もしもFGOがゲームではなく大人気実写特撮映画シリーズ『Fate/Grand Order』だったら   作:ルシエド
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 国民的大人気実写映画『Fate/Grand Order』。
 今日もフルスロットル、映画情報誌『シネマトゥモロー』編集部。
 FGO第二部公開記念、各特異点の登場人物にスポットを当てたインタビューコーナー!
 今回の特異点は2015年に公開され大人気を博した『永続狂気帝国セプテム』!
 ネロ・クラウディウスを見事に演じた、ユーコ・サンタオルタ氏にインタビューだ!


永続狂気帝国セプテム/ネロ・クラウディス役/ユーコ・サンタオルタ(旧芸名:ユーコ・デラックス) インタビュー

―――本日は取材に応じてくれてありがとうございます、ユーコさん

 

「あはは、こっちもラジオの公開放送でインタビューしてくださいってお願いしましたので!

 お願いしたのはお互い様ですぅ! それに助かりました!

 最近ちょっとラジオのネタが切れ気味でしたので! これで放送一回分ネタが浮きます!」

 

―――ユーコさんの大人気ラジオ『オール種火ニッポン』にそういうイメージは無かったです

―――てっきり常にネタ切れはないものかと

 

「まっさかー! ネタはいっつもカツカツだよぉー!」

 

―――しかし、緊張しますね

―――普段は文章を目と手で校正する人間なもので。失言が怖いですよ

 

「どーせこの録音そのまま文章に起こしてそこから注釈付けて編集でしょう?

 知ってる知ってる、前に別の人に聞きましたー! だから大丈夫大丈夫!」

 

―――大丈夫……大丈夫なんですかね? あれ、放送中の失言の怖さは一切薄まってないような

 

「気にしない気にしないー。

 うちのラジオのリスナーは結構流してくれます。

 伊達に『ガバガバのユーコ』とか呼ばれてませんよぅ」

 

―――あれ、前は『ボロボロのユーコ』だったような

 

「毎週変わってますっ!」

 

―――な、なるほど

―――そういえば、最近また芸名を変えられたようですね。ユーコ・サンタオルタに

 

「何てことないです、あたしは『ユーコ』以外の部分は結構頻繁に変えてますもの!

 ファンの皆さんもユーコとしか呼びませんしねぇっ。

 心がつらくなったら名前を変えて生まれ変わって、過去の自分を捨てるのよっ!」

 

―――それは面白い考えです

 

「だから、あたしに恥は無い。

 あたしの過去の恥は今のあたしに関係ない。

 "ユーコ・サンタオルタ"は何も失態してないからです。おっけー?」

 

――あ、はい

 

「だいじょーぶだいじょーぶ。

 先週の長永(※1)さんとのコラボ放送の時以上のポカと炎上はないと思いますよぉ」

 

―――反省してます?

 

 欄外注釈

 ※1 長永光流。ラジオパーソナリティ、タレント、俳優、シンガーソングライターと幅広い活躍と成功を収める若手実力派。FGOシリーズでは『ロマニ・アーキマン』役を演じる。

 

「反省してます。四度目の謝罪になりますが、本当にごめんなさいでした……」

 

―――ラジオでは伝わらないと思いますが、リスナーの皆さん

―――ユーコさん、本当に反省してると思います

 

「でも悪い事したのはユーコ・デラックスです。

 ユーコ・サンタオルタは何も悪い事してません。

 ユーコはこの反省を活かして二度と同じことは繰り返さないと誓います。

 でもユーコ・サンタオルタは何も悪い事してないので、そこのところよろしくお願いします」

 

―――……!??!!?!?

 

「過去の話をする男は嫌われるのよ」

 

―――あ、はい、じゃあセプテムの話をお願いします

 

「エクステラのぉ、顔合わせっていう感じがありましたねぇ」

 

―――そう言われてみると、そうですね

―――ネロのユーコさん

―――エリザの茅野さん(※2)、タマモキャットの四之宮さん(※3)

―――アルテラ役のエミリーさん(※4)、呂布役の李書文さん(※5)

―――あとは役者が違いますが……イスカンダル役の大地君ですね(※6)

―――皆OV『Fate/EXTELLA』の登場サーヴァントですね

 

 欄外注釈

 ※2 茅野鈴。『エリザベート・バートリー』役を演じる。過去インタビューによれば好きなサーヴァントはネロ。

 ※3 四之宮優。代表作『ネオ大奥』『HIMIKO』他。FGOシリーズでは『玉藻の前』『タマモキャット』を演じる。ドロドロ愛憎劇を演じさせれば日本一との評価も。

 ※4 エミリー・アンダーソン。『アルテラ』役を演じる。外国生まれの日系三世、四カ国語堪能、現在の主な活躍の場が旅番組のナレーターと、独特の経歴を持つ。

 ※5  李書文。『呂布奉先』役を演じる。中国から日本に渡り、帰化し日本国籍を獲得。日本と違い中国ではマイナーだった"李書文"の名前を芸名に決めた……が。Fate業界に入ってしまったために、現在もネタにされている。

 ※6 兜大地。『アレキサンダー』役を演じる。『学校の怪談』『花子さんの噂』『七不思議シリーズ』など、ホラー系の小学生主人公を演じさせれば右に出るものはいない、と評される。

 

「そうそう、セプテムの撮影終わったら、そのままエクステラの打ち合わせ始めたりねっ(笑)」

 

―――そういえば、劇場公開時は色々と噂がありましたね

―――何故孔明とアレキサンダーなのか

―――何故ウェイバーとイスカンダルではないのか

―――ウェイバーではなく孔明、イスカンダルではなくアレキサンダーであることの意味とは

―――実際のところ、どうだったんでしょうか

 

「えーっとなんだっけ……

 あの時皆に聞いたんだけど……

 ……"お前は何もかもガバガバだから内緒話とかしたくない"って言われてぇ。

 れんちゃん(※7)……れんちゃんにだっけ? に泣きついて教えてもらったんですよ」

 

―――ええ……

 

 欄外注釈

 ※7 皆浜れん。FGOシリーズのマシュ・キリエライト役でデビュー。急病により撮影継続ができなくなった田中氏の代わりに、2019年度公開予定『大英博物館のクトゥグア』に出演が決定したと先週発表された。

 

「あ、教えてもらったのは覚えてるけど何教えてもらったのか忘れちゃった」

 

―――ええ……

 

「ごっめーん、あの時ユーコ・ゴールデンとかそういう名前だったから。

 ユーコ・サンタオルタは過去のこととか覚えてなくても仕方ないね。

 ウェイバー役で人気出すぎてウェイバー本人が撮影来られなかったとか確かそんなん」

 

―――そのノリで芸能界を十年以上生き残ってきたの本気で凄いと思いますよ

 

「やーん褒められたー」

 

―――ええと……セプテムの共演者さん達で、特に印象に残ってる人は

 

「そうだ、セプテムの共演者さん達の出演作の話しましょ。映画レビューだよぅ」

 

―――!? え、何故その話の流れに!?

 

「気持ちよく一日を終わらせるコツは、自分のしたい話だけしていくことじゃないかな」

 

―――え、あ、そうですね。でも何故映画レビュー……

 

「あたしがそれ一番得意だからに決まってるでしょ!

 あたしから映画レビュー取ったら何が残るんですか! この胸くらいしか残りませんよ!」

 

―――いや他にもいっぱい残ると思いますよ!? 名演いっぱいありますよ!?

 

「自慢じゃないですけど躁鬱のケがあるあたしは丁重に扱われないと発狂しますからね!」

 

―――こ、公共のラジオで口にしていい脅しじゃない! 怖い!

 

「うへへ……

 前は引退するぞって言ったらファンの皆止めてくれたのに……

 もう何十回も引退宣言してたせいでファンの誰ももう真に受けてくれなくて……」

 

―――そりゃそうですよ……

 

「優しくしてぇ……あたしが落ち込んだ時は皆優しくしてぇ……」

 

―――取材中は全力で優しくすると約束しますから、インタビューお願いします

 

「ほんと?」

 

―――本当ですよ。約束します

 

「よっしゃ言質! 優しさが足りてなかった場合詐欺で起訴しますからね」

 

―――そうやって根っこの部分でメンタルがクソ強いから!

―――何十回引退宣言しようが何度叩かれようがあなたは引退しなそうに見えるんですよ!

 

「は? なんですその優しさが足りない言い方? 泣きますよ?」

 

―――いやもう泣いてっ……ご、ごめんなさい! 軽率でした!

 

「慰めが欲しいぃ……! 慰めの言葉をくれないと事務所を通して抗議します……!」

 

―――ふぇ、Fate界一の美人ですね

 

「ふわぁ……Fate界一の美人ってゆわれた……

 初めての褒め言葉、何て心地良い響き……後でライン交換しませんか?」

 

―――リスナーさん、聞いてますか、無名の編集者がここで皆さんの助けを求めています……!

 

「ふへへ……!

 舞台では媚びるような可愛い女……!

 ラジオでは自分が根本的に大嫌いなメンヘラ女……!

 こんなクソ面倒臭いラジオに付き合ってくれてるファンがあたしの味方じゃないわけない!

 みんなあたしが大好きでいてくれてるんですよふへへ、めっちゃ愛してるよぜみんなぁ」

 

―――リスナーの皆さん! 聞いてますか! 今この人凄い顔してますよ!

 

「まずはええと……グレーズ(※8)さんが劉備やってた『桃園より赤壁へ』だね、名作だよ」

 

―――FGOで言えばKUROさん(※9)とSHIROさん(※10)も出ていた作品ですね

 

 欄外注釈

 ※8 GLAY's。『ダレイオス三世』役を演じる。インディーズ・ロックミュージックの世界で名を馳せた後、世界を巡るロックンローラーの旅に出る。旅の最中、インド映画界でKURO、ハリウッド映画界でSHIROを拾い、巨漢俳優グループ『ビッグバンマッスル』を結成。三人の中では一番身長が低い。

 ※9 KURO。FGOシリーズ以前からヘラクレス役を名演。身長250cm超え、体重300kg超えの巨体と喋らずとも感情表現する演技力を持つ。三人の中では最も身長が高い。

 ※10 SHIRO。『アステリオス』役を演じる。FGO参戦にあたり「初めて大切な二人と同じ作品に参加できて、とても嬉しい。想い出の作品になると思います」とコメントした若人。

 

「『桃園より赤壁へ』の劉備とダレイオスが同じ人だって意外と知られてないねぇ」

 

―――いやそれは、グレーズさんがダレイオススーツを着ていたからでは!?

―――火を噴き出し電飾が発光するダレイオススーツですよ!?

 

「そうとも言うかなぁ」

 

―――元ロックンローラーの声量からくるとてつもない咆哮も、ダレイオスの代名詞ですね

―――あ、劉備は喋りますが、ダレイオスは喋らないのでそれもあるのでは

 

「なーる、頭良いねえ。

 ……いやあたしが悪いだけか! あっはっはっ!

 でも面白かったよね、『桃園より赤壁へ』! 劇場で見てよかったよぉ!」

 

―――はい、有名作ではなくとも名作でした

 

「FGOから入った人は全然違う風に見えるのかなぁ。

 ダレイオスが劉備だし。

 ヘラクレスが関羽だし。

 アステリオスが張飛だし。

 叫ぶ劉備、真面目で口数少ない関羽、子供っぽい張飛……

 と、キャラ付けの大雑把な方向性くらいしか共通点は無いけど」

 

―――でも大暴れがありますからね

 

「ああ、確かに! 兵士を吹っ飛ばす大暴れシーンは、全員バーサーカーだった!」

 

―――三人の巨体が大暴れするシーンは本当にスカっとしましたね

 

「そしてその後に来る絶望シィィィン……」

 

―――迫り来る、動く赤壁! 生きた赤壁!

 

「20mの巨人族20万人を並べて進軍する赤い衣装の曹操軍は絶望的だったわね……」

 

―――赤き壁……赤壁……! って劉備が呟くシーンヤバかったですよね

 

「そこで孔明の罠が発動し、なんと曹操軍の赤き服の壁が……おっと!

 これ以上はネタバレになっちゃいますねぇ!

 リスナーの皆さんもあの感動を是非見てください! レンタルやってましたよ!」

 

―――唐突な宣伝!

 

「あ、速水さん(※11)の映画見たくなってきた……

 あの人好き……ブーディカさん優しいから好き……

 グラビアとか写真集だと癒し系お姉さんなのに……

 ドラマや映画だと途端に未亡人しか似合わないお母さん感も好き……」

 

―――これ公共電波に乗せてるラジオだって分かってます!?

 

 欄外注釈

 ※11 速水紗季。『ブーディカ』役を演じる。NHK教育番組等でも活動中。皆浜れんが尊敬する芸能人に挙げた一人。

 

「セプテム汗臭い人多かったけど、速水さんはいつもいい匂いしたし……優しいし……」

 

―――……い、いや確かに筋肉ムキムキの巨漢多かったかもしれませんが!

 

「その点、速水さんとれんちゃんはいつもいい匂いだったし……

 鈴ちゃんはエリザで爬虫類臭いと思ってたらシャンプーのいい匂いしたし……

 四之宮さんはタマモキャットで獣臭いかと思ったら香木で上品な香り着けてたし……

 エミリーちゃんアルテラのくせにいつもミルクみたいな香りがして安心したし……

 でも"ステンノはキャラ設定からしていい匂いしそう"と思って嗅いだら香水キツかったし……」

 

―――本当に炎上で反省したんですかユーコさん?!

 

「荊軻演じてるあっちゃん嗅ごうとしたら凄い顔されたんだよ。

 怖かった。流石『龍が如く』『仁義なき戦い』の女優で名を馳せたヤクザ女優。

 あの顔と雰囲気の怖さはそのままヤクザでやっていけますよーうっへっへ」

 

―――ユーコさん! 反省してるって言ってた過去の自分を取り戻してください!

 

「……どうせユーコは、出来の良い小松原さん(※12)と比べたらそりゃダメダメですよ!」

 

 欄外注釈

 ※12 小松原澪羅。代表作『Fate/stay night』他。『アルトリア・ペンドラゴン』役等を演じるFateを象徴する名女優。

 

―――あ、あれ

 

「でもメンヘラメンヘラ言われるだけの元モノマネ芸人に何期待してんですかぁ……」

 

―――いや、あの

 

「どうせあたしは演じ分けもできない二流モノマネ芸人ですよ……

 小松原さんと顔似てるってだけでTV出てモノマネして小銭稼いでたダメ女ですよ……

 たまたまアルトリアのパチモン演じられるってだけでキャスティングされた女ですよ……

 演じ分けも各演技も物凄くて、アクションもトークでもできる小松原さんとは違う……

 駄目……ダメダメ……

 芸能界に山程いる他のモノマネ芸人と変わらない凡庸……

 どうせこの前のラジオ宛お便りみたいにみーんな陰では

 『ネロ・クラウディウスっていうか根暗ディウスだよなお前』って思ってるんだ……」

 

―――ユーコさん?

 

「また『芸能界によくいるメンヘラクソ女』とかリスナーから意見来るんだ……」

 

―――だ、大丈夫ですよ。ユーコさんは実力が伴ってる優秀な女優じゃないですか

 

「たとえば? たとえば? 具体例も挙げてよ」

 

―――例えば、声ですね

―――ユーコさんの甘い声は昔から高い評価を受けてます

―――可愛らしい演技と甘い声の相乗効果は、EXTRAシリーズの正ヒロインに相応しいものです

 

「……ふーん? ふーん? 足りない」

 

―――ユーコさんは間違いなく成熟した大人です

―――けれどそこに、背の低さや童顔というだけでは説明できない、子供らしさがあります

―――天然の、演技ではない、にじみ出るような子供らしさです

―――『大人にして子供』のようなネロの魅力は、ユーコさんにしか出せません

―――他にあなたのような演技ができる人を、私は知りません

 

「足らないぞ」

 

―――最初こそ、小松原さんとアルトリアのコピーといった印象も持たれていましたが

―――今は違うと思います

―――アルトリア系の人気と、ネロ系の人気はもうそれなりに分かれてる気がするんです

―――ユーコさんはもうモノマネ芸人ではなくて

―――ユーコさん個人と演じたキャラクターが愛され、好かれ、応援されていると思います

 

「もうひと押し!」

 

―――Fate界一の美人!

 

「仮に、そのFate界に小松原さんが居たとしても?」

 

―――Fate界一の美人です!

 

「でっすよねー!

 あたしも人気ヒロインだよねぇ!

 そうだよそうだよ、自信持たないとね、きゃはっ!

 なーにが根暗ディウスだ『そのままの君で居て』ってお便りも沢山貰ってるっての!」

 

―――……元気になったみたいで何よりです

 

「うひひ、こういう時だけ生きてるって感じがします。

 愛されてるって感じがします。

 ファンの声あれば無敵感湧いてきますよね。

 百の罵倒の後に一だけでも褒められたら、それだけで帳消しになる気がしません?」

 

―――ポジティブなのか、ネガティブなのか。でも、良い考え方ですね

 

「うおおおおっ! 聞いてるかいリスナーのみんなぁ!

 こういう感じにあたし、皆の声をパワーにしてるから!

 応援の声を届けてあたしを存分に甘やかしてね!」

 

―――……すんごい人だ。これに実力が伴ってるのが一番凄い……

 

「あたし一生独身で居るよー!

 恋人作ってファン裏切ったりしないよー!

 あたしの愛は全面的に皆に贈るよー! 一途に皆にラブを届け続けるよー!」

 

―――では、インタビューの過程を聞いてくださっていた皆さん。このインタビューは『シネマトゥモロー』来月号に掲載されます。ご清聴、ありがとうございました

 

 

 




 このインタビュー書き起こしを元にした原稿は、本文と脚注を一部編集した上でインタビューページとして出版されました







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