バカと遊戯王と召喚獣   作:はまなつ

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17話です。本当は一話で終わらせたかったんですが余裕で長くなったので分けました。と言っても次も長なくなると思いますけど。


17話 清涼祭二日目後編①

「お、いたいた」

 

「お〜い雄二ー」

 

先程空き教室で襲われた件を雄二に話すべく、仕事を他のクラスメイトに任せ休憩に行っていた雄二を探していた二人。

 

「おん?どうした二人とも。サボりだったらチョキでシバくぞ」

 

「どんまい明久」

 

「サボってる訳じゃないよ?!雄二に話があるんだよ!」

 

「俺に話?何があった」

 

詳しく話し始める前に重要なことだと勘付く雄二。その洞察力、頭の回転の速さはやはり神童と言わざるを得ない。

 

「あぁ、実は___」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「__そうか。どうやら向こうも本気で俺達を潰しにかかってるな」

 

「向こう?誰のこと?」

 

「どう考えても竹原だろうな」

 

「その通りだ。恐らくこの学園祭での一連のアクシデントはアイツの仕業だろうな」

 

学園祭が始まる前にも学園長と何か揉めていたし、アイツが俺達の喫茶店に来た時に襲われた。しかも明久が空き教室に出た瞬間をだ。流石にタイミングが良すぎる。誰かが指示しない限り。

 

それ以前に普通学校の出し物程度でクレームが来ること自体稀だ。常夏は竹原に雇われたのだろう。

 

「えぇぇー?!なんでまた教頭が」

 

「そこまでは知らん。学園長を問い詰めん限りな」

 

「けど喫茶店も放っておけないぜ」

 

今から理事長の所に三人行っても喫茶店が大変なことになるだろう。手が回らなくなる。

 

「だな。とりあえずババアの所には俺が行く。二人は先に教室に戻っててくれ」

 

「雄二一人で大丈夫?」

 

「俺を誰だと思ってる。こういう交渉は俺一人の方がスムーズにいく。それにまた妨害されるかもしれないからな。二人には教室にいて欲しい」

 

確かにそっちの方が効率が良さそうだ。雄二に任せておけば何とかなるだろう。

 

これからの事が決まったところで教室に戻ろうとした時、何やら教室の方が騒がしいのに気がついた。

 

「あの方向は……!明久、光輝!今すぐ教室に戻れ、嫌な予感が__」

 

「雄二ぃー!!」

 

雄二が俺たちに戻ることを急かした時と同じ時に秀吉が走ってやってきた。何かあったのだろう、かなり息が乱れている。

 

「ど、どうしたの秀吉?!」

 

「落ち着いて聞いて欲しいのじゃ……。実は__姫路たちが誘拐されたのじゃ!」

 

……なんだと………?!

 

「くそっ!遅かったか!」

 

既に何かを察していたのか雄二が声を荒らげる。

 

「どういうことだ秀吉!」

 

「つい先程数人の男達が現れて教室で暴れたあと女子を連れ去ったのじゃ!」

 

「俺達が居ないところを狙ってきたか!」

 

俺、明久、雄二と喧嘩慣れしている者が出払っているのを確認してから教室を襲ったのだろうと雄二は言う。

 

「そ、それにしても誘拐だなんて犯罪じゃないか!」

 

「それほど向こうは手段を選ばないってことだ!」

 

「秀吉、攫われた女子は何人いる!」

 

「うむ、姫路、霧雨、島田……。そして風見じゃ」

 

「幽香が?!そんな訳あるか、幽香が攫われるなんてありえないぞ!」

 

幽香はそこら辺の男よりも全然強い。無論不意をつかれたとしても攫われるなんて事は起こりえない。そもそもクラスが違う。何故Fクラスの教室に……。

 

「そ、それが姫路達を人質にされたのじゃ……。休憩中に光輝に会いに来た所を……」

 

「……クソ野郎どもが!」

 

俺は怒りに任せて壁を思いっきり殴る。そうでもしないとやっていられない。

 

「……ワシとムッツリーニで島田の妹しか守れなかった。職員が駆けつけた時にはもう……」

 

秀吉の声にも力がこもっていない。しかし、秀吉を責めることなんて出来やしない。

 

「悲しんでても仕方がない!まずは行動に移すぞ!」

 

「秀吉、ムッツリーニに」

 

「もうやっておる。もう少し時間が欲しいとの事じゃ」

 

康太は既に誘拐した奴らの居場所を割り出している。康太なら確実に探し出すだろう。

 

「よし、場所が分かり次第__」

 

その時、放送が流れた。

 

『もうすぐ召喚大会決勝戦を始めます。出場する選手は指定の場所に集まってください』

 

「なにぃっ?!」

 

「このタイミングでか?!」

 

まるで狙ったかのようなタイミング。こんな時に決勝戦が始まるだと!

 

「ど、どうする雄二!決勝戦にも出ないといけないよ!」

 

召喚大会に出て優勝する。学園長との約束もないがしろに出来ない。だからといって俺と明久が居なくなると救出の可能性も低くなる。喧嘩はどうにかなるかもしれないが幽香の時のように人質にされたらどうしようもない。

 

「くそっ!どうする雄二!」

 

俺達の頭脳じゃ解決策は思いつかない。やはりここは雄二に頼るしか無い。

 

「…………ババア次第だが一つだけ策がある」

 

「あるのか?!」

 

「早くそれを教えてよ!」

 

「___この作戦は光輝、お前の負担がデカい。どうす___」

 

「やるに決まってるだろ!」

 

雄二が言い終わる前に即答する。一刻を争う事態だ。俺の負担などどうでもいい。

 

「__よしっ!今から作戦を伝えるからよく聞いとけ!」

 

「「「おう!」」」

 

 

♢

 

『さぁ!長らく続いていた召喚大会もいよいよ大詰め。決勝戦と相成りました!』

 

司会者の声が会場に響きわたる。決勝戦と言うだけあって観客の多さはかなりのものとなっている。皆一度は召喚獣を見てみたいという好奇心がある。

 

『それでは選手の入場です。まずは常村君&夏川君ペアです!受験生でありながらの参加です。しっかりと三年生の意地を見せてくれています!』

 

常夏が手を振りながら会場に入っていく。余裕なのか何か策があるのか、その顔は自信に満ち溢れている。

 

『対してこちらは虹村君&吉井君ペアです!最底辺のFクラスでありながら見事に勝ち進んで来ました。これは最底辺という言葉を改めなければいけないかもしれません!』

 

これで姫路の親へのクラスの不満は少しは拭えるかもしれない。島田と姫路が召喚大会に出た理由の一つでもある。Fクラスの評価を上げるというのは達成出来たと言える。……そんな事を言っている場合では無いが。

 

『……お、おやぁ?!』

 

会場全体がざわつく。それもそのはず。何故なら今会場に出てきたのは()()()()だったからだ。

 

「どうした、相方は尻尾巻いて逃げたかぁ〜」

 

「がっははは!お前も逃げていいんだぜ!」

 

常夏の挑発を聞き流し、マイクを手に取る光輝。

 

「あ〜〜。残念だか明久は大事な用が出来てな。試合には出れなくなった」

 

「おいおい、それって参加資格がねぇーんじゃねーか?」

 

夏川の意見もごもっともである。今回の大会はペアでの出場となっている。現状相方の居ない光輝は条件を満たしていないとも取れる。

 

「安心しろ。学園長に掛け合ったところ減る分には何のメリットも無いから平気だって言ってたよ」

 

あくまで最初のエントリーのためにペアになっていればOKという事になっている。……真相は光輝達が殴り込みに行った時に雄二が考えた案だ。

 

〜〜〜数分前〜〜〜

 

「「「ババアぁ!!!」」」

 

雄二の作戦を聞いたあと、雄二、明久、光輝の三人で学園長に殴り込み……もとい話し合いをするために学園長室に特攻していた。ちなみに秀吉は康太の手伝いと教室の見張りをお願いしている。また襲ってくるとも限らないから速攻で俺たちに連絡出来るようにしてもらっている。

 

「な、なんだいガキ共!」

 

「そう驚くなって。じゅうよ〜な話があるんだよババア」

 

「もしかしてだけど僕達に何か隠してることあるんじゃないですかババア長」

 

「隠していること?なんのことだ___」

 

「うちのクラスの女子が拉致された」

 

「っ?!」

 

雄二の言葉にババア長の顔が強ばる。

 

「……そうか。向こうはそこまでして………」

 

「さぁ、洗いざらい話してもらうぞ」

 

「………それは後で話そうじゃないか。今はその事を聞きに来たんじゃないんだろう?」

 

ババア長も察しがいい。確かに俺達はそんな話を聞きに来たわけじゃない。

 

「早くて助かる。__俺達は今から拉致された生徒を助けに行く。しかしあんたも分かっている通り今から召喚大会の決勝戦が始まる。そうなると俺達の戦力が下がって救出出来る可能性が低くなる」

 

「……職員の助けを出せと?」

 

「そんな事そっちもしたくないはずだ。試験校であるウチがそんな事件を起こしていたと知れたら信用問題に関わるからな」

 

「なんだい、もったいぶらないで教えな!」

 

「こっちからの提案は一つ。()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………」

 

考えるババア長。今職員も生徒が拉致されたとは知らない。ただFクラスで喧嘩があったということしか。それくらいならまだ何とかなる。しかし、誘拐事件となると話は別。そんな話を聞かされた運営はここの職員にいい評価を持たないだろう。セキュリティが甘いと。警察沙汰になったら尚更。ババアとしてもそれは避けたい。だからババアはこの条件を飲むしかない。

 

「………分かったよ。それは認めよう。けど本当にあんた達だけで解決出来るのかい?」

 

そんなもん決まっている。

 

「「「出来るに決まってるだろ!」」」

 

「……そうかい。なら任せたよ」

 

正式に学園長からの許しを貰った。これで後はそれぞれが役割を果たすだけだ。

 

「雄二、明久。何としても救ってくれよ!」

 

救出には明久、雄二、康太、秀吉が行くことになっている。俺の役目は一人で常夏をぶっ飛ばすことだ。誘拐犯達を殴れないのは残念だけどこれは俺にしか出来ないことだ。

 

「任せてよ!光輝の分までぶん殴ってくるよ!」

 

「お前も負けるんじゃねーぞ!」

 

「いらん心配するなよ。今の俺は誰にも負ける気はねぇ!」

 

〜〜〜回想終了〜〜〜

 

 

「それで?お前だけで勝てんのかよ」

 

「馬鹿な事言ってんじゃねーよ。脳みそまでハゲたか?」

 

「な、なにぃー?!」

 

「これくらいのハンデが無いと勝負にならないだろうが!」

 

「言わせておけば……!」

 

ちなみにただ今ディスり対決中。

 

『それでは試験召喚システムを知らない人のために説明致しますと……』

 

司会が召喚獣について説明し始める。既に知っている俺達は別の話に。

 

「おいバカ……もとい常夏」

 

「言い直しても間違ってるぞ!」

 

「なんでお前ら竹原に加担してるんだ?」

 

「あっ、……なんだよお前も雇われたのか」

 

「いいから答えろ」

 

「……推薦だよ推薦。上手くいけば大学への推薦状を書いてくれるんだよ」

 

「そうすりゃ受験勉強ともおさらばだ」

 

………はっ?

 

「くっっっそしょーもねーな!」

 

「何を?!」

 

びっくりしたわ。あまりにもダサい理由で。これならまだ金を貰えるとかの方が納得出来た。

 

「楽な方に逃げる奴は無能がやることだ。テメーらは今この学校で一番の馬鹿だよ」

 

「て、テメーに何がわかる!」

 

「分かりたくねぇわ、お前らの考えなんてな」

 

そんなものにいちいち共感してやるほど光輝は甘くない。

 

「最後に一つだけ問う。竹原がうちのクラスの女子を拉致するように仕組んだのは知ってるか」

 

「はぁ?知らねーよそんなもん」

 

「お前のクラスがどうなろうと俺達には関係ねーよ」

 

「…………そうか」

 

もはやそれ以上の言葉など不要。今ので分かった。コイツらは完膚なきまでに叩き潰さなければならないと。

 

『それでは科目選択のルーレット、スターート!』

 

司会者の声と同時に巨大スクリーンに映っていたルーレットが回り出す。

 

「へっへっへ、その生意気な口をきけなくしてやるよ!」

 

「それは残念だったな」

 

「あっ?」

 

『対戦科目はーー、日本史です!』

 

「はぁぁぁー!?」

 

「に、日本史だと?!」

 

「どうした、何かあったのか?不正なんて行われないルーレットだぜ?」

 

「くっ、話と違うじゃねーか……!」

 

常夏が不正を行なっていたことなど康太が一目見れば知り得る。だから康太にプログラムを書き換えてもらった。日本史にした理由は明久の数少ない得意教科であり、一夜漬けが出来るからだ。と言っても今明久は居ない。

 

けど一夜漬け出来るってのは明久だけのメリットでは無い。

 

「くそっ!サモン!」

 

「サモン!」

 

Aクラス 常村勇作 209点

Aクラス 夏川俊平 197点

 

「け、けどお前には俺達を超えるのは無理だな」

 

「Fクラスじゃお目にかかれないような点数だからな」

 

「……まれ」

 

「あっ?」

 

「黙れっったんだよ」

 

光輝も既に召喚獣を出していた。常夏から遅れて出た点数は__

 

Fクラス 虹村光輝 405点

 

「「はぁぁ?!!」」

 

普段の光輝はオールラウンダー。苦手教科はなくどれも一律で250点を行ったり来たりしている。それは同時に突出した教科も無いことを意味している。

 

しかし今回は違う。今回の決勝戦を日本史で戦うと決まった時から勉強をしていた。いつもは全ての教科を勉強する所を日本史に絞って。さらに幽香にも手伝ってもらった。それだけ勉強したのだ、暗記科目の日本史ならこれくらい光輝にはとれる。

 

「でもこっちは二人だ!お前に勝機は__」

 

「俺が言ったことが聞こえなかったか」

 

光輝の声がやけに聞こえる。大きい訳でも会場が静まり返っている訳でもないのに。それほど今の光輝はいつもと雰囲気が違う。その事を知ってか知らずか観客達も静かになっていく。

 

「黙れよ……」

 

「「___っ?!」」

 

その言葉を聞いた瞬間常夏に寒気がはしった。それと同時に観客達も身震いし、不安な気持ちを抱いた。光輝の殺気を感じ取った___そんな事を言うつもりは無い。ただ目の前の男を見ていると恐怖を感じる。たったそれだけのこと。

 

「な、舐めんなー!」

 

恐怖に震える自分を発破するように声を上げながら召喚獣を操作する。突撃してきたボウズの召喚獣と鍔迫り合いになる。

 

「今だ常村!」

 

その隙にモヒカンが光輝の召喚獣を攻撃しようとしてくる。けどよく考えて欲しい。常夏と光輝の召喚獣は約二倍もの差がある。純粋に力も二倍だ。それなのに鍔迫り合いになるはずがない。わざと競っていたのだ。

 

「馬鹿どもが!」

 

「なっ?!」

 

モヒカンが近づいた瞬間ボウズの召喚獣をモヒカンの召喚獣を巻き込んで吹き飛ばす。二体の召喚獣は重なるようにして倒れ込む。

 

「寝てんじゃねーぞ!」

 

その隙を逃さず槍を突き立てる。ボウズの方は何とか避けたが下敷きになっていたモヒカンの方は横腹を抉り一気に点数を落とす。

 

「野郎……!」

 

負けじとモヒカンの召喚獣は武器を振るう。ボウズも同じように挟み込むように。光輝の召喚獣は槍を地面に突き刺すとそれを盾にモヒカンの攻撃を弾く。しかしボウズの攻撃が背中に刺さる__寸前で回転して避け、そのまま殴り飛ばす。一気に目の前まで詰められたボウズは防御が出来なかった。よろめいたボウズをさらに蹴り飛ばす。その時に武器を握っていたためボウズの召喚獣は武器を奪われる。

 

「このぉ!」

 

モヒカンは武器を握り直し、再度振るってくる。

 

「___位置替え(チェンジ)

 

その攻撃が光輝の召喚獣を捉えることは無くまたも槍に当たる。今その場には無かったはずの槍に。

 

「ど、どうなってやが___」

 

「隙だらけだ」

 

「なぁ、後ろに……!」

 

理由は光輝の腕輪。50点払うと槍と自分の位置を入れ替えるというもの。それを使ってモヒカンの後ろに回った。振り返る前にボウズから奪った武器で首を刺す。

 

Aクラス 常村勇作 0点

 

「なん……だと?!」

 

召喚獣と言えど急所を狙われたら一撃で沈む。モヒカンの召喚獣はそのまま消えてしまう。

 

「くそっ、Fクラスの癖に……!」

 

「ほらよ」

 

残すは武器を持たないボウズのみ。だと言うのに光輝は手に持っていた武器をボウズに渡し槍を手に取る。

 

「何をして___」

 

「お前程度、武器を持とうが意味無いからよ」

 

「……どこまでも舐めやがって!」

 

侮辱された事に逆上して武器を拾うと同時に突進してくる。こんなにもわかりやすい挑発に乗るとは、どこまで知能が足りてないのかと光輝は呆れた。

 

「喰らえやぁー!」

 

「これで終いだよ!」

 

ボウズの攻撃を紙一重で躱す。その時に槍を召喚獣の頭目掛けて放っていた。見事にカウンターを決められたボウズの召喚獣は音もなく消える。

 

Aクラス 夏川俊平 0点

 

「……嘘だろ」

 

『『『わぁぁーー!!!』』』

 

湧き上がる会場。光輝は敵からの攻撃を1つも被弾すること無く、また二対一という状況の中で圧勝した。これには興奮せずにはいられない。

 

「___まだだ」

 

興奮冷めやらぬ内に光輝が何かを口にする。その事に気がついた司会者は光輝にマイクを渡す。

 

「まだ終わりじゃねーよ」

 

「はぁ?」

 

「お前の勝ちだろうが」

 

光輝の言葉に不貞腐れながらも答える常夏。

 

「このままだとお前らがあまりにも無様だからなぁ。情けないお前らにもう一度チャンスをくれてやる」

 

「……どういう意味だ」

 

「一人ずつ俺とデュエルしろ!どちらか一方でも俺に勝つことが出来たらお前の勝利でいい」

 

「正気か?」

 

「あぁ。受けるか受けないかはお前ら次第だ。けどお前らが負けた場合は、そうさなぁ、学校中から負け犬とでも呼ばれるだろ」

 

同じ相手に有利な状況で二連敗でもしたらそう呼ばれるのは必然。学校中の笑われ者になるだろう。常夏としてはそれは避けたい。

 

しかしここで断っても常夏達は後輩から情けをかけられた挙句勝負に出なかったチキン野郎として学校中から馬鹿にされる。常夏に与えられた選択肢は一つしかないのだ。

 

「さぁ、どうするんだゴミクズ共!受けるのか、受けないのか!」

 

この時常夏達は思い知った。怒らせてはならない者の逆鱗に触れてしまったのだと。

 

 

♢

 

「明久、落ち着けよ。秀吉とムッツリーニが上手くやるまで耐えろ」

 

「……うん、わかってるよ」

 

こちらの男達も静かに、しかしはち切れんばかりの怒りを抱えてその時を待っていた。

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