あんまり期待しないでくださいね
「……ワオ、いつの間に」
時計を見ながらそう呟く。目が覚めてみれば居眠りす前の時間より二時間ほど遡っている。
「またリセットされたか」
最近はずいぶんと多い。博士が居た時には数か月に一回程度の頻度だったのが最近は数日に一回だ。多い日には一日に数回もある。
おそらく原因はあの扉の向こうにいるであろう人間。扉の向こうの婦人から言われたこの扉から出てくるであろう人間とその人間を守って欲しいという約束。その約束を守るためにわざわざ持ち場を離れている。
「俺ながら面倒な約束をしちまったな」
そう言いながらも彼は相変わらず笑顔でいた。思い浮かべるのは弟のパピルス。なかなか人間を見つけられなくて落ち込んでいるクールな弟も人間を見れば元気を取り戻すだろう。何も親切だけで約束を引き受けた訳じゃない。
それにしても遅い。
夫人と約束した時からそれなりに時間が立っているはずなのに相変わらず扉が開く気配はない。いや、実際それほど時間は立っていないはずだ。ただ最近は何度もリセットが起きて俺だけが長く感じているだけだ。
と言っても彼にとって長く感じることに変わりはない訳で。人間が何を求めてリセットをしているかは分からないが出来るだけ早く出てきてもらいたいものだ。
何か暇潰しでもしようかと思っていると寝る直前までワードサーチパズルを描いていた事を思い出し足元を見ると先のとがった鉛筆と白紙が落ちていた。
「これもリセットされてんのか。恨むぞ、人間」
恨み言を言いつつも彼は再び白紙に鉛筆を滑らせるのであった。
「zzz……ん?おっと、また居眠りしてたか」
眠っていたことに気付いた彼は慌てて自分の手元にある紙を覗き込んだ。そして今度はパズルが消えていないことに気付き安堵の息を吐く。
その時、鈍い音を立てながら扉が開いた。
「お、やっと出てきたか」
いいタイミングで起きたなの自賛しながら出てきた人間を観察する。
(背の高さからしてまだ十歳くらいか?それにしても肌が少し黄色い。本で見た時にはもう少し白かったと思うんだが。病気か?まぁ、そんな事はどうでもいいか)
今重要なのはあの子供がちゃんと人間である事。そう自分に言い聞かせながら彼は人間の後を追った。
(さて、どのタイミングで接触するか)
何時接触しても別段問題はないだろうがもしかしたら彼を探しているであろうパピルスに遭遇する危険がある。それを踏まえた上で出来るだけ早く接触したほうが良いだろう。
(あの橋の手前で話しかけるか)
人間にバレないように背中から近づ似ながら左手にブーブークッションを仕込む。
そして人間が橋に辿り着いた瞬間、
「人間、ここでの挨拶のしかたを知っているか?」
案の定、人間はその言葉に驚いたように肩をビクリと震わせた。想像通りの反応に興に乗ったのか彼は更に笑みを深める。
「こっちを向いて俺と握手しろ」
そう言うと人間は涙目でゆっくりと振り向き恐る恐る手を差し出した。
だが彼、サンズはその様子を見て息を飲んだ。
(おいおい、扉の向こうで何があったんだ!)
人間が差し出した腕は切り傷でボロボロで血まみれになっていた。
◇
まただ
またやっちゃた
「えぐっ、ちがう、ちがうのに……」
頬を流れる液体が涙なのか血なのかすら分からない
こんなの望んでない
これからもこれぐらいの長さでやって行こうと思います
誤字、脱字があれば知らせてくれると助かります
あと「こういう展開を見てみたい」みたいな意見があればバンバン言ってください。採用するかもしれません