とあるコンビニの前。社畜と金髪ヤンキーは邂逅する。   作:A i

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暗雲立ち込める蒸し暑い日のこと。
アイス片手にコンビニの喫煙コーナーに立ち寄った日向は、思いもよらぬ再開を果たすのであった。


17話 DQNは斯くして邂逅す

 「あれぇ?やっぱ日向じゃん!久しぶり~元気してた?」

 

 軽やかな足取りと満面の笑みを携え、近寄ってきた金髪の男。

 

 私は彼のことをよく知っていた……。

 

 「快斗くん……」

 

 思わず口から漏れたその名前。

 懐かしさと同時に、じわりと心の中に苦みが広がっていく。

 

 

 快斗くんは中学の時、学年で一番カッコイイと女子の中で噂されるほどのイケメン。

 そして、中学時代私に告白してくれた唯一の男の子でもある。

 

 普通、そんな彼と街で出会ったら歓ぶんだろうと思う。

 

 しかし、私の心は今、罪悪感に押しつぶされそうだった。

 由加と話しているときにはこんなこと無かったのに。

 彼の姿を見た途端、様々なことを思い出した。

 

 今の今まで過去を忘れた気になっていた。

 だけど、やはり過去の記憶は私の中に深く根付き、こうもたやすく引き戻される。

 

 乗り越えた。

 

 そう思っていたのに…………。

 

 そんな事を考えていた私は知らず知らずのうちに俯いていたらしい。

 

 「あれ?今、日向一人?」

 

 彼の声が予想外に近く、私は少し愕き視線をそちらへ向ける。

 サラリとした金髪をたなびかせ、キザな笑みを浮かべる快斗くんはいつの間にか自分のすぐ隣にいた。

 

 半歩後ろにさがり、私は頷く。

 

 「う、うん、快斗くんは……デート?」

 

 私はそう尋ね、彼の隣で静かにほほえむ彼女に視線を向ける。

 

 金髪でやんちゃそうな服装をしている快斗くんとは対照的に、黒髪でシックな清楚系の女の子だ。

 しかし、よく見れば、耳元にはキラリとピアスが光り、胸元は下品にならない程度に露出。

 地味になりすぎず、かといって、華美になりすぎない、気品と幼さが同居する美しい容姿である。

 

 正直、同じJKとしては悔しさを感じずにはいられなかった。

 JKにとってオシャレさとは男子で言う戦闘力に等しいと思う。

 その関係性は至ってシンプルで、よりオシャレな女の子がヒエラルキーの上に立つし、ダサい格好をしていれば一発で舐められてしまう。

 

 だから、女子高生の誰も彼もがオシャレに磨きを掛けるし、私もその多分に漏れず、オシャレと容姿にはかなり自信があった。

 けれど、この子には正直負ける気がする……。

 

 上品さで言えば、はっきり言って完敗だ。

 

 でも――胸に関しては私の圧勝だけどね。

 

 彼女けっこうつるぺたみたいだし……。

 うん、なんか自信取り戻したかも!

 

 と一人ほくそ笑んでいると、快斗くんは私の機嫌が良いと思ったのか、自慢げに彼女の肩を抱いて笑みを浮かべた。

 

 「そそ!今、俺こいつと付き合ってんの」

 「へえ~そうなんだ。」

 「こいつ可愛くね?」

 「うん、そうだね~」

 

 快斗くんの言葉に私は曖昧に頷く。

 すると、紹介にあずかった彼女は快斗くんの「可愛い」という言葉に気をよくしたのか、少し快斗くんに顔を寄せてとびきりの笑顔を浮かべた。

 

 「芹那でーす!日向さん仲良くしてくださいね?」

 「う、うん。よろしく。芹那さん……」

 

 私も笑顔を作って、満面の笑みの芹那さんを見た。

 端から見れば、二人の女の子が笑顔を交している和やかなシーンだろう。

 でも……。

 

 ――分かっちゃうんだよなぁこういうの……。

 

 心の中で私はそう呟く。

 

 実際、私は昔から「女の子の気持ち」にかなり敏感だった。

 いつからそうなのかは分からないし、人よりもその洞察眼が優れているのがなぜなのかも分からない。

 でも、私にはその子の目を見れば私に対して「敵意を持っているか」が分かる。

 

 ――そして、今も私は彼女の笑顔の奥底に隠れた「敵意」を見抜いた。

 

 彼女の顔は確かに笑っている。

 並の女の子にこれほど可愛い笑顔はそう作れないだろうとも思う。

 

 でも、その瞳の奥の奥。

 深奥は笑っていない。

 

 ちろちろと燃えたぎるほの暗い憎悪の炎――「私の彼氏に近づけばただじゃ置かない」という殺意にも似た鋭利敵意。

 それが女の直感を通してビリビリと伝わってくるのだ。

 

 ――別に、取ったりしないんだけどなぁ。

 

 そんなことを考えながら、私はちらりと横目に快斗くんの様子を伺った。

 彼は私たちのそんな視線の応酬には気が付いた様子もなくあくまで爽やかに笑みを浮かべて、私たちの挨拶をほほえましげに眺めていた彼だったが、突然、何かに気が付いたように、「あっ!」と声を上げ、私が手に持つものを指さした。

 

 「日向、お前、そのアイス溶けてないか?」

 「え?」

 

 私は視線を落とし、アイスを取り出す。

 

 見ると、少し溶けかかっているように思えた。

 

 「あ、ホントだ……ちょっと溶けてる」

 「やべぇじゃん、早く食った方がいいだろ?そこ座って食べていいぞ。俺達の事は気にしないでさ」

 

 白い歯を見せてそんなことを言う彼。

 

 私としてはこれ以上二人のデートを邪魔したくなかったし、それに快斗くんとあまり長話をしたくはなかったので、ここで話を切り上げる作戦に出る。

 

 「ううん、いいよ二人もデートの途中でしょ?邪魔しちゃ悪いしさ」

 「ん?別に良いだろ?なあ、芹那?」

 

 ニコリとさわやかな笑みを浮かべて彼女に向き直る快斗くんに、芹那さんもニコリと笑みを浮かべる。

 

 「うん、快斗がそうしたいなら~」

 

 ちろり、と私を一瞥しながら甘い声を出す彼女。

 なかなかの猫かぶりだなぁ~と私は感心半分恐れ半分に芹那さんを見ていたが、どうやら逃げることは叶わないらしい。

 

 心の中で「はあ……」と大きくため息を付いていた私だったが。

 

 「なら、お言葉に甘えて」とアイスの袋を勢いよく開封したのだった。

 

 

 

  

 

 




感想くださいね〜待ってます!
ちょっと相沢出なさすぎって言う言葉が聞こえて来そうだけど、もうちょっと待ってください!お願いします!
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