久しぶりね、適当にかけて頂戴。
コーヒーはお好き? それとも紅茶?
あぁ、日本茶もあるわよ。最近直接取り寄せたの。この間、マホウトコロに行く機会があってね。そこで出された緑茶が美味しいのなんのって。そうだ、和菓子もあるわよ。
そう、甘い物が好きなの。私もよ。……じゃあ、二人分出すわ。
何時間くらいかかるかしら。
まぁ、確かに、私がどれくらい話すかにもよるわね。インタビューなんだし。
……。
さて、用意出来たわ。
あら、それは『自動速記羽根ペンQQQ』? 懐かしいわね。昔リータ・スキーターっていう面白い女が使ってた。
……なるほど、悪い意味で有名な元記者、か。今頃、彼女はアズカバンかしら。
そう、それはデタラメ記事は書かないのね。なら安心。
私は真実を伝えに来たんだもの。変な集客効果とかを狙った記事なんて嫌いよ。
既に私が『ザ・クィブラー』の取材を受けたのは知ってるでしょ? あれは有りのままを伝えてくれるから好き。現編集長も教え子だしね。
『日刊預言者新聞』が、かつてのように腐敗しない事を願ってるわ。君はヘタレだけど真面目だから、きっとそんな事はないと思うけど。
そうだ。
君のお祖母様はお元気?
しばらく会ってないけれど……そう! まだピンピンしてるのね! なら安心したわ。彼女はしぶといもの。まだ死んでくれちゃあ、私としては面白くないわ。
……え? 何で取材を受けてくれたのかって?
まぁ……私も、色々と自分の昔話をしたがる年頃になったというか。
気を悪くしないで欲しいんだけど、元々私、日刊預言者って嫌いなの。あの事件当時は尚更。
勿論購読してはいるけどね? 魔法界の情勢を知る上では必要不可欠な存在だもの。
君は私の『お気に入り』だもの!
理由はそれだけ。
それじゃダメ?
……そう。納得してもらえて嬉しいわ。
私にとっては、あの事件はつい昨日の事のような出来事だった。
ずっと生きているからかしら。かなり時間感覚が狂うのよね。気が付いたら十年経ってる時もあるし。
けど、彼等との時間は、私の人生の中で三番目くらいに密度の高いものだったかもしれない。沢山の事件があって、沢山の人と出会った。退屈しない時間だったわ。
えぇ、本当に。
そういえば……ホグワーツの決戦から、何年経ったの?
あら、もうそんなに?
……確かに皆、会う度に老けちゃってね。ホグワーツも魔法省もアズカバンも、勿論魔法界も。大きく変わったわ。私が思うに、これも歴史の一ページに過ぎないけれど。
それでも、大きな変化よね。
変化……いいえ、進歩よ。
古臭い掟や歴史はなくなった。これからは君達の番なんだからね。頑張って欲しいものよ。
教え子達は今や、魔法界のリーダー。
立派な子達。
誇りに思うわ。
君は、ホグワーツ在学中はそこまでじゃなかったけど……でも、見どころがあった。気を悪くしないで頂戴。私の『お気に入り』なんて、よっぽどよ?
授業中、分からない所があったらすぐに質問しに来て、真面目で、品行方正。仲間を大切にする、本当の意味で、素晴らしい生徒。君みたいな人間が増えたら、きっと世界から戦争はなくなるでしょうね。
君は、私の予想以上に素敵なポストに就いた。これから楽しみ。
……私、君に期待してるのよ。
……さて、閑話休題。
未来の編集長様の取材か。
少しだけ緊張するわ。何てったって、こんな事するのは人生で……アー、意外としてるわね。ごめんなさい、今の無し。
さて、気を取り直して。
今から君に話すのは、二人の少年の物語。二人の偉大なる魔法使いの真実。
一人は憎しみの炎を燃やし、一人は闇に魅入られた。
世は彼等を悪と呼ぶけれど、私からしてみれば、皆変わらない。
皆子供で、皆魔法使いで、皆同じ種族。思想や生き方こそは違えど、皆同じ。
だから私は、傍観者ながら全てを知っている立場の人間として、君に真実を伝えましょう。
二人の魔法使いが、皆の心に留り続ける事を願いながら、君に全てを話しましょう。
ーーハリー・ポッターと、トム・リドルの物語を。
皆さんお久しぶりです。
心機一転しまして、新しい連載でも始めようかと。
亀更新ですが、どうぞおつきあいくださいませ。