イビルアイがあのとき覚醒したら   作:copu

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王都襲撃1

「――お前がああああ! いうなああ!!」

 

 仲間が殺され、増悪溢れる雄叫びを上げながら、イビルアイは滑空した。遠距離魔法が防がれるなら、無効化がしにくい接触魔法を行使する。

 

「悪魔の諸相:豪魔の巨腕」

 

 悪魔の腕が何倍以上にも膨れ上がり、長さを増した腕がイビルアイを迎撃する。

 想定以上にも速すぎる一撃。イビルアイは攻撃を喰らった瞬間に魔法を発動させる。

 

「<損傷移行(トランスロケーション・ダメージ)>」

 

 イビルアイは大きく吹き飛ばされ、地面に叩きつけられるがすぐに体勢を立ち直す。受けたダメージを魔力ダメージに変換する魔法を使わなければ、半死の状態にまで追い込まれただろう。

 

「<魔法抵抗突破(ペネトレートマジック)水晶の短剣(クリスタルダガー)

 

 通常よりも巨大な水晶の短剣をイビルアイは作り、射出した。それは、スキルで強化した物理ダメージ魔法。

 しかし、それすらも悪魔は回避もせずに体で受ける。ダメージを最大まであげた魔法だが、効果があったかには見えない。

 

「・・・・・・想定以上の強さ。魔神を凌ぐか!? 魔神王とでもいうのか!?」

 

 イビルアイは目の前の悪魔の強さに驚嘆する。

 その強さは、あの真なる竜王クラス。イビルアイが対処できるレベルのものではない。だが、引くことはできない。

 

「悪魔の諸相:鋭利な断爪」

 

 悪魔の爪が約80センチを越える長さまで伸びた。それはありとあらゆるものを切断するように見え、一撃で自身の体を両断すると直感する。

 

(あの二人の死体を回収しながら逃げるのは無理だろう。せめて、あとで発見できるように戦場を移動するしかない)

 

 イビルアイは覚悟を決める。

 

『ふ~ん、それで死ぬつもり?』

 

 頭の中でどこか甘ったるいような声が響き渡る。それでいて、どこかイビルアイを笑うようなクスクスという笑い声が続いた。

 

(何がおかしい?)

 

『だって、ねえ? それでいいの? 勝たなくて? 大事な仲間を救いたいんでしょう?』

 

(・・・・・・私には無理だ)

 

『でしょうね。あれは、化け物の中の化け物。あと、二回以上成長しないと届かないでしょう』

 

(では、どうする?)

 

『決まってるでしょう?』

 

 今までで三度目の声。一度目、自身が吸血鬼になったとき。二度目、十三英雄と共に冒険したとき。しかし、二度目は、仲間がいたお陰で発動させなかった。しかし、今回はそうはいかない。それでも、目の前の悪魔には勝てないだろう。

 

 イビルアイは再び覚悟を決める。

 

『ねえ、(キーノ)?』

 

 イビルアイは自身のタレントを発動させた。

 

 種族 真祖の姫君 を取得

 

 

 悪魔こと、デミウルゴスは目の前の魔法詠唱者・・・・・・イビルアイの様子が少し変わったことに気づいた。仲間を殺され、憎悪に染め上がった感情が鎮まったのだ。

 

「<魔法抵抗突破(ペネトレートマジック)血染めの水晶竜槍(ブラッティ・ドラゴンランス)

 

 まるで血に染まったようにみえる強大な水晶の槍をイビルアイは作り出した。

 通常の第五階位魔法のクリスタルドラゴンランスに、個人のスキルだと思われる力によって上書きした第六階位魔法。この世界では、個人でこの階位を扱えるものはほとんどいない。

 

「ほー、スキルによる上位魔法化。第五・・・・・・いや、第六階位相当の魔法ですが。これは、驚きですね」

 

 デミウルゴスは内心少し驚いたものの、感情を載せずそういったのだ。

 ナザリックに連れて帰れば、良い情報源になるのではと考えたものの、エントマに対する処遇を見ると答えは一つしかない。

 

 イビルアイは槍を射出するが、デミウルゴスは軽々しく水晶の槍を受け止めた。この魔法でもデミウルゴスを傷をつけることが出来なかった。

 しかし、デミウルゴスはこれ以上のなにかがあるとすぐに考え付いた。

 

(用心に越したことはない)

 

「<  血染めの水晶分身(ブラッティ・クリスタルアバター)>」

 

 イビルアイの目の前にイビルアイを型取った紅い水晶の人形が生まれた。即席のゴーレム作成魔法。性能は本体よりも劣るはずだが。

 

「スピードフォルム」

 

 続くイビルアイの魔法で、ゴーレムが姿かたちが少し変わっていく。凹凸が無くなり、空気抵抗が少なくなったような形状。そして、そのゴーレムが動き出した瞬間、デミウルゴスの目の前に現れたのだ。単純なスピードは本体であるイビルアイを軽く凌ぎ、速さだけならデミウルゴス以上。

 鋭利な爪の攻撃を難なく避けるゴーレムに、デミウルゴスは内心苛つき始まる。

 しかし、ゴーレムの攻撃力はほとんどない。速さに特化したせいで、攻撃性能が低下しているのだろう。ようするに、これは囮。

 本命は・・・・・・。

 

魔法最強化(マキシマイズマジック)・ 血染めの水晶竜(ブラッティ・クリスタルドラゴン)

 

 イビルアイは紅く、巨大な水晶の竜を召喚する。第七階位魔法。その魔法は今現在の最大魔法である。

 竜の背に乗り、空に舞う。そして、地上目掛け急降下。

 

「悪魔の諸相:触腕の翼」

 

 デミウルゴスの背中から鋭利で触手のような羽でできた翼が生える。その翼により、まとわりつくゴーレムを弾き飛ばした。そして、自信も宙に舞い、水晶の竜を向かい打つ。

 

 一閃。加速したデミウルゴスの一撃で、竜は粉々に。そして、イビルアイの目の前に瞬時に現れた。

 

「ジュデッカの凍結」

 

 デミウルゴスが持つ対象の時間を停止させるスキル。イビルアイの体が硬直した・・・・・・そこ目掛けデミウルゴスの爪がイビルアイの体を切断しようとした瞬間、イビルアイの体が紅く霧散したのだ。

 

 上級エネミーなどが持つとされる時間停止無効スキル。悠久の刻を生きるであろう上位真祖のイビルアイも所持するスキル。それにより、ジュデッカの凍結を無効にしたのだ。そして、新たに会得したスキルによる近接攻撃の無効化。この二つの力はデミウルゴスの予想を上回った。

 

 実体への復帰。イビルアイはデミウルゴスの背後に回り・・・・・・、首筋に噛みついたのだ。

 

 デミウルゴスはイビルアイを掴み、力任せに剥ぎ取った。そして、そのまま地上へとイビルアイは投げ飛され、地面に叩きつけられた。

 仮面は取れ、イビルアイの素顔があらわになる。紅い瞳に透き通った白い肌。そして、発達した犬歯。

 

「吸血鬼でしたか。それなら、その強さも納得できますね」

 

 異業種なら、寿命は長命。その分、経験値を積めれば強くなれるだろ。

 

「これは、失礼しました。あの二人は、仲間ではなく、メインディッシュなのですね」

 

 デミウルゴスはそういったものの、この言葉が的はずれであることは実感している。この世界では強者である目の前の吸血鬼は人間とチームを組み、俗に言う絆を培っていたのだろ。デミウルゴスには理解し難いことである。

 そして、逆転の一手で吸血になる眷属化を目論んだのだろうが、そんなものは効果はないデミウルゴスはそう結論付ける・・・・・・のだが。

 

 

 

「く、くそぉ・・・・・・」

 

 タレントによるドーピングが解けたイビルアイ。

 

(どうなった?)

 

 イビルアイは目の前の悪魔を見るが特に変わったようには見えない。

 

「これは、失礼しました。あの二人は、仲間ではなく、メインディッシュなのですね」

 

 悪魔のその言葉を聞き、イビルアイは感情を剥き出す。

 

「お、お前にはきっと永遠に理解できないことだっ!」

 

 そして、イビルアイが感情を爆発させたとたん、その悪魔は初めて苦しそうにイビルアイが噛みついた首筋に手を押し当てたのだ。

 

「何をした?」

 

 世界が凍る。ゾッとするような気迫にイビルアイは言葉を失った。

 不意による謎の攻撃。デミウルゴスはこれ以上、相手をするのは不味いと感じた。噛まれた首筋が熱く、それが全身へと回る。

 

 警鐘が頭のなかに響く。デミウルゴスが一歩動き出そうとした瞬間・・・・・・空から何かが落ちてきたのだ。

 

 土ぼこりが晴れ、そこから現れたのは、漆黒の鎧を纏う一人の戦士。

 イビルアイは悪魔の目が漆黒の戦士を見て恐れを感じのを見たのだ。

 

「それで、私の敵はどちらなのかな」

 

 漆黒の戦士の冷ややかな声が響き渡る。

 

 




基本的に捏造設定。
王都編のみ書こうと思います。
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