とあるコンビニの前。社畜と金髪ヤンキーは邂逅する。   作:A i

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親友「由加」に日向は恋愛相談をする。

訥々と自らの内面を彼女に語るうちに日向の心境にも変化が生じるのであった。


11話 DQNは斯くして決意する

 「……ということなの」

 

 私はこれまでのいきさつをつまびらかに語った。

 

 由加はその間、笑うでも馬鹿にするでもなく真剣に、寄り添うように、静かに聞いてくれた。

 ただそれだけで、私の心はさっきよりも軽くなっている……。

 

 「それで?」

 

 由加が優しげな微笑みを私に向ける。

 

 「それで、日向はどうしたいの?」

 「私は……」

 

 言いよどむ私。

 由加はそんな私の両肩に手を置いて再度問う。

 

 「ほんとにこのまま相沢さんと別れちゃっていいの?」

 

 彼女の言葉に私の肩がピクッと跳ねたのが自分でも分かった……。

 

 ――相沢さんともう会えない……。

 

 そのことを考えると胸が張り裂けそうなほどに痛む。

 

 常識的に考えれば、お互いにとってもう会わない方が良いのに。

 どうやら、私の心はそんなことお構いなしらしい……。

 

 さっきは嫌になって家まで飛び出してきたのに、今はもう「相沢さんに会いたい」と思ってしまっている自分がいる。

 

 そんな自分が妙におかしくて私は苦笑した。

 由加はそんな私の様子をきょとんと見つめる。

 

 そりゃ驚くよね。

 この状況で笑ったりなんかしたらさ。

 

 でも、私はいたって真剣だ。

 だから、私は親友の目をまっすぐに見て応えた。

 

 「嫌だ。私、さっさと相沢さんに謝って仲直りしてくる」

 「…………そっか。なら、良かった」

 

 私がそう応えると、一瞬、目を丸くした由加だったがすぐに優しい微笑みを浮かべ私をギュッと抱きしめてくれた。

 

 彼女のほのかな体温が心地良い。

 少し照れくさかったが私も彼女の背に手を回し、軽く体重を預ける。

 

 すると、由加は私の耳元へ口を寄せる。

 

 「頑張ってね日向」

 

 耳元で優しい友の声。

 

 じわりと胸の中一杯に広がる彼女の優しさ。

 

 私はその甘い感覚を味わいながら「由加、ありがとうね」と言い、彼女の頬にキスをした……。

 

 

 

 

 あれから、しばらく抱き合っていた私たちだったが、由加の「お昼ご飯食べに行かない?」の一言によって、少し遅めのランチを食べることになった。

 だけど、なんとなくさっきまで抱き合ってたことが尾を引いて気まずい。

 

 冷静になると普通に恥ずかしかった……。

 

 由加も私と同様恥ずかしかったのだろう。

 そこからしばらく、無言で歩いていた私たちだったが、その沈黙に耐えきれなくなったのか、由加が笑いながら言う。

 

 「いやあ、それにしても日向がおじさま好きだったなんて知らなかったなあ!」

 「ちょっと由加声大きい……!」

 

 隣で歩く由加が思った以上に大きな声でそんな危ない発言をしたので、私は焦ってたしなめた。

 

 「あ、ごめんごめんつい……」

 

 由加も自分が思っていたよりも声が出ていたのか、本当に申し訳なさそうに手刀を斬っているので、私も呆れながらため息をつく。

 

 「もう……援交少女だとか思われたらどうするのよ?」

 

 声のボリュームを落とし由加の耳元に口を寄せた私。

 しかし、由加はそれを聞いて、ニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべて衝撃の一言を放った。

 

 「じゃあさ。聞きたいんだけど」

 「うん?なに?」

 「もうその相沢さんとはヤッたの?」

 

 一瞬のフリーズ。

 だが、次の瞬間、私は吹き出していた。

 

 「ブフッ!!な、ななななに言ってるのよ!?ヤるとかそんなんじゃないし!いや、まあヤりたいかヤりたくないかで言えばヤりたいんだけど……って私何言ってるの!?」

 「おーい、日向戻ってこーい」

 「あ……ごめん」

 

 パニックに陥っていた私に呆れたような表情で手を振る由加が視界に入り冷静さを取り戻す私。

 その様子をみた由加はさもおかしそうに声を上げて笑った。

 

 「あはは。おもしろー。日向ってそんなキャラだっけ?」

 「うるさいなー。ほっといてよもうっ」

 「あはは」

 

 顔が熱い。

 

 赤くなっているであろう顔をうつむかせ、由加の笑いが収まるのを待っていると、由加の「でもさ……」という言葉が聞こえ、顔を上げた。

 

 「でもさ、日向がそんだけメロメロになったんだからさぞイケメンなんでしょうね~その相沢さんは」

 

 ニヤリと笑う由加に私は全力で手を横に振る。

 

 「いやいやいや!相沢さんは全然そんなんじゃないよ?普通のおじさんだから」

 「そうなの?まあ、あの快人くんを振った日向のことだから顔ではないと思ってたけどさ」

 

 由加の口からでた快人くんとは中学のころ告白された、学年で一番イケメンと噂されていたサッカー部の男子。

 私的には全然タイプじゃなかったので振ったんだけど、周りの女子からは「もったいなーい」と口をそろえて言われた。

 

 そのことを思い出していた私は首を少し傾け由加に応える。

 

 「まあ、顔ではないかな?」

 「なら、その相沢さんの何が良かったのさ?性格?」

 

 不思議そうに由加が聞いてくるので、私はあごに手を添え考えた。

 

 「うーん。相沢さんの良いところか……。まあ、まず、優しいところかなあ……」

 「ほう?どんな風に?」

 「なんか、私の気持ちに気が付いてないような顔して、さりげなく気を遣ってくれるんだよね。紅茶買ってくれたり、頭撫でてくれたり……」

 

 私の話をそこまで聞いた由加が隣で低く唸った。

 

 「ほう……もう頭ナデナデまで攻略済みとは……その話詳しくお聞かせ願おうか?」

 「え…………」

 

 夢中になってたから気が付かなかったけど、自分が結構恥ずかしいことを話していることに気づく。

 

 「む、ムリ!恥ずかしいし!」

 「あはは!日向顔真っ赤だよ!?」

 「もう~……由加なんて嫌い!」

 「あはは、ごめんごめん」

 

 言葉とは裏腹に、全く悪びれる様子のない由加に、私はジト目を向けていたが、ふと彼女の表情がうらやましげなものになった。

 

 「いいなぁ……そんな人がいて。うらやましいよ私は」

 「由加はモテてそうだけどそれでもダメなの?」

 

 思ったことをそのまま口に出してみると、由加はゆるく首を振った。

 

 「だめね……全然いい人はいない」

 「そっか……」

 「だから」

 

 由加はいつものまっすぐな瞳を私に向けてこう言った。

 

 「日向はその人を大事にするんだよ?」

 

 親友だからこそ言ってくれる、暖かくそして厳しい言葉。

 そして、彼女のその誠意に応えるように私もしっかりと頷いた。

 

 「うん。大事にする」

 「うむ。よろしい」

 

 ニコリと笑う由加。

 

 「あ、あの店良いんじゃない?」

 

 由加がその場の空気を切り替えるように明るい声で指を指す。

 

 確かに、そこはガラス張りのオシャレな建物のお店で私も一目で気に入った。

 

 「うん!いいね。あそこにしよう!」

 「よし決まり!」

 

 私たちはそこに早足で入る。

 お腹が減りすぎて死にそうだった……。

 

 

 

 




感想ください!

イチャイチャさせられなくてフラストレーションな上読者様からの応援も無かったら私もうやっていけない!笑笑

それは冗談までも感想すごく欲しいのでいただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。
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