し枠も居たらしいですが!

 それは私が推されていなかったということを示すわけではなかったようです!」

 

―――でも、アクションを除けば君は最初から光るものは多かったと思うよ

 

「はい、監督にもそう言われました!

 『アクション以外は理想のマシュ』だと!

 だから変身後のアクションの一切を、スーツアクターに任せるのも考えたと!

 全身スーツのスーツアクターで撮影し、後から声を吹き込むのもアリだと言われました」

 

―――だけど、結局は今の形で落ち着いたんだね

 

「はい! 『育ててこの子のアクションが見たい』と監督が決めたと聞きました!」

 

―――そんな子をぽいっと、火傷しない炎を並べたスタジオに放り込んだのか

 

「あれは炎のCG合成で良かったんじゃないかと今でも思います……」

 

―――キャスターのクー・フーリンと共に挑むライダー、アサシン、ランサー戦

―――そして最終戦のアーチャー戦、セイバー戦

―――どれも今ほどの評価は無かったけど、それなりに高い評価はあった

―――撮影の期間で、白澤監督は有言実行で君を"自分が求めるマシュ"にまで成長させたんだね

 

「藤井先輩の助けもありました!

 一緒に盾を持つシーンなども先輩の発案です!

 先輩は自然に動きがサマになる方だったので、クライマックスシーンは大助かりでした!

 こう……私の拙い動きをかっこよくしてくれる感じで! 感謝してもしきれません!」

 

―――藤井君は先輩からの評価と後輩からの評価が全然違うなあ、本当に

 

「ですね! 私と白雪さん(※14)で当時話してた時、先輩が全然違って見えてて驚きました!」

 

 欄外注釈

 ※14 白雪冴花。FGOシリーズでは『レオナルド・ダ・ヴィンチ』役を演じる。

 

―――白雪さんか

 

「……あっ」

 

―――皆浜さんは、白雪さんをそんなに嫌ってはいないみたいだね

 

「……あ、あの!

 事務所の方でカットされるかもしれませんが!

 今は悪評が多い彼女への言及は、事務所の方が許してくれないかもしれませんが!

 それでも、載せられないかもしれなくても、彼女の話をさせてもらえませんか!?」

 

―――どうぞ。それが私の仕事です

 

「確かに、トラブルの多くは白雪さんに原因があったと思います。

 あの人は自尊心が高くて、潔癖で、負けず嫌いで、自己評価が高くて。

 喧嘩が起こった時はだいたいあの人が原因でした。

 ……それでも、なんだかんだで皆、『困った人だ』くらいで流していたんです」

 

―――そうだったのか

 

「でなければ、第二部が始まる直前まで皆で一緒にやれていたわけがありません。

 皆、白雪さんとは上手くやっていたんです。

 その……第一部の最後の方の脚本が、役者の皆さんに、配られるまでは」

 

―――冠位時間神殿?

 

「はい。……ロマニ・アーキマンが死ぬ、という展開が皆に知られるまでは、です」

 

―――それって

 

「そこから白雪さんと監督が大喧嘩です。

 死なせる必要無いだろ、と白雪さんが言って。

 彼というキャラを活かすにはこれが最良だ変えられない、と監督と脚本が言って。

 どちらも引かなくて。

 白雪さんはこの作品を愛しすぎていて、だからこそ展開にまで口を出してしまったんです」

 

―――……彼女が脚本にまで口を出すようになっていた、という話は聞いていたけれど

 

「はい。悪い意味で噂になっていると思います。

 でも、なんというか、その。

 正しく伝わっていないような気がするんです。

 白雪さんは……()()()()()()()()()()()()()()()()()を嫌がってたんです」

 

―――そうだったのか……

 

「死なせて感動を取ろうとするなんて安っぽい、と白雪さんは言いました。

 全員生き残らせて感動を作るのが本物のプロだろう、とも言っていました。

 子供も見てるんだから一年以上付き合わせてきた重要キャラを死なせるな、とも。

 監督は生存が安っぽい話を作ることもある、と言いました。

 Dr.ロマンはこのためのキャラだった、と語りました。

 有限の命を生きる人間の輝きを、彼の生と死をもって、その子供達に教えるんだ、とも」

 

―――……どちらにも、少し同意できてしまうな

 

「なんと言えば良いのか……

 白雪さんはロマニを生かして活かしたくて。

 白澤監督はロマニを死なせて活かしたくて。

 それで大喧嘩して、結局正式に和解しないまま、ズルズル引きずってしまったんです」

 

―――それで、どうなったのかな

 

「監督案で冠位時間神殿が撮影完了されて、皆でそれを見ました。

 白雪さんはプロだったんです。だから……

 自分の提案した展開より、予定通りの展開の方が良かったと……認めていました。

 面白くて、悲しくて、心動かすものだったと、認めていました。そう私に言っていました」

 

―――プロ、か

 

「ロマ二が死んだ方が良かった、と彼女も認めたんです。

 それからは一年、なんとか続きました。

 でも、この時の喧嘩で白雪さんと皆さんの間に入ったヒビはそのままで……」

 

―――映画の作成はチームプレーだから、皆浜さんも辛かっただろうに

 

「私は……私は、まだ平気な方でした。

 でも、時々ギスギスすることが増えていって……

 脚本の人が白雪さんにいじめられたり。

 白雪さんのギャラ交渉や、喧嘩が増えたり。

 プロデューサーさんが白澤監督と怖い話をしていたり。

 それでも、楽しい空気は撮影現場に残っていたんです。

 でも、その楽しい空気から……徐々に白雪さんが弾かれていってしまう流れがあって……」

 

―――白雪さんは、ダ・ヴィンチ役になってから、その人気で増長して問題も増えていた

 

「分かってます。

 白雪さんは被害者なんかじゃないです。

 問題を起こしていたのは、あの人だから。

 でも、でもです。

 きっとロマニの件で喧嘩していなければ、あの人はまだ、ここに居たと思うんです。

 時々問題を起こしてしまうけど、笑って許されて、息をするように名演技を見せて……」

 

―――……

 

「仕方のないことだと、分かってはいるんです。

 ……でも、やっぱり悲しいんです。私や藤井先輩は、あの人が嫌いではなかったので」

 

―――難しい問題だ

―――白雪さんを嫌いな人や、その被害者は多い

―――だけど……それは、白雪さんに良いところが無いという証明にはならない

―――このインタビューをどう扱うか、私も正直迷ってしまう

 

「お世話になった人なんです。私にとっては」

 

―――長永さん(※15)の来年の映画について、皆浜さんは知ってる?

 

 欄外注釈

 ※15 長永光流。ラジオパーソナリティ、タレント、俳優、シンガーソングライターと幅広い活躍と成功を収める若手実力派。FGOシリーズでは『ロマニ・アーキマン』役を演じる。

 

「いえ、あまり……最近はちょっと忙しすぎて」

 

―――来月のうちの雑誌の試刷だけど、これ読んでみて

 

「これは……?」

 

―――2019年公開予定の『大英博物館のクトゥグア』の先行数カットが入ってる

―――秘密だよ、私が見せたってバラさないでくれよ

―――主演、ロマニの長永光流さん

―――助演、藤丸立香の藤井健君。助演、ダ・ヴィンチの白雪冴花さん

―――他四人を加えて、七人で冒険するお話らしい

 

「わぁ……!

 藤井先輩と白雪さんと長永さんが仲良さそうに!

 これです、これ!

 第一部の撮影の時、休憩時間の時には三人共こうだったんです!

 演技とかじゃなくて、心からリラックスした顔で笑い合ってて……!」

 

―――取材した時も、あの三人は自然に仲良さそうにしていたね

 

「……」

 

―――個人的な意見で、役に立たないかもしれないけど

―――ロマニ役の長永さんがオールアップ、ダ・ヴィンチ役の人が交代して、でも

―――後に残るものは何かあったんじゃないかな、と私は思う

 

「……」

 

―――白雪さんと長永さんに嬉しそうに話しかける藤井君を見て、私はそう思った

 

「何も……何も解決してないとは、思うんです。

 白雪さんは許されないから、この問題は解決する気もしないんです」

 

―――うん

 

「でも、なんだか……

 白雪さんと、長永さんと、藤井先輩が……

 ダ・ヴィンチと、Dr.ロマンと、藤丸立香が……

 一緒に仲良く歩いていて、力をあわせて同じ困難に立ち向かっているのを見ると……

 そんな、この写真を見てると……

 何故か、嬉しくなるんです。"これでいいんじゃないか"って気持ちになるんです」

 

―――そっか

 

「何も解決してないのに……変でしょうか?」

 

―――俳優が、演じられたキャラの死に深くショックを受ける話は、多くある

―――それが仕事に支障を出してしまう例も、いくつか知っている

―――私はそれに正しく共感できない。私は君達のようなプロの俳優ではないから

 

「そう……ですね。

 でも、なんとなく思います。

 私がこの世界でこの仕事を続けていくには……この気持ちと納得が、きっと大事なんだって」

 

―――良くも悪くも、舞台の上が俳優の全てだ。私はそう思う

 

「……はいっ! そうですね!」

 

―――そして誌面が私達の全てだ。私はそう思う

―――皆浜さんが炎上しないように、どうにか編集したインタビュー載せられるよう頑張るよ

 

「よろしくお願いします! 私も頑張ります!

 もっとすっごい大女優になって、また皆さんとどこかの銀幕で共演してみせます!」

 

―――うん、頑張って

―――さーてどうするかな、炎上の可能性大なデリケート案件だ、どうしよう……

―――炎上汚染都市絡みの記事で炎上したら笑い話にもならないぞう……

 

「頑張ってください! 私も頑張ります! めっちゃ頑張ります!」

 

―――いや、あのね

 

「私もめっちゃ頑張りますので! 頑張ってください! お願いします!」

 

―――……頑張りマシュ

 

「はい、頑張ってください! お互い全力で常時頑張りましょう!

 私は常に頑張っていますので、またインタビューの時はよろしくお願いします!」

 

 

 




 本文と脚注は一部編集された上でインタビューページとして出版されました







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