とあるコンビニの前。社畜と金髪ヤンキーは邂逅する。   作:A i

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相沢の心無い一言に傷ついた日向は一人公園で落ち込んでいた。
そんな時、声をかけてきたのは親友「由加」だった……。


9話 DQNは斯くして親友と邂逅する

 「由加……?」

 

 ぼんやりとした声音で私がそう呟くと、パアッと顔を綻ばせるその少女。

 

 「やっぱり!日向だよね!久しぶり~。元気だった?」

 「うん。由加こそ元気そうで良かったよ」

 「まあね!元気だけが売りですから。はっはっは」

 「あはは」

 

 この大笑いしている明るい少女は私の幼なじみにして親友の「由加」。

 

 明るめの茶髪にはじけるような笑顔。

 白いワイシャツに短めのホットパンツを会わせた夏らしい服装がよく似合う。

 

 正直、女の私が見てもめちゃくちゃ可愛い……。

 

 まあ、小学校のときもすごいモテてたし、今もおそらくモテてるんだろうな、と思う……。 

 うーん……私もそこに関しては負けてない……と思う、んだけどなあ……。

 相沢さんは信じられないくらい全然靡いてくれないんだよなあ……いや、そうじゃなくて!

 

 今は由加の話だよね。

 

 彼女とは小学一年生の時、同じクラスになったのをきっかけに仲良くなったのだけど、妙にウマが合い、それ以来ずっと仲が良い。  

 

 中学に上がってからは、三学年すべて同じクラスだったこともあって更に絆を深めたのだと思う。

 

 実は、あまりに私が由加と一緒にいるから、男子界隈では「日向は女の子が好きらしい」という噂までまことしやかに流れていたそう。

 私としては、それは不本意なことではあったけど、まあ、そのぐらい仲良しだったと言うことだ。

 

 それに、「友達」としては大好きだったのも事実だし。

 これからもずっといっしょにいたいと心の底からそう思っていたのも事実だった……。

 

 ――だけど、由加は私と違い頭が良かった。

 

 定期テストではいつも赤点ぎりぎりな私に対して、由加は学年でも上位に位置し、十番以内にも入ったことがあった。

 もちろん、私も由加と同じ高校に行きたかったから、受験期には死ぬほど勉強したんだけど、到底彼女のレベルには及ばず、やむなく数段レベルの低い今の学校に私は入学したのだ。

 

 別々の高校になってしまった当時は少し凹んでいたと思う。

 だけど、由加は別々の高校になってからもちょくちょくLINEや電話で連絡を取ってくれたのですごく嬉しかった。

 お互い忙しくなるにつれ、少しずつ疎遠になってしまったが、今でも私にとってはたった一人の親友だ。

 

 だから、相沢さんとのことで落ち込んでいた今、由加に会えたのは素直に嬉しかった。

 

 「由加こんなところで何してるの?」

 

 私が口元に笑みを浮かべて、そう聞くと、由加は顔の前でブンブンと手を横に振った。

 

 「いやいやいや!あんたこそ何してるのよ。こんな公園で一人うなだれてさ」

 「え?うなだれてなんてなかったと思うけど……」

 「思いっきりうなだれてたわよ!これ見なよ?」

 「うん……?」

 

 差し出されたスマホの画面に映っていたのは、ベンチで一人泣きそうな顔でうなだれている私だった。

 

 「え!?ちょっと、何撮ってんのよ由加!」

 「いやー、日向が落ち込んでるのなんて珍しいから撮っちゃった!」

 

 てへぺろ!とやたら可愛く舌を出す仕草をする由加に、私はむかっとしてスマホを奪い取ろうとする。

 

 しかし、由加の方が一瞬速い。

 ヒョイっと私の手を避ける。

 

 あまりに余裕な彼女の様子に腹を立てた私は猛然と叫ぶ。

 

 「消して!」

 「どうしよっかな〜?」

 「お願い」

 

 私の懇願を聞いた由加はそれまでのからかう調子の笑みからスッと、優しげな微笑みに変えて。

 

 「なら……なにがあったのか教えてよ。そうしたら消したげる」と言った。

 

 それを聞いた私は気が付いた。

 

 由加の本心はそこにあったのだと。

 

 おかしいとは思っていた。

 いつもの彼女なら、人の嫌がることなんてしない。

 

 だけど、それも私の事を気にかけてくれていたからなのだと分かってしまった。

 やはり、彼女は昔のままだ。

 どうしようもないぐらいに優しい子だ。

 

 だけど、彼女にずっと私の事を心配されていたのだと思うと、なんだか気恥ずかしくなってきてしまい、素直になれず恨みがましい物言いになってしまう。

 

 「別にこんな回りくどいことしなくても良かったのにさ……」

 

 その私の言葉を聞いた由加はスマホをプラプラと揺らしながら聞く。

 

 「さあ?何のことかしら。で?どうするの?しゃべるの?しゃべらないの?」

 

 由加がニヤリと片頬を持ち上げて、笑みを浮かべる。

 

 不覚にもそんな彼女の様子を、少し「カッコイイ」なんて思ってしまった。

 だけど、それも悔しかったので、そんな自分を振り切るように「はあ……」と思いっきりため息をつき。

 

 「しゃべる」

 

 と、私は応える。

 

 すると、由加は「そっか。なら、しょうが無い。聞いたげる」と言い、二カッと笑みを浮かべる。

 

 そのとき、ちらりと見えた彼女のスマホの画面にはすでに私の姿はなかったのだった……。

 

 

 




今回も少し短めでしたね。
感想待ってます!
次回にはようやく相沢登場しますのでよろしくお願いします。
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