もしもFGOがゲームではなく大人気実写特撮映画シリーズ『Fate/Grand Order』だったら   作:ルシエド

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 国民的大人気実写映画『Fate/Grand Order』。
 今日もフルスロットル、映画情報誌『シネマトゥモロー』編集部。
 FGO第二部公開記念、各特異点の登場人物にスポットを当てたインタビューコーナー!
 今回の特異点は2015年に公開され大人気を博した『邪竜百年戦争オルレアン』!
 二人のジル・ド・レェを見事に演じ分けた、禿頭3:34氏にインタビューだ!


邪竜百年戦争オルレアン/ ジル・ド・レェ(キャスター、セイバー)役/禿頭3:34 インタビュー

―――今日は取材に応じてくれてありがとうございます、禿頭3:34さん

 

「ちょりーっす! まずは自分が尊敬してる、この芸名の元になった最高の男の話を」

 

―――いえ、それはちょっと

 

「なんでですか!」

 

―――FGOのインタビューだからですよ!

 

「まずはこの名前に込められたリスペクトと偉大な先人の伝説から入ろうとしたのに……」

 

―――偉人だと思う誰かの話は別にいいんですよ、FGOですから

―――でもほら、そこは今回あまり期待されてないと言いますか

 

「じゃあ自分に期待されているであろう、笑える話はもう全部しまっておきますね」

 

―――何故!?

 

「予想を超えてこそお笑いでしょう! ご安心を!

 かくいう自分は特殊メイクと特撮を学んで変顔芸風を身に着けた笑いの男!

 邪竜百年戦争オルレアンの特撮技術の多くを面白おかしく語れますよ!」

 

―――あーまたこうなるんですかー!? あーもうむちゃくちゃだよ

 

「インタビュアーさん、一番好きなシーンはどこですかな?」

 

―――マリーの「いつだってフランス万歳(ヴィヴ・ラ・フランス)!」のところですね

―――編集部では一時期『ヴィヴ・ラ・フランス』が流行語でした

 

「あ、そういうのいいので。特撮が光るシーンでお願いします」

 

―――……ええと、ジークフリートの登場シーンですね

―――ファヴニールに追い込まれる皆、大ピンチの臨場感を出す音楽

―――そこに颯爽と現れ降り立つジークフリート、変わる音楽、処刑用BGM!

―――ジークフリートが周りに魔力の光を、螺旋の軌跡に刻んで立つのがとても良かったです

―――まさに✝舞い降りし最強の魔竜✝

 

「特撮界で人気の、あの『光を纏って回転しながら現れるやつ』。

 『着地と同時に地面に円形っぽく光が現れるやつ』。

 アニメでも使われる演出ですな。あれ、実際にやる時はどうすると思います?」

 

―――ええと、円形に火薬を爆発させるとか、そういうCGを合成するとか……

 

「いえいえ。実はですね、円形に爆発させると、円形っぽく見えないのです」

 

―――そうなんですか!?

 

「爆発は『散る』んですよ。

 なので円形に爆発させると変な方向にも散って、円形に見えないのです。

 そのため、オルレアンなどではジークフリートの前後のみ爆発させておりました。

 ジークフリートの前では右に、後ろでは左に火花が流れるようにしていたのです」

 

―――おお

 

「そしてこの爆発に使う火薬にも色が着いております。

 ご存知かと思いますが、火薬の火花の色を変えるのは容易です。

 ここで火薬が発生させる大きな火花の色にセレクトされたのが……」

 

―――ジークフリートの胸の、彼を象徴するうっすらとした緑の光ですね!

 

「はい、その通りです。

 火薬で緑の火花を自然に出す。

 その後、CGでジークフリートの周りを奔る緑の光を合成する。

 現実の光とCGの光が、高度に混じる。

 ジークフリートの周囲を緑の綺麗な光が廻る……

 これで初めて、誰も違和感を抱かない自然な光の合成が可能となるというわけです」

 

―――あのシーンのジークフリートはだからか本気でかっこよかったですね

 

「相対するはファヴニール。

 ファヴニールの火炎が街の全てを焼き尽くし、溶かすシーンがありますね」

 

―――はい

 

「あれは昔から使われている、ロウで作ったオブジェクトを溶かす技術の発展です」

 

―――ロウですか?

 

「ロウは低温で溶ける。

 なのでロウで鉄骨を作る。

 ここに昔ながらのライトを当てると、鉄骨(ロウ)が溶ける。

 すると高熱で鉄骨が溶けていくという映像が撮れるわけです」

 

―――なるほど!

 

「オルレアンでは、撮影セットと同じ街観のミニチュア街セットが用意されました。

 パッと見では見分けが付きません。

 これの背景に現実の空、森、山、地面などの映像をはめ込みます。

 そうして出来たミニチュアと現実の合成は、俯瞰すると現実の街に見えるのですな。

 そしてこのミニチュアは……低温でドロドロに溶けるようになっています。ヒーターオン!」

 

―――すると、溶けるわけですね!

 

「はい。

 ヒーターの熱だけでドロッドロに溶けます。

 そしてこのドロドロに溶ける街にファヴニールの炎のCGを合成!

 あたかもファヴニールの炎で街が溶けているように見える! というわけでございます。

 本撮影ではここに、街の要所要所で爆発する火薬が追加されましたな。

 背景はそのまま現実の光景なので、引き絵の迫力は推して知るべし、ということです」

 

―――CGと現実とミニチュアを高度に合成して画を作っている、と

 

「この技術は他のシーンでも使われておりますぞ!

 たとえばオルレアンでは、自分と静香ちゃん(※1)が一人二役をしておりましたが」

 

 欄外注釈

 ※1 迫水静香。FGOシリーズでは『ジャンヌ・ダルク』と『ジャンヌ・ダルク・オルタ』二人を演じ分け、高い歌唱力だけでなく高い演技力も評価される。

 

「こういった場合は、二つ以上の映像を合成しておりましたな」

 

―――二つ、ではなく二つ以上、ですか

 

「たとえば、オルレアンの街セットを一つ作ります。

 これの右半分を使って、そこでジャンヌの台詞シーンを全て取ります。

 これの左半分を使って、ジャンヌ・オルタの台詞シーンを全て取ります。

 二つを合成することで、一画面に二人の静香さんが映る会話シーンが完成します」

 

―――そうなりますね

 

「そこに、オルレアン全編を通して使ってきた現実の背景を合成。

 これでようやく『オルレアンの世界観で行われる会話と対立』が完成するのです」

 

―――作品の世界観に呑まれると、あの街が現実に存在しないだなんて信じられませんね

 

「視聴者は現実の背景を見せられております。

 現実の背景に合成されたミニチュアの街の引き絵も見ております。

 ミニチュアの街に忠実に作られた各シーン用スタジオも見ております。

 それが人間の頭の中に、実在しない特異点の街を作り上げるのですよ」

 

―――勉強になります

―――ミニチュアを広い背景に合成する縮尺調整は、まさに合成の肝ですね

 

「マスター達がファヴニールを見上げるシーンもそうですな。

 突如現れたファヴニール。

 皆が真下からその巨体を見上げる、あの中々に人気なアングルです」

 

―――踏み潰される! って思いましたね

―――ファヴニールを見上げる藤丸とマシュが、とても小さく見えました

 

「人間の目というものは、長年の専門家の研究によりますと……

 視界の中のものの大きさを、二つのものを基準にして測っている、とも言われます。

 一つは大きさの比較になる何かとの比較。

 もう一つは空気等の影響による『遠くのものが少しぼやけて見える感覚』です」

 

―――そうなのですか?

 

「はい。

 なので近年の特撮にはこれが応用されることもあります。

 つまり、下からのアングルで人間と巨体と空だけを画面に移せば……

 大きさの比較に建物を見ることがあまりない。

 建物を映した映像以上に、巨体が『本物』に見えやすくなる、という技術です」

 

―――おお!

 

「これぞ遠近感を騙す、ということ。

 まず、ファヴニールの1mスーツを作ります。

 これを屋外で、足下から撮影し、少しぼやけさせます。

 そして上を見上げる藤丸とマシュを、グリーンバックで下から撮影します」

 

―――グリーンバック……合成に使う緑一色の背景ですね

―――緑一色の背景で撮影し、合成時にこの緑一色を透過させる

―――そうすることで、俳優を後から別の映像に自然に合成できるという

 

「そのとーり!

 映像の拡大縮小でサイズを調整し、人が小さく、巨竜が大きく見えるようにします。

 下からのアングルのファヴニール。

 グリーンバックで上を見上げている藤丸とマシュ。

 この二つの映像を、巨竜を人間が見上げているように後から合成すれば……」

 

―――少しぼやけて見えるくらいの巨竜の巨体を、人間が見上げる構図となるわけですね

 

「遠近感の妙、というやつです。

 人間の遠近感を騙せばこうしてCG抜きの質感あるリアルな映像が撮れるというわけですな」

 

―――そういえば、オルレアンの城は全てミニチュアだと聞きましたが

 

「ファンタジー系の映画は見たことがありますかな?

 ああいう映画には架空の実在しない城が出てくることがあるでしょう?

 あれの多くはミニチュアでございますぞ」

 

―――そうなんですか!?

 

「先ほど言及したミニチュアと背景の合成、というやつです。

 ミニチュアの城を背景に合成し、実際に存在しているよう見せかけております。

 ヴォークルールやオルレアン等の城塞は全てミニチュアということですな。

 これならば戦闘や宝具で壊れた城塞が映っていたのも納得というものでしょう?」

 

―――ミニチュアの城なら、それっぽく壊すのも楽ですしね

 

「その通りでございます」

 

―――オルレアンで視聴者人気が他に高かったものといえば……

―――……アタランテとヴラドの宝具シーンですね

 

「ほほう。宝具ですかな? 我輩の男の子な部分刺激してくるああいうの大好き」

 

―――丁寧に作ってありましたからね

―――アタランテに関しては『スタッフこのシーンやりたかっただけとちゃう!?』

―――なんて思いもしましたが(笑)

―――ストーリーの出番抑えめでも宝具かっこよかったから許しちゃったんですよね皆……

 

「アタランテのあの、無数の矢で攻撃する宝具・訴状の矢文(ポイボス・カタストロフェ)

 実際はあれ、本物の矢は四本しか飛んでいないんですよ。あとは光るCGの矢です」

 

―――……え!?

 

「あとの矢は全部高速で飛ばして本物っぽく見せているCGです」

 

―――本物にしか見えませんでした

 

「アタランテの最後の戦闘シーンの場所は、撮影初期に森に変更されました。

 何故森で撮影したと思いますか?

 矢がCGだからです。

 矢が刺さっていた木もCGだったからです。

 本物の森にCGの木を合成して、CGの木にCGの矢が刺さるようにしていたんですよ」

 

―――なるほど

 

「本物の矢を接着剤で貼り付けた本物の木も混ざっておりましたがね」

 

―――それなら見分けられるわけがないですね

―――しかもリアルタイムで木に矢が刺さっていくのも見えます。CGだとしても

 

「そして、本物の矢四本はマシュ達の周りの地面に突き刺さっていました。

 もちろん先端がクッションになっている模造矢ですがね(笑)。

 人間の視線はそれなりに単純です。

 皆の視線は撃たれているマシュ達の方を見ている。

 マシュ達そっちのけで背景を見る人など多くいるはずもない。

 すると、マシュ達の足元に刺さる本物の矢が記憶に残り……

 背景の矢に小さな違和感を覚える格別目ざとい人でも、違和感を覚えないのです」

 

―――人の視線が集まる場所に、本物の矢を使い

―――背景にも映る無数のCG矢を、全て本物のように見せたというわけですね

 

「アタランテが矢を撃つシーンカットをまず撮影。

 そして専門スタッフ四人が矢を射出し、足元に矢を撃たれる森のマシュ達を撮影。

 森の木のCGと、矢のCGと、特殊効果を撮影映像に合成。

 あとは大量の矢が着弾する音を合成し、一連の流れを一つの映像にすれば……」

 

―――ポイボス・カタストロフェ完成、ですね!

 

血塗れ王鬼(カズィクル・ベイ)も基本的にはこれと同じですな。

 ただしこっちは逆で、CGの杭から始めて特撮の爆破に繋がるのですが」

 

―――あのシーンはとても良かったですね

―――視界を埋め尽くすカズィクル・ベイの赤黒い杭

―――これは駄目か、と一瞬視聴者の誰もが思い

―――そこに叩き込まれる清姫の『転身火生三昧』!

―――清姫が吐き出し、吹き荒れる炎の嵐! 爆散していく血の杭!

―――後でパンフレットで確認したところ、ヴラドの宝具ランクはC、清姫はEX

―――かなりパワーのあるシーンだったと思います

 

「あそこで大事だったのは、まさにその爆散シーンですな」

 

―――と、言いますと?

 

「ヴラドの宝具は、CG杭の表面に実物の血糊映像を使って加工したモデルを使っていました。

 これで放たれた一瞬の激しく動いている時は本物に見えます。

 そして『本物っぽく』爆砕させることで、爆砕前も本物のように見えるのです」

 

―――爆砕ありきで本物のように見えた、と

 

「近年はチップ技術も発展してきましたからの」

 

―――チップ?

 

「建物の破壊の際、火薬の爆発で飛び散るものとして混ぜられるものでございます。

 例えば切り刻んだペットボトル。

 これをミニチュアの建物を爆破する火薬に乗せたり混ぜたりします。

 すると、火薬で爆発した時に飛び散ったガラスのように見えるというわけなのですよ」

 

―――なるほど!

 

「ミニチュアの建物や山を破壊する時はこれが必須です。

 切り刻んだペットボトルを混ぜればガラスの破片に見えます。

 紙片を混ぜれば、建物が爆破された際に舞い散る書類などが表現できます。

 プラモデルのランナーを混ぜ、それっぽい破片を作るのは円谷由来の技術でしょう。

 火薬の周りを粘土で固めておくと、ある程度の大きさの茶色の塊となって飛び散ります。

 これで"爆発で舞い上がる土砂"が表現できます。

 この土砂に青のりで草が生えてる感を出すのは、円谷系も東宝系もやってる技術です」

 

―――火薬等に色んなものを混ぜて、爆破シーンのリアル感を出す技術というわけですね

―――それが今回、清姫の宝具でヴラドの杭を粉砕するシーンに使われたと

 

「実際にはヴラドの杭などCGの世界にしかないわけですからな!

 石膏建築をご存知ですか? 特撮でよく使われるものなのですが」

 

―――いえ、知りません。ぜひご教授をお願いします

 

「石膏建築とは、人が寄りかかれば砕けるほど脆い、石膏で出来た建物です。

 オルレアンで言えば……そうですな。

 ティエールで清姫に吹っ飛ばされたエリザベートが、建物の壁に突っ込んだシーン。

 エリザベートが突っ込んだだけで簡単に砕けた、建物の壁があったでしょう?」

 

―――なるほど、あれが石膏製だと

 

「あの砕けた壁がヴラドの杭が砕かれたシーンにも使われておりました」

 

―――え!?

 

「まず、杭状に作った石膏に、切り傷を入れておきます。

 こうするとこの杭を火薬で爆破した時、意図した通りの形に砕けてくれます。

 ここにエリザがぶつかって粉砕された壁の破片を、そこそこの大きさにカットして混ぜます。

 あとはこの石膏杭と、石膏破片を、火薬と一緒にセット。

 ヴラドのCG杭が清姫の合成の炎に粉砕されるそのタイミングで、火薬を爆破してやれば……」

 

―――『杭の原型が残っている破片』と、『粉々になった破片』が、一緒に飛び散りますね!

 

「そのとぅり! あ、火薬の火花の色は、清姫の炎の色に寄せていたそうですぞ」

 

―――馴染むでしょうねえ、火花の色

 

「そういった特撮だけでなく、他の方も光る技術を持っておりましたぞ。

 れんちゃん(※2)の序章のアクション、及第点ではあっても最高ではありませんでした」

 

 欄外注釈

 ※2 皆浜れん。FGOシリーズのマシュ・キリエライト役でデビュー。初期は非戦闘時の可愛らしい演技が特に高く評価されたが、メキメキと実力を伸ばし実力派若手女優として名を馳せる。

 

―――それは、確かに

 

「それと……アガルタの頃には、十分な成長を魅せてくれましたが……

 この頃の冬美ちゃん等も(※3)中核アクションを任せるには不安があり、脇役でした」

 

 欄外注釈

 ※3 紗莉冬美。『シュヴァリエ・デオン』役を演じる。俳優業のみならず、ファッションモデルとしても活躍。

 

―――アクションができる人とできない人はハッキリしてましたね、オルレアン

 

「ところがオルレアンでは、この不安要素を解決できるスタッフが加わっていたのです!」

 

―――早回し、ですね。オルレアン以外ではほとんど使っていないので寂しいです

 

「そう、その通り!

 普通のアクションよりもゆっくりした動きで演じさせる。

 そして撮影した映像をほんの少し加速させる。

 これによって、ゆっくり丁寧にアクションさせ、それを加速することで等速に見せかける。

 普段通りの速度で、彼女らが上質のアクションをしているように見せかける!

 アクションが人並みの子にもキレのあるアクションをさせることが可能なのです!

 オルレアンで加わったスタッフは、早回ししているのにそうと気付かせない逸材でした」

 

―――こういうのってどうしても、『違和感』が出がちなのがネックになりますからね

 

「実際、当時の多くのインタビューではこれが驚かれていましたな。

 早回しだったのか! と。

 それまでは役者の好演だったと思っていた人が大多数だったようです。

 ゆっくりのアクションを撮っている時点で、相当な計算をしないと不可能な撮影。

 まさに匠の技ですな。

 白澤監督はそこまで肌に合わなかったのか、以後の作品であまり多用しませんでしたが」

 

―――違和感が出なかったの凄かったと思いますよ

―――その早回しの人材引っ張ってきたのは、結局武内P(※4)ですか?

―――それとも柳葉P(※5)? あるいは相浦P(※6)でしょうか

 

 欄外注釈

 ※4 武内崇プロデューサー。『Fate』の立役者が一人。

 ※5 柳葉プロデューサー。東映系、映像方面の調整に強い。

 ※6 相浦プロデューサー。バンダイ系、玩具方面の調整に強い。

 

「武内さんだった記憶がありますねえ」

 

―――なるほど

 

「思えば、愛ちゃん(※7)の扱いはこの頃から柳葉Pと相浦Pで戦争になっておりました」

 

―――えっ

 

 欄外注釈

 ※7 楊田愛。FGOシリーズを通して『清姫』役を熱演。FGOシリーズの助演女優の中でもトップクラスの人気を得ている。

 

「柳葉Pは水着の愛ちゃんを見てピンと来たそうですからな!

 オルレアンではガンガン露出を増やしてお色気を振りまいてほしかったようです。

 逆に相浦Pは清姫は和服で露出が少ないからこそ、と思っていたようで。

 和服を着た清姫が髪をかき上げてうなじを見せる、などのシーンを要求していました」

 

―――うひゃあ

 

「夏の『カルデアサマーメモリー』では柳葉Pが欲望のままに水着清姫投入。

 1.5部の『剣豪』では相浦Pが清姫を『姫』として見せてくる事態に。

 胸とかに良いもの持ってるんだからそれを活かそうぜ派の柳葉P。

 露出を増やさなくてもこれだけ魅力が出せるのに何言ってんだオメー派の相浦P。

 どちらのPも優秀なスタッフを身に着けていて、どちらも甲乙つけがたい……!」

 

―――仮面ライダーやスーパー戦隊もP次第で最終的な出来全然違いますしね……

 

「オルレアンでは相浦Pが主張を通し露出の少ない和服で魅せました。

 ですが柳葉Pの胸の谷間チラという要求も通っていましたね。

 かつ、柳葉Pはマシュ、マリー、清姫推しだったので、その活躍要求も通してましたな」

 

―――あの三人の声質が近い上に、全員可愛い系だから好きなだけなのでは

―――……声質が近い三人を一特異点に同時投入という時点で凄いっちゃ凄いですが

 

「鬼ヶ島は相浦Pの影響を受けて白澤監督が自分で決めてやったんだったかな……

 この辺りの駆け引きの影響で、別に推された鈴ちゃん(※8)の登場要求が何度も通ったり」

 

―――何度も出て来て恥ずかしくないんですか? が持ちネタに!

 

 ※8 茅野鈴。シリーズを通して『エリザベート・バートリー』役を務める。第一部では第一章・第二章・第五章・終章に登場。イベント系での登場も多く"ハロウィンが来ると女を捨てた服を着させられてる"とファンから親しまれており、2017年には女を捨てたロボメイクも披露した。

 

「オルレアンは巨乳露出派の柳葉Pと清楚貧乳派の相浦Pのぶつかり合いでもありましたぞ」

 

―――(笑)

 

「巨乳はWジャンヌ、カーミラ、マルタ、清姫。

 貧乳はマリー、デオン、エリザ、アタランテ。

 カーミラがエロスを出し、清姫が和服の隙間から胸の谷間を見せ、Wジャンヌが胸を揺らし。

 マリーやデオンは清楚に、エリザは可愛く、アタランテやマルタも色気以外の部分を強調」

 

―――そう見ると本当になんというか、分かれてますね色々

 

「柳葉Pはアマデウス推し、相浦Pはサンソン推し。

 柳葉Pはヴラドのアクションを要求し、相浦Pはランスロットのアクションを要求しました」

 

―――気合い入ってましたね、確かに

 

「一方その頃、白澤監督はジークフリートとファヴニールの決戦に気合いを入れていました」

 

―――ゲオルギウスやセイバージルが"いい味出してる"に留まった理由が分かってきた気がします

 

「白澤監督達が苦手なのはファントム・オブ・ジ・オペラの扱いくらいなものでしたぞ!」

 

―――(笑) 脚本の一部の方を除けば、皆苦手なのかもですね、オペラの扱い

 

「ですがかっこいいアクションを撮っておけば結構人気出るものですから特撮は楽ですな!」

 

―――言い方!

 

 

 

 

 

―――数々の貴重な知識、ありがとうございました

―――専門的な知識を持った上で撮影を見ていないとできない解説も多かったですね

―――予想外の形にはなりましたが、いいインタビューになったと思います。

 

「そちらも、驚いたふり、ご苦労様でした」

 

―――!

 

「今日自分が語った内容の中にはインタビュアーさんもご存知のものが多かったはず。

 ですが、驚いた風の相槌を打っていった方が、面白いインタビューになりますからな。

 気を使った驚きの相槌と適宜補足をしていただいたようで、実にありがたかったですぞ」

 

―――(笑) ここ、編集でカットしておきます

 

「ええ、それがよいでしょう。ではまた、次のインタビューの機会に」

 

―――はい。また、皆が特撮の世界に興味を持てるお話をお願いします

 

「喜んで。その時はまた、皆が特撮の世界に興味を持てるリアクションをお願いします」

 

 

 




 本文と脚注は一部編集された上でインタビューページとして出版されました

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