問題児たちが異世界へ来たのはいいが、銃が無いのはいかがなものか 作:ゴリラ兵
何年か前にここで「FPSゲーマーが〜(以下略」とかいう問題児ssを書いていました。色々と成長して書き方も変わりましたがまた昔みたいな感じで書いていこうと思います。
銃とかFPSが好きなら読むんだぞ!次回辺りから頑張って銃の描写とかこだわるから!
真っ白な壁、真っ白な床、真っ白な天井。
この建物はつい最近出来たというわけでもないのにどういうわけかちょっとした汚れも見つけられないくらいに清掃されている。
ドアも白、棚も白、職員の制服も白。
革のジャケットに紺色のシャツ、ただの私服のはずなのに俺の服装はこの白に覆われた空間ではとても浮いて見える…気がする。
何度か来ているのに未だにそう感じるということは気のせいではないのかもしれないな。
そんなため息が出るようなことを考えながら受付へと足を進める。
「何かご用でしょうか?」
「定期検査だ。予約もしてある」
そう言ってポケットから紙を取り出す。
前回来た時にもらった予約票だ。
「お預かりいたします。…枢木様ですね。本人確認のために身分証も確認させてもらってよろしいでしょうか?」
「これで大丈夫か?」
今度は3日前に更新したばかりの自分のIDカードを渡す
「…ありがとうございます。Dr.レーラは」
「いつも通り3階の研究室で引きこもってる。だろ?」
「…ええ、その通りです。ではこちらはお返しします」
「どうも」
IDカードを受け取り、そのまま歩き出す。
ここの地図は頭にしっかりと入っているので迷うこともない。
5分ほど歩くと、目的の場所へとたどり着いた。
コンコン
『開いてるよ』
ドアをノックすると中からそう聞こえたので中に入る。
すると、何もかもが清掃の行き届いた真っ白な空間とは打って変わり、ホコリだらけ、床には何かの資料や本、食べかけのお菓子やよくわからない物体が散らばっているとても汚らしいレーラの研究室が目に入る。
「…はぁ、こんにちは先生」
「あーこんn…って、そ、その声は!?枢木君!?枢木君じゃあないか!!!」
相変わらずの汚部屋っぷりに顔をしかめながら挨拶をすると、この部屋の中で唯一の清潔な白衣を翻しながらこちらへと突っ込んでくる。
「いやー久しぶりだね!何ヶ月ぶりだい????戻ってきたということは遠征は終わったのかい????じゃあお祝いだね!よし、今すぐ仕事を終わらせるからちょっと待っててくれるかな!?お酒でも飲みに行こうか!それでその後は私の家に行こう!ね?ね??」
「ちょ、くっさ!!先生やめて下さいよ!何日風呂入ってないんですか!ほんと臭いから抱きつかないでください!クソ!離れろ!離れろって!」
________
もみあうこと5分。
なんとかレーラを引き剥がし、興奮するレーラをほぼ使われていないこの部屋にある風呂へ入るよう説得することに成功し、ほっと一息をつく。
「全く…。仕事でもないのに何でこんなに疲れないといけないんだか…」
「ふっふっふ…。それは君が頻繁に顔を出してくれないのがいけないんだよ??」
シャワーを浴びて、濡れた体を拭きながらレーラが脱衣所から出てくる。
「仕事があるんだから仕方ないだろ?それに誰が好き好んでこんな汚いところに来るんだよ…。あと服くらいちゃんと着てくれ。頼むから」
「 ふふーん、着替えがどこにあるかわからないから服なんて着ませんよーだ」
…ほんっと、頭が痛くなってくる。
「それで?今日はどうしたの?遠征はどうなった?あ、私とヤリにきたの??いいわよ??」
無駄に豊満な体をこれでもかと見せつけるようにしながらレーラが話しかけてくる。
「こんなところで誰がやるかよ。…今日は定期検査の日だろ?まだアフガン遠征中だけど検診のせいで俺だけ強制帰国だ」
「あらそうなの。ということは検査が終わったらまた向こうに行っちゃうの?」
「そういうこと。まあ、昨日こっちに帰ってきたばっかりだしすぐに行くなんてことにはならないよ。お偉いさんの事情もあるし、少なくとも1週間はこっちにいるはず」
「それはいいわね!ならさっさと検査を終わらせちゃいましょう!それでどこかデートに行きましょう?私検査が終わったら上司の首根っこ掴んで有給を無理やり取ってくるわ!」
レーラの上司さん…お気の毒だが俺もさっさと検査を終わらせてゆっくりと羽を伸ばしたいし、生贄になってくれ。
________
「はい、次は採血よ。そしたら検査は全部終わりね」
あれからのレーラの行動は早かった。
すぐに着替え、となりの検査室に連れていかれて色んな機械やら何やらに入ったり色々撮られたりしているうちにもう終わってしまう。
「痛くないようにしてくれよ?注射は嫌いなんだ」
右腕をレーラに差し出す。
ゆっくりと採血用の針が腕に刺され、腕の中に冷たい異物が入ってくる感覚に顔をしかめる。
この感じだけはいつになっても慣れないものだ。
「さて、じゃあ後は機械が勝手にやってくれるし、他の検査の結果について話すわ」
「ん、わかった」
「といっても今の所は特に異常な点は無いわ。健康そのもの。遺伝子治療の経過も問題なし」
「それは良かった」
「ただ、最近の研究会でちょっとした発表があったの。遺伝子治療を受けた患者が突然臓器不全を起こす例が何件か報告されてるわ」
それは…他人事じゃないな。
「臓器不全を起こしたのはいずれも第3世代の遺伝子治療を受けた患者だけだけだし、他の治療方法での報告は受けてないわ」
「それは良かった。第3世代というと…確かドイツの先生の理論で開発した治療方法だっけ?」
「そ、あの変態オヤジのクソ理論を元にしたやつ。まあ、安心していいわ。私はちゃーんと君の体に負担をかけないような治療をしたからそんなことは起きないわ。ほら、その証拠に血液検査でも異常は無し!私の理論はバッチリね!」
いつのまにか検査が終わっていてのだろうか。
モニターに映し出された検査の結果を見て俺にとびきりの笑顔でそう言ってくる。
「はいはい、感謝してますよ先生」
「フフ、いいのいいの!じゃ、私は検査結果を提出して有給取ってくるから、枢木君は検査後にチェックリストを確認しててね。何か当てはまることがあったりしたらちゃんと私に言うのよ?それじゃあ行ってくるわ」
ファイルを受け取るとレーラは検査室から出て行ってしまった。
俺はファイルからチェックシートを取り出し、検査用の服から私服に着替えながらチェックリストを軽く流し読む。
立ちくらみ…無し。
頭痛…無し。
吐き気…無し。
無し無し無しと順調に進んで行き、全部の項目に目を通し終わる。
体は正常そのもの。バッチリだ。
次は体以外がどうか調べる。
といってもやることは簡単。
何も持っていない右手にある物を思い浮かべ、目を閉じる。
すると急にドッシリとした質量を持った物体が右手に出現した。
「こっちもバッチリ、と」
右手に現れた物体…銃を確認する。
今握っているのは先程思い浮かべた自動拳銃であるP228そのものである。マガジンを抜きちゃんと銃弾も入っているか確認、スライドの動きも好調、セーフティとスライドストップがしっかりとかかることを確認する。
「動作に問題無し」
後はちゃんと撃てるかどうかが問題だが、ここで撃つ訳にはいかないのでそれはまた今度確認することにして、持っているP228を手から消す。
今現在各国が遺伝子治療と銘打って進めているこの超能力開発の成果は本当に素晴らしい。
細かい理論なんかは俺には分からないが世界中でこの遺伝子治療理論を提唱する科学者たち、特に俺の事を治療しにわざわざロシアから日本まで赴いてきたレーラにはとても感謝している。
「…あれ?」
全てのチェック項目に問題が無かったので、シートをファイルに戻そうとすると、ファイルの中から封に入った手紙が一通ヒラヒラと落ちてきた。
「こんな物さっきあったっけ?」
チェックシートを出した時にはこんな物は無かった気がするが…。
不思議に思いつつ、手紙を拾う。
手紙にはしっかりと宛名があり、そこには見事な達筆で俺の名前が書いてある。
が、差出人は書かれていない。
「レーラか?あいつ日本語話せて読めるくせに書くのはダメダメなはずなのに…いつのまに練習したんだ?」
そう思いながら手紙を開く。
そこにはこう書かれていた。
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能ギフトを試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの“箱庭”に来られたし』
何だこれ?
読み終えてそんな感想が出た直後、視界が急変した。
「うわっ!?」
先程までは真っ白な部屋にいくつかの機械とPCやモニターが並んだ部屋に立っていたはずなのに、はるか上空に投げ出され、目の前には見た事のない景色が広がっている。視線の先に広がる地平線は、世界の果てを彷彿とさせる断崖絶壁。
眼下に見えるのは、縮尺を見間違うほど巨大な天幕に覆われた未知の都市。
俺は異世界としか呼ぶことのできないどこかへと来ていた。
感想とか評価とかくれると死ぬほど喜びます。
では御機嫌ようさようならGGWP