とあるコンビニの前。社畜と金髪ヤンキーは邂逅する。   作:A i

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親友由加のおかげもあって立ち直った日向。

そんな二人は食欲を満たすためとあるレストランへと向かった。


12話 DQNは斯くしてLINEする

 「で?」

 

 隣で買ったばかりのサンドウィッチを頬張りながら由加が言う。

 

 「で?」

 

 しかし、私は彼女の言わんとするところがよく分からずオウム返し。

 

 その拍子にストローから離した口はポカンと開き、グラスに入ったアイスティーの氷がカランと涼しげな音を立てた。

 

 そんなアホっぽい顔の私に対して、モグモグと口を動かし幸せそうに顔を綻ばせていた由加だったが、ゴクンとそれを飲み込み、ソースの付いた指をぺろりと一舐めする。

 

 なんて事のない仕草だが、彼女がやるとサマになる。

 同性の私ですら不覚にもどきりとしてしまうほどの魅力を放つのが、親友だけどなんか恨めしい。

 

 悔しいけど、由加はいちいち仕草が可愛いんだよなあ……。

 

 私も今度それ相沢さんの前でやろう……。

 

 そんなどうでもいいことを考えながら由加の話を聞く。

 

 「だから、相沢さんの話よ。これからどうしていきたいわけ?」

 「え?どうって?」

 

 未だよく分からずクリッと首をかしげた。

 

 実は、私、この仕草には結構自信がある。

 雑誌の「この仕草が可愛い」という特集ページを読んで以来、何度も鏡を見て練習した必殺技である。

 別に、勝負ではないがやられっぱなしなのは悔しかったので、やり返してみたのだった。

 

 すると、由加はそんな私にわかりやすく顔をしかめた。

 

 「何よそのキョトン顔?無駄に可愛いし」

 「えへへ……可愛いってそんな照れるなあ」

 「いやいや。そういうのはいいから」

 

 私がわざとらしくテレテレしていると、冷たくあしらわれた。

 ちょっとショック……。

 

 思った以上に心に深い傷を負った私だったが、そんなこと由加にはどうでも良いらしく、彼女はそのまま話を続けた。

 

 「で、結局いつ相沢さんに謝るのよ?というか、まずLINEとかで連絡取ってみたら?」

 「あ、わかりみ!」

 

 私は首肯しながら、ポッケからスマホを取り出し、画面を見ればそこには『相沢』の文字。

 

 「あ……相沢さんからLINE来てる……」

 

 自然と出たそのつぶやきは、自分でも分かるくらい弾んでいた。

 それを知ってか知らずか由加も嬉しそうに目を細める。

 

 「お、良かったじゃん?なんて?」

 

 私のつぶやきにもう一口サンドウィッチを頬張りながら聞く由加。

 再度首肯しながら私は通知画面を読み上げる。

 

 「えっと……『仕事行ってくるから、いつものコンビニに八時ぐらいに来てくれ』だって」

 「いつものコンビニ?」

 

 不思議そうに首をひねる由加に「あ、まだ言ってなかったっけ?」と私が続ける。

 

 「いつも私たちがおしゃべりしてるコンビニ。あの私の家の近くの」

 

 そこまで聞くと、由加は合点がいったというように頷く。

 

 「ああ、あのコンビニね。「いらっしゃいやせー」ってめっちゃ語尾伸ばす店員いるところでしょ?」

 「そうそう!その店員がいるところ!っていうか由加めっちゃものまねうまい!」

 「でしょ?私の数少ない特技なのです!」

 

 慎ましい胸を張りながらそう言うや否や、由加は「いらっしゃいやせ~」「いらっしゃいやせ~」と変顔しながら何度も言いだすので、私は耐えきれなくなり爆笑してしまう。

 

 もちろん、声まねも面白いのだが、特に面白いのは彼女の顔。

 たぶんあの店員さんの顔をまねているんだと思うけど、その顔は絶望的に不細工で、いつもの彼女の整った顔とのギャップが凄すぎる!

 そこに美人特有のかわいらしさを意識した躊躇いは一切無かった。

 

 そんな由加の物まねに、ここがオシャレなレストランだということすら忘れて私は、お腹が捻れるくらいに笑った。

 

 「はあ……はあ……由加……もうっ……やめて。私……死んじゃう……」

 

 息も絶え絶えの私。

 

 「あはは!わかったわかったやめたげる」

 

 笑いすぎて死にそうになっている私の心からの懇願に由加は楽しそうに笑った。

 

 私はしばらく落ち着くまで深呼吸。

 

 「すーーはーーすーーはーー」

 「落ち着いた?」

 「うん、なんとか……」

 

 そう答えながら由加の顔を見たらまた思い出しそうになったがなんとか耐えた。

 

 「さっきは死ぬかと思った……」

 「あはは!そんな大げさな」 

 

 アセロラドリンクに口を付けながら由加が笑うので私はジト目を向けて言う。

 

 「いや、マジだよ!笑い死んだらどうしてくれるのさ!」

 「そのときは「ありがとうございやした~」って言って棺桶に入れてあげる!」

 「ぶふっ!もうそれ禁止!!」

 

 ピッと人差し指を向けながら私がそう叫ぶと由加も笑いながら「あはは。わかったわかった」と言った。

 

 「じゃあ、日向今日はそのコンビニ行くんだ?」

 

 一瞬、なんの話だっけ?と思ったが相沢さんの話だったと慌てて思い出す。

 

 「う、うん!行く」

 「じゃあさ、早めにLINE返しとかなくて良いの?」

 「たしかに!じゃあ、今返信しとく」

 

 しかし、由加とランチに来てるのに、その目の前で他の人にLINE送るのは……と思いちらりと彼女の顔を伺ったら、由加とばっちり目が合って「待ってるからゆっくり考えて送りなよ」と言われる。

 どうやら、お見通しだったらしい。

 

 なんか嬉しくもあり恥ずかしくもあるむずがゆい気持ちになりながらも。

 

 「うん!ありがと」

  

 と私は感謝を述べるのであった……。 

 




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